2015年9月26日土曜日

キングスマン

キングスマン。
子供の頃から「大きくなったらスパイ」を目指していた私が、この映画を観ない訳にはいきません。


ロンドン、サヴィル・ロウの高級テーラー「キングスマン」は、どこの国にも所属せず秘密裏の活動を行い、数々の難事件・テロリズムを解決する、スパイの本拠地であった。
殉職した「キングスマン」メンバーの息子であり元海兵隊員のエグジーは義父率いるギャングとの諍いの中逮捕され、17年前に「キングスマン」のペンダントを手渡した工作員のハリーと出会う。エグジーはハリーの薦めにより「キングスマン」の選考試験に参加し、他の候補生たちとともに過酷な試練を経験することになる。
一方、ハリーは仲間の死に関わった一連の事件にリッチモンド・ヴァレンタインというアメリカ人実業家が絡んでいることを知る。ヴァレンタインを調べていくうちに判明したのは、人類の存亡を揺るがす巨大な陰謀であった。(Wikipedia)


ブリティッシュ・スーツに身を固めたジェントルマンのスパイ。
傘や万年筆、指輪や靴や黒縁眼鏡などのスパイグッズ。
そして悪役ボスの用心棒の特殊な武器。
不必要な肉弾戦。
007の系譜の伝統的スパイ映画です。
これはもう私の大好物です。

実は007ではなく「0011ナポレオン・ソロ」ですけれどね。
同年代の人、覚えていますか?
洋服店から出入りするところもアンクルのオマージュですし、もともとナポレオン・ソロのロバート・ボーンは、マシュー・ボーンの母親と付き合っていて、父親であるという話しが有りましたね。

コリン・ファースがアクションをすること自体どうかなと思いましたが、思ったより良かったですね。ブリティッシュスーツの着こなしも流石です。
なんて言ったって、この間「英国王」だった人ですからね。

キングスマンのスパイグッズですが、見た目がクラシックなもので、「ミッション・インポッシブル」で見るようなハイパーな感じでないのが良いですね。
特にあの傘は最高です。あれは絶対欲しいです。
サヴィル・ローのキングスマンまで行けば売ってくれるのなら、すぐ行きます。
またあの万年筆ですよ。
私、文具好きを表明しているのに、私が持っている万年筆の中にはインクしか入っていないことに気がつき、とても悔しいです。

さて、この手のスパイ映画には、世界を敵にまわすボス・キャラがいます。
その点今回の敵リッチモンド・バレンタインは、目的も行動も狂気に満ちています。
スティーブ・ジョブスあたりをモチーフにしたようなこのキャラはとても良いですね。

またスパイの宿敵には必ず特殊な武器を持つ用心棒がいました。
「ゴールドフィンガー」では、相手の喉を切り裂く鋼鉄の鍔のシルクハットを使う用心棒オッドジョブがいました。「私を愛したスパイ」「ムーンレイカー」で出た用心棒ジョーズは鋼鉄の歯を持ち、すべてを噛み切ることができました。
今回の敵バレンタインの美貌の用心棒ガゼルは、特殊な義足でジャンプして、その足の先にある刃で相手に斬りつけます。
いいですね、ガゼル。
この手の映画に必要なキャラクターを見事に作ってくれました。
ガゼルの戦う姿を見るだけで、スパイ映画の価値があります。

組織、スパイ、グッズ、敵、用心棒、マシュー・ボーンはちゃんと揃えました。
もうこの映画大丈夫です。

映画の内容はハリー達に育てられながら一流のキングスマンに育つエグジーの成長物語になっています。
でも話の筋が結構適当で、各キャラクターの行動に必然性が感じられません。
このシーンを撮りたいから、強引に話を持っていったように見える部分も多々あります。
まあスパイ映画に面倒なことを言ってはいけません。
だってスパイ映画ですから。

全体の印象では「監督またやっちゃいましたね」って感じです。
あの「キック・アス」のマシュー・ボーン監督ですから、若干の過激シーンは有ると思っていましたが、いやあ、それにしても好き勝手やっていますね。
残虐なシーンをポップなBGMで印象を変える手法も健在です。
「キック・アス」のヒットガールが悪人を殺しまくるときと同じですね。

それにしても終盤のエルガーの「威風堂々」の使い方はやりすぎです。
そりゃあ、R指定になりますね。(誉めています)

