2013年8月30日金曜日

スタビロ・ワーカー・ローラーボール


私にとって久しぶりに水性ボールペンです。
ちなみに「ローラーボール」と「水性ボールペン」は同じペンを指しますが、欧米では前者、日本では後者の呼び方が多いようです。


さて、私は水性ボールペンしか使わない時期がありました。

以前の油性ボールペンは、ぼたオチが多く、インクの粘性が高いので書き味が悪かったのです。もちろんインクの高粘性のため、インクの滲みが少なく裏移りがないなどの利点もありました。
また、万年筆と違い、筆圧をかけても、まったく問題が無いため、カーボン紙で副本を作る用途にはボールペンしか選択肢はありませんでした。納得はしていないけれど、油性を使っていました。

そんな古いタイプの油性ボールペンしか無い頃に、発表された水性ボールペンの書き味に衝撃を受けて、それ以来油性ボールペンを使わなくなったものでした。
水性ボールペンの書き味は、万年筆に迫るくらいの滑らかさがありました。その割に万年筆ほどのメンテナンスは不要ですし。乾けばインクも油性ほど擦っても汚れません。しかし水には滲みますので、残すための文書には使いづらい側面も有りました。

その後、最近のジェットストリームをはじめとするニュージェネレーションが開発され、私も使い出したら、過去のボールペンの問題がほぼ解決されていて、これらが普段使いボールペンのクリーンナップになってしまいました。
そのクリーンナップの前後をつなぐ打線のインクにはフリクションボールを使い、ここ一発の滑らかさが必要な時は万年筆かインジェニュイティを代打に使い、気が付けばいつの間にか水性ボールペンはベンチ入りもされていませんでした。

話しを戻しますが、写真のペンは、スワン・スタビロのワーカーのローラーボールです。
スワン・スタビロ社はドイツの文具メーカーで、BOSSという蛍光ペンが有名です。私も使っています。
ペンも人間工学に基づく形状のものを多く発表しているメーカーで、決して高くはないけれど、品質の良い多くの文具を出している印象があります。

そしてこのワーカーシリーズは、人間工学に基づいたデザインで、ウエストに「くびれ」が有り、軸には、滑り止め加工が施されているペンです。軸の真ん中一箇所に小さな突起があり、キャップを外しても転がらないような配慮もあります。

もちろん書き味がとても良いです。品質の良い水性ローラーボールは気持ちよいですね。
Mediumと表記された0.5mmの水性ローラーボールのチップの太さが絶妙です。日本メーカーの0.5mmよりもずっと太いようです。
以下の写真は「フリクションボール・いろえんぴつ」の0.7mmと比較したモノです。



とにかくインクの発色も美しいし、一本お勧めします。
私もお陰様で水性ボールペンの良さを思い出しました。また久しぶりにベンチ入りです。

日本では、この軸の色のスタビロのワーカーは発売されていないと思います。
実はこれ、友人のタイからのお土産なんです。鈴木のお土産は何が良いだろうと思って、タイで文具を買ってくれたようです。とても嬉しいです。鈴木イコール文具というイメージを持ってくれたことは本望です。

そうか、ここでもう一度書いておくと、良いこと有るかな。
はい、私は「文具ヲタク」です。



*2013/08/30 文脈修正

2013年8月28日水曜日

本日の研修会の論点

宮城会の皆さん、本日の研修会お疲れ様でした。
また他の会からもたくさんの受講者に来て戴いてありがとうございました。
主催者としてはとても嬉しいです。

さて、本日の研修会は結構反響が有りました。
タイトルは、「境界立会業務等及び境界確定図面等作成において土地家屋調査士が留意すべき事項」について」
やはりタイトルは長いですね(笑)

土地家屋調査士が日常的に業務として扱っている「土地境界立会」と「土地境界確定図」というものは、果たして法的にどのような位置づけなのか。
隣接者が立ち会って見ているものは何なのか。
その立会に臨んで土地家屋調査士が調査しているものは何なのか。
その図面のタイトルは「土地境界確定図」で良いのか。
図面の中の「本図境界のとおり異議ありません」とは、何をどのように意思表示したことになるのか。
たくさんの論点がありました。
法的に100%確立されているとも言えない部分もあり、今回の研修会は第2部はディスカッション形式で、論点を抽出して検討を加える方法を採りました。

本日参加できない遠方の土地家屋調査士の皆さんの為に、第2部の論点をレジュメから抽出します。
「俺はこう考える」と皆さんは各々答えを持っているでしょう。
しかしその考え方が法廷でも通用するのかどうかが問題です。
今回は、答えを書きません。
以下のQを一度皆さんで議論してみてください。参考になると思います。


1 筆界と所有権界

Q1 土地家屋調査士が、民間相互の土地境界協議において、筆界を意識するのはどのような場合か?

