2011年12月28日水曜日

大晦日

忘れてしまいたい一年。

絶対忘れてはいけない一年。

普通という事がどれだけありがたい事か身にしみた一年。

全国の人たちの「絆」が心にしみた一年。

土地家屋調査士で良かったと心から思えた一年。

その一年が過ぎていきます。

すべての人に、新たな幸せな一年が来ますように。


想定外から想定内へ

地震予知はできるのかという議論が昔からあります。今回の東日本大震災の前にそれなりの警告が無かったことを考えると、確かに予知は難しいのでしょう。

では地震科学は何もできないのでしょうか。
予知ができなくても、想定はできます。
想定ができていれば、事前に心構えができて、対策ができます。
少なくても「想定外」ということにはなりません。
これがとても大切だと思うのです。


東日本大震災の際には、政府も学者も東電も「想定外」という言葉を使ってました。
想定外という言葉を使っている分には、自分たちの責任が免れるとでも言うようにです。
ですから想定できることが大切です。


私が最近の研修会で一番お伝えしたいことは、
「皆、心の中では、嫌な事は自分には起こらないと思っている」ということです。
理性では理解しているつもりでも、皆、実感を持っていないのです。
これが防災で一番悪い事です。本気にならないからです。
今回の原発事故対策で、すべて後手に回った事も、本気の対策をしていなかったからでしょう。


そんな中、本日27日に内閣府の検討会が、中間報告を出しました。
それによると、東海・東南海・南海の地震が連動したときの想定震源域を従来の想定の2倍に、地震の規模をマグニチュードを9.0に、引き上げました。
マグニチュード9.0は、東日本大震災が無ければ、絶対に今回の想定に入らなかったでしょう。


また、今まで震災が起こらないと考えられていた愛媛、香川や奈良、長野まで入っています。これは全国の皆さんが不安になるような報告です。
でも、リスクは多めに想定して丁度良いのです。
多めに発表しても、どうせ受け取る方は甘く受け取るはずですから。


対策は「起こるかもしれない」ではなく、「必ず起こる」という前提でないと、本当に役に立ちません。
政府も自治体も、土地家屋調査士会を含む各組織も、家庭も、個人も、日本列島に住むすべての人が、本気で対策を考えなければなりません。



東海・東南海・南海3連動地震 想定震源域2倍に 内閣府中間報告
拡大写真
(写真:産経新聞)

2011年12月25日日曜日

仙台光のページェント

仙台の光のページェントです。
それ一つ一つでは小さな光ですが、その光が無数に集まったときに、美しい感動が起こります。

皆さんもご存知と思いますが、この毎年のページェントで使うLED電球を保管していた倉庫が、東日本大震災による大津波で全損し、すべての電球が失われました。
実行委員会では、開催をするかどうか何回も協議を重ねて、開催を決定したようです。
全国からのLEDを借用したり、募金を戴いたりして、開催まで漕ぎ着けました。

「被災地ではこのようなイベントよりも、もっとやることがたくさん有る」という人もいるでしょう。確かに、被災地の仮設住宅は暖かい暖房設備もまだまだ不足です。

でもこの無数の光は、全国の優しさと、温もりが籠っています。
このページェントの中を歩いている人は皆、素晴らしい笑顔です。

これも被災地には必要なのです。
すべての小さな光は、希望の光です。



世界中の人たちが幸せになれますように。メリー・クリスマス。


来年岡山で業務報酬を考えます


来年岡山会に「業務報酬」について、講師で伺います。

報酬についての研修はとても難しいですね。
新しい法律や制度の講師なら皆新鮮に聞いてくれます。実際知識を伝えれば研修会として成立するので、講師としても楽でした。
報酬のように、誰でも知っていて一家言持っている分野の講師は、とにかくやり難いのです。答えるのに難しい質問も多いです。
講義では最初にその方の考え方のフレームを揺らさなければなりません。

ですから研修タイトルは「(仮)土地家屋調査士と業務報酬を今一度考える」と考えています。

土地家屋調査士によっては「報酬については何も迷っていない。私のお客様は納得している」とおっしゃるでしょう。確かにそうでなければなりません。迷いながらお客様と接しているなら、大変失礼なことだからです。でも本当に迷っていないのでしょうか。

報酬とは、土地家屋調査士にとって、生きる糧です。
報酬とは、お客様にとって、土地家屋調査士が提供したサービスの対価です。
その中で、土地家屋調査士にとってもお客様にとっても納得できる報酬を考えなければなりません。納得とは、絶対金額でお互いに折り合える報酬額に決まるということだけではありません。他のモノの値段を考えれば、別の意味があることが、明白であると思います。

また重要な論点ですが、報酬を決めるのに土地家屋調査士とお客様以外の第三者が大きな関与をしていないか、ということです。ここも整理して考える必要があります。

土地家屋調査士だけではなく、あらゆる資格者は長年「先生」と言われ、報酬で悩んだことがほとんどありませんでした。ですから他の業界のように、本来のものの値段を学ぶ経験がほとんどありませんでした。

岡山で戴いた時間内でお伝えできることは、これらの考え方のほんの基本だけになりますので、事前に以下の文章をお送り致しました。ちょっとでも疑問を持ってから研修会を聞いて戴きたいと思います。