マシュー・ボーン作品に免疫の無い人は全然ダメでしょうね。
確かに007や0011系統かもしれないけれど、予告編だけ見て正統スパイ映画だと誤解すると期待を裏切られます。
デート映画には避けたほうが良いでしょう。

マシュー・ボーン作品が面白いと思う人には、この映画マシュー・ボーン全開ですから観るべきでしょう。





2015年9月24日木曜日

ラストミッション

シルバーウィークでしたが、映画館に行けません。
昨年の映画です。



ベテランCIAエージェントのイーサンは、余命3カ月を宣告された後、危険な仕事から足を洗い、残された貴重な時間を大切に使うべく、パリへと向かう。しかし、長年疎遠にしてきた元家族との関係は容易には修復できず、思春期の娘ゾーイとの溝は逆に深まるばかり。そんな折、切れ者の女エージェント、ヴィヴィから、延命効果のある新種の試験薬をエサに、新たな仕事を依頼されたイーサンは、それを引き受けることにするのだが…。
(wowwowより)

ケビン・コスナー、渋いです。1955年生まれです。幾つになってもカッコイイです。
「ダンス・ウィズ・ウルヴス」が、私の生涯ランキングでも上位であり、昔からケビンコスナーは好きな俳優です。

この(元)CIAエージェントで娘に弱いという設定、そうそうあの「96時間」ですね。
脚本リュック・ベッソンだから共通ですか。

でも今回の主人公はコメディ色も多く、「96時間」とはテイストが違います。
ケビンは頑張っているのに脚本が残念な気がします。
なんか理屈がおかしいと思うのです。

この映画、不治の病の薬をもらうためにイーサンが最後のミッションを受けるという設定ですが、悪の組織にその取引を持ちかけられたのならまだ分かるけれど、依頼者はCIAでしょ。
そんなことするかな。薬は先に渡そうよ。
この余命宣告をした病院もCIA関係の病院のようだから、もしかしたらイーサンが嵌められたのかと思って見ていたら、病気は本当らしいし、なんか変ですよ。

そしてたまに倒れる病気のイーサン一人にこのミッションを任せて、他のCIAのエージェントはほぼ働かないけど、CIAって本当にそれで良いのかな。
イーサンに話を持ちかけた女性エージェントのヴィヴィは、本気でミッションを遂行する気があるのかな。なんかねぇ。まあ、美人だから許すけど。

コメディ要素は入っても構わないし、むしろ伝統的スパイ映画でコメディ要素はお約束の部分でもあるし。そもそもCIAで主人公の名前がイーサンって、ここからツッコみたいところだし。
何となくワザとらしい不自然な設定も多いですね。
イーサンの留守中に不法定住した移民一族などのくだりも、イーサンに家族を考えさせる存在だと思うけれど、もう少し自然に上手く使えなかったでしょうか。
家族関係が売りの映画ですが、残念ながらそこが上手くいってないように見えます。

ラスボスとの最後の偶然の出会いなどは、ご都合主義でオイオイって言いたくなったし。
薬の副作用を止めるのにウォッカを使うなら、それはその後のネタの伏線になっていなくて良いのか。最後にラスボスを殺すか殺さないかのシーンなどもおかしいと思います。
ネタバレして良いならもう少し書きたいけれど、とにかく、すべてに必然性が薄い映画です。

でもねえ、ここまで書くとまだ観ていない人に悪影響を与えてしまいますね。
この映画ダメではないです。
だって主人公はケビン・コスナーですから。
ケビン・コスナーファンでまだ観ていないなら観ましょう。アクションもカッコイイから。
アンバー・ハードも確かに美人だし、反抗期の娘ゾーイは最近売り出し中のヘイリー・スタインフェルドですね。
納得できない脚本だけど、ハリウッドなら名画といわれる映画の中でもそんな脚本はいくらでもあるし、この映画結局飽きないで見せちゃうんですよ。

仕事で忙しくて娘に嫌われている土地家屋調査士の皆さんには、身につまされる部分も有るかもしれませんし、だんだん娘との距離が狭まってくる自転車シーンなどに泣ける人もあるかもしれません。

映画のフォローになりました?






