2009年11月18日水曜日

財産業務事務研修

毎年ある役所が財産業務担当者を対象とした「事務研修」を開催しています。
そこで、ご縁があって毎年講義をさせていただいておりました。
一週間缶詰で最終日には試験がある研修です。
昨日(17日)も研修に伺い、本当に真面目に取り組んでいる姿勢に触れて嬉しい思いを致しました。

先日の河北新報の記事の話しにも関心を持っていらっしゃる方もいました。
判例があることを紹介して、国土調査で境界が決まる事はないと説明しました。

実務的なお話しをしている際に出た話題としては、やはり隣接者のハンコの話しになりました。財産を処分する際に隣接者のハンコをもらいたいという、私たちと同じような苦労をなさっているようです。具体的には以下のよく聞く質問がありました。

隣接者のハンコは必ず必要なのか?
それは実印で印鑑証明書が必要なのか?
共有であれば全員からの印鑑が必要なのか?

地積更正登記であれば、確認すべき境界は筆界なので、隣接者のハンコは「合意」ではなく「確認」の意味であることを説明しました。法定添付書類ではないことも説明しました。併せて筆界を確認する上での「書証」「物証」「人証」のバランスの話しもさせていただきました。

売買の前提の確定印であれば、また意味が変わってきます。
職員の方も理屈は理解されたようですが、実際に流通に携わっている不動産業者の皆さんが簡単に隣接のハンコを要求するので、困っているようです。
私たちも実際に気をつけなければならないのは、売買契約書の条件に隣接者全員の捺印を必須条件にしたために債務不履行で違約金の問題になったケースがある事です。境界確認は誰がお願いに行っても無理な隣接者もいます。安易な契約条件を見かけたらアドバイスした方がよいでしょう。

また、こじれたら早めに筆界特定やADRを視野に入れることもお勧めしましょう。