岡山会の皆さんへのメッセージ

 3月11日の東日本大震災に際しては、岡山の皆様には大きなご支援を戴きました。お陰様で宮城は少しずつ復興しております。心から感謝申し上げます。
さて、今回は岡山会の研修会に講師としてお招きいただきました。
テーマは「事務所経営と業務報酬」です。大震災のお礼を兼ねて喜んでお伺いします。
 土地家屋調査士の業務報酬を考えることは、とても難しいですね。
全国統一の法務大臣認可報酬が廃止になってから、全国の皆さんが悩んでいます。では、土地家屋調査士の業務報酬はどのように考えれば良いのでしょうか。
 土地家屋調査士の業務報酬は、まず土地家屋調査士の制度を理解して、その業務を理解して、その上で、はじめて報酬まで語れると思っています。報酬だけ単独で語っても意味が無いのです。社会における資格業の位置づけも理解した上で、報酬を語るべきです。そうでないと、説得力がありません。
 報酬は事務所の維持に必要なものです。ただし、ある意味ではお客様と利益双反になるものでもあります。
 そのバランスの中で、お客様も土地家屋調査士も納得できる報酬を計算しなければなりません。
 お客様に提供しているサービスの本質はいったいどんな価値なのでしょうか。
 もちろんベースには原価計算が有るはずです。それが誰に対しても説得力を持ちます。難しいでしょうか。そんなことは無いと思います。
 考えてみましょう。資格業の報酬以外、モノの値段はお客様も売り手も納得できる価格で、普通に成り立っているからです。肉でも野菜でも、洋服でも、あらゆる他のものの値段は、もともと自由に決めるものですね。
その上で、高いお店も安いお店も成り立っていますね。
私たちはこの訓練ができていないだけです。
 例えば以下の設問を一緒に、そして「合理的に」考えてみましょう。
「合理的」とは土地家屋調査士にとってもお客様にとっても「合理的」でなければなりません。
 お伺いすることを楽しみにしております。

考えてみたい設問

イ) 報酬の自由化で、いくら高く請求しても良くなったのですか?
ロ) 報酬の自由化でいくら安くしても良いのでしょう。それなのにダンピングって有るのですか?
ハ) 平成15年以前の報酬額表を、今も使って良いのですか?
ニ) お客様に報酬額が高いと言われましたが、どうしましょうか?
ホ) 新人は安くしないと仕事が来ないので、最初だけ安くしても良いですか?
ヘ) 見積りを作ったことがないのですが、必要でしょうか?
ト) 報酬額はいちいち細かく説明しなければならないのですか?「一式いくら」の方がお互いに分かりやすいのではないですか?
チ) お客様によって報酬額を変えても良いですか?
リ) 報酬に冬期特別加算や特急特別加算を考えても良いですか?
ヌ) 筆界特定申請代理業務はどのように報酬計算すればよいでしょうか?
ル) ADR代理は始めてみないと分からないのに、見積りはどうすれば良いですか?
ヲ) 電話での見積りの質問については、どう対応すれば良いですか?
ワ) 杭打ちだけの依頼については、どう対応すれば良いですか?
カ) 昔自分が調査測量した土地を再度依頼が来たときは、立会省略で良いですか?
ヨ) 値引きについては、どう考えれば良いですか?
タ) 受託契約書は皆さん作っているのですか?
レ) 着手金や中間金は、戴いても良いのですか?
ソ) 境界協議不成立の際には報酬をどう考えれば良いですか?
ツ) 業務経過報告についてどう考えれば良いでしょうか?
ネ) 請求について注意することは何ですか?
ナ) 登記完了の際はどこまで納品しますか?

2011年12月21日水曜日

兵庫県土地家屋調査士会手帳

皆さんご存じのように私は文具ヲタクです。筆記具マニアであり、紙フェチです。
でも一番好きなのは手帳です。

私は毎年秋になるとソワソワして、来年の新しい手帳が店頭に並ぶのを楽しみにしています。最近は9月頃から来年の手帳が並び始めますね。
もちろん私が使う手帳は毎年確定していますから、実は使う予定が無い手帳を見に行っている状況です。

何故使いもしないのに見に行くのか?好きだからとしか言いようがありません。
飼いもしないしないのにペットショップの子犬を見に行くようなものでしょうか。

先日も使いもしないのに沖縄手帳を買ったことを、このブログで紹介しました。
見たことの無い手帳は嬉しいのです。
どんなコンテンツが詰まっているのか、どんな使い方が想定されるのか、わくわくします。
変ですか?えっ、私だけですか?
まあ、別にいいんです。

そんな私に、兵庫会の林加奈子広報部長から「兵庫県土地家屋調査士会手帳」をプレゼントして戴きました。
大阪会の手帳も見たことがありますが、兵庫会も毎年独自の手帳を作っているそうです。
会員数がいるからできることかも知れませんが、なんて羨ましいことでしょうか。

手に取ってみると測量野帳とほぼ同じサイズ(横幅が数ミリ短い)です。
日調連の手帳より縦長です。スケジュール欄はこのサイズの方が使いやすいでしょう。



表紙の見開きです。
まずは当然に倫理綱領ですね。
その下に兵庫会とADRのインフォメーション。
右ページの縁がスケールになっていて、裏ページ等を合わせると調査士用三角スケールにある6種類の縮尺(1/100,1/200,1/250.1/300,1/500,1/600)が印刷されています。
これもどこまで実用かどうかは別にして、とても調査士手帳として嬉しい仕様です。



メモ欄も横罫と方眼の2種類のページがあります。
なんかこの方眼ページがあるのも、いかにも「調査士仕様」っぽいです。


巻末の資料が、このような手帳のキモですが、この手帳では以下のコンテンツが納められています。

神戸地方法務局庁名所在地
一筆地測量および地積測定の誤差の限度
筆界点間距離および地積測定の公差表
度量衡換算表
公図・公簿地関係沿革年表
ビジネスレターの知識
郵便料金表(抜粋)
印紙税額一覧表
年齢早見表    等々


特にその中でも「公図・公簿地関係沿革年表」の発想は面白かったですね。


日調連手帳にある土地家屋調査士法や会則等は、ネットで確認できるからという理由で、敢えて削ったとのことでした。この分析と割り切りが企画にとても必要なことですね。

この手帳は、兵庫会会員全員に配るそうです。
この内容にまとめるまでに、各々の好みもあるでしょうから、取捨選択を議論したのでしょうね。
林部長はじめ作成に携わられた方々、お疲れ様です。
工夫しようとした部分が良く分かります。

手帳は中身がとても大切です。
良く企画された手帳は、まとめた考えを書き付けるノートという捉え方では無く、その手帳の中身やフォームにより、ユーザーの考えがまとまるというツールであるはずです。

