2016年10月29日土曜日

勤め人ならリスクはないのですか

土地家屋調査士合格者の開業相談を受けることが多いです。
私は土地家屋調査士会の会長だったときでさえも、簡単に開業を勧めたりはしませんでした。
事務所を開業するには「覚悟」が必要だからです。

土地家屋調査士は、このブログで何度も書いているように、この資格のみで十分経営をやっていく事ができる資格です。
しかし、試験に合格しただけで満足している人には無理です。
試験合格しただけの医者に手術してもらいたいと思う患者がいないことと同じです。
土地家屋調査士も他の専門家と同じで努力の継続が必要です。
土地家屋調査士である間、専門家として努力を続ける「覚悟」があればやっていく事ができるでしょう。

合格者のお話を聴いていると「個人事務所はリスクがある」という言葉が何度も出てきます。
そりゃあそうでしょう。
自分の力だけで生きていくのですから。

でも、それならその人達にお伺いしたいです。
「勤め人ならリスクはないのですか?」

今の時代、個人ほどでなくても、勤め人でもリスクはたくさん有ります。
役員の不祥事で勤めている会社が傾き、その影響で下っ端の自分が辞めなければならないリスクが勤め人にあるのなら、良くも悪くも全部自分のせいという個人事務所のリスクの方が人生納得できませんか?

リスクの有無が問題なのではありません。
想定できるリスクをコントロールする覚悟の有無が問題なのです。









2016年10月20日木曜日

カクノ kaküno について書くの

『鈴木先生。おはようございます。
先日、パイロットの「カクノ」という万年筆を入門用に購入しました。
定価1000円とのことでしたが、ディスカウントストアで650円で入手しました。
書き心地もインクの微妙な濃淡も万年筆!って感じです^^
どうでもいい報告ですいませんでした。
しかし、文房具を手に入れてその喜びをワーイ!って共感してもらえる人が
そんなにいないので、ついメッセしてしまいました!失礼しました!』


九州のTMさんからの嬉しい報告です。

私も子供の頃から文具好きでしたが、自分で他の人に比べて特に好きだという自覚はありませんでした。
新しい文具に心がときめいたりしたのですが、他の人はそれほどでもなさそうで、とてもつまらない思いがしていました。
高級な万年筆などについては古くから全国に愛好者の情報交換がありましたが、「一般的な文具が趣味です」なんていう人の市民権は、つい最近のものではないでしょうか。

だから、TMさんの喜びと誰かに伝えたい気持ちはとても良く分かります。

さて、カクノkakuno(正確にはuはウムラウトü)ですが、私も持っています。
そういえば、カクノについては、このブログで書いていなかったと思いましたので、ちょっとだけ紹介をします。

カクノは定価1000円ですし、TMさんのおっしゃるように実売はもう少し安く、気軽に買うことができます。
カクノは、確かにパイロットでは万年筆の入門の位置づけのようで、中に入っている説明書も子供向けに書いています。
しかし、入門用万年筆と言っても、侮れないペンで、とても人気の有るものです。
入門用だからチープなのではなく、入門用だから初心者に心配りをした作りになっているということです。

私も、はるかに高価な値段の万年筆も持っていながら、私のペン入れの中にこの万年筆も外せません。



こんな形状です。キャップはオレンジ、ピンク、レッド、ライトグリーン、ブルー、グレー、ソフトピンク、ソフトブルー、ソフトバイオレット、ソフトイエローが有ります。

ちなみに、キャップは私のテーマカラー(いつ決まったんだ?)のオレンジを選んでいますが、インク色に合わせて何本か欲しいですね。



キャップを取ったところです。

このカクノですが、子供を含む初心者に対する前述の心配りによる様々な工夫がなされています。

ペン先を見てみましょう。
光って分かりにくい写真ですが、ペン先に笑顔のマークが刻まれています。
パイロットの説明書には
「ペン先には、書くのが楽しくなるえがおのマークが。書くときはマークを上にして。」と書かれています。
笑顔マークを上にすると、ペン先が自然に正しい位置に来ます。子供には良い説明方法なのでしょう。
グリップが三角形です。三角形の軸はステッドラーのペンなどにも見られる工夫ですが、実際に円筒形より持ちやすいです。子供の手にもフィットすることでしょう。




キャップの先には少しくぼみがあります。
キャップを明けるために引っ張るときに滑らないように、少しのくぼみを付けたようです。
またキャップの端には突起があります。転がり防止だと思いますが、軸もキャップも六角形なので、これが無くても転がりにくいペンです。
六角形は鉛筆と同じで違和感も少ないでしょう。

また特殊合金製のペン先は硬めです。
万年筆を使い込んでくると柔らかいペン先を求めていくものですが、ボールペンや鉛筆に馴染んだ方々からすると、やはり最初の万年筆は硬めのペン先が一番馴染むでしょう。
そういう意味でもこの硬さの調整も初心者に配慮したものだと思います。