Q2 土地家屋調査士が関与する民間相互の土地境界協議において、関係当事者は、筆界と所有権界との違いを意識しているか?

Q3 筆界付近地の時効取得の成立が疑われる場合、土地家屋調査士はどうするか?

Q4 筆界とは思えない線で相隣接地所有者が境界合意をしている場合、土地家屋調査士はどうするか?

2 立会・承認の適格を有する者

Q5 隣接地の所有権登記名義人等が死亡しているとき、誰に立会・承認を求めるか?

Q6 隣接地が区分所有のマンションの場合はどうか? マンションの管理人、マンションの管理者、マンション自治会の代表者はどうか?

Q7 土地が信託財産の場合、委任者Aと受託者Bのいずれに立会ってもらうべきか?

Q8 所有権の仮登記を受けている者が真の所有者であると主張している場合はどうか?
 (1) 所有権移転の請求権を保全する仮登記
 (2) 死因贈与の仮登記、都道府県知事の許可を条件とする農地の所有権移転の仮登記

3 立会・承認の実務
 ※ 所有権界調査の場合
 ※ 筆界調査の場合 登記官による分筆、地積更正、地図訂正の前提として、筆界調査に際しては、相隣接地所有者の署名又は記名及び押印のある筆界承認書等の提出が求められている。これは、次のことの各証明として求められていると解される。
 ア 筆界の相互承認があること
 イ 隣接地侵害がないこと
 ウ 紛争性がないこと

Q9 隣接土地所有者は、境界確認に立会う義務はあるか?
 (1) 所有権界調査の場合
 (2) 登記官による筆界調査、地籍調査の場合
 (3) 土地家屋調査士による分筆、地積更正などの申請のために行う筆界調査の場合

Q10 隣接土地所有者に対する立会の依頼を誰が行うか(依頼人か調査士か)?

Q11 境界確認の立会の際、土地家屋調査士は関係当事者に対しどのような説明をするか?
 (1) どのような説明をしているか。
 (2) 何を説明すべきか。

Q12 隣接土地所有者が立会や承認印の押印を拒否するケースにはどのような場合があるか?

Q13 立会のお礼(謝金)は必要か? 交通費や日当を請求された場合はどうするか?

Q14 遠隔地に居住する所有者については立会を求める通知を省略することができるか?

Q15 老齢の本人の立会を求めて境界確認を行った後に、その妻や子が異議を唱えているときはどうしたら良いか?

Q16 共有者の一部の者が立会あるいは境界石の新設・復元を渋っている場合はどうするか?

Q17 隣接者の1人が「Aの印は実印でないから、私は承認できない。」と言って承認を拒否する場合はどうしたら良いか?

4 境界立会確認図、境界確定図、筆界確認書+測量図

Q18 各立会当事者から承認をもらった図面(現地復元性があるもの)の記載内容に誤りがあった場合 ( ①結線の誤り ②長さの表示の誤り)、その図面の効力はどうなるか?
 (1) 筆界判定に対して
 (2) 所有権界に対して

Q19 「確認された境界につき、問題が生じた場合は、A調査士において全責任を負う。」との念書を書いた場合、その効力は?

Q20 立会当事者の全員から境界確認図面について承認をもらった後に、Aから立会・承認のやり直しを求められたが、どうしたらよいか?
 (1) 筆界判定について
 (2) 所有権界について
以 上


*2013/8/28 誤字修正

2013年8月26日月曜日

明日は研修会です。有意義ですよ。

明日27日は、既にご案内のとおり、宮城県土地家屋調査士会の研修会です。

講師は我が会の顧問弁護士で、お馴染みの斉藤睦男先生です。
タイトルは、「境界立会業務等及び境界確定図面等作成において土地家屋調査士が留意すべき事項」について です。
タイトルは長いですか(笑)

近年境界に関する争いが多くなってきました。
私達が長年毎日のようにやっている「土地境界立会」という業務と、それに伴って作成される「土地境界確定図」と言われる図面を、今一度法的意味合いから確認してみる研修会を企画しました。

立会業務とは、何を求めるために何を立ち会っているのか?
そうであれば、相続未登記・共有・高齢者・遠隔地居住・仮登記・・・どこまで誰に立会を依頼すべきなのか?
筆界と異なる境界の合意がなされた場合にはどうなるのか?
境界立会確認の効力は、買主にも引き継がれるのか?