実は手帳については、このブログでも書きたいことが多いのですが、逆に多すぎて書けないでいました。一冊の本が書けそうな量の想いがあります。

私も調査士手帳のプロデュースもしてみたいですが、おそらく手帳ヲタクの考える手帳ですから、他の誰の役にも立たないでしょうねぇ。








2011年12月20日火曜日

あなたが役員になった意味

ある会の新しい役職に就いた方から相談を戴きました。
自分の担当部署の役割についてどのように進めて良いか迷っているようでした。

以前も「新役員になった人へ」というタイトルでブログを書きました。

一番伝えたいことは、「土地家屋調査士会のすべての仕組みが何故そうなっているのか」を一生懸命に考えることです。
あらゆる会務の「しきたり」や「やり方」を俯瞰して、再度考え込むのです。
各部が担当部分だけを考えても、会員の為になりません。

そもそも土地家屋調査士とは何なのか。

法律による強制入会制度の意味。
役員の選び方、役員のあり方。
会員指導の方針。
本会と支部の関係と役割。
日調連やブロック協議会のあり方。
法務局との打合せ協議の方法と内容。
公嘱協会との関係。
何故政治連盟があるのか。
ADRセンターの位置づけ。
筆界特定制度の位置づけ。
外部広報のあり方。
内部広報のあり方。
研修会の開催方法とその中身。
会費とその執行方法。
何故CPDか。
何故調査報告書か。
何故オンライン申請か。
何故地域の慣習か。      等々

考えてみましょう。
分からなければ役員同士議論しましょう。
そこからやることが見えてくるはずです。
このベース部分の理解が一番大切です。
宮城会の会議でも「報告事項でその背景から」と言っているのは、この部分です。

もちろん、再度考えると言うことですが、イコール改革という意味でも無いのです。
改革すること「のみ」が目的になったら、もっと問題ですから。
改革は手段であって、目的ではありません。
無責任な野党気分で執行されたら会員も困ります。
過去の役員がやってきたことは、それなりに意味があり、それなりに評価されていたから残ってきたことでしょう。

しかし、今世界は大きな変化の渦に巻き込まれています。その中の資格業の位置づけを再度見直し、「現代的で現実的な調整」を加えるべきという意味です。

役員として何が正しいのか分からなくなったら、新入会員に聞いてみるのも良いことです。
彼らはこのこの業界のしきたりが分かりません。ですから一番プリミティブな疑問を持っています。
それらの疑問を共有することが、役員歴の長くなった方々に必要なことです。
そして新入会員の皆さんは、つい先日この業界に入ってきたばかりの方々です。土地家屋調査士会の中で、一番今の社会常識を持っている方々と考えても良いと思います。

調査士会の常識というものを一度疑って、そのなかでできることを考えて、役員皆で共有することが必要です。

「歴代の役員がこのように処理していたから」では、あなたが役員になった意味が無いじゃないでしょう。

2011年12月19日月曜日

気仙沼支局再開

本日12月19日は仙台法務局気仙沼支局の開所式でした。
私は別の裁判所との会議があったので出席できませんでしたが、宮城県土地家屋調査士会からは、千葉三郎副会長と高橋和一気仙沼支部長に出席してもらいました。

あの3月11日の東日本大震災に続く大津波によって、気仙沼支局の入っている気仙沼合同庁舎は壊滅的な被害を受けました。
そこで、暫定的に後仙台にある仙台法務局本局内に仮の支局を開き、登記事務を行っていました。登記情報の証明書などは気仙沼市役所内で発行できるようになっておりましたが、気仙沼の皆さんには大変ご不便な状態だったと思います。
また法務局職員の皆さんにとっても不自由な状態だったと思います。

本日から、NTT気仙沼ビル1階に事務所を移し、全業務を再開したそうです。
貴重な多くの古い帳簿や図面等が波にさらわれましたが、先日の地籍問題研究会にも参加されました坂本勇様による文書復旧のお力で、かなりの数の図書が復旧されています。

登記所も復興です。
宮城は少しずつ前進しています。

仙台法務局気仙沼支局
〒988-0022
気仙沼市河原田2丁目2-20
NTT気仙沼ビル1階

電話0226-22-6692。




2011年12月18日日曜日

愛媛会研修会「災害への備えと復興支援」

愛媛県では、昭和南海地震の発生日である12月21日を「えひめ防災の日」と定め、その日をはさむ12月17日から23日までの1週間を「えひめ防災週間」として防災対策を推進しています。

その初日の12月17日に、愛媛県土地家屋調査士会研修会「災害への備えと復興支援」に講師にお招き戴きました。

今全国各地で震災をテーマにした研修会やシンポジウムが開催されています。
全国にご支援戴いた東北として、被災状況とその際の判断とお伝えすることは、恩返しの一つだと考えています。


宮城県の被災地復興については、被災地に行っての無料相談会や、被災地復興業務等々で既に動いています。被災地各地の状況を調査しての様々な提言もしております。

おそらく被災集落の高台移転などの計画が確定したら、我々のお役に立つ別の場面も増えるでしょう。


東北の大震災は、阪神・淡路大震災の際とは全く違う被災状況です。
その範囲も規模もそして用途地域も違います。地籍調査の状況も地図も違います。
ですから復興政策も登記行政も考え方が違います。


それらは、現地を素通りしただけで、中央にいると分からないのです。
私たちの役回りは、既に被災者でいるだけでは無く、全国にそれらを伝え、提言する役を担っています。


私たちの発言は「被災地を救ってください」というお願いだけでは無いのです。
これから起こることが予想される新たな大災害では、また別の被災状況があり得ることをお伝えし、様々な想定の下に減災の準備をして欲しいという思いをお伝えすることです。
被災地からの発信は、今後も時間を追って、復興とともに内容が変わっていくでしょう。
それを責任を持って伝えることが我々被災地に住んで、全国から支援を受けた者の使命だと考えています。


全国各地で行われるシンポジウム等は、その地域の実情と開催日によって少しずつ内容が違うようです。今回の愛媛会の研修会は、今後の南海地震を想定した危機管理をテーマにしたものでした。
実際に被災した組織がどのように判断して動いたのか、ボランティアはどのように動いたのか、そして愛媛県の危機管理はどのような計画を持っているのか、はっきりしたテーマを持った研修会だったと思います。








