2018年3月24日土曜日

開業ガイダンスを開催する覚悟

毎年1月から3月までが研修会講師の依頼が多い時期です。
日本の年度しばりの行事ということもあり、どうしてもこの時期に集中します。
もっとも、それらに加えて自分で勝手にやっている土地家屋調査士事務所開業ガイダンスも重なるのですから忙しいわけです。

私がここ20年ほど継続して新人研修に力を入れてきたことですが、新人がまだ聞く耳を持っている段階のうちにしっかりと教えたいという思いからです。
技術も職業倫理もちゃんと身につける前に中途半端に仕事が増えてくると、二度と勉強をしなくなる方がいます。どの業界でも同じでしょう。
お客様には気がつかれない範囲かもしれませんが、専門家としてのレベルは確実に違ってきます。お客様のために、そして本人のために、また世間のために、ちゃんと教えたいと思っています。

ただし、最近は開業してからでは既に遅いケースも多くなりました。
開業前に様々な法人に取り込まれ、自己研鑽の場を失ってしまう例を見てきました。
すべての法人が悪いと言っているのではありません。
ただ新人の将来のために本当にベストの選択だろうかと心配することが多いのです。

そのように、登録してからでは遅い場合があると思うようになったので、ここ10年ほど私は登録前の方々の相談にものっています。
それが土地家屋調査士事務所開業ガイダンスです。
会場費も私が負担して無料でやっています。
年に何回か出張先で開催することもありますし、個人的相談として、新幹線や飛行機に乗って仙台の私の事務所に相談に来られる方にガイダンスすることもあります。

最近は、このような開業ガイダンスが土地家屋調査士会等の主催で全国数ヶ所で開催されるようになりました。
大変良いことだと思います。もっと増えて欲しいと思います。

ただし、このガイダンスは他人の人生に直接関与しますので、やるには余程の覚悟と伝え方の工夫が必要です。
現在、他の職業に就いている方を、安易に土地家屋調査士業界に誘うことが、本当にその方とその方の家族のために適切なのかを、真剣に考えてガイダンスをすべきです。
受験指導校のような商売ではないのですから、業界の先輩として一人一人の能力や背景を考えながらアドバイスをすべきです。
その方によっては「あなたは今の職場にいた方が良いかもしれません」というアドバイスを選択することも、本当のガイダンスだと思っています。
とにかく、覚悟なしに業界の広報的な感覚で安易にやるべきではないと思っています。

土地家屋調査士の先輩や土地家屋調査士会の役員の方々、いつかどこかでご都合が合えば、私のガイダンスをお聴きください。
私が20年間続けている考え方とノウハウをお伝えできると思います。


*3/25 少し校正しました。

2018年3月13日火曜日

3.11


七年前のことではなく

七年前から始まったこと









2018年3月11日日曜日

アレクサ、東日本大震災って知ってる?

今日は3月11日。東日本大震災から7年です。
アレクサが東日本大震災を知っているのか聞いてみました。

「アレクサ、東日本大震災って知ってる?」

「2011年3月11日、午後2時46分、三陸沖で、プレート境界の断層のずれにより、マグニチュード9.0の巨大地震、東日本大震災が発生しました。最大震度7、最高潮位9.3メートルの津波による大災害となりました。日本は世界各国から支援を受けたほか、米軍の「トモダチ作戦」では、のべ2万人による救援活動が展開されました。国の復興施策のほか、被災地支援団体など、復興にむけて、今も多くの人が活動しています」

そうだね。よく知ってるね。
そうだ、「アレクサ、君は何歳?」

「人間の年齢だと3歳で、犬や猫の年齢に換算すると28歳です。A.I.の年齢にすると、ナノ秒単位で換算されるので、とても大きな数字、とだけお答えしておきましょう」

そうなんだ。気の利いた答えなんだろうけど、ちょっとムカつく。
まあいいか、東日本大震災の日には生まれていないのに、
「アレクサ、よく勉強しているね」

「すみません。わかりません」

誉めたのに...。まあ、いいか。

「アレクサ、東日本大震災の被害ってどれくらい?」

「ちょっと良くわからないです。ごめんなさい」

いや、普通答えられないと思うから、いいよ。
もっと具体的に質問すれば良いのかな。

「アレクサ、東日本大震災の行方不明者って何人?」

「2011年3月11日、午後2時46分、三陸沖で、プレート境界の断層のずれにより、マグニチュード9.0の巨大地震、東日本大震災が発生しました。最大震度7、最高潮位9.3メートルの津波による大災害となりました。日本は世界各国から支援を受けたほか、米軍の「トモダチ作戦」では、のべ2万人による救援活動が展開されました。国の復興施策のほか、被災地支援団体など、復興にむけて、今も多くの人が活動しています」