2015年9月21日月曜日

シルバーウィークは雄勝町観光

「シルバーウィーク、家はどこにも行かないの?」とプレッシャーを受けているお父さん、家族に相手にされないお父さんも、たとえば三陸ドライブはいかがでしょうか。

私、ブログで書いたように、ゴールデンウィークは女川観光に日帰りで行ってきました。そしてシルバーウィークの今日は雄勝(石巻)、気仙沼、陸前髙田に行ってきました。

悲壮な覚悟で支援に行っているのではありません。
あくまでも観光です。

女川は私の定点観測箇所ですので何かと行っていましたが、その先の雄勝町に行ってみました。雄勝町は2005年に石巻市に合併した町です。昔から良い石(雄勝石)が産出され、硯が有名で、国産硯では90%のシェアがあります。
もちろん南三陸の位置ですから、海の幸に恵まれています。

雄勝町訪問はあの2011年以来でした。
雄勝町の復興工事は他の町に比べてあまり進んでいないように見えます。


雄勝中心部地区拠点エリア整備事業の看板です。
復興が進んでいるところ、ほとんど進んでいないところ、地域によって様々です。
土木工事はまだまだですが、でも人々は元気です。
「まだまだ」と「元気」を観に行きませんか。


「みうら海産物店」
逆光で見えにくいですね。
地元の海産物を売っています。
女川の漁獲高は震災前の水準に戻っているようです。



「おがつ店こ屋(たなこや)街」
被災地各地にあるように、雄勝町にも被災店舗が集まって商店街を形成しています。
ちなみに東北各地の復興商店街はこちらでご確認ください。


おがつ店こ屋街の駐車場側です。


今日のランチは、「すしの伝八」さん
地元の人にも観光客にも人気の店です。


「雄勝海鮮丼」
雄勝産の穴子、雄勝産のホタテ、雄勝産のいくら、とのこと。
美味しかったです。


地元で取れた「とろろ昆布」と「ふのり」です。
「みうら海産物店」で買いましたが、冷たいお茶を戴きました。
暑かったので、逆にお気遣い戴きました。

気仙沼や陸前髙田の話はまた後日に書きます。

先日も書いたように、
被災地と言われるところには何か構えて行く必要は有りません。
行くからには、被災地にたくさんお金を落とさなければならないという義務も感じなくて良いと思います。
単なる観光目的で、ご自分達の楽しみのために気軽に行ってみてください。
元気になって帰ることができるはずです。




2015年9月14日月曜日

東日本大震災で何ができて何ができなかったか~栃木にて

2011年3月11日東日本大震災から4年半過ぎた9月11日は、歴史的豪雨により栃木県や宮城県などに大きな被害をもたらしました。

また翌12日には東京直下型地震が発生し、東京では震度5弱だったようです。

そして本日14日、熊本の阿蘇山で従来よりも大規模の噴火が起こったようです。
また一方桜島の噴火の可能性は少し減ったようですが、マグマのエネルギーは相変わらず溜まったままのようです。

火山列島の日本で、それに昨今の異常気象が重なってきています。
従来よりも更に気をつけるべきなのでしょう。

日本列島に住んでいる限り、絶対安全な土地はありません。
でも比較的安全に過ごすことはできます。
災害の発生を防ぐことはできません。
でも被災を減らすことはできます。

先週9月7日に栃木県土地家屋調査士会にお招き戴き、以下のタイトルでお話をさせて戴きました。

「震災と土地家屋調査士~東日本大震災で何ができて何ができなかったか~」

確かに震災直後はたくさんの場所でお話をさせて戴きましたが、被災後4年半のタイミングで東日本大震災についてのお話しすることはとても難しいと思っています。
何も変わっていない訳ではなく、復興の工事は着々と進んでいます。
全国から被災地の役所に出向で来てくださっている多くの職員がいて、復興事業応援に頑張ってくださっています。
道路やいわゆる高台移転地造成などの公共事業も真っ最中です。

でも復興は終わってはいません。
まだ仮の住まいにいる方々もいます。
まだ行方不明の方々もいます。
(家族が行方不明に決着を付けることはとても難しいことです)

私は地震学者でもなく、防災の専門家でもありません。
土地家屋調査士が「その専門性で何ができたか何ができなかったか」を正直にお伝えしました。

基本的に土地家屋調査士が専門職能で復興をお手伝いできたのはとても小さな事かも知れません。
法律や行政手続の観点からのお話も、復興途中のこのタイミングでは法的安定の側面から見ると、まだ確定的なことをお伝えするのは難しいことも多いです。