「災害への備えと復興支援」研修会 愛媛県土地家屋調査士会

 平成23年3月11日の東日本大震災発生から9ヶ月が経過しましたが、復興に向けた被災地の課題は山積しているのが現状です。
東南海連動地震が発生する可能性が非常に高いとの検証結果がとり沙汰されているなかで、私たちの備えと対策は万全であるか、確認する必要があるのではないでしょうか。
東日本大震災を振り返ると共に、災害に対する備えと危機管理、興支援について皆様と一緒に考えていきたいと思います。

日時 平成23年12月17日 10時~15時40分
場所 松山市堀之内 愛媛県立美術館 講堂


内容第1部 演 題  東日本大震災と土地家屋調査士の役割
 講 師  宮城県土地家屋調査士会 会長 鈴木 修 様 


第2部 演 題  復興支援活動報告
 講 師  社会福祉法人 松山市社会福祉協議会地域福祉課
          松山市ボランティアセンター 玉井希代久 様


第3部 演 題  危機管理・防災
 講 師  愛媛県県民環境部防災局 危機管理監 上野 惠 様

2011年12月15日木曜日

12月常任理事会+理事会+忘年会

12月13日の午前は、宮城県土地家屋調査士会の常任理事会で、午後は理事会で、その後忘年会が開催されました。

今回は協議事項が少ないので、報告事項に時間を多く割くことができました。
以前から申し上げているように、会議では報告事項を丁寧に伝えることが、とても重要です。
つまり、何故、制度政策が、法律が、日調連が、国民がこのようなことを言い出して、何故、宮城会の担当部がこのような判断をして、何故このような処理をしたかを、背景まで丁寧に解説することが報告事項なのです。

往々にして他の組織では、結果だけを羅列することを報告事項だと考えて、報告事項は読めば分かると軽く扱っているようですが、これは間違っていると思っています。
背景まで分からないと本当の意味が伝わりません。
表面の決定事項だけ読むから他の人の担当部所について何も分からないのです。

何故、宮城県土地家屋調査士会は協議事項が少なくなったのか、これは2年間報告事項に時間を割いて、お互いにあらゆる分野に共通理解を進めたからです。
2年前の報告事項は研修会のように解説していた覚えがあります。
ベースの共通理解があれば、何か事に当たるときの答えは、ほぼ一致するはずです。
ですから細かなことは協議する必要が無くなります。各部に一任できることが多くなります。そうなれば、協議する事項から報告する事項に位置づけが変わります。
もちろん丁寧に報告する必要はありますね。

それで会議もスピーディーになります。誰にでも答えが明白なことに議論する必要がなくなるからです。分かりきった内容をだらだら会議していることは、誰にでも苦痛です。

その会議の後が忘年会でした。
忘年会とは「年内の苦労を忘れるために年末に行う宴会である」という定義だそうです。
今年は皆で東日本大震災という特別の苦労をしました。
この苦労は忘れたいけれど、決して忘れてはならない経験です。
次世代にも全国にも伝えるべき経験です。

でも「今日だけは忘れて楽しく飲みましょう」と言って、楽しい忘年会のひと時を過ごしました。







2011年12月13日火曜日

パーカー インジェニュイティ

万年筆は、何より手入れが大変です。
ペンシルは、筆記文字が消えやすいです。
ボールペンは、水性インクより発色が劣り、インク擦れやインク漏れがあります。
ローラーボールは、気圧の変化でインク漏れがあります。

これらの4世代の筆記具を超えて、第5世代のペンという触れ込みで、パーカーが発表したのが「インジェニュイティ」です。

10月から一部店舗で先行販売をされていました。試し書きをしてみましたが、確かに経験の無い書き味でした。いわゆる調整した万年筆の「ぬらぬら」に近い滑らかさがありました。

ペンはこんな感じです。

よく分かりませんか?
そうですよね。一件万年筆のペン先のように見える部分の裏に特殊な構造のニブがあります。
コピックの先みたいに見えますが、新技術のペン先構造とのことでした。

拡大しても分かりにくいですね。
右側のペン先みたいな部分は、実際に紙に触れないフード部分になります。
その左側から少し先に出ている部分がペン先です。

このペン先がコピックとは全く違う柔軟性を持たせられていて、それをフード部分で押さえる機構と、ペン尻に仕込まれたスプリングにより、柔らかな書き心地が生まれています。

そしてこのペン先が、使用していると書き手の筆記角度に合わせた形状に変化するようです。万年筆のそれに近い変化を、極々短時間で行うようです。

書き心地が良い上、メンテナンスが非常に簡単で、インクが切れたらこの左側がペン先が付いているカートリッジを引き抜いて、交換するだけです。
一晩キャップを外していてもペン先が乾燥せずに書けるし、気圧の変化にもインクの漏れが無く、インクの発色も良く滲まず、すぐに乾燥し、書いた直後に触ってもインクが手に付かないのです。
確かに旧世代の問題を解決しています。

文句ないですよね。
確かにこの書き心地は特筆すべきモノです。
機能も認めます。

でも何か違和感があるのです。

おそらくそれはこのフード部分のデザインでしょう。何故万年筆に似せる必要があったのでしょうか。
第5世代と言うなら、この部分はもっと新しさを全面に出して良かったと思います。
高級筆記具としてデビューさせるためには高級文具の位置を占めている万年筆を模倣した方が売れると思ったのでしょうか。
確かにこのフード部分を丸いハーフチューブにしたら、使い捨てコピックと同じ程度に見えて、高級感を出しにくいのかも知れません。
もともとこのペンの価格は、開発費がかなり上乗せしてあると思います。もっと低廉に出せる内容だと思います。それをある程度の値段で売るためにこのような戦略に出たのかも知れません。いずれ安いラインも出てくるでしょう。

