2020年3月22日日曜日

事務所開業資金についてアドバイスを

令和2年3月21日(土)に、日本土地家屋調査士会連合会東北ブロック主催の開業ガイダンスが開催されました。
このコロナウィルスの不安の中にもかかわらず、東北各地から21名の受講者の参加がありました。
参加者の期待と不安が十分感じられましたので、気合いを入れてお話をさせていただきました。

いつものように「すべての質問が終わるまで」というやり方でしたが、質問も前向きなもので、その後の懇親会でも夜遅くまで積極的な会話がなされました。

たくさんの質問の中で、いつも出てくる質問のひとつが「事務所開業資金について」です。
今回も「いくら必要か?」という質問が複数ありました。
「開業資金はいくらくらいだと思っていますか?」と逆に聞いてみました。
皆さんが「500万円」とか「700万円」とか答えますので、「その内訳は?」と更にお聞きすると、そこからの答えが曖昧になります。
「何にいくら、何にいくら...」と具体的に細かく積み上げていないようです。
開業を考えているのに、自分で見積も取っていないのです。
ネットなどで総額だけ言っている人の話を鵜呑みにしているようです。

「皆さんは今から自分で事務所を経営していくのですよね。ネットで匿名で総額だけで話している人をただただ信用して、それを元に経営をするつもりですか。」
そんな話しをしました。
開業する人によって、必要なものと必要な時期が違うはずです。
おそらくその人の能力と当面見込まれる業務などで変わってくるはずです。

「あなたは半年以内に土地の調査測量などの仕事が見込めていますか?もし、まったくその当てがないのなら、何百万円の測量機器をすぐに買って固定費にする必要もないでしょう。」と言いました。
例えば、300万円の測量機器を導入したら、仕事が無くても毎月5万〜6万円程度のリース額ですね。仕事が無くてこの金額を支払うのは辛いと思います。

だから最初は、仕事が来たときだけのレンタルでも良いでしょう。
レンタルなら変動費です。
「測量機器は武士で言えば刀のようなもの。だから貸し借りはだめだ」と言う先輩もいるでしょう。
気にしないでください。そんな人に限って機器の点検もしていないでしょうから。

私は積極的にレンタルを勧めているわけではありません。
でも理想的なことを言って、いつまでも開業できないのなら意味が無いでしょう。
継続的に仕事が来てから買っても良いと思いますよ。

おなじく補助者を雇えば固定費、必要なときに手伝いを頼めば変動費になります。
経営は固定費をどれだけ抑えるかがとても大事です。

また、事務所に必要なIOT設備などにも同じことが言えます。
今まで必要と思っていたものでも、その人によっては、最初不要なものもあるでしょう。
自分の事務所なのですから、匿名掲示板など見ていないで、もっと自分の頭を使って具体的に工夫してください。

もちろん、個々の参加者で個人的事情をお話しいただいた方には、それらの事情に応じてもう少し具体的にお答えしました。

開業資金に関するアドバイスをもう一つ。
しばらくは収入が安定しませんから、設備等を購入する資金があったとしても、当面の生活費を残しておくことが、とてもとても大事です。

応援しています。






2020年3月17日火曜日

調査士実務にできるだけ沿った内容の書籍ですか

土地家屋調査士試験合格後の方が何を勉強すべきかということについて、たまに相談を受けます。一生懸命勉強するつもりの相談ですから、心から応援したいと思います。

以前このテーマで以下のブログを書きました。
これから土地家屋調査士の実務の勉強をする方は、一度お読みください。

2014/12/4「土地家屋調査士試験合格者が読むべき書籍について」
http://fermatadiary.blogspot.com/2014/12/blog-post_4.html

