2021年11月30日火曜日

測量機械のリースについての質問

合格してこれから事務所を開業しようとする方から、以下の質問を戴きました。 

「(測量)機械は新品を5年リース契約した方がいい、と販売店さんに勧められました。が、審査結果次第ではリース契約出来ない場合があると聞きました。実績が無くてもまとまった金額を金融機関から借入出来るものでしょうか。」

確かに審査次第ではリース契約ができないことがあります。

毎月リース料を払っていく能力があるかを審査されるわけですから、あなたが借金の返済ができるのかと同じ意味合いの審査をされるのです。当然通らないことはあるでしょう。

そして、あなたのメールによると、「リースが通らなかった場合は実績が無くてもまとまった金額を借り入れできるのか」という次の質問に移るわけですね。

開業時の融資などについては地元の商工会議所などに相談しても良いでしょうが、そもそもリースが通らないということは、あなたが融資を受けられたとしても返済することが厳しいということを外部から客観的に判断されたことなのです。だから、その状況でたとえ融資を受けることができたとしても、新品の測量機械を購入することを、私はお勧めはできません。

それよりも、質問の前提としての「機械は新品を5年リース契約した方がいい」との販売店さんの勧めを一度疑った方が良いかもしれません。

もちろん疑えと言っても、販売店さんがあなたを騙そうとしているわけではないですが、あなたの生活までを考えてくれているわけではないです。

逆に私から質問します。

あなたは新しい測量機械を月にどれだけ使いますか?

土地の測量を必要とする業務をどれだけ受託する見込みがありますか?

今すぐに受託の見込みが無いのなら、リースやローンを始めるのは早くないでしょうか。

開業時に新品の測量機械が欲しい気持ちは良く分かります。

でも払えないことを他人から心配される状況なら、今無理して揃えなくて良いのではないでしょうか。

測量業務の受託見込みがあるとしても、測量機械の中古やレンタルは検討しませんでしたか?

誰でも車は中古よりも新車が欲しいでしょう。でも最初は、程度の良い整備された車なら中古でも良いと思いますよ。

だから、私は測量機械も中古でも良いと思います。また必要な時にするレンタルだって必ず整備されているものですから、新品で一度も点検されていない物を使うよりもはるかに良いですよ。(あまりにも古いと部品が無くなる問題はありますが)

また、測量の助手として誰かが必要なら、若干高めに支払う前提で測量機械を持っている仲間に持ってきてもらっても良いのではないですか?

事務所経営はもっと柔軟に考えるべきです。

使わない機械に毎月支払いをするのなら、すこしでも生活資金にまわすべきだと思います。

毎月必ず出る経費をできるだけ減らして、逆に手持ち資金をできるだけ減らさずに経営すべきです。

融資をうまく使って経営を回していく方法はもう少し先だと思います。そのときにはまた別の相談にのります。再度考えてみてください。

応援しています。









2021年11月28日日曜日

明日の東京ガイダンスの質問について

 明日11月28日(日)は「土地家屋調査士事務所開業・経営ガイダンスin東京」を開催します。

今晩の段階で集まった質問が40問程度です。

平均3分で答えても2時間かかります。

ガイダンスでは他に教えたいことがたくさんあるので、時間配分がとても重要になります。

質問を類型に分けることはもちろんできますが、質問者はそれぞれ別人格です。似たような質問に見えても、その質問を発したその人の背景を考えて答えなければなりません。

そして答えながら質問者の表情を見て、こちらから質問をしたり、回答に言葉を足したりすることもします。それでなければ、本当に役に立つ回答にはなりません。

だから同じような質問でも答えが変わることがあります。

たとえば、土地家屋調査士事務所を運営するにしても、専業か兼業かによってもまったく違うでしょう。その人の交友関係や過去のスキルによっても方向性は変わるでしょう。

私がガイダンスを一方通行のYouTubeでやらないで、面談にこだわっている理由がこれです。

またZOOMで個人相談をしたこともあります。個人相談なら良いと思いますが、集団で本当の効果を出すには、更なる工夫も必要だと考えています。

さて、話が逸れましたが、明日のガイダンスでも多くの質問が出ていることはとても良いことだと思っています。人生かかっているのに、質問がない方がおかしいと思っていますので。