この万年筆は買いですよ。
当然コンバーターも使えるので、様々な色の瓶のインクも使えます。
万年筆を持っている方でも、カクノは安いので普段の万年筆と違う色を楽しむために1本買っても良いと思います。

ちなみに私はBrownを入れています。

















2016年10月16日日曜日

新人資格者が他の資格を勉強すること

一昨日も新人から相談が来ました。
今年の4月に土地家屋調査士と行政書士の事務所を開業した新人です。
開業前にアドバイスをした人です。
いろいろ長電話しました。

彼は、この6ヶ月間土地家屋調査士の仕事が無くて、アルバイトをしていたようです。
もちろん土地家屋調査士としての実力にも自信が無かったので、積極的な営業を控えていたのだから、仕事が来ないのは仕方ありません。
たしかに中途半端な知識で営業に行くとろくな事がありません。ある意味正解です。
でも、そのままでは何も解決しません。

早急に土地家屋調査士としての実力を付けるべきです。
確かに彼の開業前に「毎日勉強しなさい」と言いました。
でも方向性が違ったようです。

何を勉強していたかを更に尋ねたら「社会保険労務士の受験勉強をしていました」とのことでした。
多角経営は経営上の一つの選択肢です。
私も土地家屋調査士以外の業務もやってきました。
だから否定はしません。
しかし、彼の場合は社会保険労務士に合格しても何も改善しないでしょう。
「あなたが合格したら私の会社の顧問になって欲しい」とでも言われたとしても、話半分に思わなければなりません。
彼にはそれすらありませんでした。

資格を取っただけでは何も解決しないことは、土地家屋調査士を開業したことでも理解しているはずでしょう。
これは、どの資格も同じです。
弁護士でも司法書士でも税理士でも行政書士でも、そして社会保険労務士でも、資格合格しただけで依頼は来ません。

彼は開業した(しちゃった)のだから、まずは早急に土地家屋調査士の能力を磨くことが必要です。それは他の資格の受験勉強よりも辛いかも知れません。だから彼は、他の資格の受験勉強をすることで、そこから逃げていたのでしょう。

他の勉強を辞めろとまでは言いません。実力が無いのに事務所を開業したままであることが問題なのです。やるのならそれ以上に今の業務の勉強の時間も取るべきということです。

いつも言うように、コネなんか無くても実力がつけば必ず依頼は来ます。
一定数のお客様は本当に仕事ができる資格者を捜していますから。
彼は頑張ってそれを目指すべきです。
一つの資格で十分生活ができるくらいの柱に育ててから、他の資格を追加すれば良いでしょう。
そうでないと、すべてが中途半端な状態になり、資格者であっても専門家にはなりません。

実力があることをお客様が気がつくまでは、先輩の仕事を手伝う仕事なら有るはずです。
私も先輩の仕事を手伝うアルバイトもやっていました。
それも声がかからないとすれば、まだ実力が無いだけです。

この話題は、今まで何回か書いています。
それだけ同じ問題を抱えている新人が多いです。
ひたすら資格を取ることに集中しても、資格マニアにしかなりません。それを生かす勉強をしなければそれはプロではありません。一生鳴かず飛ばずになるでしょう。

新人に仕事が来ないのは、土地家屋調査士の資格が悪いのではありません。
本人の問題です。
それを勘違いして、たとえば司法書士の勉強などを始めます。
でも、新人司法書士で仕事が無い人の中には、土地家屋調査士の勉強を始める人もいます。これをどう理解するのでしょうか。

大学受験の勉強ではないのです。
資格の受験勉強とはビジネスなのです。




 











2016年10月8日土曜日

原稿執筆はポメラを持って喫茶店へ 第二章

出ましたね。
キングジムの「ポメラDM200」です。10月20日発売とのこと。



今年2月にキングジムからPORTABOOKが出たときは、ポメラの後継機はもう出ないのかとガッカリしましたが、本当に良かったです。

私、ポメラDM100のユーザーです。
かなり気に入っております。
2012年5月14日のブログで、ポメラのどこが良いかを書きました。

原稿執筆はポメラを持って喫茶店へ

私、結構様々な文章を書くことが多いのです。
原稿を書く、つまりテキスト入力をすることなら、私にとってはポメラが最適解だと思っています。
原稿を書くため以外の余計な機能を削って、そのかわり原稿を書くための部分は妥協せずに追求するというポメラの姿勢に共感しています。

ポメラはメールもネットサーフィンもできません。
だから、テキストを大量に入力する人以外は興味ないと思います。

あのブログを書いた2012年から4年経ちました。
大きい、重い、起動が遅いなどのあの当時のノートコンピュータと今とでは、コンピュータの状況も変わっています。以前よりもかなり使い勝手は良くなっています。
それでも、コンピュータに対するポメラのテキスト入力の快適さは、まだ優位性を保っています。

