2023年3月26日日曜日

専門書の読書法(読書法その10) 目次をマインドマップで整理する

 後進の指導をしているときに、よく参考図書の相談をされます。

相談者のスキルを確認して、その人に合った本を紹介するように心がけています。

ただし、最近感じるのは、「何を読むか」よりも、「どのように読むか」の訓練ができていない方が多いように感じます。

小説を読むわけでも試験のために読むわけでもないのであれば、専門書ならではの別の読書法があると思います。

以前読書法を書いたことがありますが、今日はもう少し書き加えさせてもらいます。

土地家屋調査士   鈴木 修 ブログ: 私の読書法 まとめ (fermatadiary.blogspot.com)

まず専門家として、より専門知識を学ぼうとして読書をするつもりなら、少なくても以下の点はチェックして欲しいのです。


1.目的を持って読む

専門書を読む前に、何を知りたいから読むのか、その読書について明確な目的を持ちましょう。目的が明確であれば、読み方や読む順番と読む深さを決めることができます。目的に沿った読書をすることで、有益な情報を効率的に得ることができます。

2.前書きをしっかり読み、目次を整理してから読む

以前の読書法でも書きましたが、前書きと目次はとても大事です。
前書き等で著者の言いたいことを把握した上で、目次の項目と各々の項目に削くページ数を見ると、本文を読まなくてもこの本の言いたいこととがわかります。
自分の知っている分野であれば、前書きと目次を読めば、ほぼ全部理解できることも多いです。ある意味目次が要約とも言えます。
私は本を読むときに以下で紹介するマインドマップで整理することが多いです。

3.抜粋して読む

専門書を読む場合、必ずしも最初から最後まで読まなくてもよいです。
まずは上記2で整理した目次や索引を見て、上記1で設定した今回の目的に必要とする情報がどこにあるかを探してください。他の部分が必要がなければ、読まなくても良いのです。
必要な部分だけを抜粋して読んで良いのです。
必要な情報に出会ったら、その都度、その情報を自分なりに別途まとめることが重要です。

4.能動的に読む

専門書を読む際には、受け身ではなく能動的に読むことが大切です。
つまり、読みながら自分の頭で考え、疑問や質問を持ち、さらに書いてある専門用語以外の自分自身の言葉でまとめることが重要です。
能動的に読むことで、理解が深まり、自分なりの見解を持つことができます。

5.読んだことを必ずまとめる

専門書を読んだ後には、読んだことをまとめることが重要です。読みっぱなしにしていると、そのときに分かったつもりでも、すぐに忘れます。自分自身の言葉でまとめてください。

まとめるときのノートは余白を大きく取って書いてください。そのまとめたノートなどに、同じジャンルの本をよんだときに身についた新しい知識や気づきをさらに加えるのです。いずれかけがえのない自分専用の専門書がそこにできるはずです。


さて上記の2番目で書いた目次の整理ですが、私は以下のようなマインドマップで整理をしてから読み始めることが多いです。目次を機械的に整理してA3版の1枚に印刷して開きながら読むと、体系がよく理解できます。読み終わったら表紙に挟みます。

受験勉強が長い人は頭から精読したがりますが、今読んでいる箇所は、はたしてその本の体系ではどんな位置にあるのかに注目しましょう。本論の幹の部分なのか、枝葉の部分なのか、そこを意識せずに頭から読み始めると、理論体系が身につきづらいと思っています。


以下は

「実務必携 境界確定の手引」(新日本法規)を、著者の江口さんからちょうだいしたときに、その目次をマインドマップで整理したものです。今回ブログで紹介するために清書しました。

江口滋(土地家屋調査士)、岸田庄司(土地家屋調査士)、秋保賢一(弁護士)の各氏による執筆です。良い本だと思います。






2023年3月20日月曜日

スモールスタートの提案

 東北ブロック主催の「試験合格者の為の土地家屋調査士事務所開業ガイダンス」が先週末の3月18日に開催されました。参加者は17名でした。

私は今年も講師担当でしたので、午後の講義時間と懇親会の時間を合わせて、かなり長い時間をかけて参加者とお話ができました。講義時間より懇親会時間の方が長かったのですが(笑)


