2022年7月23日土曜日

専門書は何冊必要ですか

新人から書籍についての相談がきました。

「土地家屋調査士として開業するので、基本的で十分な専門書を一冊紹介してほしい」というものです。

今、どんな本を持っているのかを確認して、次に読むべき一冊を教えました。


その上で、その新人に伝えたのは「専門家として専門書一冊ではどうにもならない」ということです。

専門書は受験本とは目的が違うのです。

試験は80点も取れば良いだけです。

だから、名の通った手頃な内容の一冊を選んで精読すれば合格します。

でも、プロの実務で80点ではどうにもなりません。

依頼を受けた業務を20点間違っても良いでしょうか。

当然100点でなければならないのです。

専門家として依頼を受けるつもりなら、自分の分野は全部知らなければなりません。

世にある専門書に自分が知らないことが書いてあってはいけないのです。

だから、自分の分野の専門書はすべて揃えることになります。

たった1ページのために買う本もあります。

全部精読する必要はありません。

それでも買い求め、手元に揃え続けるのです。


私は、常々新人に「毎月1万円以上本を買いなさい」と言ってきましたが、中には「1万円はつらい」という新人もいました。

その新人に言いました。

それでは、あなたの経済力に合わせた額を考えましょう。

あなたが決めたその一定額を必ず毎月書籍費としてプールしていってください。

その中から積立のように継続的に本を買い続けてください。

そして、プロという看板を掲げている間は、何年も何十年も書籍購入を続けてください。

そうすれば、実力も複利で増えてきます。

専門家が自分の専門性を磨くことをケチったら、あなたに相談や依頼にくるお客様に失礼でしょう。









2022年7月15日金曜日

判断は早く、行動は早く

 以前のブログに「15分で答えが出せないものは自分の範疇ではない。」という私の考え方を紹介させていただきました。

また「15分で答えが出ないのは、『自分でやりたくないという結論が目に見えているので、単に先送りしている』だけのこと。既に答えは出ているのだ」ということも書きました。

答えが決まっているのなら、さっさと判断して行動を始めるべきです。

「『熟慮する』という言葉は、ほぼ言い訳」と私は考えています。


慎重に考えても間違うことはあります。

実は最初の思いつきが正しいことが多いのです。

他人に意見を聞くなら別ですが、自分の頭から出てくるものですから、熟慮しても同じものしか出てきません。

他人に迷惑がかからない程度なら、まずは動いた方が正解です。


良くも悪くも行動が早いことは良いことです。

たとえ悪かったとしても、引き返す時間があるのだから。


ご参考までに

2013年8月7日「15分で結論を出す」 についての質問に答える

土地家屋調査士   鈴木 修 ブログ: 「15分で結論を出す」 についての質問に答える (fermatadiary.blogspot.com)


2010年5月25日★15分で結論を出す

土地家屋調査士   鈴木 修 ブログ: ★15分で結論を出す (fermatadiary.blogspot.com)














2022年7月9日土曜日

開業するにあたって事務所を買うこと

Yさんからこんなメールが入りました。

「こんにちは!実は今独立後の事務所とするための建物建築を考えております。

土地が先ほど決まりました。」


Yさんは試験に合格して、補助者として実務を勉強しはじめて1か月です。

積極的でやる気のある方です。早めに独立をする意思は伺っています。


Yさん、ちょっと待ってください。土地はもう契約したのですか。心配です。

土地家屋調査士として開業することは一国一城の主になることです。「開業にあたり、自分の城を持つこと」は私も夢でした。

だからYさんの気持ちは良く分かります。

しかし、事務所はかなりコストのかかるものですから慎重に決めて欲しいのです。

今の時代は、あえて不動産を持たないという考え方の大企業も多いです。

しばらく賃貸ではいけませんか。


事務所を経営するときには、収入は低めに、支出は多めに計算をしておかなければなりません。それなのに、収入の見通しもまだしっかり立たないうちに、支払いだけ決めてしまうことはお勧めしません。