もちろん「すべての質問に当日答える」は、いつものお約束ですから、明日もなんとか工夫して参加者全員スッキリして帰っていただきます。

参加者の皆さん、集中して聞いてください。

明日は必ず良い日になりますから。






2021年11月24日水曜日

補助者希望者が面接に臨むときの考え方

 前回のブログで「総合的に学べる事務所の探し方」というタイトルで私の考え方を書きました。学べる事務所探しの相談があまりにも多いからです。

今日は逆の視点で書きます。

実は、雇う側の同業者からの愚痴も、私には結構届いています。

「1年で土地家屋調査士全体の勉強を教えてくれ。学んだらすぐ独立する。家族がいるので給料はこれ以下では無理。勉強時間が必要なので残業は無理」こんなニュアンスで面接に来る補助者希望者がいるという話です。

他人ごとで読めば、とんでもない要求に思える人も多いでしょうが、実はこんな方が本当に多いのです。

あなたが面接に行くときにこんなニュアンスになっていませんか。

考えてみてください。その事務所はあなたを教育するために存在しているのではありません。

だからその事務所から何かを得たいのなら、あなたはその見返りとして何を提供できるのか、それが何も伝えられなければ、事務所が納得してあなたを補助者にするわけがないでしょう。

いつも書いているように、何かを教えてもらうときは本来授業料を支払うべきものです。

それを給料をもらいながら教えてもらいたいのなら、最大限の労働力を提供するか、時間が欲しいなら薄給で頑張るか、実力が付いてから2年程はお礼奉公するとか、なんらかの気持ちが事務所に伝わらなければ、しっかりと勉強を教わる目的で補助者としての就職は難しいでしょう。

甘ったれてはいけません。

相手の気持ちや相手の立場を考える力が無ければ、たとえ登記や測量等の処理技術が備わったとしても、お客様の相談も受けられないし業務受託も無理ですよ。






2021年11月22日月曜日

総合的に学べる事務所の探し方

 Sさんからの相談です。

「現在は法人の使用人土地家屋調査士として勤めており、実務経験は約3年です。分業制で土地に関する業務しか経験がなく、人手不足のため配置転換も期待できません。建物についての業務の経験が無い状態で独立を検討中です。」


これは修行する際の事務所選びで、私がいつも指摘している点ですね。

ずっと法人に勤めていたいのなら、その選択肢は否定しません。無理に個人事務所で開業するよりも生活が安定するかも知れません。

でも独立する前提で学びに行くのなら、お勧めできる法人はかなり減ります。

組織に人が多ければ分業化するのは経営上当たり前の方法です。また各部門をできるだけルーチンワーク化することも当たり前の方法です。だから、そこで働き出したら総合的に学びにくくなることも当たり前です。

この当たり前のことに、合格者の皆さんは何故気が付かないのかと思います。


もちろん、だからと言って個人事務所が絶対に良いとも言えません。

個人事務所はそれこそ当たり外れがあります。

雇う方は当然として、雇われる方でも選ばなければなりません。

だから事前にその先生と話し合う必要があります。

独立志向なら、永久就職先を探しているわけでも無いでしょうから、事務所に失礼の無いように事前に断ってお互いに納得ずくならよろしいのではないでしょうか。


また、どうしてもひとつの事務所で総合的に学べる事務所が見つからない場合、たとえば、ある事務所で守備範囲にない部分を、別の事務所に移動してから学ぶというように、複数の事務所で学ぶという選択肢もあるかも知れません。

本来複数の事務所を移動することは、事務所の先生方に嫌がられることも多いでしょうから、どちらの事務所にも失礼の無いように礼を尽くさなければなりません。

ちなみに私の事務所にいる補助者も、他の事務所で学んでから来ています。







2021年11月13日土曜日

12月11日に大阪青調会のご配慮でガイダンスをすることになりました

大阪青年土地家屋調査士会(以下大阪青調会)の企画で、大阪で「土地家屋調査士事務所開業・経営ガイダンス」を開催することになりました。

日時は12月11日(土)の午後です。

大阪青調会では、土地家屋調査士を目指している後輩たちが迷いなく開業して、各地の青調会の仲間と一緒に将来の業界を背負ってくれることを期待して、今回の企画をされたとのことです。