さて、毎年皆さんのお話を聞いていて感じることですが、開業について資金計画がまったくできていない方が多いことです。

他の業界で起業するのならもっと詳細を計画して行動をするはずですが、国家試験に合格した勢いなのか、開業したら何とかなると信じて、ほとんど考えていない方が多いです。

土地家屋調査士として事務所を開業されるのなら、開業資金がいくらかかるのか、そもそも開業に何が必要か、真剣に考えてみてください。


一番お金のかかるものはおそらく測量機器一式だと思います。

トータルステーション(TS)のモータードライブ付きでおおよそ200万円程度、ワンマン測量なら350万円程度、測量CADがオプション無しで100万円程度でしょうか。実は、実際に測量業務をするとすれば、他にスコップの果てまでその他の機材が結構必要です。

それらをリース等にしても最低でも毎月6万円程度からでしょうか。

この金額をどう考えるかです。実際に費用がかかるのは、事務所や他の設備など測量機器だけではないのです。


皆さんが開業したら、測量を必要とする業務がどれだけ見込めるのでしょうか。

かなり具体的に受託見込みがあれば、TS等の導入の検討も良いですが、特に受託見込みが無いのなら、最初からの導入は見合わせても良いのではないでしょうか。

仕事が来たときはTS等の測量機器は、購入しないでレンタルという手もあります。

少し仕事が潤沢に来るまで、あまり固定費を上げないことが肝要と思います。

同様に、大きな事務所や専用事務所は最初から必要だろうか、測量専用車が必要だろうか等々をしっかり考えてみた方が良いと思います。

開業にはリスクがあります。

たとえ資金があっても全額つぎ込まないことが大事です。

しばらくは仕事の受託が無くて、この資金が生活費になることが多いです。

ですから、この期間の生活費こそ開業資金だと思った方が良いと思います。

まずはスモールスタートを検討してみてください。

大きい事務所が理想なら、いずれ大きくすれば良いだけです。

一人で考えても、どうしても分からなければ、鈴木修塾(事務所開業・経営・運営編)を8月25日(金)~27日(日)に開催計画しておりますので、ご参加ください。その人に合った具体的な事務所経営戦略も含めて説明します。

土地家屋調査士   鈴木 修 ブログ: 今年の鈴木修塾の予定と参加申込み開始について (fermatadiary.blogspot.com)

















2023年3月11日土曜日

3.11から12年

 あれから12年

現実が歴史になってきた

日本中が学んだ経験が既に風化し始まっている

日本列島に住んでいる限り、震災はまた来る

それは1000年後かもしれないし、今日かも知れない

あの震災を経験した私達の世代がなすべきことがある

単なる歴史のひとこまではなく、現実感を伴った事実と教訓の伝承である

合掌







2023年3月10日金曜日

フリクションのもうひとつの進化系「フリクションボールノックゾーン」

「フリクションボールノックゾーン」

2022年11月18日の発売に合わせて購入して使ってきましたが、数あるペンの中で一番のヘビーローテーションになっておりますので、自信を持って紹介します。


パイロットのボールペン「フリクションボール」シリーズは、ボールペンなのに消せるという機能に衝撃を受けて以来、過去すべてのタイプを買ってきました。

土地家屋調査士   鈴木 修 ブログ: フリクション・ノック (fermatadiary.blogspot.com)

土地家屋調査士   鈴木 修 ブログ: 現場のマーカーはノック式に限る (fermatadiary.blogspot.com)

土地家屋調査士   鈴木 修 ブログ: フリクションボール (fermatadiary.blogspot.com)

土地家屋調査士   鈴木 修 ブログ: フリクションボール・スリム 0.38 & カラーズ (fermatadiary.blogspot.com)

土地家屋調査士   鈴木 修 ブログ: フリクションボール・ノック・ビズ (fermatadiary.blogspot.com)

土地家屋調査士   鈴木 修 ブログ: フリクションの完成形 Frixion Point Knock 04 (fermatadiary.blogspot.com)

そして、2020年5月19日に書いたブログ記事で「フリクションの完成形」と紹介した「フリクションポイントノック0.4」が昨年までの一番(当社比)でした。

従来の「フリクションボール」と比べて、インクが濃くてフローが滑らかでとても気に入りました。「フリクションポイントノック0.4」のすべての色も買ってペンケースに入れて持ち歩きました。それだけ気に入っていました。