そして作成する図面のタイトルは「境界確定図」で良いのか?
その図面の記載内容に誤りがあった場合の効力は?
辺長に誤りがあった場合、境界標の写真に誤りがあった場合、現況平面図に誤りがあった場合・・・についてはどう考えるのか?

いろいろ議論ができると思います。
研修部が練りに練った企画です。
皆さんの日常業務の参考になると思います。

全員参加でお願い致します。


1.日 時
  平成25年8月27日(火)
  午後1時30分~午後4時30分

2.場 所
  宮城県教育会館」2F フォレストホール
  仙台市青葉区柏木 1-2-45

3.研修
  「境界立会業務等及び境界確定図面等作成において土地家屋調査士が留意すべき事項」について

4.講師
  宮城県土地家屋調査士会 顧問
  斉藤睦男 弁護士

2013年8月25日日曜日

土地家屋調査士筆記試験お疲れ様でした

本日8月25日は土地家屋調査士筆記試験の日でした。
法務省の発表によると出願者は、6,017名だそうです。
当日欠席者もいるでしょうが、今年も合格率は8%前後でしょうか。
お疲れ様でした。

本日試験終了後、宮城県土地家屋調査士会の役員が、受験生の皆さんにアンケートをお配りしましたが、ご協力をよろしくお願い致します。これは日本土地家屋調査士会連合会が、今年から受験生の皆さんのお考えをお伺いして、今後の試験制度を考えるためです。

さて、この土地家屋調査士試験は、毎年世間がお盆休みしている翌週の日曜日に開催されることが通例です。毎年受験生の皆さんは、最後の追い込みが暑い夏なので、ご苦労されます。今年の受験生の皆さんは、今日悔いの無い受験ができたでしょうか。

とても疲れたでしょうね。
今日はゆっくり休んでください。
11月12日の合格発表まで休みたいのが人情でしょうね。
でも、一週間以上勉強を休んではいけません。

筆記試験合格された方は、11月21日に口述試験があります。
そして、その後には本格的なプロの専門家としての勉強が続きます。
勉強を続ける癖を付けておかないと、専門家として成り立ちません。
皆さんは勉強を続けてきたのですから、せっかくのその習慣を消さないでください。

試験の日に野暮なこと言うようですが、それがプロです。
そしてこの世界は皆さんが望んでいた実力の世界です。
コネが無くても、本当に実力を付ければ、いずれ必ず仕事が来る世界です。
最高の営業が勉強なのです。

開業することで悩んだら、全国50会の土地家屋調査士会にご相談ください。
東北ブロック協議会では、年明けに「開業ガイダンス」を開催する予定です。
参加戴ければ、参考になると思います。
詳細は決定次第、直接及びこのブログでお知らせします。

暑いところ、本当にお疲れ様でした。
宮城県土地家屋調査士会で入会お待ちしております。


以下は過去のブログです。
受験者の皆さんの参考になれば良いのですが。

土地家屋調査士筆記試験合格者発表
祝!合格-今が一番入会に適した時期
開業する決断
合格者開業ガイダンスの準備
土地家屋調査士試験合格者のための開業ガイダンス
試験合格者の悩み






2013年8月23日金曜日

本当に筆界は「神のみぞ知る」なのか

昨日「平板測量のすすめ」を書きましたところ、少し反響を戴きました。
皆さん、平板測量などの過去の測量方法を改めて勉強したいとのメールでした。
平板測量などによる図面は、今の測量機器に比べれば、やはり精度が悪いということで、今まで何かいいかげんなもの(参考にできないもの)という印象を持っていたとのことでした。

そうです。違うのです。
当時のまじめな先輩達が、当時の最先端の道具で測量したのです。いいかげんなものである訳がありません。
問題があるとすれば、現代の私達の読み取る力の方です。