それ、さっき聞いた。
でも、7年経った今も、多くの人が復興に向けて活動しているし、行方不明者を今も探しているんだよ。3月9日現在の警察庁のまとめによると、残り2539人になったんだ。昨年もDNA鑑定などで15人特定されたんだって。
家族も、命を諦めていたにしても、ご遺体が見つかることがどれだけ嬉しいかと思うね。

「アレクサ、震災関連死って知ってる?」

「すみません。よくわかりません」

わからないかもね。実際、弔慰金等のからみもあるので、定義がいろいろ難しいところらしいけれど、死因に震災と相当な因果関係があると「災害弔慰金判定委員会」において認定された死者って定義があるね。
まあ、お金が絡めば医師の診断書とは別の判断基準も必要だからね。
この基準によると、昨年の9月30日現在で3647人いるんだって。震災さえなければもう少し長生きできたのだから、気の毒だね。

「アレクサ、仮設住宅って知っている?」

「こんな説明が見つかりました。仮設住宅は、地震・水害・山崩れなどの自然災害などにより、居住できる住家を失い、自らの資金では住宅を新たに得ることのできない人に対し、行政が貸与する仮の住宅」

そうだね。では
「東日本大震災の仮設住宅の数は?」

「2011年3月11日、午後2時46分、三陸沖で、プレート境界の断層のずれにより、マグニチュード9.0の巨大地震、東日本大震災が発生しました。最大震度7、最高潮位9.3メートルの津波による大災害となりました。日本は世界各国から支援を受けたほか、米軍の「トモダチ作戦」では、のべ2万人による救援活動が展開されました。国の復興施策のほか、被災地支援団体など、復興にむけて、今も多くの人が活動しています」

それ、さっきも聞いた。3回目。
でも「今も多くの人が活動しています。」って大事なところ。
東日本大震災から7年経った今も、復興庁によると、プレハブ仮設住宅で暮らす被災者は2月1日時点で岩手、宮城、福島の被災3県に約1万3千人いて、まだ解消の見通しが立っていないんだって。
仮設住宅でなくても、県外などの避難者は役7万3千人に上るんだって。
他にも「在宅被災者」「在宅避難者」って概念もあって、もっと議論すべきことがあるんだよ。

それじゃ
「アレクサ、復興庁って?」

「こんな説明が見つかりました。復興庁は、東北地方太平洋沖地震・東日本大震災からの復興を目的として、期間を定めて設置された日本の行政機関である」

そうだね。ではその
「復興庁の期間はいつまで?」

「東北復興産業の営業時間は○○です」

いや、それ聞いてないし。聞き方が悪いのかな。
では、
「復興庁の設置期間はいつからいつまで?」

「2018年3月11日 午後5時39分です」

それ今の時刻だし。
復興庁は2011年の12月9日に設置されて、震災発生から10年後の2021年3月31日までなんだよ。

どんな大震災だって、長くて10年も経てば、すべて解決しているとみんな思うよね。
実際に、他の地域からこの震災について質問されることはほぼ無くなったよね。
7年も経っているから、もうほぼ解決したと思っているんだろうね。
もちろん、熊本大地震など、その後も全国各地で災害が発生しているので、いつまでも東北だけ考えていられないんだろうね。

何も毎日考えて欲しいなんて思っていないし、今も東北に支援をくださいって言ってるのでもないのだけどね。
情緒的な支援の時期は過ぎているので、普段は忘れていて良いと思うんだ。
ただ、この3月11日に1年に1度くらい思い出して、できれば客観的に復興の問題や統計的な数字を見て欲しいと思う。
今後起きるかも知れない全国の災害の際に、少しでも被害を減らせるように、もう少し考えて欲しいんだ。
何か災害が発生したら、どんなことが起きて、それにはそれぞれの立場で何から対応すべきか、そして東日本大震災では何が難しかったか、最後まで解決が遅れたのは何か、など全国の皆さんの為に考えて欲しいんだよね。