実は本日も以下の質問を戴きました。
本人を特定できない形に少し変更して、いただいた質問と答えを書きます。


土地家屋調査士
鈴木 修 様

はじめまして。突然のご連絡失礼いたします。
私は令和元年度土地家屋調査士試験合格者のYと申します。
◯◯在住です。
私は現在会社員ですが、知人が調査士を開業しており
色々相談をし、また自ら情報を集めて1年以内には現職から
調査士業に移行すべく準備を進めているところです。
現在、会社員ですので休日や空き時間にできるだけ多く
調査士実務に関係する書籍を読みたいと思い、そちらに関しても
情報収集、購買をすすめております。
一つ鈴木先生にお伺いしたいのですが、
都市計画法、農地法、建築基準法に関して調査士実務にできるだけ
沿った内容の書籍をもしご存じでしたら教えて頂けないでしょうか。
上記三法につきましては先例でもしばしば登場し実務に恐らく密接に
関わっているのではないかと思料しますがなにぶん知識が足りない為、
勉強したく考えております。
本来自らに必要な書籍は当然自らの足で探すべきものではございますし、
はじめてメールをさし上げるのにお願いをさせて頂くというのは
甚だ恐縮ではございますが、先生のお知恵を拝借させて頂きたく存じます。
たいへんご多忙のところ、申し訳ございませんが内容のご確認の程、
何卒宜しくお願い申し上げます。



Y様

ご連絡ありがとうございます。
合格おめでとうございます。
応援したいと思います。

しっかり答えたいと思いますが、Yさんのこれらの分野に関する知識、それ以外の分野の知識、書籍を読みこなす力、これからどんな場所でどんな事務所を開業したいのか、その知人から何かアドバイスはもらったのか、それらのバックボーンを教えて戴かないと適切な書籍をおすすめできません。
世間から名著と言われている専門書も、今のYさんには合わない本かも知れません。

また、これらの分野は土地家屋調査士の周辺知識ですが、何故これらの分野の知識が必要か具体的に分からないうちは、どの本を読んでも本当の理解はできないでしょう。

受験とは違います。プロは「これ一冊読めばOK」というレベルではありません。
具体的に何を身に付けるために読むのか、目的を持って狙いを付けて読むのです。
ただ読んでも、プロとして使える知識が増えることはありません。
エッセイを読むのではないのです。プロが書籍で学ぶとはそういうものです。
それらを明確にご相談くださらないと「自分の感覚で大型書店で探しなさい」ということになってしまいます。

一度お電話ください。
今晩にお電話戴くのは問題ありませんが、何時頃とこのメールに返信にて予告くだされば、合わせますので。




2020年3月11日水曜日

3.11

9年経ちました。

あの東日本大震災の年の前後に、私は宮城県土地家屋調査士会会長をやっていました。
それからの数年は、毎日ギリギリの本当に濃密な時間だったはずでしたが、振り返ってみると現実感がないのです。
もちろん記憶は全部残っています。
その記憶の数々は、私の心を大きく揺さぶった記憶のはずですが、今は感情抜きの記憶として残っています。

記憶から感情を省いていくことで、人間は生きやすくできているのかも知れません。

私の家族に被災で死亡した者はおりません。
ただし知人には、明日を夢見たまま、あの日に人生を終えた方がいます。
そんな方の数が1万8428人とのことです。
あの日は、誰がこちらの世界に残るのか、あちらの世界に行くのか、紙一重でした。
日時が少し違ったら、私と彼の人生が逆になっていてもまったく不思議ではありません。

あれから、私の中の何かは確かに変わっています。
運命論者ではないけれど、でも生かされた者の責任は感じています。
大きなことはできないですが、私の声が届く範囲ですが、淡々と他人のためにできるだけのことをしたいと思っています。

黙祷



2020年3月9日月曜日

東北ブロック開業ガイダンスは予定通り開催します

先日、春の開業ガイダンスは延期することに決定しましたと書きましたが、これは私個人が開催しているガイダンスです。
遠隔地開催の会場も私が手配などをするので、新型肺炎の動向を見ながら管理するのは難しいところです。そこで延期することになりました。
様子を見ながらできるだけ早期に再開したいと思っております。