もう一つ皆さんに考えて欲しいことがあります。
筆界は「神のみぞ知る」という言い方がされることがありますね。

本当に筆界は「神」しか見たことがないのでしょうか。

そんな訳はありません。
地租改正の時に、地番を付けて地積を測量したのは、当時の「人間」です。
当時の人間は筆界を見て、当然に筆界を知っていたのです。

だからいわゆる旧公図などは、大半は筆界を直接測量したものです。
当時はトータルステーションなどが無かったので、十字法などの方法で測量しただけのことです。
それに比べて、今の私達は確かに測量精度が上がっていますが、筆界については推定しているにすぎません。
むしろ現代の新しい地形地物や、新しい人間関係の立会証言に翻弄されて、旧公図よりも筆界から乖離した図面を作成しているかも知れません。

もっと謙虚に過去の資料を読み解く必要が有ると思います。
過去の図面を見て、当時の測量者が何を見て、どんな道具で、どんな方法で、何を目的として、調査したのかを想像するのです。
そうすれば、私達が資料たり得ないと思っていた古い図面が雄弁に語り始めるはずです。

自分が謙虚になって他を見れば、そこから真実が見えてくることは、何も筆界に限ったことでは無いですね。



2013年8月22日木曜日

平板測量のすすめ


本日他会の後輩土地家屋調査士に、過去の地積測量図についての質問を戴きました。
「事件の資料として使用する過去の地積測量図に記載されている筆界線の辺長について、小数点以下の桁が1桁のものと2桁のものをどう考えるか」という問題でした。

具体的にお話しを聞いてみると、有効数値だけの問題ではなさそうです。
どうも過去の測量についての知識が不足しているようでした。
過去の地図や測量図を読み解くには、現代の測量ノウハウを持っているだけでは不足です。その時代の制度と測量機器とその方法を知らなければ、理解できません。

それは古文書を読み解くときに、その時代の制度や文化、人々の生活、そして作者の立場と人となりを知らなければ、理解できないことと同じ事です。

以前にも、過去の平板測量時代に作成された測量図に疑問を持っている後輩から相談されたことがあります。
彼は、三角形の3辺の長さと底辺に対する高さの記載がされている測量図を前にして、「この3辺ならこの高さになる訳がない」として、「この図面が間違いである」と主張していました。今の座標計算で計算すれば、確かにその図面記載の高さは微妙に最終桁の数値が違います。
しかし、その測量図は間違いではありません。この後輩は当時の平板測量の仕組みとその方法を理解していないから、この疑問が生じたのです。

私が入会した頃には測量を平板測量で行っていた会員さんも半分程度いました。
その後、急速に時代は変わり、平板測量は無くなったので、今の会員さんで実際に平板測量をしたことが無い人も多くなりました。
そこで若い会員さんは平板等の昔の測量機器で測量した成果を「いい加減なもの」と判断することがあるようです。
しかし、当時の先輩方は、むしろ今の私達よりもまじめな世代です。当時の道具を駆使して、当時の最高の図面を作成していたはずです。

以前も書きましたが、私は司法修習生を預かって、地図の読み方を指導していた事があります。座学以外にも、地図や公図の読み方を理解してもらうために、現場に出て平板とトランシットを使って測量体験をしてもらったのです。
平板測量するときの彼らはとても嬉しそうに作業していました。
また同じ土地をトランシットで測量して関数電卓で座標計算もしてもらいました。
彼らは、実際に体験して測量を理解し図面の読み方を理解できたと思います。
その後、彼らは弁護士や裁判官になったのですが、おそらく事件に臨んで「昔の図面だから合わないものだ」というような安易な答えは出さないと思います。

後輩達に言いたいのです。
現代の土地家屋調査士が、最近数年の測量図だけ読めば済む仕事なら、何も言いません。
土地家屋調査士は、筆界特定や境界鑑定業務をわざわざ持ち出さなくても、日常業務でいつも古い図面を読み解かなければならない仕事です。
当然にその図面ができた頃の様々な研究もしなければなりません。その一環として平板測量や地租改正の頃の十字法等の測量も一度体験すべきです。
また、過去の勉強をしていない人に限って、最先端の勉強もしていないようです。

繰り返して言います。
過去の測量はいい加減な測量ではありません。
一生懸命測量してみて、その道具の持っている精度の限界を体験すればわかります。
そこの研究をしないで、過去の資料に向かい合うことの方が、とても「いい加減」と思います。






2013年8月20日火曜日

スキャン・ノート Scan Note

2012年9月24日のブログで「スマホ連携文具」について書きました。
キングジムの「ショット・ノート」シリーズをはじめ、かなり売れているようです。
以前も書きましたが、これらのノートに共通する機能としては、手書きの紙のノートをスマートフォンで撮影して、そのスマートフォンのアプリで台形補正し、送信して電子データとして整理します。

