Sさんからの相談です。
「現在は法人の使用人土地家屋調査士として勤めており、実務経験は約3年です。分業制で土地に関する業務しか経験がなく、人手不足のため配置転換も期待できません。建物についての業務の経験が無い状態で独立を検討中です。」
これは修行する際の事務所選びで、私がいつも指摘している点ですね。
ずっと法人に勤めていたいのなら、その選択肢は否定しません。無理に個人事務所で開業するよりも生活が安定するかも知れません。
でも独立する前提で学びに行くのなら、お勧めできる法人はかなり減ります。
組織に人が多ければ分業化するのは経営上当たり前の方法です。また各部門をできるだけルーチンワーク化することも当たり前の方法です。だから、そこで働き出したら総合的に学びにくくなることも当たり前です。
この当たり前のことに、合格者の皆さんは何故気が付かないのかと思います。
もちろん、だからと言って個人事務所が絶対に良いとも言えません。
個人事務所はそれこそ当たり外れがあります。
雇う方は当然として、雇われる方でも選ばなければなりません。
だから事前にその先生と話し合う必要があります。
独立志向なら、永久就職先を探しているわけでも無いでしょうから、事務所に失礼の無いように事前に断ってお互いに納得ずくならよろしいのではないでしょうか。
また、どうしてもひとつの事務所で総合的に学べる事務所が見つからない場合、たとえば、ある事務所で守備範囲にない部分を、別の事務所に移動してから学ぶというように、複数の事務所で学ぶという選択肢もあるかも知れません。
本来複数の事務所を移動することは、事務所の先生方に嫌がられることも多いでしょうから、どちらの事務所にも失礼の無いように礼を尽くさなければなりません。
ちなみに私の事務所にいる補助者も、他の事務所で学んでから来ています。