おそらく万年筆に憧れているけれど敷居が高いと思っている人には、選択肢の一つになるかも知れません。印刷された契約書に署名する程度の使い方なら、それも良いでしょう。

ただ万年筆の繊細さや扱いにくさに付き合っていることが嬉しいという困った性を持っている私には、このペンはあまりにも問題が無くて詰まらない気がします。

でも、ここまで読んで「結局鈴木は買わなかったんだね」とは皆さん思っていないでしょう。
だって、この写真が有るんですから。

このペンに違和感が有るけれど、文具で知らないモノが有る自分も、もっと違和感が有るのです。2ヶ月迷って結局買いました。
使ってみて確かに欠点は少ないです。このインクには本当に綺麗なブルーも有ります。
インクの紙の裏抜けは少しありますが、にじみが無いのも良いです。
今まで飛行機の出張には万年筆は持って行きませんでしたが、これは持って行きます。

一番の欠点は、モノ自慢するときに、このペンの名前が覚えにくいこと、言いにくいことでしょう。

「パーカー、インジェニュイティ」でした。









2011年12月12日月曜日

第2回地籍問題研究会

先週12月10日(土)には第2回地籍問題研究会が、早稲田大学で開催されました。
今回のテーマは「東日本大震災の復興における地域再生と土地問題〜地籍の視点から〜」でした。
最近は、震災後の様々な行事や打合せと、自分の業務等々で、ほとんど休みがなくて動けない状態ですが、さすがにこのテーマですし、日帰り可能な時間割だったのでなんとか参加して来ました。
プログラムはこのチラシのとおりです。



中林一樹氏(明治大学大学院)や安本典夫氏(名城大学)の2件の講演がありました。
中林氏の「被害に本大震災の災害復興と切迫する二大震災の事前復興」では、「減災」を目的に、東日本大震災を含む過去の大震災に学び、想定される被害を軽減する方策をお話しされていました。「事前復興」という表現が印象的でした。 

安本氏の「特区制度と地籍・土地所有・利用法制の課題」では、12月7日に成立したばかりの震災特区法についてお話しされました。レジュメの段階では「特区法案」と書いている程のタイムリーなお話で興味を引きました。

その後で、4件の報告がありました。
国土交通省国土調査企画官の立場から長嶺行信氏が、法務省民事二課地図企画官の立場から西江昭博氏が、被災した立場から岩手県調査士会調査士会会長の菅原唯夫氏が、大津波で海没した登記簿を復旧させた専門家の立場から坂本勇氏が、それぞれ発表されました。
後日、皆さんのお話をまとめます。

その中で、岩手会の菅原会長が、現場を踏まえた上で「14条1項地図を14条4項の地図に準ずる図面に位置づけを変えられないか」という提案をされていました。この提案には私も賛成です。今回の地震や津波で精度を保てなくなった地図の位置づけを変えるのですから、誰も傷つく話ではないと思います。
また「被災地には教材がある」「被災地に地図、登記の研究所を直轄で設置できないか」という提言もされていました。被災地を見ていないと言えない言葉だと思いました。

岩手会菅原会長
最後はお決まりのパネルディスカッションです。上記の発表で時間が押してしまい、コーディネーターの松岡直武氏(日調連名誉会長)もまとめ難そうでした。


ただし、これだけのメンバーを集めたのですから、もともと盛り沢山です。
次回はメンバーの数を減らすか、午前中から開催して時間を増やすかして、一人一人の話をじっくり聞きたいと思いました。




2011年12月9日金曜日

訃報-渡邊四郎会員の御尊父様ご逝去

渡邊四郎会員(仙南支部)の御尊父様がご逝去なさいました。
告別式等は以下のとおりです。
ご冥福をお祈り申し上げます。

<通夜>
日時 平成23年12月11日(日)午後6時~
場所 願勝寺
柴田郡村田町字東102番地
電話 0224-83-2154

<告別式>

日時 平成23年12月12日(月)午後1時~
場所 願勝寺
柴田郡村田町字東102番地
電話 0224-83-2154

<喪主>
渡邊 初男 様

2011年12月8日木曜日

土地家屋調査士開業について

土地家屋調査士合格者の皆さん、本当におめでとうございます。
心からお祝いを申し上げます。

先日ご紹介した土地家屋調査士開業ガイダンスについて、東北ブロック以外の方からも問い合わせが来ています。
もちろん大歓迎です。
別に入会しなくても問題有りません。
再度掲示しますので、ご参加ください。


日時: 平成24年1月14日(土)14時~(質問が終わるまで)
場所: 宮城県土地家屋調査士会会館
〒980-0802  宮城県仙台市青葉区二日町18番3号
参加申込み、問い合わせ先:
宮城県土地家屋調査士会 電話022-225-3961 fax 022-213-8485
Eメール info@miyagi-chousashi.jp


ネットからの曖昧な情報だけで、自分の将来を悩んでいる必要は有りません。匿名掲示板でぼやいている方々が土地家屋調査士のマジョリティでは無いはずです。
土地家屋調査士について、しっかりと情報をお渡ししますので、何でもお聞きください。
しっかりと聞いて、しっかりと判断して、入会するも良し、止めるも良し、どちらでも結構ですから、迷いに決着を付けましょう。

以下、開業する方々のために書いた過去のブログから少し挙げてみました。
何かのお役に立てれば幸いです。

☆会員登録された新人の方へ


調査士開業希望者への返信


近畿ブロック新人研修会と大阪20会&21会


祝!開業30周年


開業する決断


祝!合格ー今が開業に適した時期


商売敵なのになぜ仲良くするの?