Yさんに有力なコネがあることは伺っています。それによって仕事がたくさん来そうだということも伺っています。

しかし、私達の業務は、資格試験の穴埋めの手続きのような単純な部分だけではないのです。

世の中の経済活動の中で取引が行われ、権利変動が発生し、それに伴い表題部の手続きが発生します。

補助者としては手続きを担当しているかも知れませんが、それ以前のもっとも大事な部分の把握は事務所の土地家屋調査士がやっているはずです。

土地も建物も金額も大きいので、一歩間違えば訴訟になる案件を今までたくさん見てきています。

建物登記も甘く見てはいけません。簡単に見えるからこそ落とし穴があります。事件に巻き込まれた後輩達から泣きつかれたことも何回かあります。

Yさんに発注してくれるのは関係業界の方々だから、そんなことはよく理解しているはずです。ということは、Yさんが持っているというコネは、先輩達と対等な実力が付いて、絶対に間違いのない業務をこなせるとその関係業界の方々が認めてくれてはじめて活かせるものなのです。

Yさんの実力がどれくらいなのか見たことがないのに失礼なことを書いているかも知れませんが、「補助者1カ月」とか「コネがあるから仕事が来るはず」のお話を伺うと、やはり心配になります。


また、上記は私の取り越し苦労であって、Yさんが開業してからは仕事が山ほど来たとしましょう。
そうなれば補助者を雇う必要が出てきますし、その後補助者を増やしたり、法人を作ってみたくなったりするでしょう。

だから、仕事が増えれば増えたなりに、事務所に様々な新しいニーズが出てくる可能性があるのです。

先に器を決めてしまうとこれらの変化に対応がしにくくなります。そのときは事務所を売れば良いと考えているかも知れませんが、よほどの街中じゃなければ事務所物件は売れません。

そういう意味から考えても、今から事務所を固定しないで、まずは賃貸で始めて様子を見て、経営の見通しが安定してきてから器を用意しても良いのではないでしょうか。













2022年7月5日火曜日

鈴木修塾(建物業務)の追加日程について

先日のブログでお知らせしたとおり、「鈴木修塾(建物業務)」への参加希望の方の数が増えてきました。

フィールドワークを含むきめ細かな研修をできるだけマンツーマンに近い形で行い、最終的に「できる土地家屋調査士」になってもらうためには、ある程度の人数制限が必要ですので、先に提示した日程の参加人数を増やすのではなく、別枠で後期日程を追加設定しました。

それによって前期も後期も少し余裕ができました。締め切ろうと思っていたのですが、追加募集ができそうです。

後期日程は、シルバーウィーク中の開催ですので、平日のお休みは1日だけで参加できます。先日の日程では参加できなかった方も、参加しやすくなったかもしれません。

また、先日のブログにも書きましたが、この塾に参加希望の司法書士の方々も、この後期日程に変更されています。

司法書士が業務拡大で土地家屋調査士試験に合格しても、事務所を開いているので土地家屋調査士の補助者にはなれないという問題があります。だからといって、中途半端に土地家屋調査士業を始めると既存の司法書士の信用まで失うことがあります。
まずは建物に絞って、基本から深いところまで学びたいという方は、この後期日程で他の司法書士の仲間とご一緒に勉強するのはいかがでしょうか。

これから参加ご希望の方は、遠慮なく以下のとおりにメールで参加表明をお願いします。

なお、9月の建物業務の合宿は3泊4日の4日間という日程ですが、実は講義はその4日間の合宿期間だけでありません。参加申込み済みの方々には課題図書を指示して、既にメールやラインで講義が始まっています。

