2012年12月29日土曜日

東電の損害賠償と未登記建物

世間は仕事納めをしています。
実家に帰る人々の動きも見られるようです。

日本経済の先行きに少し希望が見えたのか、今年は海外旅行をする人の数が少し増えているようで、喜ばしいことでしょう。

ただし、東日本大震災により、いまだに肉親が行方不明の方もいることも、今も仮設住宅で暮らす人達の生活は何も変わっていないことも、もうひとつの日本の現状です。

全国の皆さんに、いつも被災地のことを考えておいて欲しいとまでは言いません。
被災地の人間も積極的に気分転換をしていますし。
でも何かの切っ掛けで思い出して欲しいと思っているだけです。

被災地の直接的なニュースは少なくなってきましたが、震災関連のニュースは意識していると結構あるものです。

先日の震災報告会でも福島会の土地家屋調査士から発表させて戴きましたが、あの放射線被害の地区の未登記建物の登記依頼が来ているそうです。
そして、あの展示した防護服を着て建物調査に入っているそうです。福島の土地家屋調査士個人としても複雑だと思います。

建物は新築や増築をしたら、その所有者には一ヶ月以内に登記する義務が課せられています。
建物の新築、増築、取り毀し等の工事をしたら、登記す事べきであることは土地家屋調査士として当然に主張すべきと思います。私もこれからも機会ある度に訴えていくべきだと考えています。

ただし、それとこれとは違います。損害賠償ですから。

これについては、被災地の人間は自治体も含めて断固抗議をしています。
未登記であろうと、固定資産税の課税台帳で建物とその所有者が特定できるのなら、損害賠償は速やかにすべきであると主張しています。
しかし、現行では様々な問題があり、情勢の見通しは芳しくないようです。以下に報道された新聞記事三回分を転載致します。

問題は、政府や東電がこの問題をどう捉えているか、どう解決しようとしているか、そこに腹が据わっているかだけの問題だと私は考えています。

そもそも「ダンプカーで民家に激突していながら、あなたの建物は未登記だから損害賠償しません」という言い方を、加害者が言える世の中が間違っているのです。


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以下福島民報の2012/08/14の記事です
リンクが切れないように念のため全文を転載させてください


【東電賠償 建物修復費先行払い】未登記の住民、困惑 支払いの対象外 避難区域 11市町村問い合わせ続々


 東京電力の財物賠償基準に盛り込まれた建物修復費の先行払いをめぐり、不動産が未登記だったり、名義を変更していなかったりする住民の間に困惑が広がっている。東電は登記された建物の面積に応じて修復費を先払いするが、未登記や名義が違う場合は対象外としているためだ。新たに登記する場合は費用や時間がかかるなど住民の負担が増す。対象となる避難区域11市町村には問い合わせが相次いでおり、東電に対して柔軟な対応を求める声が上がる。
■反発
 「どうにも納得がいかない」。県内の仮設住宅に避難している50代の会社員男性は戸惑う。
 男性の自宅は40年ほど前に祖父が建てたが、不動産登記はしていない。東電に問い合わせたところ「登記をしてほしい」と求められたという。
 しかし、家の図面は既になく、登記するには土地家屋調査士に家の測量などを依頼しなくてはならない。名義変更もしておらず、建物を自分の所有にするには祖父の代までさかのぼって相続権利者の同意を得る必要がある。司法書士に相談したところ、10万円以上の費用がかかると言われたという。「地方では祖父の家を相続せずに使うことはよくある。被災者の負担が増すような仕組みはおかしい」と指摘する。
■相談500件超す
 市町村には問い合わせが相次いでいる。福島民報社の調べでは、浪江町の約200件を最多に田村、南相馬、川俣、楢葉、富岡、川内、大熊、双葉、葛尾、飯舘の各市町村で計500件を超える。「未登記だと支払われないのか」「祖父母の代から名義を変更していない」といった内容が多いという。
■釈明
 東電は、不動産登記を先払いの条件にした理由について「不動産登記が一般に公開されており、賠償額の算定などが迅速に行えるため」としている。
 担当者は「不動産登記を求めるのはあくまで先行払いするための対応。本賠償は固定資産税評価額などに基づき支払うことになる。1日も早く本賠償できるよう努力する」とも話す。市町村からは「納税証明での支払いにも対応してほしい」との要請も出ている。
■つかめぬ実態
 不動産登記には建物の面積や所有者などが記されている。ただ、不動産登記法では所有者が変わった場合も、名義を変更することは義務付けられていない。
 福島地方法務局によると、古い建物については登記自体がなされていないケースもある。このため、未登記だったり、名義が変更されていなかったりする建物がどの程度あるかの実態把握は不可能という。
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同様リンク切れが無いように全文転載させてください。


【土地・家屋の財物賠償】台帳閲覧 法の壁 支払い遅れ必至


 東京電力福島第一原発事故による土地・家屋の財物賠償で、算定の基となる固定資産税台帳の取り扱いに法の壁が立ちはだかり、支払いの遅れが必至となっている。資源エネルギー庁は、市町村から東電に台帳データを提供してもらう方針だが、閲覧には所有者の同意が必要になるためだ。対象は12市町村、最大約6万4000件に上るとみられ、市町村にとって膨大な事務作業が生じる。エネ庁は市町村の負担をできるだけ少なくしたい考えだが、具体策は見えない。
 エネ庁 東電にデータ提供を 市町村 所有者の同意が必要 
■個人情報
 「市町村に固定資産税台帳のデータを提供してもらうことは、最も早く財物賠償を行うための方法の1つ」。資源エネルギー庁の担当者は説明する。台帳には土地、建物の地目、面積、評価額、課税標準額などが記されている。6万件以上にも及ぶデータを東電がまとめて入手できれば、賠償基準の計算式に基づきコンピューターで一気に額を算定することができる。
 だが、市町村側は慎重だ。ある町関係者は「固定資産税台帳は、いわば『個人情報の固まり』。所有者の同意が必要で、早く手続きに入りたいのはやまやまだが、そう簡単には提供できない」とする。別の町の担当者も「賠償のためとはいえ、通常なら知り得ない個人情報を民間企業に渡していいのか。大量のデータが、外部に流出する可能性もゼロではない」と頭を悩ませる。
■業務膨大
 地方税法では、不動産の所有者から委任があれば、第三者の個人や企業が固定資産税台帳を閲覧したり、証明書を入手することが可能だ。しかし、委任状の発送や受け付け、さらには証明書の発行など、一連の手続きは誰が担うのか-。
 各市町村は、東日本大震災と原発事故以降、増大した業務の処理に追われている。ある町の担当者は「被災世帯だけで約400あり、不在地主も含めれば、業務量が膨大になるのは明らか。県外自治体から職員を派遣してもらっているのに、これ以上の余裕はない」と苦渋の表情だ。エネ庁は「市町村の負担増にならない方法を考えたい」とするが、具体的な対策を見いだせないのが現状だ。
■法整備
 市町村からは、賠償を迅速に進めるため、所有者の同意がなくてもデータを提供できるようにするなどの法整備を求める声もある。
 しかし、エネ庁は、法改正などを行う場合、「法整備自体に時間がかかり、支払いが遅れる。現行制度の中で最善の方法を探りたい」との考えを示す。一方、地方税法を所管する総務省は「法改正も含め、どのような方法で賠償していくのかは、まずエネ庁が検討すること」との姿勢だ。
【背景】
 東電が発表した土地、家屋などの不動産の賠償基準では、宅地は固定資産税評価額に係数(1.43)を掛けて算出する。建物は、事故前の固定資産税評価額と築年数に応じて算定する方法の他、平均新築単価による算定方法など3つの方法から選べる。財物賠償の請求受け付けは避難区域再編が条件となっている。このため、再編が進んでいない町村では、支払い時期がさらに遅れる可能性もある。
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同様リンク切れが無いように全文転載させてください。
【避難区域の家屋補修費賠償】請求書7000通届かず 東電、登記簿優先し発送

