被災した荒浜小学校は、全国の土地家屋調査士が仙台を視察される際には、ご案内した場所の一つなので、ご存知の方も多いでしょう。
震災2年目にも、私のブログでもご紹介しています。
このような震災遺構と決定するためには住民の方々のご意見がとても大切な要素です。
被災各地でこのような議論が起こっています。
「子々孫々までこの震災を伝えるために、このような遺構が必要である」という理由が賛成の大多数の意見でしょう。荒浜小学校については、賛成が7割を超えたそうです。
逆に反対する方の多くは「その遺構を見ると亡くなった方々を思い出して辛い」というお気持ちがあります。
そこを考えると、簡単に「多数決だから」ではないはずなので、反対する方のお気持ちに最大配慮をしながら、震災遺構を残す工夫が必要でしょう。
他に近隣の住宅基礎群の保存には反対票が上回ったようです。
反対するお気持ちはとてもわかります。
もっともっと自分たちの生活に具体的に密着しているからです。
現場を歩くと道路や側溝、建物の基礎が残っていて、間取りまでわかります。
間取りがわかれば、動線がわかりますので、生活が見えます。
ご自分が生活していた家だったり、そこで家族のどなたかが不幸に見舞われたりしたのなら、それらを見ることはとても辛いことでしょう。
遺構にするなら、じっくりと検討してほしいと思います。
さて震災後5年目に入り、最近「仙台市内は復興していますよね」という問いかけにどう答えたら適切なのかとても迷うことが多いです。
お聞きになった方が何を知りたくてお話しされているのかを考えながら、お答えしています。
確かに仙台市中心部は地震の傷跡が分かりにくいです。
また仙台市の周辺部は復興の工事が進んでいます。
しかし、それが東北の中心である政令指定都市の4年過ぎた状態かと考えるととても遅いものに感じます。
今年の3月7日に仙台市若林区荒浜の建設可能な地域に建築された建物新築の登記依頼を受けた際の動画を紹介します。
新築建物の2階のベランダから東南~南~南西側を撮影したものです。
最初に少し海側のまばらな防潮林が見えます。
このあたりは、震災前に住宅と豊かな水田が有った地域です。
まさに復興に向かって工事をしています。
その東側に従来の道路の脇に新たに堤防の役割も考えて「かさあげ道路」の工事が着工されています。
実際のかさ上げ道路がどの程度の高さになるかを住民に明確に示す工夫が成されています。
このパイプを組んだ形が完成時のかさ上げ道路の形状になります。
確かに復興は進んでいます。
一人一人は誰も手を抜いてはいません。
しかし4年が過ぎました。