2010年3月1日月曜日

ミディエーションと地積測量図

中部ブロック新人研修の帰り、飛行機の時間まで鈴木有香先生(早稲田大学紛争交渉研究所客員研究員)の「対人コミュニケーションの基礎とミディエーション」という講義の一部を2時間ほど見学させて戴きました。
様々な示唆を含む魅力的な講義でした。個人的にも組織としても一度通して受講したいものだと思いました。

さて、その見学の際に同席させてもらった白鳳大学の和田直人先生のお話が心に残って消えません。
「多くの土地家屋調査士は、このミディエーションの際に、地積測量図等を一枚出しただけでスイッチが入って、対人コミュニケーションが変わってしまう。」このようなニュアンスのお話しが有りました。

分かる様な気がします。一生懸命ミディエーションのトレーニングを受け、対人コミュニケーションができるような気になっても、おそらく土地家屋調査士の性で、地積測量図等の資料を見ると別のスイッチが入るのでしょう。
土地家屋調査士は、いつも筆界鑑定技術を駆使して境界を捜しています。そのため、どうしても資料から読み取れそうな筆界の正誤に目が奪われ、ミディエーションの主役の座がいつの間にか当事者から自分に移り、資料の解説を始めたくなったり、判決のような答えを出したくなったりするのでしょうね。
境界のADRを担当する際には、調査士のスイッチには特に気をつけなければなりませんね。