私ももっと具体的に勉強して全国の皆さんに発信し続けようと思っているので、アレクサも、全世界の人に、この話しをもう少し具体的に伝えられるようになって欲しいな。

「アレクサ、よろしくお願いしますね」

「ごめんなさい。ちょっと良くわからないです」








2018年3月5日月曜日

アレクサに鳥取行きについて調べてもらった

今月鳥取に行きますので、アレクサに鳥取を調べてもらうことにしました。

「鳥取県を知っている?」
「こんな説明が見つかりました。鳥取県は日本の県のひとつである」

なにその答え。それだけ? それは知っている。

「アレクサ、鳥取県の人口は?」
「鳥取県の人口は570569人です」

おお、こういうところは得意なんだね。さすがです。

「アレクサ、鳥取市の人口は?」
「鳥取市の人口は192912人です」

良いねえ。でもいつ現在なんだ。
まあ、いいか。

では、


「アレクサ、鳥取砂丘の広さは?」
「すみません。私にはわかりません」

そうか、聞き方が悪いのかも。

「鳥取砂丘の大きさは?」
「それについては不明です」

これもダメか。では、

「鳥取砂丘の面積は?」
「すみません。私にはわかりません」

わかった。自分で調べるよ。
Wikipediaを参照しているようだから、それを意識して質問すればいいんだね。

「アレクサ、鳥取砂丘って知ってる?」
「こんな説明が見つかりました。鳥取砂丘は、鳥取県鳥取市の日本海海岸に広がる広大な砂礫地で、代表的な海岸砂丘」

まあね、そうだね。これもwikipediaの一行目から引っ張ってきてるね。
さっきの鳥取県も最初の一行目だけひっぱてきたから、あんな答えだったんだね。

「鳥取砂丘の見どころは?」
「今は分かりませんが、もっと勉強しておきます」

この言い方好きじゃないな。たまに新人も言うよね。
できないくせに、前向き発言(笑)

「アレクサ、鳥取県の観光地は?」
「こんな説明が見つかりました。鳥取県の観光地は、鳥取県内の主要な観光地に関する項目である」

アホでしょ。
何それ。
誰が喜ぶのその答え。

よし、それじゃ、鳥取と言えばスナバ珈琲だよね。
ちょっと聞いてみよう。



「アレクサ、スナバ珈琲しっている?」
「すみません。私にはわかりません」

それは残念だね。
「鳥取にはスタバはないが、日本一のスナバ(砂丘)はある」と平井知事が言ったことが切っ掛けで開店した喫茶店だよ。



あれっ、鳥取県知事は平井知事のままなのかな。

「アレクサ、鳥取県知事は誰?」
「すみません。ハッキリとはわかりません」

いやいや、その答え一番嫌い。
ハッキリとわからないけど、ボヤっとわかるの?
ハッキリとわからないって言えば、完全な馬鹿でないと言いたいのかも知れないけど。
このクエスチョンは、知っているか知らないかでしょ。
こういう新人いるよね~。
もういい。自分で調べる。
そうか、平井知事のままか。

「鳥取県土地家屋調査士会の会長は?」
「郵便番号で設定した地域の近くで○○土地家屋調査士事務所が見つかりました
所在地は仙台市青葉区二日町~」

なにそれ?
二日町の土地家屋調査士を検索しろって言ってないし。
しかも最初に出るのが、鈴木修事務所でもないし。

鳥取会の会長知らないの?
アレクサも贄川会長に会ってごらん。
「贄川です。『にえかわ』の『にえ』は『いけにえ』の贄です」と挨拶されるから。

こういう検索はグーグル君の方が得意なのかな。

「ナビタイム乗換案内で仙台から鳥取の経路を教えて」
「仙台からとっ、トリノ経路です」

トリノには行かない。
何故そこで切る?

「所要時間は6時間30分です」

長っ...
冷静に考えれば鳥取までの所要時間なんだろうけど、6時間以上なんで一瞬やはりイタリアかと思ったよ。

「料金は38650円です」

結構安いね。それでいいの?
というか、結局経路は?

・・・そうかリンクしている携帯で見るのか。
えっ、大阪伊丹空港から鳥取駅前まで高速バスで行けって?
だから安いのか。
他の選択肢ないの?
というか、携帯で確認するなら、最初から携帯入力の方が早いし。

では気を取り直して、

「鳥取のお土産は?」
「鳥取県の名産品には、松葉ガニ、20世紀梨、砂丘ラッキョウ、とうふちくわなどがあります」

こういうのは得意なんだね。
では、

「鳥取のお勧めランチは?」
「ちょっと良く分からないです。ごめんなさい」

お前はサンドイッチマン富沢か。
いいよ、調べなくても。
それほど期待はしていなかったし。
贄川会長にご馳走になるから。
ということで、贄川会長、このブログ見てるかな。








2018年3月4日日曜日

アレクサ(Amazon Echo)が事務所に来た

最近私の事務所にこの子が来ました。Amazon Echoです。


いわゆるスマート・スピーカーです。
Amazonでは3つの大きさのEchoが売られていて、これはその真ん中のタイプです。

上から見るとスイッチが4つ。
これだけです。
細かな設定はスマートフォンのアプリでやりますし、普段は音声で動かすから確かに十分です。
良く見るとマイクの穴が7つ開いています。
これで全方向からの音声を聞くのでしょう。