新機種であるDM200は、十分な大きさのキーピッチをそのままにキースイッチの構造を改良し、打鍵感を向上させたようです。DM100でも私の持っているノートコンピュータよりもはるかに打ちやすかったので、新しいキーボードも触ってみるのが楽しみです。
ちなみに親指シフトモードも有るんでよ。プロユースの特筆ものですね。
そして、日本語入力で一番大事なATOKが強化され、法律用語辞書や類語辞典まで載っているようです。これも助かります。

そしてテキスト入力作業において、私にとって一番必要だったアウトライン機能が搭載されたことが一番嬉しいです。アウトラインはエディターで私が一番必要な機能です。いままではポメラでとにかく入力したテキストをコンピュータに移行して、そこで編集していました。

そして2012年のブログで、以下の点を指摘していました。

「技術的には何の問題も無いのにネットにも繋ぐ機能が有りません。
この潔さが、私にはとっても貴重な機能となります。
(ネットサーフィンの機能は要らないから、Eye-Fiで画像をネットに送るように、テキストをクラウドに送ることだけはできても良いと思いますが)」


キングジムは、この括弧内を実現してくれました。
わざわざwifiを入れながらも、テキストをクラウドに送るだけの機能です。
きっと私のブログを見てくれていたのでしょう(笑)。
これはもう買うしかないですね。

もう大丈夫ですよ。
これで大河小説でも書けますから。

「こらこら、大河小説よりももっと先に書くべきものがあるだろう」と、東京の方から聞こえてきそうですが。



2016年10月3日月曜日

ITOYA110 ペンジャケット システム

銀座伊東屋と言えば、私のパワースポットです。
定期的に訪問して、エネルギーを充填しなければなりません。
そんなこともあり、先週の東京出張の帰りに立ち寄ってきました。



伊東屋は単に文具を販売するだけでなく、文具の企画開発もしています。
以前紹介したふせんの革カバーも伊東屋オリジナルです。


さて、その伊東屋企画文具に9月発売のものが有ります。
そのニュースは知っていたので、この機会に見に行きました。




これです。
太いペンでしょう。
黒くて良く分かりませんか?


他のペンと大きさを比べてみましょうか。


誰でも知っているゼブラの蛍光マーカー(オプテックス・ケア)とトンボ鉛筆の赤鉛筆に挟んでみると大きさが分かるでしょうか。

キャップを取ってみましょう。


キャップの後ろには「ITOYA」のロゴがあります。
さて、この白いペン先ですが、見たこと有りませんか?

そうです。
ぺんてるの使い切り万年筆「プラマンJM-20」と同じですね。



このプラマンは、1979年発表のペンですが、先端がプラスティック製のペン先で、万年筆のような書き味を目指したものです。確かに200円という定価で万年筆のようなスムーズなインクの流れが楽しめるペンですが、むしろチープな万年筆というよりもプラマン独特の書き味にリピーターがついています。


実は伊東屋のこのペンのリフィルは、プラマンJM-20をそのまま使うのです。
だからペンではなく、プラマンを包むジャケットです。
商品名も「ペンジャケット」と言います。




このペンジャケットは定価5000円(税別)です。
最初ニュースを見たときには、高すぎると思いました。
だってペンを包む軸を作っただけですから。

しかし、実際に握ってみるとこれが良かったのです。
ボディは真鍮製なので、ずっしりした重量感があります。
長さは152mm、重さは47gあります。
これは好みの問題ですが、重くて太いペンが好きな人なら試してみる価値はあります。
この太さで握りが安定し、重みで重量バランスが向上しています。
筆圧もかけずに滑らかな書き味を得られます。
私はプラマンの書き味が更に増しているように感じました。



筆記幅は0.4mm〜0.7mmとのことです。
ペン先が柔らかいので筆圧で筆記幅は変わります。

一番下のペンはパーカーのインジュニュイティです。
書き味は同じ方向を目指しているのだと思います。
値段はまったく違いますが、書き味の好き嫌いは分かれます。



ちなみにインジェニュイティのリフィルは1000円(税別)、プラマンの5倍です。

プラマンの書き心地は人気があり、その安価な価格と併せて定番となりました。
この安価な点は当然美点ですが、オフィシャルの場で持ち出すと少し安っぽく見えることもあります。
その点に目を付けた伊東屋は、その解決としてこのペンジャケットを作ったのです。

なおこのペンジャケットは、途中の定価300円のリングを変えると、これまた定評のあるぺんてるの2種のペンを入れることができます。これらのペンも皆さんご存じのはずです。ぺんてるの定番「サインペン」と「ボールぺんてる」です。

ペンジャケットは、黒、白、赤、青の4色のラインアップです。
どうですか?
それでも高いと思うでしょうね。
でも機会が有ったら一度握ってみてください。
この重さと太さを好きな方もいると思います。