 東京電力福島第一原発事故に伴う避難区域の家屋補修費の賠償で、東電が対象者に送付した請求書2万4000通のうち3分の1に当たる約7000通が宛先不明で届いていないことが25日、分かった。避難実態を十分に確認しないまま不動産登記簿を基に発送したことが原因。被災者が郵便物の転送サービスを利用していなかったり、登記簿上の所有者が死亡しているなどのケースが続出した。補修費の支払いを受けることができない事態も懸念されるが、同社は対応策を見いだせていない。
■不明
 東電は7月下旬から、11市町村の避難区域内にある建物の所有者約2万4000人に請求書の郵送を開始した。
 この際、精神的損害賠償の受け付け手続きで独自に把握した対象者の名前や避難先、元の住所などの情報と、登記簿の記載を比較。名前と住所が一致しない場合には、登記簿の所有者の住所に請求書を送った。法的に位置付けられた登記簿のデータを信頼し、優先して活用するべきと判断したためだ。
 ただ、早急な対応を求める声もあり、避難実態の把握が十分にできなかった。避難先までの転送サービスを郵便局に申し込んでいない対象者の請求書は宛先不明となり、先月末までに約7000通が東電に送り返された。登記簿上の所有者が死亡しているにもかかわらず、名義変更されていない場合についても宛先不明となったという。
 東電福島地域支援室は「多くの方に請求書が届いていないのは事実で、申し訳ない」としているが、「対応策は検討中」とするにとどまっている。
■不満
 浪江町や楢葉町などの自治体では、東電が請求書の送付を始めた時期に「知り合いには届いたが、うちには来ない」といった問い合わせが一日に数件程度あった。担当者は土地・家屋の財物賠償の支払いの際に合わせて請求できることなど制度内容を説明した。
 当初、請求書が届かず直接、東電に問い合わせたという大熊町の男性は「東電は準備不足だ。被災者自身に問い合わせの手間を掛けさせるのは納得いかない」と不満を漏らす。
■懸念
 来年1月以降に本格化する土地・家屋の財物賠償でも、請求書の届かない事態が多発すると想定される。
 財物賠償では市町村の多くが固定資産税課税明細書を所有者に送付する。所有者は明細書を添付した上で東電に請求書を送る方式を採る。しかし、先行して送付を始めた葛尾村では、これまでに郵送した約860通のうち、40通程度が宛先不明で戻ってきた。
 村は固定資産台帳に記載された個人が亡くなっているケースがあるためと分析している。村総務課の担当者は「(こうした事態を)放置できず追跡調査するが時間を要するだろう。人口の多い市や町は、さらに対応が大変ではないか」とみている。
 県原子力賠償支援課は「財物賠償は生活再建のために重要。請求書の届かないケースがあってはならない」として、東電にあらためて対応を求めていく。
【背景】
 避難区域の家屋補修費の賠償基準は東電が今年7月に発表した。一日も早い生活再建につなげるため、土地・家屋の賠償額のうち一部を先に支払う。家屋が避難区域にある被災者が対象で、賠償額は1平方メートル当たり1万4000円、最大1000万円まで。避難期間中に雨漏りなどで破損した家の内装、水道管などの交換・修理が対象。補修費として支払われた分は、土地・家屋の財物賠償額から差し引かれる。

2012年12月26日水曜日

百万倍になって帰って来い。

年末ですね。
年末ジャンボ宝くじの季節です。
宝くじが当たったら人生変わるんだろうなと思いながら、今回も買っていません。

さて、先日事務所のKさんに廻ってきた一万円札。
なんか下の端の方が汚れていると思い、よく見ると以下の落書きが有りました。





「百万倍になって帰って来い。」
お札に落書きすることは違法とまでは行かないけれど、本来慎むべきものです。
しかし、書いた文言があまりにも笑えるものでしたので、ナイショで紹介します。

よほど離れたくない最後の1万円札だったのか。
どうせ書くなら、お札が百万倍になって帰るときに分からなくなるから、連絡先と名前でも書いておけば良いのにね。

Kさんが言ってました。
「これ、私が使ったら、私が書いたと思われる・・・。」





2012年12月25日火曜日

待ち時間短縮診療受付サービス

先日引いた風邪が治っても、咳が少し残っているようです。
私には以前からたまに出る症状で、昔は咳喘息と診断され、今はアレルギーによるものではないかと診断されたりしています。

今まで、複数の内科や耳鼻咽喉科に通ったりしていました。セカンドオピニオンどころではなく様々な医者の話を聞きましたが、多角的に自分の身体を知ることができて、それなりに良かったと思っています。
問題の咳も直りつつあるので、やはりアレルギーだったのかも知れないと思い始めています。

さて、耳鼻咽喉科はどこでも混んでいるようです。
仙台市内のある耳鼻咽喉科では2時間強の時間を待合室で待たされました。待合室に座らずに、もし新幹線に座っていたら、90分で東京に着くのにね。
「毎週来い」と言われたので、「それは時間的に無理だ」と思い、別の耳鼻科に変えました。

そこも結局「2時間近く待つ」と言われたので、一時外出してスタバでコーヒーを飲んで来ました。
帰ってから聞いたのが「待ち時間短縮診療受付サービスというものが有るとのことでした。
ネットまたは電話で診療予約ができて、待っている人があと5人程度になったらメールもしくは希望の電話番号に連絡がもらえるとのこと。さっそく先日使ってみたところ、とても良かったのです。
とりあえずネットで予約し、時間まで仕事し、携帯電話に自動通話の連絡が来てから病院に行くと、あまり待たずに診察を受けることができました。このサービスは、システム費と通信費等でそれなりにコストがかかりそうでした。

どちらの医者も信用ができそうでした。
そうであれば、私は忙しいので、当然このサービスが使える後者の病院に通います。

先生と呼ばれる職業でも、お客様目線で投資していますね。
こんな努力を「他の先生と呼ばれる職業の人」に見せてやりたいと思いました。

結局、私の咳は、「何に対するアレルギーによるものなのか」という問題ですが、家に帰ると治るので、おそらく「調査士アレルギーではないか」と睨んでいます。




2012年12月23日日曜日

COACH 万年筆

書籍に付録が解禁になってから久しいですね。
MonoMaxという790円の雑誌の一月号の付録は、あのCOACHブランドの万年筆でした。

特別COHCH好きでもないけれど、万年筆好きな私としては、見た事の無い万年筆が入手できるので、見逃す事はできませんでした。使えなくてもネタにはなるでしょうし。
ただ、コーチはブランドイメージのためにこのペン出して良かったの?って思うのですが。



デザインが良いんですよね。キャップには「COACH」の文字も刻まれて、ボディはシグネチャーで巻かれ、結構良いですね。まさか790円の雑誌の付録とは誰も思わないでしょう。
ちなみにコーチはシグネチャーを発表する前の製品の方が良かったと個人的に思いますが。