その後、コクヨの 「キャミ・アップ CamiApp」等の競合製品が出て、シリーズ展開も含めて文具店でも一定の売り場面積を占めるところまで来ています。

新しいモノ好きの私は、当然にその新しいコンセプトに敬意を払い、今まで何冊か買ってみました。

しかし前回のブログでも書いたのですが、どうもしっくり来ないのです。
ノートを電子化するのに、普通はスキャナが有れば良いだけです。
そして、そのデータに台形補正がどこまで必要でしょうか。
台形補正により手書き文字がOCR可能になるなら別ですが、それも無理となると特に必要が無いと思われます。
なにしろ普通の厚さのノートですから、そこまで歪んで見える角度で撮影することも無いですし。

ということで、結局私は、通常ノートをスキャンして、そのデータをEvernoteに送るという作業に戻っています。

もちろん出先で閃いたアイディアを筆記して、そのまま誰かにメールするなどの用途には「ショット・ノート」等は向いているでしょう。私はそんな機会が少ないですが。 

さてスキャンするとなれば、どんなノートが良いでしょうか。
切り取りやすいということに着目すれば、一番はルーズリーフ式のノートです。
その次はリングノートが良いはずです。
しかし、どちらも厚いのです。
持ち歩くことに着目すれば、リングが邪魔になります。
私の鞄の中は、昔から様々なツール(他人はオモチャと呼ぶ)が入っているので、できるだけ薄いノートがありがたいのです。
そうなると糸綴じの大学ノートになります。

ただ大学ノートは、スキャンするために切り離すには、裁断機で一気に行くか、カッター等で分解していくか、どちらにしても面倒です。

そこで最近使っているのが、キングジムが出した「スキャン・ノート Scan Note」です。
もう10冊程度使ってみていますが、この用途としては、かなり気に入ってます。


コンセプトが、ページを切り離して、ScanSnap でスキャンし、Evernoteに送るというものです。
私の行動パターンを見て、私の為に作ってくれたとしか思えないノートです。
キングジムさんありがとう。


上の写真を見てください。
ノートには切り離しやすいように上下に「切れ込み」があります。
そしてその「切れ込み」から始まって、とても細かいミシン目があります。
ここからとても綺麗にノートを切り離すことができます。

またノートを切り離さないで、従来のスマホ撮影でデータ化する人の為の配慮もされています。
ページの真ん中がグレーに塗られているのです。
これはスマホ撮影時に、ページ毎の認識に利用するためです。
よく考えられています。




この細かいミシン目のお陰で、切り離すのにまったく力が要りません。
あのロディアより細かいミシン目です。
このお陰で、切り離したノートの端は、綺麗な切り口になります。
ここが大事です。
これでスキャナーに対する機械的なトラブルは、皆無と思えます。

アナログな紙データをデジタルデータにするために、スキャンすることを前提に作られたノートとして、特筆すべきモノだと思います。

新しいモノ好きの私の中でも、定番になる予感のノートです。








2013年8月19日月曜日

ロバート議事法

17日に和歌山会の役員研修会に伺いましたが、私の講義の前に和歌山青年会議所の三宅猛氏による「ロバート議事法」の講義がありました。

ロバート議事法はご存知の方も多いでしょうが、1876年にアメリカ合衆国陸軍の少佐であったヘンリー・ロバートがアメリカ議会の議事規則を元に、もっと普通一般の会議でも用いることができるよう簡略化して考案した議事進行規則です。

内容を少し紹介しましょう。

会議とは、納得いく結論を導く為に意見を交換する手段です。
ですから
・会議に出席するということは
出席者が共通の問題として考える
出席者全員が討議に参加する
決定したことを支持し忠実に実行する

・会議を行うことで
共通の結論を得る(総意)
個々の構成員が責任を自覚する
組織のチームワークを作る
組織が円滑に運営され責任を明確にできる

・会議の心得
会議成否の責任を持っている
個人攻撃をしない
他人の意見を聞く気持ちを持つ
偏見をとり他人の意見を聞き尊重する
面子意思恥に固執しない
定刻開催に協力する
決定したことを支持し忠実に実行する