ただし、それでも、私のヘビーローテーションの一位にはなっていませんでした。

従来の「フリクションボール」に比べてインクの色は濃くなったのですが、他のゲルボールペンなどに比べれば、やはりインクの色が薄かったのと、0.4mmの細線なので、その分更にインクが薄く見えることが残念でした。

今回発売されたこの「フリクションボールノックゾーン」のインクは圧倒的に濃くなりました。

「プレミアムフリクションインキ」と言うらしいです。

その濃いインクが、インクフローが少し多すぎるくらいに滑らかに出ます。

実はこのインクが黒いという特徴だけでなく、このボールペンは以下の最新トレンドを全部盛りで発表されました。

  1. Ver.2(バージョン2)レフィル搭載
    樹脂レフィルから金属レフィルに変更してインク容量が1.7倍
  2. チップホールドシステム
    独自の保持機構を仕込んでペン先がブレない
  3. ノイズカットノック
    ノックの音が静かになった

これらの特徴って聞いたことあるでしょう。

1.は、三菱のジェットストリームの最新レフィルと同じです。以前ブログ記事で紹介していますね。

土地家屋調査士   鈴木 修 ブログ: ジェットストリーム 新しい3色ボールペン (fermatadiary.blogspot.com)

2.は、ゼブラのブレンで発表された機能です。
3.は、ぺんてるのカルムと同じですね。

それぞれのペンが売れているのですから、全部盛りの「フリクションボールノックゾーン」は最強です。もっとも同じ機能を発揮させるために、機構は独自に開発しているようです。


今のところ、私の普段使いは、ほぼこの「フリクションボールノックゾーン」になりました。

使わない場面は、消せるインクが使えない文書(宛名書き、契約書署名など)に手書きするときくらいでしょうか。

ラインアップも500円(税抜き)2000円(税抜き)3000円(税抜き)の3種類が出ていますし、従来のフリクションノックにも使える「フリクションボールレフィルver.2」(2本入り500円(税抜き))も、0.5mmと0.7mmでそれぞれ黒、赤、青の3色が発売されました。


左が従来のリフィル、右がVer2リフィル

私の持っている「フリクションノック」の全部に、この新しいレフィルを入れました。

文具は経済性ももちろん大切ですが、ビジネスシーンで日々気持ち良く使えるのなら、安いモノだと思ってしまいます。

まずはこの廉価版の500円(税抜き)を使ってみてください。重量も一番軽いので使いやすいと思います。気に入ったら高級版を買い増しても良いと思います。

従来の「フリクションボール」しか知らなかったのなら、使ってみて驚くと思います。



2023年3月3日金曜日

開業42年

 3月3日は私の開業記念日です。

私のお祝いのために、毎年日本中が人形を飾ったり、菱餅やあられを準備したりしています。

ありがたいことです。


42年前は本当に何も知らないで開業しました。

補助者もやらずに開業してしまったので、当たり前です。

実力の世界ですから、当然仕事が来るわけがありません。

最初の1か月の収入は1500円でした。

それでもありがたい1500円でした。

学校を出たばかりでしたから守るべきものもなく「何とかなる」と思えたのはある意味恵まれていました。


私が全国で一番できない土地家屋調査士であることだけは自覚していました。

同じ合格者たちと話していても知識量が違っていました。

だから勉強しました。ここまで42年間、どんなに疲れても、お酒を飲んでも、勉強をやめた日はありません。

実力の世界だからスポーツの世界と同じです。

愚直に走り込みをするしか無いのです。それも休まずに毎日です。

できれば良いコーチにつけばもっと良かったと思いますが、当時はそれにも気が付かずに愚直に走り込んでいました。


過去にこの仕事を辞めたくなったことは3回あります。

偶然も重なったのですが、なんとか踏みとどまりました。

今はこの仕事を選んで後悔はしていません。

なんとかここまで来ました。


今の私なら、当時の私にアドバイスする言葉をたくさん持っています。

それらを、今の後輩たちに伝えることが私のライフワークになっています。

お客様や後輩たちの役に立てるのならば、もう少しがんばりたいと思います。