クリップの造形は、とても使いやすいです。天冠まで開く造形なので、厚地のポケットにも生地を傷めずに挿せます。


ペン先はさすがに鉄ペンです。でも首軸がシルバーのメタルなので、むしろ金ペンよりこの方が綺麗という納得のデザインです。


まあ、ペン先とペン芯の中心が少しずれていたところはご愛嬌でしょうか。




ニブポイントは中字程度の太さです。太い文字も細い文字もニブポイントの精度が目立つので、確かにこのあたりの太さが無難です。書いてみたけれど、特別書き味が悪いというほどではありません。個体差がありそうですが、使えると思います。



以前ラピタという雑誌でも万年筆がたまに付録に付いて、すべて買った覚えがあります。
あらためて引っ張り出しましたが(右2本)、それらに比べればとても良いデザインと思います。これ790円で十分元はとれます。
ちなみに今Amazonでは売り切れです。書店では在庫の有るところもあるようですが。

最近雑誌のオマケは流行していますし、以前より充実しています。
おそらく電子書籍との差別化などもあるのでしょう。
ただこの傾向は編集者としてとても悲しいと思うのです。「自分は何を売ろうと思って編集者をやっているのだろうか」というジレンマに陥らないでしょうか。
少なくても今回の私は、書籍の記事はどうでも良くてペンが欲しかっただけですし。
いやいや批判じゃないですよ。そんな雑誌も有りですよ。

あっ、そうか。
ガイダンス土地家屋調査士報酬」も、付録で万年筆でも付ければもう少し売れたかも・・・。







2012年12月21日金曜日

震災報告会~総括

今回の「東日本大震災報告会~被災地からの発信」について、今週はいろいろ書かせて戴きました。最後にちょっとだけ書かせてください。

報道が減った今だからこそ、全国から集まってくださった土地家屋調査士の皆さんにとっても、冷静に現場の視察もできたでしょう。
1年9ヶ月経った今の被災地の現実を是非見て欲しかったのです。

さて、この報告会についての私の考え方をお伝え致します。

今回は地元の人間が、自分の言葉で、決して飾らず、地震や津波に恨み言も言わず、原発に関しても政治的なメッセージも込めず、事実を淡々とお伝えすることを考えました。

何かをお感じになり、何かを考えて、何かを行動に起こすのは皆さんにお願いしようと思いました。

ですから、支援を続けて欲しいというお願いが、報告会のメインの趣旨ではありません。
全国の仲間にこの経験を自分のものとして、生かして欲しいという願いを込めたつもりです。
それが今の私たちにできる一番のことだと思っているからです。

そして東北も早急に力を付けます。

全国に何かことが起きたときには駆けつけるつもりです。
その緊急時にお役に立つノウハウを一番持っているはずですから。



2012年12月20日木曜日

震災報告会~イマジネーションを

先日の震災報告会の第二部の内容を、4~5時間の研修会で説明をして欲しいというお話しがありました。
できれば恒久的な研修科目として、日調連のe-ラーニングに入れて欲しいとの要望もありました。

先日の報告会の第二部とは「土地家屋調査士と震災業務」と題して、土地家屋調査士が取り組む震災復興業務を説明いたしました。具体的に岩手と宮城の取り組んでいる建物や土地についての業務を説明しました。
これらの発注業務について、万が一、ご自分の地域で災害が起こったときのために、今回の発注仕様に沿って勉強しておきたいといのです。

確かに説明の時間が足りなかったですね。
仕様については土地家屋調査士会を通じてお問い合わせ戴ければ、組織としてお返事致しますし、講師が必要ならお伺いしてご説明も致しますが、それと問題は全く違うと思います。
一番ここを理解して欲しかったのですし、現場のバスツアーで、そこも見て欲しかったのですが。

被災地は、各々その被災状況が違います。
被災内容も規模も原因も種類も違います。
もちろん、そのときの政府の方針と行政担当者によっても内容が異なります。

ですから全国で何か問題が起こったら、今回の仕様のまま業務が発注されるのではないはずです。実際に阪神・淡路大震災のときの災害復興業務と今回の業務は全く違いました。
建物滅失調査業務は確かに同じ業務ですが、今回は津波起因が入ったために、業務の規模と方法が異なりました。併せて、あれから17年コンピュータ技術も変わったので、前回のやり方はそのまま参考にはなりませんでした。

そんなところを皆さんに考えて欲しいのです。
土地家屋調査士の皆さんは、地域密着で地元の土地を一番知っているはずです。
どこにどんな災害が起こりそうかイマジネーションを働かせれば、答えが出てくるはずです。
たとえば富士山や桜島などの噴火を伴えば、どんな災害が想定されるのか。
そのときに皆さんの地元の土地や建物はどんな被害を被るのか。そのときに地図や登記はどうなると思うのか。
そのときに自分たち専門家ができることは何があるのか。

発注を待つのでは無く、今から提案して欲しいのです。
そうすれば、仕様書も自分たちで提案できます。
そんなことを考えて戴きたいのです。

不吉なことを書いて申し訳ありません。
でも専門家は、不吉なことを不吉と思わずに、科学的に考えて可能性をイメージしなければなりません。

今回の業務をご説明することが必要なら、何回でもやりましょう。
ただし、それを聴いていれば問題ないと思っているなら、それこそ問題です。
日調連のe-ラーニングは、土地家屋調査士全体の研修体系の中で構築すべきものです。
今回の震災ネタを、その体系に無理に入れるなら、地籍学の中で地殻変動と地図の考え方などを入れるべきでしょう。
少なくても、今回発注の業務仕様の研修を4~5時間位置づけるのはナンセンスと思うのです。

土地家屋調査士の皆さんには、専門家としてもっとイマジネーションを働かせて、今のうちにできる防災をやって欲しいと願っています。

それが被災地の願いです。



2012年12月19日水曜日

震災報告会~被災地視察バスツアー

先週の震災報告会の企画で一番の目玉はバスツアーでした。

私たちの言葉でお伝えした被災地の現状を、皆さん専門家の眼で実際に見て欲しかったのです。
映像を何回見ても映画と同じですから、現地体験しないと分からないことがあります。
ご自分で土地に実際に降り立たないと、実感が分からないはずです。

そこで以下のバスツアーを企画したのですが、全国から参加なされた大勢の土地家屋調査士の方々がツアーにも参加されて、とても嬉しく思いました。

14日
折立蒲生方面半日コース

16日
A 閖上山本方面半日コース
B 石巻女川方面一日コース
C 気仙沼、陸前高田方面一日コース

以上企画しましたが、全部で250名を超える参加者がありました。
この他にも独自でバスをチャーターして動いてくださったグループも数台有り、土地家屋調査士の意欲を感じました。

私は添乗員として、Bコースのバスに乗りました。
石巻女川方面は何度も行ったところです。
しかし、いつも何か目的地を目指して通っていたので、全体視察という眼では見ていなかったことに気が付きました。
私にとってもツアーは新鮮な部分がありました。


女川です。被災した建物がそのまま残っています。
以前この周りは建物が建ち並んでいました。




石巻の門脇小学校です。創立明治6年の由緒ある学校です。
皆で視察しました。
大津波に襲われ、更に火災に襲われたところです。
ほとんどの児童は無事だったようです。




焼けただれた校舎です。




校舎には「門小ガッツ、僕らは負けない」という横断幕が貼ってありました。

そうです。
僕らは負けないのです。




2012年12月18日火曜日

訃報-菅原春彦会員のご尊父様ご逝去


仙台支部 菅原春彦会員のご尊父様が12月16日にご逝去なさいました。
葬儀等の日程は以下のとおりです。
ご冥福をお祈り申し上げます。


<通 夜>
日時 平成24年12月18日(火)午後7時~
場所 「米永諸江館」
    金沢市諸江町 39-15
    電話  (076)233-1930(代)