私も喜んでお役に立ちたいと思います。

また大阪青調会のご配慮で、今回の企画をオープン講座とすることになりましたので、どなたでも参加できることになりました。

詳細は以下のとおりです。

申込みは、私のメールアドレスにお願い致します。


大阪青調会「土地家屋調査士事務所開業・経営ガイダンス」

日時:令和3年12月11日(土)13時30分から17時 (すべての質問に答えるまで)

場所:大阪土地家屋調査士会館 4階会議室

 〒540-0023大阪府大阪市中央区北新町3-5

 最寄り駅:Osaka Metro谷町線・中央線「谷町四丁目」駅(4番出口)

会費:無料(今回は大阪青調会が負担しています)

コロナ対策:企画者も受講者も講師も相互に厳格な体調管理をする 

受講対象者: 

土地家屋調査士受験者、土地家屋調査士試験合格者、土地家屋調査士会員

・土地家屋調査士試験合格したけれど、開業する勇気がない方

・事務所や設備など、開業資金の計画が立たない方

・実務に対応できる実力をどうすれば付けられるか悩んでいる方

・土地家屋調査士の先行きは大丈夫かなと心配している方 

・土地家屋調査士になったけれど仕事がなくて、この先どうすれば良いか悩んでいる方 

・法人に就職して、本当は独立するはずだったんだけどなぁと後悔している方 

・久しぶりに鈴木の話を聞きたいなと思った方  


申込先: E-mail :mucha@rr.iij4u.or.jp 

(メールで連絡がつかない場合)

 鈴木修事務所 電話:022−215ー1655

*メールの件名に「大阪ガイダンス参加希望」と書いてください。

*申込み戴いたら必ず返信いたします。

以前に、参加申込みメールが迷惑メールフォルダに入ってしまって、

ご連絡に気が付かず、失礼した方が数人いました。

数日待って返信がなければ申し訳ありませんが、一度お電話ください。


*差し支えない範囲のプロフィールや具体的な質問などがあれば、予めお知らせください。

参加者全員の疑問や悩みをスッキリしていただきたいのです。

個人情報は外には漏らしません。その方に合った答えを出したいためのお願いです。











2021年11月7日日曜日

ストイックというより高校の部活のようなもの

私が、長年開催している「土地家屋調査士事務所開業・経営ガイダンス」ですが、 

10月30日に福岡でのガイダンスを無事終えましたが、次は11月28日に東京でのガイダンスを開催します。土地家屋調査士を目指す後進の悩みや迷いを、できるだけ早く晴らしてあげたいと思って、コロナ後開催を増やす工夫をしております。

もしかすると年内に関西で開催できるかもしれません。はっきりしたらこのブログでお知らせしますが、開催まであまり時間がないので、計画があることだけお知らせします。

東京ガイダンス


ガイダンスに参加する方々の質問は、とにかく多岐にわたるのですが、一番多いのは「独立することの怖さ」でしょう。

独立するということは、固定給がなくなることです。人によっては無職に近い不安を持つのかもしれません。

開業して事務所が安定するなんて、いつ言えるのでしょうか。

私は40年この仕事をしています。自分では安定していると言えるのか疑問です。しかし40年事務所を潰していないのだから、傍目には安定しているとの評価もあるかもしれません。

大丈夫です。

専門家として時代時代の能力を保っているのなら、生きていけます。


逆に「できるだけ楽をして、できるだけ多くの収入を得ること」が良い仕事の条件だと定義している人なら、土地家屋調査士を含むあらゆる専門資格業はお勧めしません。

基本的に、専門家の世界では、その「楽」と「収入」の二つは両立しません。

確かに時代に合わせて実力を安定的に保てれば「安定に近い収入」は見込めます。年功序列の世界ではあり得ない下剋上的な収入も不可能ではありません。

しかし、時代に合わせて安定的に実力を保つということは、努力を続けるということになります。だから、試験合格したのにその後も勉強するのが嫌なら、やはり土地家屋調査士はお勧めしません。

ガイダンスでもこんなことを言ってますが、「鈴木のようにストイックに土地家屋調査士をしている人は少ない」と言われることがあります。また「私の知っている土地家屋調査士は、そこまで勉強してるように見えない」と言いたい人もいるでしょう。

