2022年8月29日月曜日

グレーな問題は出題いたしません。

「グレーな問題は出題いたしません。」

ある受験予備校の答練のパンフレットにこういうフレ-ズがありました。とても良いことです。

試験勉強する際に、正否のグレーな設問があったら、受験勉強で迷いが生じます。

そもそも本番の試験にグレーな問題を出題することは、合否基準に不公平が生じる可能性もあるので、当然避けられているはずです。

それでも、このフレ-ズがあえてパンフレットのキャッチコピーになるということは、手続法であっても試験範囲の法律解釈にはどうしても曖昧な幅があるということです。この予備校は、それらを整理して、試験に対応できる純粋な理論を教えようという方向性を示していると理解しています。

そのこと自体はとても大切なことですし、試験合格を目指す勉強ではそれで良いのですが、受験勉強ではなかなか気がつかずに終ることが多いのがこの法律解釈の幅です。そして、法律解釈の幅が、実務ではとても重要になってくるのです。

私が指導している合格者たちも、実務の答えが1つではないことに最初とても戸惑います。


では実務家としての私たちは、何を基準に判断しているのでしょうか。

あらゆる社会経済の働きと個人の思いの中でさまざまな取り引きが行われ、それに伴い登記のニ-ズが生まれます。

そのニ-ズに関わる相談を受けたとき、「依頼者が本当に望んでいるのは何か」を受け止め、法解釈の幅の中で「誰のために何を成し遂げるのか」を考えるべきなのです。

依頼者や関係者の思いを整理して、手続きとしては最終形を考えて、「そこに行くにはどの方法を使えば良いか」という最適解を考えるのです。

だからルートは1つではありません。

要件が機械的に整理できるものなら、AIに手続きをさせれば良いだけです。

何を大事にするかで土地家屋調査士の価値が変わると思います。

必要な能力は、登記書式をたくさん知っているとか、測量ができるとかいう話とはまったく違う次元の能力だと思っています。

不動産登記法を深く学んでも答えは出ません。もっと広い社会・経済・法律の仕組みを学び、人間関係の機微も理解できなければ答えは出ません。

塾でもガイダンスでも、鈴木事務所の補助者にも、私はこんなことを教えています。






2022年8月22日月曜日

鈴木修塾「土地業務編」について

以下のような質問を数人からいただいております。

ブログを読んでくださっている皆さんにも、現在の経過報告を致します。


以下質問----------------

はじめまして、私は熊本県で調査士の補助者として働いている者です。

まだ補助者期間も数ヶ月程度ですので、実務のことをよく理解できていません。

先生のブログを読ませていただいて、「鈴木修塾」があることを知ってぜひ参加してみたいと思いメールの方を送らせていただきました。

早速ご質問なのですが、

2023年 1月19日〜22日 鈴木修塾「土地(筆界調査)業務」

上記の研修を開催されるということで、場所や時間など詳細を詳しく教えていただけないでしょうか?

また、九州で開催される予定はありますか?


以下お返事----------------

鈴木修塾へのお問合せにお答え致します。

開催の趣旨は以下のブログに書いたとおりです。

土地家屋調査士   鈴木 修 ブログ: 土地家屋調査士事務所開業ガイダンスと鈴木修塾の開催計画について (fermatadiary.blogspot.com)


進行状況としては、6月に「経営・運営編」が終了し、現在は9月の「建物業務編」に向かって、受講者の皆さんと毎日LINEで事前研修を行っています。

「建物業務編」については、事前の2か月間のLINEによる通信研修と、3泊4日の合宿研修で、まったくの初心者でも相当のレベルに上げる自信があります。すでに、LINEだけでも、受講中の皆さんはかなり変わって来ました。手応えを感じています。


さて、ご質問の「土地業務編」については、受講希望の皆さんもご都合があるでしょうから「日程だけでも発表したい」と思い、上記ブログで、開催予定日を来年の1月19日から3泊4日と発表させていただきましたが、現在はその内容を詰めている段階です。