でもお招き戴いたからには、一番お伝えしたいことをお伝えしました。
それは専門家としての言葉ではありません。
単なる被災地の一市民としての言葉です。

「災害は本当に来る」と実感していなければ防災はできません。
それも「いつか来る」と考えるのではなく「今日明日に来る」という準備をしてください。

そのようにお伝えしました。
どうしても自分が被災することは考えたくないので、意識から外そうとします。
少なくても後回しにします。
「そんないつ起こるか分からないことより今日の仕事だ」とおっしゃるのでしょう。
だから皆さんは「必ず来る」という確信で物事を考えないと防災には時間やお金を割くことはしないのです。
でも、それが来たら、家族や自分より今日のお仕事が優先になることは有り得ないでしょう。


宮城も10年以内に90%以上の確率で大地震が来ると言われていました。
それでも私は「来るとしても10年後ぐらいだろう」とか「来るとしても、それ程の問題は起きないだろう」などの根拠のないことを考えておりました。
そして2011年3月11日に東日本大震災を迎えました。
その意味では「想定外」では無かったのです。
とても反省しています。

「想定外」という言葉はとても便利です。
「誰にも責任がないのだ」という意味に使えます。

私はこの反省を全国にお伺いしてお伝えしています。


栃木は過去の統計でも比較的大きな災害が来ていません。
しかし過去と言っても、地球規模の変化で言えばまだ統計が活用できるほど、データは足りていません。まして自分の数十年の経験だけで100年や1000年規模の災害は断じることはできません。

その研修会の2日後に、栃木や宮城に50年に一度という大雨が来ました。
今朝の段階で、関東、東北で死者7人、安否不明15人、まだ3000人程が避難を続けているとのこと。
心からお見舞い申し上げます。



2015/09/15追記
本日現在で安否不明の15人全員が無事だったことが判明しました。
良かったです。


読売新聞より





2015年9月10日木曜日

ココフセンカード coco fusen CARD カンミ堂

何らかの知的作業をする上で付箋は必須だと思います。
本を読むときには何かと付箋を貼ります。
またスケッチブックで一人ブレーンストーミングをするときも付箋は欠かせません。
ですから私は様々なところに付箋を用意しています。

今年3月のブログに「付箋の置き場」に少し書いた coco fusen ですが、実はこのシリーズに ココフセンカード(coco fusen card) と言う製品があります。

上:ココフセンカード 下:スタバカード


クレジットカードの大きさなので、財布にも、名刺入れにも、手帳にも入るでしょう。
私の名刺入れに大抵入っています

厚さ1.5mmの中に105枚または210枚の付箋が入っています。
(倍の大きさの105枚入りも有ります)

素材は最近私のお気に入りのフィルム付箋です。

一枚抜くと裏からもう一枚供給されます

カードの裏


フィルム付箋は破れません。
この製品は小さくて、さすがにブレーンストーミングには使えないと思いますが、油性ペンや油性ボールペンで文字も書けます。



付箋活用の秘訣は「とにかく手近に付箋があること」です。
だからそういう意味でもカード形状は有効です。

そして「ケチケチ使わないこと」
付箋なんて安いモノです。
このカード全部で500円程度です。
1枚4.7円(105枚入)または2.4円(210枚入)です。
しかもフィルム付箋は丈夫ですので、糊が残っている間何度か使えます。

そして、その付箋を使ってまとめたアイディアの価値は「プライスレス」ですから。





2015年9月6日日曜日

ずれないブックエンド システムキーブックエンド CARL

ブックエンド使っていますか?

オフィスではもっと別の収納設備が有るから使わない人もいるでしょう。
また使いづらいという理由で使わない人もいると思います。

実は私ブックエンドはしばらく使っていませんでした。
理由は本の量が多くなると、本の重量でズレる、滑る、本が倒れるということになります。
また何とか落ち着かせたとしても、厚手の本を抜いた瞬間に、残りの本が倒れてブックエンドがズレて、やはり本が散らばってしまいます。
底にゴム製の滑り止めが付いていることがありますが、本の重量に比べれば、ほとんど意味が有りません。

本を整理するためにブックエンドは必要なはずですが、私はこんな感じで使いづらいと思っていたので、長い間ブックエンドは利用していませんでした。

先日文具店に行ったらこんなブックエンドを見つけました。



カール事務機(CARL)のシステムキーブックエンド(SYSTEM KEY-BOOK ENDS)です。製品としては数年前から出ているものですが、ブックエンドに興味の無かった私が知らなかっただけです。

このブックエンドは底板が、のこぎりの歯の様な形状になっていて、対のブックエンドとこの歯と歯が噛み合って動かないようになっています。




シンプルな形状ですが、意外と強く、底板に本を乗せるとその上からの重さで、この歯の噛み合いがズレることは有りません。もちろん、裏にはゴムの滑り止めも付いています。
思ったより良かったです。