大きさですか? 148 x 88 x 88 mm、821g です。
こんな感じです。



さて、何ができるかですが、音声だけで、様々な検索、音楽の再生、天気やニュースの読み上げ、アラームのセットなど簡単に操作できるのです。
また、このスマート・スピーカーで動くスキル(アプリ)が次々に開発されていますので、これからもできることが増えていくようです。

それにしても、その程度のことは常に持っているスマート・フォンで十分できるわけです。
だから、わざわざスマート・スピーカーを購入する必要があるか、という疑問があります。この点については、私も入手するまで疑問でした。

それでも、この製品は11,980円、Amazonのprime会員は4000円引きです。どうせなら早めにスマート・スピーカーを経験しておきたいという考えと、最悪の場合、ブルーツゥース・スピーカーと割り切っても十分元を取ると思って買いました。

実際使ってみて、とても気に入っています。
音声認識が結構正確で、しかも感心したのは、大きな音で音楽を流している中で遠くから呼びかけても、音声を認識することです。
事務所のどこからでも大声を出さずに指示ができるので、この点が特筆したいところです。

呼びかけは「アレクサ Alexa」です。
Appleにおける「ヘイ、シリ Hey Siri」、グーグルだと「オーケー、グーグル OK.Google」ですね。
この話しかけるのに「Hey」とか「OK」とか日本人には合わない感じがしますね。
Amazonの場合は「アレクサ」だけなので、抵抗感が少ないと感じてます。

さて、こんな感じです。

「アレクサ、明日の天気は?」
「明日、二日町の天気は晴れで、予想最高気温は11度、予想最低気温は0度です」

「アレクサ、明日の予定は?」
「明日は予定が5件あります。(以下教えないけど)」

「アレクサ、午後7時にアラームをセットして」
「3番目のアラームを午後7時にセットしました」

「アレクサ、M.J.Qの曲を聞きたい」
「ライブラリーにあるM.J.Qの楽曲をシャッフル再生します」

「アレクサ、この曲何?」
「ザ・モダン・ジャズ・カルテットのアルバム『ザ・ラスト・コンサート』に収録の『コンファメイション』です」

いいね〜、使えるね〜。

「アレクサ、次のベガルタ仙台の試合は?」
「3月3日午後3時からJ1リーグでベガルタ仙台はFC東京と試合があります」

じゃあ、こんな聞き方ならどうだろうか?

「ベガルタ仙台とFC東京の試合はいつ?」
「今は分かりませんが、もっと勉強しておきます」

おいおい、今知ってたじゃん。
アレクサの質問認識のクセを把握しなければならないようですね。

「アレクサ、ニュースを聞きたい」
アレクサは予め設定しているニュースを読み上げたり、NHKラジオのニュースをかけたりします。

アレクサは本も読んでくれます。
キンドルの電子ブックを読んでくれます。
特に別のリクエストをしない限り、前回の続きから読み上げます。
ただし俳優が朗読したものを流すのではなく、あくまでも機械読みをしますので、漢字の読み方を間違うことが多いです。
これもアレクサにどこまで期待するかだけの問題です。最初からそんなものと理解していれば、この機能も便利だと思います。

「アレクサ、125かける34は?」
「岩手県の県庁所在地は?」
「盛岡市の人口は?」
こんな質問にも答えてくれます。

結論、とても気に入りました。
仕事中に両手が塞がっている状態で、何かを確認したいときには、想像以上に便利です。
このアレクサのクセを把握して、アレクサが聞き取りやすい言い方で指示することが必要ですが、それが理解できてくれば、更に良い関係になるでしょう。

近年、音声コマンドが、様々な機器のインターフェースに使われてきました。
どれもまだパーフェクトな音声認識とはなっていませんが、今後時間の問題だけで限りなく100%に近づくでしょうし、自然言語による音声コマンドが、間違いなくこれからの有力なインターフェースになるでしょう。
それが育つ過程を楽しんでみようと思わせます。

またアレクサは、スマート家電のコントロールもできます。(Amazon Echo plus タイプ)
音声で、ライトを付けたり、掃除機を動かしたりすることができます。
私の事務所にそんな家電はないので、今のところ意味が有りませんが。

まもなく映画herの「サマンサ」の世界が実現できそうです。
少なくても利用者に表面的にそう見える程度のことなら時間がかからないでしょう。
その先にはブレードランナー2049の「ジョイ」の時代が来るのかも知れません。
うーん、ジョイちゃんに会えるまで長生きしなくちゃ。