☆経験は作るものです



2011年12月7日水曜日

法テラスと南三陸町の今


126日に法テラス南三陸に行ってきました。これは10月2日に開所したもので、南三陸ベイサイドアリーナの敷地内にあります。
様々な分野の専門家が詰めていますので、震災等でお困りのことが有れば、遠慮無く相談(無料)に来てください。
また必要な弁護士費用等も立て替えてくれます。



さて、その行き帰りに少し被災地を見て廻りました。
3月の震災直後から何回目かの南三陸町志津川です。かなり瓦礫が片付いています。
しかし、瓦礫は仮置き場に野積みのままです。
宮城県で処理できる産業廃棄物の23年分が一度に出たので、仕方ないでしょうが、先の長い話です。




 新しい建物は建ちません。壊れた建物の基礎が残っている荒れ地が続きます。





その中に移動式バスのラーメン屋が有りました。時間が無かったので立ち寄れませんでしたが、後で調べたら「蔵八ラーメン」とのこと。地域の人達には嬉しい出店でしょう。
今度行くときには食べたいですね。

またプレハブ建物で、セブンイレブンとファミリーマートが営業してました。





復興は始まっています。
なんか嬉しくて、その度に車を止めて買い物をしました。

皆でがんばりましょう!

2011年12月5日月曜日

訃報-佐々木誠会員ご逝去

佐々木誠会員(石巻支部)がご逝去なさいました。
葬儀等は以下のとおりです。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

<通夜>
日時:平成23年12月5日(月) 午後6時~
場所:「大街道清月記」
石巻市大街道北3-3-8
電話 0225-23-5777

<葬儀>

日時:平成23年12月6日(月) 午前11時~
場所:「大街道清月記」
石巻市大街道北3-3-8
電話 0225-23-5777

<喪主>
佐々木和彦様

ベガルタ仙台最終節に思う

東日本大震災の翌日3月12日は、サッカーJ1リーグの第2節、ベガルタ仙台のホーム開幕戦でした。新しいベガルタのチームをホームで見られる楽しみで一杯でした。

1997年の仙台スタジアム(今はユアテックスタジアム)がこけら落としした頃、当時ベガルタ仙台はブランメル仙台と言っていた頃ですが、私はその頃からのサポーターです。
毎年シーズンチケットを買って、夫婦で参戦しています。
なかなか勝てないJ2時代、2001年のJ1昇格と2年でのJ2降格、ジュビロ磐田との悔しい入れ替え戦、そして2年前の再昇格と、長年見てきました。
今年はマルキーニョスも加入して、更に楽しみなシーズンの始まりでした。

しかし、そのホーム開幕戦の前日に、あの大震災が起きました。
大変広い範囲が被災しましたので、サッカーは当分の間中止となりました。
ホームであるユアテックスタジアムも、震災で使えなくなり、再開の目処が付きませんでした。
ベガルタ仙台の選手達も一度解散して、時期を待ちました。中には、地元に帰らずに宮城に留まって、ボランティアに頑張った選手も少なくありませんでした。

被災地を廻った選手達は、「このような状況の中でサッカーなんかやってて良いのか」と思ったようです。
実は私も4月23日にJリーグが再開すると聞いたとき、「震災対策本部の立場の人間としてサッカーなんか見に行っても良いのか」と思いました。

少し後ろめたい気持ちも有りながらも、再開試合の冒頭で、選手入場の際の「カントリーロード」を聞いたとき、涙が出ました。
すべての人間が自分のできることを一生懸命にやることが、復興への道なんだと思いました。

練習場捜しに苦労し、試合と練習の合間にボランティア活動と、選手も本当に頑張りました。
「東北の希望の光になる」、被災後ベガルタ仙台の合い言葉です。

そして昨日3日、Jリーグは最終節を迎えました。
相手はヴィッセル神戸、同じ被災を経験した土地として、仙台に支援を続けてくれたチームです。チームとしては練習場の提供を申し出てくれ、サポーターの皆さんは沢山の支援物資を届けてくださいました。神戸のホームゲームの際に仙台が行ったときにも、仙台に対する激励のビデオメッセージをスタジアムで流してくれました。

チームのサッカースタイルも、似ている両者です。
サポーター同士、試合前後にエールを交換し、選手達は大雨の中にも関わらず、最後までアグレッシブに戦い、本当に良い試合になりました。
そしてJリーグの絆を確信しました。

一年間練習不足の中「仙台は負けない」というコンセプトのもと、徹底した守備を磨き、2位に大きく差を付けたJ1最少失点25点の快記録を作りました。そして、J1リーグで第4位という好成績で終了しました。

このチームのサポーターで良かった。
そしてJリーグのサポーターで良かったと思いました。

2011年12月2日金曜日

12月1日は映画の日

昨日は12月1日は映画の日でした。

このブログに書いていたように、私は月に2、3本は映画館で映画を観ていました。
いつも金曜日に、最終上映などを観ることが多かったです。

皆さんは何を観に行くという動機から映画館に行くのでしょうが、私の場合、時間の空きそうな夜に、ぶらっとシネコンに行って、その時刻から観られそうな映画を観ることが多かったです。

どうせ金曜日の夜の2時間強は、誰かにお酒を誘われたり、ただ何もしないで過ごすことが多いので、それなら映画を観ようかと思っています。

私自身は、「良い映画、良い本だけ見ると言うことはあり得ない」と思っています。
何でもたくさん体験することにより、何でも自分の中で良い刺激にすることができると思っています。
だから、映画もいろいろ観ますし、本もいろいろ読みます。

さて、私の家庭でも映画のDVDはたくさんあります。
先日ブログで書いたように、iTunesでも出先で映画がダウンロードできます
いつでも、どこでも映画を観ることができるようになりました。

そんな環境の中、わざわざ映画館に行って観ることの何が良いかですが、大画面や音響の迫力も確かに得がたいメリットなのですが、私にとって
『強制的に電話もネットも無い世界で、2時間強、非日常空間にいられる』
というメリットがとても大きいのです。

すべてを忘れられる2時間強は、ストレスコントロールにはとても良いと思っています。
ですから、ストレスが溜まるような面倒な映画はあまり観ません。
もちろん、たまたま上映していたものを観るので、はずれも有ります。思わぬ当たりもあります。

その映画館が、3月11日の東日本大震災から、しばらく復活できませんでした。
私が行きそうな映画館でも、MOVIX仙台が6月15日から、109シネマズ富谷が9月14日から、泉コロナシネマワールドはまだ再開未定です。
ただミニシアター系のフォーラム仙台が、頑張って3月21日から上映再開してくれました。
まだガソリンも完全供給では無く、節電を言われている中の再開でした。
内容も「100,000年後の安全」など原発に関する映画を集めたりと、さすがだなと思いました。
ただその頃は、私自身は被災者支援等で、とても映画に行く状況ではなかったですが。