土地業務についても、補助者だけでは得られないノウハウをお渡しできると思いますし、まったくの初心者を2か月間のLINE研修と3泊4日の合宿研修だけで相当なレベルに上げられると思っておりますが、お問い合わせいただく受講希望者の方々のレベルがかなり違うこともあり、日程、カリキュラム、授業の進め方で幾つか案を練って現在熟考中です。

ブログ発表前には最低一週間の予定で計画を立ててもみたのですが、受講生の負担を減らすことを優先して2ヶ月間のLINE研修と3泊4日の合宿としています。

現在お問合せをいただいているのがまったくの初心者から開業30年程度の土地家屋調査士までと様々なキャリアの方々ですので、土地業務編では果たして全員一緒で良いのか、レベル分けをすべきか、あるいは前期課程と後期課程の2回に分けなければならないかなども含めて検討しています。

たとえば地図や公図、旧公図や様々な地積測量図などを見たことがあるか無いかだけでも、どこから説明するかが変わるのです。

私の塾では【一人も置き去りにしない】ことを一番大事にしています。

そのために詳細を鋭意検討中ですので、正式な内容でのブログ発表まで少々お待ちください。


また、この方以外の熊本在住の方からも問合せが来ています。今のところ九州での「塾」の開催予定はありませんが、「ガイダンス」は開催したいと思います。

何かご不明な点や不都合な点がございましたなら、ご遠慮なく下記までお問合せください。


鈴木修(mucha@rr.iij4u.or.jp)











2022年8月15日月曜日

お客さんに説明する前にリハーサルをしていますか

先日、私の事務所に、土地家屋調査士の新人が受託事件の相談に来ました。

この新人は、私にその事件を説明するのになかなか要領を得ないのです。そして、現地の写真を見せようと手持ちの資料のファイルの中を探していました。また説明だけでなく、資料を見せる順番もとても下手でした。

この新人はお客様に物事を説明する際にもこんなことをしているのだと思います。


お客様に資料を見せる場合、資料の良し悪しだけでなく、どの資料を先に見せるかでお客様の頭の中に意図していないイメージができてしまうことがあります。だから、お客様に心からわかって欲しいというつもりなら、出たとこ任せではなくて、提出する資料を厳選して、その資料の順番を熟慮することが大事です。当然に資料に番号をつけるなりして、説明の本番では順番どおりにスムーズに資料を出すことに工夫をすべきでしょう。

専門家といえどもサービス業です。

私は専門知識を素人のお客様に伝えるには、当然にこれくらいの努力をしています。


また、私が研修会講師を依頼された場合も同様に考えて準備します。

テーマを熟慮して、どんな資料をどんな順番で見せれば受講者のためになるかを一生懸命考えながら資料を作ります。そしてその資料に用いる言葉を何度も校正して、誤解のない言葉を選んで、スライドを調整します。

人に伝えるということはそういうことです。


この新人には、質問に答えてから、以下のようにお話ししました。

君もお客様に何かを伝えるつもりなら、それくらいの努力をしなさい。

事前準備に相当な時間を使いなさい。

お客様が持ちそうな疑問や反対意見を予想して、その回答の準備もしておきなさい。

だから事前の1人ディベートは必要だと思います。

説明でまごつけば、君の説明している内容の信憑性まで疑われますよ。

君の場合は、資料をスムーズに出す準備をして、どんな説明をするかを原稿を書いて、一度リハーサルするくらいのことはしても良いと思いますよ。

新人とはいえ、プロなのだから。









2022年8月1日月曜日

土地家屋調査士事務所開業ガイダンスと鈴木修塾の開催計画について

毎年資格試験を合格してから、どこに向かえばよいか迷う人たちが多いです。

資格予備校も「この資格を取れば将来は明るい」と言って受験させながら、試験合格者が相談に行くと「これからはダブルライセンスだ」などと言って、また別の資格を受講させようとすることがあると聞きます。実力さえつければ土地家屋調査士の資格だけで十分です。