<葬 儀>
日時 平成24年12月19日(水)午前11時~
場所 「米永諸江館」
    金沢市諸江町 39-15
    電話  (076)233-1930(代)

<喪  主>
 北村哲郎様(菅原春彦会員の兄)

震災報告会〜発表

15日に「東日本大震災報告会〜被災地からの発信」を開催しました。

今回は、参加者は土地家屋調査士のみという報告会にしました。一般の方や役所の方もお招きする事も考えられましたが、僅か半日でたくさんのものをお伝えするには「そもそも筆界とは」とか「阪神淡路大震災の際の法務省の通知」などから説明する時間を省きたかったからなのです。

報告会は3部構成でした。

第一部は「被災体験を聞く」と題して、会員の個人的な被災体験を伝えてもらいました。
宮城、岩手の被災体験は、とても大変な体験でした。しかし、それにも増して福島は、現在進行形の被災中です。復旧する入り口にも立ってないのです。とてもとてもお気の毒な状況だと再認識できました。なお福島の被災の現実については、写真をパネルにして会場で展示しました。ご覧くださったでしょうか。またその脇で放射能防護服も展示しました。何か感じていただければ幸いです。

第二部は「土地家屋調査士と震災業務」と題して、土地家屋調査士が取り組む震災復興業務を説明いたしました。岩手と宮城の取り組んでいる建物や土地についての業務を説明しました。時間が無くてかなり駆け足でしたので、また別に説明の機会を持ちたいと思います。

第三部は「東日本大震災と土地家屋調査士」と題して、早稲田大学大学院法務研究科の山野目章夫教授にご講演をお願いいたしました。
第一部と第二部の発表を受けて、それらにコメントしながら法的に整理されていくところが、さすがに山野目先生と感心させられました。



この写真は、第一部で宮城会の高野広報部長が、被災体験を話しているところです。
高野部長の自宅が大津波に遭ったところをスライドで紹介していました。
3月の大震災でにこんな目に遭っているのに、高野さんは震災後の5月から宮城会の広報部長になってくれました。会長としてとても感謝しています。





2012年12月17日月曜日

震災報告会〜実行委員長の挨拶

先週14日〜16日に「東日本大震災報告会〜被災地からの発信」を福島、岩手、宮城の土地家屋調査士会の合同で開催いたしました。
北海道から沖縄まで本当に全国からたくさんの仲間が集まってくださいました。
動員もかけずに400人強の個人参加者が集まってくださるなんてとても凄い事です。感激しました。
何時間、何百人の前で研修会講師をしても、あがった事の無い私が、最初の実行委員長の挨拶をする際に、感激で動揺してしまいました。
動揺した事は完全にバレていて、懇親会で皆さんからイジられましたね。
実は、こんな趣旨の挨拶をしたつもりです。


本日は全国からこんなに大勢の土地家屋調査士の皆様にお集まり戴き、とても感謝しておりますとともに、福島、岩手、宮城を代表する実行委員長としてとても感激しております。

昨年の3月11日は、ー生忘れられない日になりました。あの東日本大震災という自然による想像もつかない程の暴力と、それに対する人間の無力感と、そしてその直後に始まる全国の連帯と心の籠ったご支援と、それらすべてが忘れられないものになりました。
当時食べ物も水も電気もガスも無く、暗闇の不安な中、私たち被災地の人間は、全国の皆様による物心両面のご支援にとても勇気を戴きました。

お陰様でとても歩みは遅いのですが、それでも岩手、宮城は復興の道を歩み始めています。しかしご存知のとおり福島は、その復興のプロセスに入る事さえ許されない状況でもあります。これが被災地東北の現状でもあります。

今回の報告会は、全国の土地家屋調査士の皆様から戴いた多くのご支援に対するお礼の一つのつもりで企画しました。首都直下型地震など近い将来懸念される問題も提起されている中、被災地で起きること、被災者ができること、被災地でなければできないこと、それを専門家の皆さんにお伝えする事が今回の報告会の趣旨です。

また本日の報告会だけでなく、その前後の被災地バスツアーなどで、実際の被災地の不動産を見ていただきたいと思っています。
被災地で土地や建物がどうなるのか。そのときに地図や登記がどうなると思うか。その土地で暮らす人々の生活にどんな問題が生じるのか。
そしてその状況で、専門家として何ができるのか。
すべて失った海岸付近の住宅地はとても気の毒です。でも構造物が残ったまま地表面が不等移動した陸地の方が、地籍学的問題が大きい事は土地家屋調査士の皆様ならお分かりのことと存じます。

そんな部分を専門家の眼で見て、感じて、考えて欲しいと願っています。
この被災地を専門家として、全国の専門家を案内する事が、今できる皆さんへの一番の恩返しだと信じています。
あまりストイックに考えなくても結構です。気軽なご参加で結構です。
この3日間のイベントを通して、日本国民として何かを、そして日本の専門家として何かを、感じていただけたら幸いです。

では、本日の報告会を始めさせて戴きます。
運営等至らないことも多いと思いますが、精一杯準備しましたので、最後までよろしくお願い申し上げます。



2012年12月12日水曜日

震災報告会にご参加戴く皆様へ 服装の件

先日も今週末の震災報告会「被災地からの発信」に参加くださる皆様に、このブログでもメッセージを書きました。下記に再度転載しておきます。

私たちも皆様をお迎えすることを楽しみにして、準備を続けています。
全国からたくさんの皆さんに参加して戴くことはとても嬉しいのですが、私たちも、それだけ多くのお客様をお迎えすることに馴れていませんので、ご不自由をお掛けすることもあるかと思いますが、精一杯の準備をしていることでご勘弁ください。

さて、「報告会に何を着ていけば良いか」というお問い合わせがあります。
大変答えにくい質問です。

つい先日宮崎にお伺いした時に、宮崎の方々は「とても寒い」とおっしゃって「普段コートを持っていないので、お父さんのコートを借りてきた。」と言う方がいたのですが、私はそれほど寒く感じず、むしろ着て行ったコートをホテルに置いて動いていたくらいだったのです。
寒さに対する慣れの問題もあるかも知れないし、私の程良く身に付けた体脂肪のお陰かも知れませんが。
この部分は、感じ方人それぞれですから、むしろ週間天気予報を見てご判断ください。

おそらく寒いと覚悟しても、実は長い時間ではありません。

報告会会場や懇親会会場は屋内ですし、バスツアーも被災地で歩きますが、おそらくほとんどの時間はバス内の移動でしょう。
ですから、スキー場に行くような覚悟は不要です。

むしろ着たり脱いだりしやすい服装をお考えください。

ちなみに本日の私の服装は、上下普通のスーツに普通のコート、普通の革靴で歩いていました。
朝と夜は、手袋、マフラーも使いましたが、これも人によるでしょうね。
本日18時の仙台の気温は摂氏6度程度でした。

