父親の影響で子供の頃から落語を聞いてで育ってます。
東京や大阪などでちょっと時間を潰さなければならない時の定番は、文具店か寄席です。
一時間だけでも寄席に入る事があります。
たまに良いですよ。
客の少ない時、多い時で、それぞれ噺家の演じ方が違います。
少ない時はマンツーマンに近い語り口をします。ピンポイントでこの人を笑わせるというテクニックを見せてくれます。
多い時は全体を掴まなければならないので、まったく違う語り口になります。
考えてみると私が各地に伺って講師をする際も、自然に寄席のテクニックを使っているようです。講師は何を伝えるのか、明確な目的があります。その目的を達成するために、講義時間をフルに使って伝える訳です。でも、どんなに良い事を言っても、受講者が聞く耳持たない事があります。それは、受講者が悪いのではなく、講師の話し方が悪いのだと思っています。ですから一生懸命工夫をするのです。どうすれば聞いてくれるかです。
まずツカミが必要です。
落語も講演も、最初の3分でコイツの話を聞く価値があるか、聞き手が判断してしまいます。
つまらなそうだと思われたら、その後何を話しても、ほとんど難しくなります。
もちろん講演のツカミは、笑いを取るという意味ではありませんが。
そのあとが枕です。
本論に入る前の場馴らしをします。
聞き手が意識しないうちに、本論に入る基礎的な考え方をこの時間帯に導入します。
会場の同調する気配で長短を調整します。
そして本論です。
会場を掴んでいれば大抵の事は聞いてくれます。
最後に落ちです。
もちろん講演の場合は落ちではマズいのでしょうが、落ちに相当する印象深い終わり方を考えます。
人間ラストが印象的だと全体も覚えているものです。
こんなことを考えています。
これを聞き手に媚びるという言い方をする人もあります。
でも講演は自分の自己満足では意味が無いのです。聞き手が共感して始めて研修になります。
これくらいの工夫、言い換えればサービスが必要だと考えています。