最近すこしずつ映画鑑賞を再開していました。
ただブログに内容を紹介する気分になっていなかったのです。
その気分になっていないと言うことは、私自身の完全復活にはなっていないのかも知れませんね。
最近観た映画についての感想も、このブログで少しずつ復活したいと思います。

そうか、今日は金曜日か。

2011年11月30日水曜日

土地家屋調査士開業ガイダンスをします

11月29日は、平成23年の土地家屋調査士試験の合格発表の日です。
このブログをお読みの皆さんのお知り合い、または皆さんご自身かも知れませんが、合格は如何だったでしょうか。
今年の試験は以下のとおりです。

出願者数 6,310名
合格者数   390名(男372名、女18名)
合格率     約6%
平均年齢 39.26歳(23歳~74歳)
*仙台法務局管轄合格者数30名


本当にお疲れ様でした。

合格者の皆さんは、長い勉強期間が報われたでしょう。
また惜しくも不合格だった方も、近年の試験傾向から見て、何が不足していたかを分析できれば何らかの手応えが有ったと思います。

私がいつも新人研修で申し上げておりますが、合格者にとってここからが大切なところです。
合格した皆さんは、今頃世間から褒められていることでしょうが、優秀だったとしてもそれは合格できなかった人の中でのこと。土地家屋調査士の世界に入れば、全員合格者ですから、自分が一番下で有ることの自覚から始めなければなりません。


資格試験合格者は、プロテストに合格したと言うことで、プロで食べていけると言われたわけでは無いと自覚しなければなりません。ここからが、プロとして本当の勉強です。


さて、近年合格したのに事務所開業しない人が多いですね。
どうしたのでしょうか。
何のために合格したのでしょうか。
おそらく不景気なので開業を迷っているのでしょうね。
いろいろ不安なのでしょう。
それはそれで、しっかり判断して入会くだされば良いと思います。

ただし、心配なのです。
その判断をするのに、何を判断基準にされているのでしょうか。
身近の僅か数人の土地家屋調査士を見て、土地家屋調査士全体をわかったつもりで、判断していませんか。
一生がかかる判断をいい加減な情報だけで決めて欲しくないのです。


今の時期開業して良いのか。
開業するにはどのような準備が必要か。
開業したら、具体的に何から始めれば良いか。
それらに答えるために、東北ブロックの会長さん達と相談して、下記のとおり合格者の皆さんのためのガイダンスを企画しました。

東北以外の方でも参加歓迎です。
開業する予定が無い方でも歓迎です。
今年以外の合格者でも、既に開業したけれど聴いてみたいという方も歓迎です。

当日は参加者全員の質問が終わるまで、お付き合いするつもりです。

平成231128
お知らせ
土地家屋調査士試験合格者の皆様
日本土地家屋調査士会連合会
東北ブロック協議会 各会長より
(青森会、岩手会、秋田会、宮城会、山形会、福島会)

前略
 土地家屋調査士試験合格者の皆様、試験お疲れ様でした。
また合格おめでとうございます。
東北ブロックの土地家屋調査士会、各会長より心からお祝いを申し上げます。

 皆様は、これから土地家屋調査士事務所を開業するにあたって、様々な夢や悩みをお持ちと思います。また開業するのか、しないのかを迷っている方も多いのではないかと思います。
 そこで、私たち東北ブロック協議会として、皆様の迷いの解決について少しでもお役に立ち立ちたいと思い、下記のとおり事務所開業のガイダンスを企画しました。
 しばらくの間開業しないと決めている方や、東北以外に開業を計画している方でも結構です。遠慮無くご参加ください。
草々
日時:平成24年1月14日(土)14時~(質問が終わるまで)
場所:宮城県土地家屋調査士会会館
980-0802  宮城県仙台市青葉区二日町183
参加申込み、問い合わせ先:
宮城県土地家屋調査士会  電話022-225-3961 fax 022-213-8485
Eメール info@miyagi-chousashi.jp
以上
  合格してから仙台に集うのも格別な想いがあると思っています。
お気軽に参加していただければ幸いです。

2011年11月29日火曜日

非常時の判断~司法書士会研修会で思う

先日11月19日、宮城県司法書士会の研修会に、講師としてお招き戴きました。
戴いたテーマは、「大震災、大津波と不動産表示登記業務の諸問題」でした。

司法書士の皆さんも、大震災後様々な相談を被災地の方々から受けているようです。
私たち土地家屋調査士が対応する相談でも同じですが、相談者は資格者の守備範囲を正確には分かりません。なんでも相談に来ます。
もちろんそれで良いのです。
困っていらっしゃる相談者に、たらい回しのような対応は、できるだけしないようにしたいものです。

司法書士の皆さんも、様々な相談の中に土地家屋調査士業務も含まれるので、概略だけでも知って相談者に対応したいとのニーズからの研修会でした。

「大震災や大津波により破壊された土地・建物について、土地家屋調査士の分野はどのような判断をし、どのような手続きをするのか」
大変関心のあるテーマだと思います。

この研修会の講師を受けて、研修の構成を考えました。
私の研修会は、いつも構成に時間をかけます。
どのような話の展開が、受講者にとって理解しやすいか。
それには、その受講者の力量や関心の方向をリサーチしなければなりません。
今回も、研修担当者の方ともお話しして、以下の構成にしました。

○本来の平時の土地家屋調査士業務を解説する
・登記総論と手続きの各論を解説する
・筆界論と手続きを解説する
・近時の業界周辺のトピックスを解説する

○震災により何が平時と変わったかを確認する
・要件の確認

○その変化に対応するために登記手続き等がどう変わったかを解説する
・土地、地図、筆界
・建物、滅失

○宮城県土地家屋調査士会の震災対応の考え方を説明する

最初の項目の平時の業務解説の部分は、分かっているようで分かっていない部分です。
これは、土地家屋調査士が司法書士業務を分かっているようで分かっていない部分があるのと同じです。我々も勉強する必要があります。
この部分が理解されないと、今回の震災対応も理解されません。
そこで、リクエストとは違うのかも知れませんが、上記のような構成で講義をさせて戴きました。