鹿児島発の防寒ジャンパーでもあれば、もう寒さ対策は充分でしょう。

もちろん、普段コートを持っていないという九州の方々。この東北遠征を言い訳に、コートを買う(買ってもらう)ことは、良いことだと思います。



以下12月9日のブログ

全国からご参加くださる土地家屋調査士の皆さん

報告会だけでなく、前後の被災地バスツアーなどで、実際の被災地の不動産を見ていただきたいと思っています。
被災地で土地や建物がどうなるのか。そのときに地図や登記がどうなると思うか。その土地で暮らす人々の生活にどんな問題が生じるのか。
そして専門家として何ができるのか。
専門家の眼で見て、感じて、考えて欲しいと願っています。
この被災地を専門家として同じ専門家を案内する事が、今できる皆さんへの一番の恩返しだと信じています。
あまりストイックに考えなくても結構です。気軽なご参加で結構です。
日本国民として何かを、そして日本の専門家として何かを、感じていただけるものと思います。

ここ一週間で東北は寒くなりました。雪の少ない仙台でも今日は降っています。
全国から集まる皆さんには雪に慣れていない地方からのご参加もあるでしょうが、お気をつけてご参加ください。

現在のところ14日〜16日の宮城県の週間天気予報では、最高気温9〜10度。最低気温1〜3度。降水確率20〜40%とのことです。
ご参加くださる皆さんは、各自天気予報をチェックして、ご参加くださるようお願い致します。


追記)
遠方からご参加くださる方は、期日前投票もお忘れなく。

2012年12月10日月曜日

あゆみブックス仙台一番町店が復活

昨年の3月11日に起きた東日本大震災の被害は、とてもとても甚大なものでした。
それは日本中の誰でも知っていることだと思います。

では今被災地はどうなっているのか、この点については日本中の大半の皆さんが誤解なさっていると思います。
「震災報道が無くなってきたから、もう被災地はとっくに復興しているだろう。」と皆さん思っているようです。

違います。

このブログで何度も書いているように、ニュースは昨日と違うからニュースになるのです。
現地は何も変わっていませんから、ニュースにならないのです。

今年の夏、いくつかのブログで紹介しましたが、それ以降も何も変わっていません。

「そうは言っても仙台だけは完全復興ですよね。」という人は多いでしょう。
そうですね。確かに大半は復興していますよ。

でもね、すべてがそうでもないのですよ。

私の事務所はマンションを借りているのですが、その一室は今だに使えません。
まだまだいろいろ有るのです。


仙台市の一番町をご存じですか。
仙台を代表する商店街のひとつです。
その一番町の商店でさえ、震災後20ヶ月ぶりに、やっと復活した店もあるのです。
あゆみブックス仙台一番町店です。


大型書店で書籍の種類があり、25時までという、ひととおり廻るのに3時間はかかる私のためにあるような書店です。
大変な被害があって、復旧工事と耐震補強工事がやっと終わったようです。
11月16日に再オープンしました。
また定期的に、私の趣味である大型書店探検に行きたいと思います。

今週末、仙台で開催される「震災報告会~被災地からの発信」にいらっしゃる方々は、被災地では何が復興できて、何が復興できていないのか、それは何故なのか、是非ご自分の眼で見て、お考えください。

日本国民として、または専門家として、先進国と言われる日本で被災した場合に、政府や行政に何ができるのかを。
それが皆さんの土地に万が一の災害が起きたときの指針になります。




過去の自分のブログの引用ばかりで恐縮ですが、よろしければ今年の終戦の日に書いたブログ「終戦の日に日本の復元力を考える」も読んでみてください。




2012年12月9日日曜日

東日本大震災報告会「被災地からの発信」は今週末

このブログでも何回かお知らせしていた東日本大震災報告会「被災地からの発信」は、今週末になりました。

対象者を土地家屋調査士限定としたのですが、それでもお陰様で全国から参加申し込みを戴いた数が380名程になりました。たくさんのご参加ありがとうございました。
参加くださる皆様には、報告会や宿泊、懇親会やバスツアー等のご案内が届いた頃と思います。ご連絡が遅くなりましたが、プロの旅行会社とは違い慣れてない中、担当者や事務局職員が残業しながら頑張ってまとめた成果です。不手際があればご勘弁ください。

福島会、岩手会、宮城会会員の皆さん

今回の報告会は、昨年の3. 11東日本大震災の際に全国から戴いた多くのご支援に対するお礼の一つです。被災者ができること、被災地でなければできないこと、それが今回の報告会のつもりです。
全国の仲間が来てくださいます。
精一杯歓迎したいと思っていますので、ご協力をよろしくお願いいたします。

全国からご参加くださる土地家屋調査士の皆さん

報告会だけでなく、前後の被災地バスツアーなどで、実際の被災地の不動産を見ていただきたいと思っています。
被災地で土地や建物がどうなるのか。そのときに地図や登記がどうなると思うか。その土地で暮らす人々の生活にどんな問題が生じるのか。
そして専門家として何ができるのか。
専門家の眼で見て、感じて、考えて欲しいと願っています。
この被災地を専門家として同じ専門家を案内する事が、今できる皆さんへの一番の恩返しだと信じています。
あまりストイックに考えなくても結構です。気軽なご参加で結構です。
日本国民として何かを、そして日本の専門家として何かを、感じていただけるものと思います。

ここ一週間で東北は寒くなりました。雪の少ない仙台でも今日は降っています。
全国から集まる皆さんには雪に慣れていない地方からのご参加もあるでしょうが、お気をつけてご参加ください。

現在のところ14日〜16日の宮城県の週間天気予報では、最高気温9〜10度。最低気温1〜3度。降水確率20〜40%とのことです。
ご参加くださる皆さんは、各自天気予報をチェックして、ご参加くださるようお願い致します。


追記)
遠方からご参加くださる方は、期日前投票もお忘れなく。




2012年12月6日木曜日

訃報-古積威相談役のご尊父様ご逝去


本会相談役(仙台支部) 古積 威 会員のご尊父様が12月4日にご逝去されました。
葬儀等は以下のとおりです。
ご冥福をお祈り申し上げます。

<通 夜>
日 時 平成24年12月8日(土)午後5時~
場 所「メモリアルホールあさの」
    名取市増田字柳田375
    電話 022-382-2831

<葬 儀>
日 時 平成24年12月9日(日)午後1時~
場 所「メモリアルホールあさの」
    名取市増田字柳田375
    電話 022-382-2831

<喪  主>
 五嶋弘之様(古積威 会員のお兄様)

2012年12月5日水曜日

研修会の構成と落語の構成

昨日12月4日は宮崎県土地家屋調査士会の研修会と(社)公共嘱託登記土地家屋調査士協会の研修会の講師をするというダブルヘッダーがありました。
調査士会の研修は土地家屋調査士を対象に「土地家屋調査士の事務所経営と業務報酬」を、公嘱協会の研修は土地家屋調査士と行政担当者を対象に「東日本大震災からの報告〜被災する前にできること」をお話ししました。

私にとっては初宮崎でした。初めての会に伺うときには、とても気を使います。
事前にその地域の業務、気質、過去の研修会の雰囲気を把握しないと、研修に実感が伝わらない事があります。特に午前中は業務報酬に関する話ですから、宮崎の調査士の事務所の形態や、一般的な不動産の規模、不動産の価格、業務の方法、業務報酬などを把握しないと、講師として上滑りする事があります。
「お前の言う事はわかるが、それは仙台の話だろ・・・」などの感想を与えたら、何の意味も無いからです。

以前も書きましたが、私は子供の頃から寄席番組を見て古典落語で育ちました。
研修会では、あの落語の構成がとても参考になっています。
最初に「つかみ」があり、「まくら」があります。そのあとで「本筋」に入り、最後に「さげ」で終わります。