その土地家屋調査士は、私が持っていない大きなコネクションなどの羨ましい何かを持っているのかも知れません。

そうでないとすれば、その人は、他の業界の下請け的な位置付けでしか生きていけない人かも知れません。そして、ネット上で「土地家屋調査士の資格が悪い」などと呟いている人かも知れません。


ちなみに私はストイックなタイプではありません。
努力はしていますが、それは楽しいからです。
高校時代の部活みたいなものです。
楽しいから、40年間、馬鹿みたいにトレーニングして研究して進んできました。
それを世間はストイックと誤解するのかもしれません。

土地家屋調査士の専門分野は世間が思っているよりもはるかに広いのです。そしてかなり深いのです。だから本気で取り組み始めれば、当然面白いのです。
実際に始めれば、自分から勉強したい分野がどんどん増えると思います。

試験合格しただけで、その後本気でやらないから、ストイックと部活の楽しさの違いを理解できないのだと思います。

そして、その楽しくてこだわって来た部分が評価されて収入になるのなら、とても幸せな職業だと思いませんか。








2021年11月2日火曜日

2021/10/30 福岡ガイダンスを終えて

先週末に「土地家屋調査士事務所開業・経営ガイダンスin福岡」は無事に終了しました。

出席者の3分の1が試験合格者で開業に向けて情報収集している人、3分の2がすでに土地家屋調査士として開業している人で経営を考えたい人でした。

事前にたくさんの質問が届いていたので、少し時間を見ながらの駆け足のガイダンスになりました。しかしすべての質問に対する論点と方向性は示すことができたと思います。


私が開催している「土地家屋調査士事務所開業・経営ガイダンス」は、法律や測量の理論を教えるタイプの他の研修会とは違います。このガイダンスは、受講者の生き方に直接関わります。

だから、単純に理論を提示すれば良いのではないと考えています。理論だけなら「なるほどなぁ、わかった。でも俺は違う」となるからです。

まず理論を理解してもらい、次にその先の共感するところまで導くことで、ようやくガイダンスは成立すると考えています。共感まで行くことができれば「なるほどなぁ、確かにそうだな。明日からそうしよう」となるからです。

そして、いつも書いているように、同じ質問でも質問者の背景を考えなければ、共感にいたる回答はできません。だから事前に差し支えない範囲でプロフィールまでお知らせいただいております。個人情報を集めたいわけではないので、そこはご理解をお願い致します。

そして安易に開業を勧めるつもりもありません。

私の言動により、受講者の家族も巻き込んで、その生活を奪う可能性もあるからです。

そこを肝に銘じてガイダンスをしています。


さて、どんな資格試験でも、一回合格しただけで、一生「左うちわ」で安泰だなどということはありません。

当然、専門家としての継続的な努力が必要です。

その努力の必要性と、努力の方向性と、明日どの方向に努力をはじめれば良いかは、ガイダンスで教えることができます。

ただし、努力を求める部分があるので、どうしても説教じみたガイダンスになりがちです。そこをどう受け取られているかちょっと心配でしたが、福岡ガイダンスについても、かなり礼状が届いているので、お役に立ったのだろうと少し安心しております。


「先日はガイダンスにお招きくださりありがとうございました。

そして、お疲れ様でした。

専門職の開業に向けての自分の考えの甘さが洗い出され、お陰で具体的な課題を意識する事ができそうです。

専門家として、日頃から法律を追究していく事、実務のシュミレーションなど全て怠っておりました。

考え方を変えて、改めて専門家になるべく、シフトチェンジして前進していきます。

鈴木先生に良き報告が出来る様、これから気合いを入れ換えて努めていきたいと思います。

説教というより、冷えた部屋のストーブに火を灯していただいた様な、なんとも有難い機会でした。

本当にありがとうございました。」


お便りありがとうございます。あなたが努力している限り、応援します。

また不安になったら、いつでもご連絡ください。



次は東京で11月28日に開催します。

2021/11/28 土地家屋調査士事務所開業経営ガイダンスin東京

土地家屋調査士試験合格者の開業の迷いや、開業した土地家屋調査士の経営の迷いを減らすお手伝いはできそうです。

ご連絡ください。