平時をしっかり把握しないで、非常時は語ることができません。

すべてがそうだと思うのです。
これは東日本大震災という非常時に確信しました。

平時にしっかりと物事を把握して、正確な判断を続けていることが、非常時対応の一番の準備だと思います。

平時では、中途半端にその場凌ぎで暮らしていても、それなりに格好が付くかも知れません。
でもそんな暮らしをしながら、格好の良い台詞を語っていた人達は、非常時では小手先の選択肢に振り回されて、何もできなかったようです。

何が本質で、何が使命で、我々は何をしているのか、普段からそこをブレずに暮らしていると、非常時でも、うろたえないでしょう。

2011年11月28日月曜日

「ファイト新聞」復刻版完成

8月23日にこのブログで紹介した「ファイト新聞」のお話しです。
できたら8月23日のブログをもう一度読んでみてください。

気仙沼の避難所の中で、4人の小中学生による壁新聞「ファイト新聞」が刊行されました。
東日本大震災のわずか1週間後の3月18日から始まったものです。

子ども達がごく自然に始めたものです。それによって、どんなに廻りの大人が励まされたでしょうか。
大人と違って、何かを狙って始めたわけではないはずです。少なくても最初はそうでしょう。
あっと言うまに、全国で有名になりました。

それをまとめて書籍にしたのが先日紹介したものです。
私はあれから、たまに引っ張り出しては眺めています。
いつも嬉しい思いになります。



さてその「ファイト新聞」の複写版が完成したそうです。
壁新聞の大きさのまま全国で巡回展示されるそうです。
私はいつも書籍の縮小版を見ていますので、ぜひ、子ども達の手書きのままの大きさで見たいものです。

このブログをご覧戴いている宮城以外の皆さんの土地でも、巡回展示されたときには、肩肘張らない子どもならではの「ファイト新聞」を是非ご覧ください。
本人達は半分以上遊びのつもりでしょう。
そして、だからこそ、周りの他人を元気にできたのでしょう。

見ながらいろいろな事を考えられると思います。

以下は河北新報で紹介された記事です。



気仙沼の子どもら手作り「ファイト新聞」複写版完成 

宮城県気仙沼市の避難所で東日本大震災の発生直後から子どもたちが手作りした壁新聞「ファイト新聞」の複写版が完成し、製作したセイコーエプソン(長野県諏訪市)から、壁新聞の保存を企画した団体へ24日、引き渡された。全国の巡回展示などに活用される。
ファイト新聞は、避難所となった気仙沼小学校での暮らしを、イラストを交えて明るく伝えた。避難生活が一段落した7月3日の第50号まで続き、避難者を励ました。
マジックや蛍光ペンで書いた文字が薄れたり消えたりしており、復元に約1カ月かかった。担当した中村健三さん(58)は「大変な作業だったが、やりがいがあった」と話した。
複写版は3部あり、1部を気仙沼市内で展示し、1部は国連教育科学文化機関(ユネスコ)に寄託。もう1部を巡回展示などに使う。原本は宮城県の美術館で保管する。
壁新聞の保存は、文化を通した復興支援を目指して写真家やデザイナーが設立した団体「復興博」(東京)が発案した。事務局メンバーで写真家の松田典子さんは「大人たちを元気にしたいという素直な気持ちが伝わる。震災の記憶を残すため活用したい」と語った。

2011年11月25日金曜日

阪神淡路大震災と東日本大震災~神戸支部来仙

あの大震災から8ヶ月過ぎて、全国からたくさんの皆さんが仙台にいらっしゃっています。

先々週末の葉月の会先週末の鳥取会の皆さんに続いて、今週末は兵庫会の神戸支部の皆さんが宮城県に来てくださいました。
今回は支部旅行の行き先に、宮城県と岩手県を選んでくださったとのことでした。

そしてその旅行中の懇親会に、宮城会と仙台支部をお招き戴きました。


神戸支部は、阪神・淡路大震災を経験した支部です。
先日の藤原光栄先生の講演でもお聴きしたように、被災から復興まで頑張った支部です。
懇親会の席でも、当時の阪神の震災の話しをお聞きして、今回の宮城の震災の話をお伝えしました。

同じ大震災のようですが、被災状況がまったく異なります。
これは私が被災当時から主張していたことです。

範囲が違います。今回は南北に500kmです。
被災地域の用途が違います。前回の商業集積地と、今回の海辺の住宅地域・工業地域の違いがあります。
被災については、今回は地震だけでなく津波によるものもあります。
そのため、家を建てたくても大津波が来る虞があるところでは建築制限もあります。
高台移転かどうか政策決定と実行が遅れています。
まだ海辺の鉄道は復興していません。ルートを変える議論があります。

ですから、その復興の方針も、その復興の具体的方法も違いますし、それに伴い土地家屋調査士の動き方も違います。この違いは、とても重要なことです。
建物滅失登記の調査も、大津波によるものなどは、その内容や方法が異なります。
建築制限のあるところで、筆界復元の必要性がどれだけあるのでしょうか。
地図も技術論だけでなく、政策論まで触れないと、本当の復元はできないでしょう。

これらのことは、現地を見ないと実感が分からないでしょう。

復興については、当然、阪神・淡路大震災から学ばなければなりません。
しかし、今回の震災復興するには、阪神から学ぶだけでもいけません。
そこが大切です。

おそらく今後想定される大震災のためには、阪神・淡路大震災を学び、東日本大震災を学び、そしてまた、それだけでもいけないはずです。
これはまた別の機会に書きます。

それにしても、今回の神戸支部の皆さんの来仙は嬉しく楽しいものでした。
被災を経験した支部だからこそ、気楽に来てくださいました。
ありがとうございました。