研修会でも最初に何らかの「つかみ」が必要です。
聴衆に興味を持ってもらわなければなりません。
聴衆は最初の数分でこの講師の話を聞くべきか、寝ても良いか決めます。
その後どんなに良い話をしようとも、聴衆が寝てしまうと何も伝わりません。
品の良い範囲で、自分に興味を持ってもらう。初めての地域では特に必要です。

次に「まくら」です。
本筋と関連する話をしながら、場を和ませ、自分の世界に持っていく馴らしをしながら、無理なく本筋に入ります。このときに「羽織」を脱いで、「今から本筋だよ」と聴衆に理解させる場合もあります。昨日はやりませんでしたが、私も上着を脱がせてもらう事があります。落語家ではこの「まくら」を話ながら、聴衆の雰囲気を見て、その場で「本筋」を選ぶこともあるようです。まあ私は講師ですから研修の本筋を変えることはできませんが、表現や使うスライドを変える事はよく有ります。
この場面で少しずつ話しながら、聴衆の表情を見ています。長年講師をしていますので、この場面で表情を見ていると、だいたい業務に対する考え方が把握できてきます。
研修会の構成の中でこの部分がとても重要だと思っています。

本筋を話し終わってからの「さげ」。これも研修でも大事だと思っています。
研修の「さげ」は、なにもウケを狙う訳では有りません。最後の余韻が残る様な話やスライドで終わる事を意識します。それが少しでも研修効果が残る秘訣だと思うのです。

研修会は講師の知識を披露する場面ではありません。時間をとって参加した聴講者のお役に立つように努力すべき場面だと思っています。
聴講者に媚びるのではありません。
どうすれば、頭に定着できるのか工夫すべきだと思っています。

そんなときに落語の構成はとても良くできていると思います。
たまに古典落語を聴いてみませんか。

追記)
もちろん、本筋をどこまで考えて、練り込んできたか、どれだけ稽古を重ねたかは当たり前の話です。










2012年11月28日水曜日

土地家屋調査士試験合格者のための開業ガイダンス



土地家屋調査士試験合格者の皆さんおめでとうございます。昨日発表になっているはずですね。苦労が報われたと言うことで、昨日は祝杯をあげた方も多いと思います。
心からお祝い申し上げます。

ただし、皆さんの目標はここで完成するものでは無いはずです。
この資格は持っていても何の役にも立ちません。
企業内資格者としても認められないものです。
いずれ土地家屋調査士事務所の開業を意識することになります。
そのために今回もやります。

「試験合格者のための開業ガイダンス」

前回から始めましたが、受講者には好評でしたので、今年は東北ブロックの行事に昇格しました。

前回についてはこのブログで


東北の今年の合格者の皆さんには下記文章が間もなく届きます。
迷いのある方は是非ご参加ください。

合格者の皆さんが開業で迷ったときに、匿名のブログや巨大掲示板の匿名の書き込みを見ても、もっと迷うだけです。ネガティブな書き込みも多いようです。
私はいろいろな意見があることは否定しません。
でも皆さんは開業したくて試験を受けたのですよね。
それであれば、開業して胸を張って土地家屋調査士をしている人の話を、直に聞いた方が良いでしょう。

開業を支援します。ただし無理には誘いません。
開業する、しない、答えはどちらでも良いです。
ただ迷いをスッキリするお手伝いはできます。

昨年同様、開業資金、開業準備、事務所経営、その他質問には何でも答えましょう。
質問が無くなるまで帰らないつもりで、今回も対応しましょう。

基本的には今年の東北の合格者が優先ですが、何年前の合格者でも、他のブロックの方でも、土地家屋調査士試験に合格して、開業に何らかの迷いがある方は、ご連絡ください。
きっとお役に立つと思います。




平成241128
土地家屋調査士試験合格者の皆様

日本土地家屋調査士会連合会
東北ブロック協議会長

試験合格者のための開業ガイダンス開催について(お知らせ)

前略
 土地家屋調査士試験合格者の皆様、試験お疲れ様でした。
また合格おめでとうございます。
東北ブロックの土地家屋調査士会、各会長より心からお祝いを申し上げます。

 皆様は、これから土地家屋調査士事務所を開業するにあたって、様々な夢や悩みをお持ちと思います。また開業するのか、しないのかを迷っている方も多いのではないかと思います。
 そこで、私たち東北ブロック協議会として、皆様の迷いの解決について少しでもお役に立ち立ちたいと思い、下記のとおり事務所開業のガイダンスを企画しました。
 しばらくの間開業しないと決めている方や、東北以外に開業を計画している方でも結構です。遠慮無くご参加ください。
草々
日時:平成25年1月19日(土)14時~(質問が終わるまで)
場所:宮城県土地家屋調査士会会館
980-0802  宮城県仙台市青葉区二日町183
参加申込み、問い合わせ先:
宮城県土地家屋調査士会  電話022-225-3961 fax 022-213-8485
Eメール info@miyagi-chousashi.jp
以上
  合格してから仙台に集うのも格別な想いがあると思っています。
お気軽に参加していただければ幸いです。

2012年11月26日月曜日

矜持

先日、他の会の土地家屋調査士の方とお話をしました。

その人は、お客様の為に余計な手間を省いているとのことでした。
つまりお客様に言われたことだけを処理するために、法律や手続きに定めてあることまで屁理屈をつけて省略し、お客様の費用負担を避けようという趣旨らしいのです。

境界確認するときにできるだけ面倒な隣接者と立ち会わない方法を考えるようです。たとえば、売買の為に境界確認を依頼されたときに、その隣接者を避けて1m程度引っ込んで分筆をするそうです。面倒な隣接者と関わって数ヶ月過ぎるよりもお客様の為だとのこと。
そして分筆の際の全筆測量の原則を外す為の何とか言い訳したり、世界座標で測量しなければならないところを、近傍に三角点等がないと言い切って任意座標で測量したりするそうです。

その残された細い土地はどうするのでしょうか。問題を先送りどころか、売買にしても管理にしても、新たな問題を作った事になります。

それらが本当にお客様の為でしょうか。
土地家屋調査士本人がやりたくないから、または能力が無いから、お客様のせいにしているのではないでしょうか。自分だけの為でしょう。
なぜ法律は世界座標を要求するのか考えましょう。なぜ法律は分筆の際に全筆測量を要求するのか考えましょう。
また法律には無いけれど、なぜ土地境界を確認する際に隣接者の立会を必須とするのかも考えましょう。
それは地権者であるお客様の土地の取引や管理の安全を図るためです。
土地家屋調査士の目先の安易な売り上げのためではありません。

たとえば医者が、頭痛の患者に痛み止め薬だけ渡して精密検査をしないことを、お客様のために費用を軽減していると言うでしょうか。
まして土地家屋調査士の場合は、その精密検査が法律で義務づけられているのです。
土地家屋調査士の存在目的を再確認すべきです。

私たちのような資格者を士業(さむらいぎょう)と言います。
私たちが侍なら武士道を貫くべきです。




2012年11月23日金曜日

宮城青調会40周年記念式典

11月22日は宮城青調会の40周年記念式典が開催されました。
私も宮城会会長として来賓出席致しました。


宮城青調会 松岡会長

来賓といいながら、私は宮城青調会第23代会長であり、現在も宮城青調会の正会員です。
他の青調会では年齢制限があるので、私が青調会の正会員だと言うと、怪訝そうな顔をしますが、宮城青調会は現在年齢制限を取り外し、「趣旨に賛同する者」という条件になったので、私は堂々と正会員なのです。