・会議成功のために
まず準備が大事
事実資料の収集
議案書(資料)の作成
スケジュールの検討
質問を想定する

・それ以外にも
会場の設営 さらに運営(議長、スタッフ)
出席者への案内・事前説明

・そんなこんなの会議も
共通のルールが無ければ
公平・公正に運用することができない
だから「ロバート議事法」となるのですね。

ロバート議事法には以下の4つの権利と4つの原則があります。


4つの権利
・多数者の権利
・少数者の権利 
・個人の権利
・不在者の権利

4つの原則
・一事一件の原則
・一事不再議の原則
・多数決の原則
・定足数の原則

その後、講義では会議中に使われる具体的な25の「動議」の説明が続きました。
詳細はここで書ききれませんが、興味の有る方は調べてみてください。


私も4年前会長になったときに一度調べてみたことがあります。
そのままでは馴染まない内容も有るのですが、土地家屋調査士会の理事会や総会を運営する上でも一度検討しておくべき考え方だと思っていました。
その割には忘れていたことも多いですが。

今回、役員全員で「会議についての研修」を聴講した和歌山会に敬意を表します。








2013年8月17日土曜日

和歌山会役員研修会前日

本日は和歌山にいます。明日17日の和歌山県土地家屋調査士会役員研修会の前乗りです。
他会の役員研修はとても難しいです。前日でも結構迷っています。
その会の伝統的な考え方も有るでしょうし、支部と本会の役割分担や、ADRセンターと筆界特定制度の連携や、政治連盟や公嘱協会との連携などのニュアンスを掴まないと、あまり伝わらない研修会になってしまいます。

それでも役員対象の研修会を企画するだけでも、和歌山会はとても前向きな会だと思いますので、何らかのお役に立とうと思っています。

さて、土地家屋調査士会の目的とは何でしょうか。
土地家屋調査士法第47条第2項に、その目的が示されています。

調査士会は、会員の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とする。

この目的の為に会長がいて、副会長がいて、総務部が有り、財務部が有り、業務部が有り、研修部が有り、広報部が有るのです。
そこを再認識しましょう。


とすれば、基本的に明日役員にお伝えすべきことはこんなことでしょうか。
土地家屋調査士の品位とは何か
土地家屋調査士の業務とは何を指すのか、過去から未来へ業務はどう変わるのか
業務の改善と進捗とはどの方向なのか
会員を指導するとはどこまでのことなのか
会員に連絡するとは何を連絡するのか

これらを理解する為には、土地家屋調査士の有るべき姿が明確でなければなりません。
その為には日本における専門家としての資格制度を理解しなければなりません。
その理解は制度発足から、現在、そして未来への状況を理解しなければなりません。
また土地家屋調査士会と支部、また土地家屋調査士会と日本土地家屋調査士会連合会との役割分担を明確にしなければなりません。

制度について直接働くことができるのは、連合会役員のみです。
その為に日本土地家屋調査士会連合会は目指す制度戦略が明確でなければなりません。
その戦略を策定する為に連合会役員は世界の流れから制度を理解しなければなりません。
所属単位会役員でやってきたことと連合会役員でやることは目的が違います。

では単位会役員は制度を理解しなくても良いのでしょうか。
絶対にそんなことはありません。
直接の目的でないにしても、それを理解しないで法47条2項に定められた単位会の目的を達成することはできません。
明日は一方的な講義だけでなく、皆さんと土地家屋調査士のあり方から議論して、その後具体的な各部の動きと会議の方法についても議論したいと思っています。




2013年8月8日木曜日

誤報!奈良震度7 あなたは何をしましたか?

本日16時56分に奈良県を中心に震度7、マグニチュード7.8の緊急地震速報が出ました。
近畿地方は個人的にも友人が多いので、とても心配しましたが、誤報と分かり一安心したところです。

<緊急地震速報>「奈良中心に強い揺れの予想」も震度1未満
毎日新聞 8月8日(木)17時16分配信

 気象庁は8日午後4時55分に緊急地震速報を発表、奈良県を中心に近畿、中国、四国、中部、北陸、関東に及ぶ広範囲で強い揺れが予想されるとして注意を呼びかけた。
 しかしその後、気象庁は、午後4時56分に起きた地震の震源地は、和歌山県北部(北緯34.2度、東経135.3度)で、震源の深さは約10キロ、地震の規模を示すマグニチュードは2.3、震度1以上の揺れが観測されなかったと発表した。 


