ブログで書評や映画の感想を書くときに気をつけていることは全否定しないことです。逆に全否定しそうな素材はブログに書かないようにしています。
私の個人的な感想を読んだ人が、本来出会うはずの本や映画に出会うことを止めてしまう事がないように考えています。
それでもこの映画についてはネガティブなことを書きたくなります。
「わたしのハワイの歩きかた」は思うようにいかない毎日にくたびれてしまった女性編集者が主人公のエスケープ・ラブコメディ。
仕事のストレスでイライラ。
ふと寄りかかった人はダメ男でグッタリ、面倒事を笑顔で押しつけてくる友人に悶絶、さらに働けども働けども昇進も昇給もない
ならば!ならば!
いっそ取材にかこつけて会社の経費でハワイへとんでしまえ!!
現地で知り合った本音で語り合える女友だちと、泣いて、笑って、酔っ払って、ハワイを満喫!
そう、くたびれちゃった今のわたしに必要だったのは、どこまでも広がる青い空ときれいな海、美味しい料理とトロピカルカクテル、そして新しい出会いだった!
(公式HPより)
お盆中も飛び飛びで仕事が入っていますので、結局落ち着いて休めません。
「せめて映画でハワイでも見ようか。ほわっとした気持ちで終わるような映画だろうし」ってチョイスでした。昨年の映画で、WOWWOWの録画です。
ひとことで言うと、
「ハワイの無駄遣い」(笑)
筋は大体想像できるでしょ。
そうなんです。物語の次の展開がよくわかる話しです。サプライズはありません。
それでも榮倉奈々と美しいハワイがあれば映画は成り立つはず。
この手の映画は、往年の若大将シリーズなどでもわかるように、ロケーションと人気俳優と美しい女優だけで成り立つものだからです。
・・・でもそこまででも無かったのです。
ストーリーは別にハワイで無くても成立できそうな内容。
であればそこに美しいハワイならではの景色を入れ込むはずだけど、折角ロケしているのにあまりハワイを生かしていないように見えます。
この今や陳腐化しがちなハワイというロケーションをわざわざ選んで、監督は何か別の新しいことをやりたかったのかも知れないのかも知れません。
この映画では、典型的な海・椰子・ビキニなどは控えています。
主人公の編集者としての取材対象も「ロコでないと知らないスポット」と設定しているところも、なんらか狙いがあってのことかも知れません。
印象に残ったハワイの葬式のシーンなどもそれを表すのでしょうか。
逆に最後のエンドロールにとても美しいハワイがたくさん流れます。
これはフラストレーションの溜まった観客への監督のサービスなのかも知れません。
でも映画の本編じゃなくエンドロールですから。
本当にそうなら監督の目論見は成立していないように見えます。
このストーリーなら、もっと尺を縮めることができて、一時間テレビドラマにすることも可能だと思います。
だからこそ映画というその長尺分を使って、 the Hawaii とでも言えるような定番の美しさや、映画の重要なモチーフでもある上流階級の生活スタイルを随所に見せて、疑似体験をさせてくれても良かったと思います。
そこは上記の若大将シリーズなどはしっかりやっています。
また主人公が結構嫌な女に見えます。等身大の今の娘を表現しているつもりでしょうが、これでは感情移入はできないでしょう。
ドラマがラブコメで、ロケーションがハワイなら、話しの筋などはもっと漫画的ファンタジーでも良かったと思います。
監督はそんな俗っぽい映画と一緒にされたくないとでも思っているのでしょうか。
それとも監督は榮倉奈々をハワイで撮りたかっただけなのでしょうか。
結局、この映画を全否定したんじゃないかって?
いえいえ、榮倉奈々が可愛かったから、この映画は最後まで観ましたよ。