土地家屋調査士の知り合いもいないので具体的な情報が入らないとか、補助者募集している事務所が近くに無いなどで、この先どう動けば良いか迷っている人たちから、私にたくさんの相談が来ていました。

それらの悩みを、相談者個々の事情を伺いながらその人に合った方法で、土地家屋調査士になる具体的な道を示すのが「土地家屋調査士事務所開業ガイダンス」です。

また、開業したものの、営業しても仕事は来ない、そもそも仕事が来ても処理できないなどという現役土地家屋調査士からの相談も多いのです。事情を伺いながらアドバイスするのが「土地家屋調査士事務所経営ガイダンス」です。

事務所経営の要点は、結局開業時のアドバイスと近い内容になるので、近年は「土地家屋調査士事務所開業・経営ガイダンス」として2つの研修を併せて開催していました。新人だけでなく、ベテランの土地家屋調査士の受講者からも「受講して目から鱗が落ちた」と言われている内容になっています。

さらに、ガイダンスを受講されて方向性が理解できたのでプロとしての実力をつけるために動き始めようとしたときに、様々な事情で補助者修行ができない方々、また補助者であっても事務所の事情により必要な実力がつかないなどの、後日の相談が増えてきました。

そこで始めたのが「土地家屋調査士鈴木修塾」です。これは「事務所経営・運営」と「建物業務」と「土地業務」に分けて開催します。集中して実力を付ける合宿形式の塾です。

事務所経営・運営」は第一期が終了し、具体的に経営方針が明確になった受講生が、塾の日程が終わってからも、お互いがLINEグループで刺激し合って、情報交換が継続されています。

建物業務」については、まったくの初心者から受講可ですが、初心者レベルではありません。建物業務だけでも差別化できるレベルまで教えます。

9月に合宿形式の研修が3泊4日で開催されますが、もちろんそれだけでは無理です。9月までの2ヶ月間は私が受講生に課題を出してLINEで通信研修継続中です。


今年は皆さんのニーズに合わせてこんな形式で進めていますが、今後のガイダンスと塾の開催予定についての問い合わせが来ています。

皆さんの計画の都合もあるでしょうし、私も会場を予約する必要があるため、以下のとおり、早めに計画をお知らせいたします。


まず「土地家屋調査士事務所開業・経営ガイダンス」ですが、1月16日のブログのとおり、今年は「札幌、名古屋、広島、高松」を優先して、余裕があれば東京や大阪を加えると考えていました。その中で広島と高松は終わりましたので、次は名古屋と札幌と考えておりました。

しかし、名古屋開催のリクエストは来ているのですが、札幌開催についてはリクエストが届いていません。今からでもリクエストがあれば検討いたしますが、無ければ大阪に振り替えるかもしれません。


現在の段階では以下の日程で計画をしています。

会場の問題や皆さんの受講リクエストによって変更もあり得るとご理解ください。

まずは受講申し込み、もしくは受講相談のメールをください。

鈴木修メールアドレス: mucha@rr.iij4u.or.jp

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【鈴木修塾】

9月8日〜11日 鈴木修塾「建物業務」前期日程

9月22日〜25日 鈴木修塾「建物業務」後期日程

 *上記はすでにLINEで講義が始まっているので原則受講締め切りです。お急ぎの開業計画などご事情がある方はご相談ください。

2023年 1月19日〜22日 鈴木修塾「土地(筆界調査)業務」

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【ガイダンス】詳細は皆さんのメールと会場の都合で決めます。

10月29日(土)又は30日(日) 土地家屋調査士事務所開業経営ガイダンス 名古屋

11月12日(土)又は13日(日) 土地家屋調査士事務所開業経営ガイダンス 札幌または大阪

*今年は札幌開催を優先するつもりですが、リクエストがない場合は大阪で開催します。

11月26日(土)又は27日(日) 土地家屋調査士事務所開業経営ガイダンス 東京