歯の噛み合わせ位置をずらすことにより、ブックエンドの間隔を調整できますが、逆に言えばこの製品の特徴として移動幅には制限があります。
購入するときはこの幅を考慮する必要が有ります。
それからブックエンドを購入する上で重要なのが背の高さです。

今のところ大きさは以下の4種類のようです。
ミニ  W70×L91×H90.5mm     移動幅70~123mm
中   W128×L163.5×H167mm   移動幅:125~215mm
大   W140×L180.5×H191.5mm  移動幅:137~237mm
特大 W150×L211×H224mm    移動幅:162~282mm
本をしっかりホールドするにはできるだけ大きい方が良さそうです。



私が購入したのは「大」です。
「大」の限界は上の写真の本の量です。




本を抜いてみたところです。
ブックエンドがズレずに倒れません。


限界の一噛みで保っています。
意外と裏のゴムも効いているかも知れません。

ブックエンドを検討される方は、一度この製品を手にとっても良いでしょう。





2015年9月3日木曜日

最強のふたり

冒頭の車のシーンから引き込まれました。

この映画おそらくこんな感じのストーリーなんだろうなって思っていたんですが、想像とまったく違うシーンから始まりました。

緊迫感の中で疾走する車、不穏な気持ちになるピアノ音楽。
パトカーが追ってくる。
この二人はどこへ向かっているのか。

映画の構成や音楽が上手いんでしょうね。


 ひとりは、スラム街出身で無職の黒人青年ドリス。もうひとりは、パリの邸に住む大富豪フィリップ。何もかもが正反対のふたりが、事故で首から下が麻痺したフィリップの介護者選びの面接で出会った。他人の同情にウンザリしていたフィリップは、不採用の証明書でもらえる失業手当が目当てというフザケたドリスを採用する。その日から相入れないふたつの世界の衝突が始まった。クラシックとソウル、高級スーツとスウェット、文学的な会話と下ネタ──だが、ふたりとも偽善を憎み本音で生きる姿勢は同じだった。
(公式HPより)


映画館に行く時間がないので、今回も古い(2年前)映画です。

生い立ちも、教養も、品性も、まったくこの対照的な二人の話し。
しかし実は似た部分もある二人。


このポスターと上記説明だけで、話の展開が想像が付くでしょう。
そうです。
おそらく、そのとおりです。
想像も付かない、もの凄いドラマが展開するわけではないのです。
おそらく皆さんの想像の範囲でしょう。

でも、この映画なかなか上手いのです。
我々観客の心のつかみ方が。
そして特筆すべきはフィリップとドリスの演技力です。

この話は、フィリップが書いたという手記が下敷きになっているとのことですが、映画では設定を大幅に変えているようです。

映画では、フィリップとドリスの関係に焦点を当て、身障者と介護者という側面を最小限で表現しています。
ドリスは、身障者であるフィリップにまったく同情などせずに、ずけずけと頭に浮かんだとおりデリカシーの無い言葉を言います。

フィリップは大富豪であり、身障者です。
だから誰も気を遣ってしか接しません。
でも、ドリスにはどちらも関係ないのです。

だからこそフィリップにとって、頸椎損傷後(健全な)人間として本音で向き合った初めての他人と感じたのかも知れません。
身障者に異常なほど気を遣うことは逆に差別に繋がるからです。


様々なエピソードを通して、二人がどんどんお互いの理解を深めていきます。
おそらく実際の二人にはもっともっと対立した時期もあったでしょうが、この映画ではお互いを意外とあっさり受け容れていきます。
もう少し受け容れるのをためらうシーンがあっても良いと思うのですが。
映画の時間の関係かな。
まあ良いか。

最初ドリスとフィリップの関係がどうなるのか興味深く見ていたのが、段々ニヤニヤになって、最後にはこの二人をずっと見ていたい気になりました。
だから良いんでしょうね。

介護の最前線にいる人が見たら「介護とはこんなもんじゃない」とか「身障者と介護者はこんな訳にはいかない」とか、おっしゃるかも知れません。
私はそこは分かりません。

でもこれは映画です。たとえ現実のモデルがあったとしても、これは物語です。
そこをリアルに描き出す映画もあるでしょう。
でも私は、どんな映画も皆リアルでなければならないとは思っていません。
映画は大なり小なりファンタジーです。

そんなに構えないで、皆に観て欲しい映画です。
この映画は、私の好きな映画に入りました。