現在全国で青調会(青年土地家屋調査士会)のような組織ができつつあります。
その中で宮城青調会の40周年の歴史は、全国でもとても古いものでしょう。

初代会長である髙橋眞先輩を中心に設立した頃のお話しをお聞きすると、様々なご苦労も有ったようです。その後、40年の歴史の中で、代々の会長をはじめとした役員が、時折々の工夫をして、青調会を40年間育ててきたのです。
とても素晴らしいことだと思っています。

全国の新人達が自分たちのための研修会を開いたり、親睦を図ったりすることで、救われる新人が多いのです。
個人経営だから商売敵では無いのです。個人経営だからこそ、仲間を作って動くことがどれだけ助けになるか、これはやってみなければ分からないかもしれません。
特に何も立場がない新人のうちに友人になった仲間は、とても頼りになります。

私自身この青調会がなければ、会長どころか、土地家屋調査士を辞めていたかも知れません。
新人の頃に青調会の先輩にはどれだけ助けられたか分かりません。

その思いがあるので、宮城の青調会という素晴らしい仕組みを他の会に紹介しています。
他の単位会では、この若い人達の集まりを、不穏分子の集まりと敬遠することが有るようです。
「それは違う」と役員に説明する役も、現在の私の役と思っています。
宮城会と宮城青調会の役割分担を見て戴ければ、本当に頼りになる組織だと思うのですが。

私はこの宮城青調会の趣旨に賛同していますから、土地家屋調査士を辞めるまで宮城青調会を退会しません。何歳でも正会員です。

そうか、私は正会員だから、再度宮城青調会の会長に立候補する権利があるんだ。
そうか、そうか。


アトラクションのフラダンス。この中に司法書士もいます。




2012年11月22日木曜日

フリクションボール・スリム 0.38 & カラーズ

久しぶりに文具ネタです。またフリクションです。
今まで私が取り上げたフリクションも数多く有ります。


振り返ると私もフリクション好きですね。
私の大切なペンにもフリクションの軸を壊してその芯を入れていた時期もあります。

そんな私にも黙ってパイロットは、知らないうちにラインナップをソッと増やしているようです。


この右側の2本が新製品「フリクションボール・スリム 0.38」です。
フリクションの細書きです。
やっとできましたね。
だって、インクの筆跡を消す事ができるのだから、手帳の予定表に使っている人がとても多いのです。だから細書きは当然求められていたのです。

おそらく今までは、三菱鉛筆のジェットストリームや、ぺんてるのビクーニャのスムーズなインクの流れに対抗する為に、フリクションはある程度の太さのペン先でスムーズさを保っていると感じていました。ですからこの「0.38」の登場は、やっとその開発が終わったのでしょう。

実際に書いてみると、インクのフローは十分で滑らかです。これは使えます。
ただし、このペンはとても細く、クリップがありません。ペンケースの中では、細い形状がかえって安定しないこともあるので、クリップが有っても良かったかと思います。
いや、文句ではありません。私は間違いなくこのペンを使います。

おまけとして、フリクション・カラーズという商品も見つけました。
先がフェルトペンです。
イラストなどを書くときに、私は前述の「フリクション・いろえんぴつ」を使っていました。とても書き味が良くて、24色のカラーバリエーションも有って、私は好きです。



上がフリクション・カラーズ、下がフリクション・いろえんぴつ


フリクション・カラーズのペン先はこんな感じです。
当然フェルトペンの書き味です。カラーバリエーションも12色です。これも良さそうです。

また私の所持筆記具の中のフリクション指数が上がってきました。
引き出しがフリクションだらけです。
それを見て「そんなに私の書いたものは消すべき内容なのか」としばし自問自答。






2012年11月21日水曜日

葉月の会 in福岡

18日、19日は福岡会で「葉月の会」が開催されました。

私が会長になってから4回目の葉月の会です。
2009年は高知、2010年は宮城、2011年は宮城、今年は福岡で開催です。
宮城で2回続けて開催されたのは、2010年は順番でしたが、2011年は被災地視察を兼ねて宮城でという事情でした。

葉月の会については以前のブログでもご紹介しましたが、宮城会で言えば亀山会長の頃に始まったものです。任意の7つの単位会のお付き合いで、何かを決定すべき会議と違い、情報交換と具体的会務運営の隘路を同じ立場で相談しあう会です。日調連の会長会議等の公式会議と違うからこそ、話題も多岐に渡り、一般論だけでなく具体的な事例にも踏み込んで議論ができます。

今回の会議もたくさんのテーマについて議論がなされました。
・今後の全国会長会議について
・会に対する苦情や相談への対応
・職務上請求用紙と本人通知制度について
・会費未納会員への対応、みなし退会規定適応について
・役員による事務所訪問(実態調査)について
・合同事務所の形態とその登録について
・支部とその助成金について
・土地家屋調査士の業務拡大について
・土地家屋調査士業務報酬額について
・国土調査法第19条5項について
・公嘱協会と法人会員の応札について
・研修会に出席しない会員に対する対応について
・ADR認定土地家屋調査士の活用について

議決を意識しないからできる、かなり踏み込んだフリートークだからこそ、その内容はお互いにすごく参考になるものでした。
毎年会議を持ち回りにするのも、開催地の若い理事がオブザーバーで参加しやすくなります。今回の福岡の若い理事の皆さん達の為にもとても良い勉強になったと思います。

参加した各単位会にこの成果は必ず生かされると思います。

葉月の会に限らずに、このように全国の土地家屋調査士全員がこのようなフリーでしかもお互いのために意見を言い合える環境がたくさん有れば、業界全体がとても良くなるという実感を得て帰りました。



2012年11月19日月曜日

土地家屋調査士試験合格予定者のみなさんへ

土地家屋調査士筆記試験を突破し、口述試験を受けた方々、来月発表ですが、なにも心配有りません。安心して日々を過ごして良いと思います。
常識人であれば、口述試験では落ちないはずです。
みなさんは間違いなく合格予定者です。

ただし勉強を止めてはいけません。
まだなにも解決していません。この試験はお稽古事の試験ではありません。プロの専門家の登竜門です。
みなさんは言わば就職試験に合格した程度、専門家として国民のみなさんの為に登記制度に携わるには、あの資格試験程度の勉強ではどうにもなりません。

お客様は分筆登記だけ建物表題登記だけで完結する仕事をお願いしているのではないのです。なぜ分筆するか。なぜ表題登記を依頼するか。その後の何らかの法律経済活動が有るからなのです。

添付書類や図面の書き方を知っているだけでは、まったくだめなのです。
不動産利活用の相談も受けるでしょう。建築相談も法律相談も税務相談も受けるでしょう。別に弁護士法違反や、税理士法違反などをしなさいと言っているのではないのです。みなさんに業務を依頼する地権者は結構勉強しているのです。その依頼者のレベルにも達していない人は、相談の価値がないと判断されてしまうはずです。

みなさんが受験で学んだのは登記手続きだけです。みなさんが補助者の時代に担当していたものも、大半は登記手続きの事務だけでしょう。
でも資格者としてお客様に会ったときには、もっと広範囲の質問を受けます。それに答えられないと、本来の土地家屋調査士の仕事にも結びつかないでしょう。この部分は皆さんが勤めていた事務所の土地家屋調査士が答えていたはずです。

これから勉強することはたくさんあります。
ですから勉強する癖は消さないでください。
この業界は実はとても単純です。勉強を重ねて説得力を持つと、つまらない営業をしなくても仕事は来ます。これは嘘ではありません。
勉強したくない人が、結果的に回り道の営業をしているのです。