震度7がどれほどのものか、東北の私達は身に染みて分かっています。
だからとても心配をしました。
誤報は電気的ノイズが原因かと言われているようですが、気象庁は原因を追及して、その上で今後も誤報を恐れずに速報を出して欲しいと願います。



さて、このブログを読んでくださっている近畿の方々。
本当に誤報で良かったですね。

さて、地震の速報を受け取った近畿の皆さんは、その速報から1分間で何をしたか思い出してみてください。
その時何をやっていて、速報を得てとっさに何をしようと思いましたか?
瞬時に自分のおかれた今の状況を判断して、身を守る行動をとりましたか?
行動をしたとして、今振り返ったらそれはベストな行動でしたか?
以外と何もできなかったでしょう。

慌てずに「どれどれホントかな?」ってネットでも検索したりしてたんですか?
それは偉くないですよ。

 「オレは誤報が出たことも知らなかったよ」と言う人は、もっと問題でしょう。
 
1分。最大でもそれくらいしかできないはずです。
本番では揺れるまでにほとんど時間が無いです。
直下型地震では、むしろ揺れてから速報が鳴ることが多いです。
東日本大震災でも同時でした。

今日のその一瞬を、もう一度思い出してください。
満足な動きができなかったのなら、自分と自分の家族のために反省をしてください。
そして、このブログを読んでいる今の状況で、もしまた震度7の速報が鳴ったら、何をするのがベストか考えてみてください。

そして気象庁を責めずに、良い予行演習ができたと、考えてみましょう。
 

2013年8月7日水曜日

「15分で結論を出す」 についての質問に答える

先日長野支部の方からこんな質問を戴きました。

先生のブログに 「15分で結論を出す」 という記事があり、興味深く拝読しました。
しかし、優柔不断な私には、15分で結論を出すことができないことが日常茶飯事です。一晩ならいいほうで、2日も3日も考えた挙句・・・ということもあります。どうしたら、そんなに早く結論を出せるようになりますか?何かコツのようなものがあるのでしょうか?
それとも個人の器量の問題でしょうか?


これは2010年5月25日のブログに書いた記事「★15分で結論を出す」についての質問ですね。

これについては、個人の器量ではなくて、決め方のルールの問題と思います。
私は「大抵の問題に対する結論のタイムリミットを15分とする」というルールを採用しています。
何故15分かというと、それ以上考えても結論が変わることはあまりないと思うからです。

もともと迷うと言うことは、どちらの結論を採択しても、大きな間違いでは無いと分かっているものです。話にならない選択肢は、既に迷いから外れていると思います。

自分の頭の中の引き出しを捜しても、そんなに時間がかかる訳がありません。
また、もともと悩む問題を持つと言うことは、その人がその問題を解決すべき立場の人だからです。だから、本人がまったく答えられない問題は課せられないはずです。

結論を導くために重要な要素が自分に無いとすれば、「それを調べる」または「誰々に尋ねる」という結論がすぐに出るはずです。
もちろん、この「15分で結論を出す」という時間の中に、結論に基づく作業時間は含まれません。作業をするかしないかと決めることなら15分以内のはずです。
その要素が揃ってから、結論を出すのに、また15分以内で出るはずです。

では何故何日も悩む人がいるのでしょうか。
おそらく、既に出ているその結論を、自分で受け容れるのが嫌だからでしょう。

たとえば、何かミスをしてしまった。そのために他人に迷惑をかけてしまった。
それなら謝るしか無いでしょう。
でも、謝りに行くのが嫌なんでしょう。
誰でも瞬時にたどり着いている結論を、自分がやりたくないから何日も悩むのでしょうね。
答えが決まったらやるしか無いのです。


本当に答えが決まらないのなら、いつまでも他人に尋ねるとか、調べるとかしていないだけでしょう。

「土地家屋調査士を開業すべきか」
たとえば、そんな問題に答えを出せないと悩んでいるあなた。
それはそうです。
あなたの引き出しに、決めるための要素が無いからです。
それでは悩んでいることになりません。
さっさと誰か身近の土地家屋調査士に質問すべきです。
それも複数の土地家屋調査士に質問すべきです。
もちろんネットで質問より、リアルに土地家屋調査士に会った方が良いでしょう。
そういう答えを15分以内で出すべきです。