さて、日本土地家屋調査士会連合会東北ブロック協議会開催の「開業ガイダンス(3月21日仙台開催)」についてはどうなるのかというお問合せも来ています。
こちらのガイダンスは私個人の主催のものではなく、東北ブロック協議会の主催のものです。
実際悩みましたが、東北ブロック協議会内で話し合った結果、予定どおりそのまま開催をすることで決定しました。もともと強制ではない集まりですので、ご自分で判断されてご参加戴くということになりました。

参加希望の方は、新型肺炎に関する一般的な注意事項を遵守してご参加ください。

なお、私個人主催のガイダンスの受講対象者は、事務所開業をめざす試験合格者だけではなく、自分の方向性を確認するための試験合格前の方も、土地家屋調査士事務所開業後事務所経営に悩む新人も含みますが、東北ブロック協議会主催のものはあくまでも試験合格者が対象です。
詳細は青森県土地家屋調査士会にお問合せください。

上記のとおり、私個人主催の集合形式によるガイダンスの開催は、日程も場所も新型肺炎の様子を見ながら判断しますが、開催をお待ちになれない土地家屋調査士開業や土地家屋調査士業務に関する悩みや質問は個人的にお答え致しますので、ご遠慮なく私までメールをください。
3月の年度末ですので、即日ご回答できないことも多いと思いますが、必ずメール若しくは電話などでお返事致します。

鈴木修 Email: mucha@rr.iij4u.or.jp



2020年3月6日金曜日

竹軸ガラスペン 佐瀬工業所

ガラスペンは、ご存じでしょうか。
装飾の施された美しい軸と紡錘形のペン先を見たことがあるでしょう。
ガラスペンは、最近のインクブームの中でとても重宝され、見直されているペンでもあります。

これは西本元日調連会長からいただいたものです

今、様々な美しい色のインクが発売されています。
それらのインクの美しい色を楽しむために、ガラスペンならペン先を水で一瞬で洗うことができるので、次々とインクの色を試すことができるのです。

昨今の文具ブームで手書き文具が見直されている中で、ガラスペンを知らない世代にそのペン自体の美しさも受けているのでしょう。

今は趣味性の高いペンという位置づけですが、実はガラスペンは昔から実用品として使われていたペンなのです。
輸入ペン先がとても高価だった頃、その代用品として、日本の風鈴職人の佐々木定次郎氏が作り始めたと言われています。

私は、以前登記官がガラスペンに墨汁を付けて登記用紙に記入しているところを見たことがあります。今のガラスペンの形状ではなく、竹軸にガラス製のペン先がついているものでした。公務員が使っていたのですから、安くて実用的だったのは間違いありません。

さらに、ペン先に数本の溝があり、その複数の溝でインクを吸い上げますので、一般的なペン先よりもたくさんの文字を書くことができます。一回インクを付けたらハガキ1枚程度は書けるインク保持能力があります。

私は、本当に使えて比較的リーズナブルな竹軸のガラスペンを捜していたのですが、佐々木定次郎氏の製法の流れをくむ佐瀬工業所が竹軸のガラスペンを販売していることを知り、今回注文しました。
太字・中字・細字の3本セットです。


竹軸に貼られたラベルもレトロデザインで良いですね。


ペン先は紡錘形で、8本の溝があります。


字の太さはこんな感じです。
細字が一番活躍しそうです。




弱みは、ガラスですから破損しやすいことです。
強みは、強酸性インクや顔料インクでも詰まらずに書くことができること。
上記のとおり、一回のインク補充で長く書けること。
様々なインクを頻繁に替えて書きやすいことです。

歴史的な文具としても押さえておきたいペンです。
私は買って大変満足しています。

興味のある人は一本持っていても良いでしょうが、ガラスペンは外国製の粗悪なものも多いので、安いだけで買うのはお勧めしません。信頼できるところから買いましょう。



2020年3月3日火曜日

やろうと思った


「やろうと思った」は、やっていない。
「今日忙しいから」は、明日も絶対やらない。

将来どんなにお金を出しても買えないのが、今日の時間。