2013年8月23日金曜日

本当に筆界は「神のみぞ知る」なのか

昨日「平板測量のすすめ」を書きましたところ、少し反響を戴きました。
皆さん、平板測量などの過去の測量方法を改めて勉強したいとのメールでした。
平板測量などによる図面は、今の測量機器に比べれば、やはり精度が悪いということで、今まで何かいいかげんなもの(参考にできないもの)という印象を持っていたとのことでした。

そうです。違うのです。
当時のまじめな先輩達が、当時の最先端の道具で測量したのです。いいかげんなものである訳がありません。
問題があるとすれば、現代の私達の読み取る力の方です。

もう一つ皆さんに考えて欲しいことがあります。
筆界は「神のみぞ知る」という言い方がされることがありますね。

本当に筆界は「神」しか見たことがないのでしょうか。

そんな訳はありません。
地租改正の時に、地番を付けて地積を測量したのは、当時の「人間」です。
当時の人間は筆界を見て、当然に筆界を知っていたのです。

だからいわゆる旧公図などは、大半は筆界を直接測量したものです。
当時はトータルステーションなどが無かったので、十字法などの方法で測量しただけのことです。
それに比べて、今の私達は確かに測量精度が上がっていますが、筆界については推定しているにすぎません。
むしろ現代の新しい地形地物や、新しい人間関係の立会証言に翻弄されて、旧公図よりも筆界から乖離した図面を作成しているかも知れません。

もっと謙虚に過去の資料を読み解く必要が有ると思います。
過去の図面を見て、当時の測量者が何を見て、どんな道具で、どんな方法で、何を目的として、調査したのかを想像するのです。
そうすれば、私達が資料たり得ないと思っていた古い図面が雄弁に語り始めるはずです。

自分が謙虚になって他を見れば、そこから真実が見えてくることは、何も筆界に限ったことでは無いですね。