自分で結論を出せない項目があれば、遠慮無く相談ください。
もしあなたの質問に答える要素が私の引き出しに無ければ、15分以内に誰か紹介しますよ。




2013年8月6日火曜日

余震1万回

昨日4日12:32、宮城県沖地震が発生しました。
最大震度5強。マグニチュード6.0。
東日本大震災の余震です。

この地震が東日本大震災以降の有感地震9999回目。
その14分後に1万回を記録しました。
これからも10年、20年の単位で、かなり長い間余震と付き合わなければなりません。
この程度の地震の継続で、地殻の歪みのエネルギーを放出してくれるなら、それはとてもありがたいと思います。

今回は震源地が近く、縦揺れのP波でしたから、地震の揺れが収まってから携帯の地震警報が鳴りました。
これは仕方ないでしょう。
我々はもう慣れなければなりません。
そして常に備えなければなりません。

今回もすぐに携帯の電波が制限されました。
こういうときに一番良いのはメールやSNSです。
メールやSNSができる人は携帯で通話を極力遠慮しましょう。
本当に必要な人に電波を空けましょう。

地震が来る度に津波のチェックをしましょう。
まず津波から逃げることを最優先に考えましょう。
地震の時には格好を付けても意味がありません。
大袈裟くらいが良いのです。

皆さんは喉元過ぎて忘れていないでしょうか。
気が緩んでないでしょうか。

防災グッズはいつの間にかどこかにしまい込んでいませんか。
非常食や非常用飲料は、賞味期限は過ぎていませんか。

東北以外の地域に住んでいる皆さん、また「俺の地域は震災に関係ない」という意識に戻っていませんか。

残念ながら、防災を再確認させられるタイミングで余震が来ます。






2013年8月3日土曜日

ADRセンターにおける土地家屋調査士の役割

8月1日に「みやぎ境界紛争解決支援センター」の運営委員会が開催されました。
センター長も替わり委員も若干替わりましたので、具体的な事例を基にこれからのセンターの運営について意見を交換しました。
センターに関わるすべての人の考え方を統一するために、様々な議論をしたのですが、会議では前向きな意見が出て、私にとっても、とても嬉しい会議でした。

さて、ここでADRセンターにおける土地家屋調査士の役割についての考え方を少し整理させてください。若干勘違いしている人が多いような気がしていますので。

センターに相談に来る方々の問題は、確かに境界そのもののトラブルも有りますが、むしろ「境界に起因する・・」または「境界に関連する・・」問題で、最終目的は「境界がどこか」とは違う問題かもしれません。
私達土地家屋調査士は、常に境界(筆界)を捜す仕事をしているから、センターでもどんな問題が来ても、まず筆界を捜すスイッチが入ることが有るようです。
これが場合によっては、問題解決の妨げになることがあります。
筆界を探すのが目的なら、筆界特定制度を利用すれば良いのです。

ADRセンターは話し合いの場です。
隣地問題の一番難しいことは「裁判で勝っても負けても隣に住む」ということです。
だから勝ち負けではなく、話し合いが望ましいのです。

そして、筆界は話し合いでは決定できないものです。これは判例を持ち出す必要もないくらい明白なものです。話し合いできるものは、所有権や利用権の範囲です。

調停は「何が正しかったかではなくて、これからどうするか」を話し合うものです。

たとえばADRセンターに相談に来る人は、壊れた擁壁をどうするかとか、通行権をどうするかとか、水利権をどうするかとかが最終目的かも知れません。
筆界は後でも良いのです。
話し合いでお互いがどうすべきかを決めて、せっかく決まった事項に法的安定性を持たせるために登記すべきであることを示し、その過程で事務的に筆界を確認することで良いはずです。

もちろん途中で筆界を確認することで話し合いがスムーズに進むケースもあるでしょう。それはケースバイケースで判断すればよろしいと思います。
私が言いたいことは、先に筆界に拘泥してしまうと「誰が良い、悪い」という議論に直結しがちで、まとまるものもまとまらなくなるということです。

私達は境界に関するADRセンターを担当すべき唯一の専門家です。
それは「境界に関する知識や技術を一番持っている専門家であるから」という理由は当然ですが、むしろ毎日の境界立会の経験の積み重ねにより「境界に関する地権者の思いを一番理解できるから」という理由だと思っています。
自分が主導権を取って筆界を探し始める前に、静かに両者の境界に関する発言を聞けば、「この人はこんな言葉を発しているけれど、本当に求めているのはこんなことだ」ということが、理解できるはずです。
この能力がADRセンターでとても大事な能力と考えています。