興味のある方は早めにご連絡ください。一緒に学び始めましょう。


土地家屋調査士鈴木修塾「建物業務」

前期日程:令和 4年 9月 8日(木)13時~ 9月11日(日)15時 3泊4日

後期日程:令和 4年 9月22日(木)13時~9月25日(日)15時 3泊4日

場  所:講  義:エスポールみやぎ (仙台市宮城野区)

     現場実習:仙台市内及び周辺地域

受講料:132,000円(税込)

宿泊料:  15,450円(税込) 3泊4日朝夕2食付きの格安料金です。

形 式:3泊4日の合宿です。

本来1週間欲しいところを、時間と費用の負担を減らすために、できるだけ日数を少なく設定しましたが、その分参加者には既に課題図書を提示して、勉強を始めてもらっています。もちろん当日は夜まで勉強をします。

受講者:若干名

個別指導に近い形を取りたいので調整させていただくこともあります。

基本から複雑な建物業務まで、建物業務のほぼ全部をできるように致します。

完全初心者歓迎です。

もちろんベテランの土地家屋調査士でも歓迎します。必ず発見はあると思います。

受講申し込みおよび問い合わせ先

以下にメールでお願いいたします。件名は「鈴木修塾受講申し込み」もしくは「鈴木修塾受講問い合わせ」でお願いします。希望日程もお書きください。

鈴木修 mucha@rr.iij4u.or.jp

その他

旅費等を含んでも建物登記2件程度の受講料です。

これで鈴木事務所のノウハウを得て、数年の補助者年月を省略できます。

この受講があなたの人生の貴重な時間と一生の仲間を得られるチャンスとお考えください。

先日の「鈴木修塾(経営・運営)」でできたグループラインでは、毎日熱い議論がなされています。これから先、とても頼りになる良い仲間ができたと嬉しく思っています。





2022年7月3日日曜日

鈴木修塾の開催地について

以下のような質問を何度かいただいたので、 ブログでも一度答えたいと思います。

Q)

こんにちは。

私は令和3年に調査士試験に合格したYと申します。

未経験で6月から補助者として働き始めました。

鈴木修塾の受講についてお聞きしたいのですが、今後仙台以外でも同じ講習はされる予定はございますか?


A)
ご連絡ありがとうございます。
ご質問にお答え致します。

鈴木修塾(経営・運営)については、全国での開催をする可能性はあります。
6月には東京で開催しました。
その講義の中で受講生と東京の現場を歩きましたが、散歩がてら不動産の解説をするという程度でしたから、事前に私が一日下見すればどの地域でも設定は可能です。
Y様以外にも、他の地域から何件か問合せが来ていますので、その他の地域の開催も検討しています。数名集まれば開催は可能です。

一方、鈴木修塾(建物業務)と(土地業務)については、今のところ仙台開催が基本と考えております。
何故なら、講義内容が座学だけではないからです。
実際にフィールドワークも行いますので、私の過去の事例を考え、事前に学習効果が上がる不動産の選定、地権者との事前打合せ等、地権者との関係も含め相当の準備が必要です。
よって今のところは、地権者や業者の協力が得られやすい仙台で開催と考えております。

ただし、ご相談いただく皆様のニーズがバラバラのため、鈴木修塾(土地業務)の講義内容は固まっていません。皆様のニーズに合わせてコースに分けることも検討するかも知れません。
そのコースの内容によっては他の地域で開催も可能になるかも知れません。

ちなみに、完全初心者ももちろん歓迎ですが、この塾がめざすところは「一人前」ではなく「一流」です。
そのためには、講義をかなり吟味して準備しています。
仙台開催は私が楽だからではないのです。一番良い講義を準備するためです。
参加される方は、合宿形式ですからどこで開催しても宿泊になりますね。

また、9月の建物業務の合宿は3泊4日の4日間という日程ですが、実は講義はその4日間の合宿期間だけではないのです。
参加申込み済の方々には課題図書を指示していて、すでに講義が始まっています。
興味のある方は早めにご連絡ください。
一緒に学び始めましょう。