新人から書籍についての相談がきました。
「土地家屋調査士として開業するので、基本的で十分な専門書を一冊紹介してほしい」というものです。
今、どんな本を持っているのかを確認して、次に読むべき一冊を教えました。
その上で、その新人に伝えたのは「専門家として専門書一冊ではどうにもならない」ということです。
専門書は受験本とは目的が違うのです。
試験は80点も取れば良いだけです。
だから、名の通った手頃な内容の一冊を選んで精読すれば合格します。
でも、プロの実務で80点ではどうにもなりません。
依頼を受けた業務を20点間違っても良いでしょうか。
当然100点でなければならないのです。
専門家として依頼を受けるつもりなら、自分の分野は全部知らなければなりません。
世にある専門書に自分が知らないことが書いてあってはいけないのです。
だから、自分の分野の専門書はすべて揃えることになります。
たった1ページのために買う本もあります。
全部精読する必要はありません。
それでも買い求め、手元に揃え続けるのです。
私は、常々新人に「毎月1万円以上本を買いなさい」と言ってきましたが、中には「1万円はつらい」という新人もいました。
その新人に言いました。
それでは、あなたの経済力に合わせた額を考えましょう。
あなたが決めたその一定額を必ず毎月書籍費としてプールしていってください。
その中から積立のように継続的に本を買い続けてください。
そして、プロという看板を掲げている間は、何年も何十年も書籍購入を続けてください。
そうすれば、実力も複利で増えてきます。
専門家が自分の専門性を磨くことをケチったら、あなたに相談や依頼にくるお客様に失礼でしょう。