おまえの言うことは分かった、でも開業資金と開業度胸が無いとおっしゃる方がいれば、遠慮なく宮城会に相談ください。
世間が言うほど開業資金はいらないと私は思っています。
そこは考え方でどうにでもなります。固定費はできる限り圧縮してください。詳細は説明します。
無理にだましてまで会員を増やす気はありませんから、ご安心ください。
よろしければ、ほとんど開業資金がなくて開業した宮城の新人も紹介しますよ。
もちろん、結果的に宮城会に入会しなくて良いですから、遠慮なく相談してください。

また昨年宮城で開催した合格者開業ガイダンスを、近々東北ブロック全体に広げて開催する予定です。
合格者には何らか連絡したいと思いますが、合格者全員に連絡できるか分かりませんので、このブログもたまに見てアンテナも張っていてください。



2012年11月17日土曜日

好きなら好きと言おう

ボジョレーヌーボーをありがたがるのは日本人だけだという台詞があります。本人はいかにも通ぶって格好が良いのでしょう。
でもボジョレーにも、全世界のファンがいるのですよ。
だから日本にも渡ってきたのです。

ボジョレー解禁日を待ってうんちくを語る人、「あんなのはワインに入れたくはない」と全面的にボジョレーを否定する人、どちらも本人にとっては格好が良いのでしょうね。
芸術もスポーツも何でもうんちくを語る人がいます。
私は、「最後は好きか嫌いかだけ」だと思うのですが。
たとえば「珈琲はこれじゃなければ」という人がいますね。
そこまで言うのはとても好きなのでしょうね。
でもね。もっと好きな人は全部受け入れて、全部好きと言うと思います。
好きは理屈じゃないのですよ。




さて、以前のブログでも書きましたが、また今年もボジョレー・ベガルタ仙台ラベルが発売になりました。ボジョレーもベガルタ仙台も理屈無く大好きな私は当然買いました。
今年のボジョレーもとても美味しいと思います。これは好きです。

ちなみに私、当然土地家屋調査士という職業も大好きです。
自分が土地家屋調査士でいながらぶつぶつ言う人は悲しいですね。
土地家屋調査士も好きなら好きと言いましょう。
好きな女の子に対して嫌いと言ってしまう小学生みたいなことは止めましょう。
自分が土地家屋調査士なのに、そんな事うそぶいていたら、とても格好悪いですよ。




2012年11月13日火曜日

人脈は頑張って増やすものではありません

「鈴木会長はたくさんの人脈が有りそうですが、どうやって人脈を作っているのですか」と聞かれたことが有ります。

よく人脈が有る人、無い人という言い方がありますね。
個人生活の問題だけでなく、特にビジネスでも人脈がものを言うことは否定しません。
だから様々な自己啓発セミナーでも人脈つくりのノウハウを教えています。
だから新人の皆さんも人脈を広げなければならないと強迫観念を持つようです。
セミナーのとおりやってできる人脈が有るとしたら、私はとても胡散臭いと思います。

実際に人脈を増やそうとして、パーティなどに出て、名刺を配りまくっている人がいます。そこで初対面の相手に一生懸命営業気味の話をする人がいます。
この程度でできるものは人脈とは言わないでしょう。
私の場合はパーティのような多人数の初対面に会う場合は、50人の名刺交換に奔走するよりも、3人から5人程度の人とじっくりお話しをした方が良いと思っています。
どちらにしても、実際に物欲しそうな名刺交換は相手も引いてしまいますから、結局人脈などはできません。

スポーツクラブやボランティア団体に参加して、一生懸命に名刺を配っている人をたまに見かけます。目的がおかしいので、かえって敬遠されていることを本人は気が付かないようです。
一時巷で流行った異業種交流会も、目的が人脈造りだったところは長続きしていないようです。そもそもテーマもない異業種交流会に何の意味が有ったのか分かりません。

皆さんの携帯電話の名簿には、おそらく1000人程度の人間が登録されているでしょう。でもその1000人が人脈と言えるかというと疑問でしょう。
人脈は増やすことばかり考える必要はないのです。
むしろ、太い人脈が10本有った方がはるかに人生が豊かになるかと思います。

人脈というとビジネスで、友人というとプライベートという感覚があるようですが、あまり区別するのもおかしいと思っています。
皆さんが人脈と言うときの言い方は、他人を利用しようというニュアンスが含まれているように思えます。
名刺交換して「何々をしてもらえそう」と言う人がいます。
あまり物欲しそうな言い方をしない方が良いと思います。
むしろ「何々をしてあげられる」というギブの気持ちが無いと、新しいお付き合いはできないと思います。
世の中のギブアンドテイクは、ギブを何度も重ねてやっとテイクが1つ返ってくるようなものだと考えるべきです。

そして新人の皆さん、人脈は手段ではなく、結果だと言うことにも気が付くべきです。
眼をギラつかせないで自然体で正直に生きていれば、本当の人脈は勝手にできると思いますよ。






2012年11月11日日曜日

議論と多数決について

小学生でも知っている「多数決」は、民主主義国家のあらゆる組織で採用されている機関決定の方法です。
ただし、多数決の決をとる前には、しっかりとした議論が必要です。会議で議論が出尽くして、お互いの主張の背景(なぜそのような主張が出て来たか)まで理解して、その上ではじめて多数決で決めるべきです。

多数決に至る前には、話し合いをしっかりして、お互いに物事に対する理解を同レベルにしておかないと、無知な多数が、不幸な答えを決めてしまうことがあります。多数決の方法を誤ると間違いが起こるという欠点もあります。

私はいつも宮城会の理事の皆さんに言っているのは、「会長の1票も理事の皆さんの1票も同じ1票です。だから大事にしてください。でも私も想いが有って会長になったのですから、皆さんを説得する努力をします。」ということです。
もちろん宮城会の理事会は、多数決をとるまでもないところまで話をしてから、確認の為に挙手をしてもらっています。

さて、ある組織では数人の考えだけで物事が決まっているという話を聞きます。「俺たちが何を言っても無理なんだ。」という話も聞きます。また組織的に機関決定もしていない重要事項が対外的に発表されることがあるということも聞きます。本当であれば情けない組織です。

その数人に関してはここでコメントはしません。
ただし、その数人以外の人たちは、会議中何をしているのでしょうか。その数人以外の人が皆その決定に不満なら、何故会議で意見を出さないのでしょうか。そんなに反対者が多いなら、少なくても多数決では勝つでしょう。相手が言っていることが分からなければ、分かるように説明を求める権利もあると思います。それでも意見が言えないなら、その人達は悪い組織の中の被害者ではなく、組織を悪くしている加害者なのかも知れません。

民主主義の中の会議とは何か、もう一度皆で確認しましょう。
以下「多数決」に関するwikipediaです。

ある集団の全ての構成員個々からの意見表明を元にして、その集団が採用する意思決定をするための手法である。一般的には単記非移譲式投票によって実施される。

より多くの人間が納得する結論を導き出すこと、特定の人物の決定に委ねないことから、民主制と深く関連したものであり、民主制の中では手続き的妥当性から採用されている事が多いが、論理的には必ずしも民主制において必須な物ではなく、全員が納得するまで議論し続ける形の民主制もあり得る。また、どんな二人の人を選びだしても、十分細部まで比較すれば、同一の意思を共有することはない。従って多数決には、個々の意志の互譲や切り捨てが必ず伴う。単純な多数決は衆愚政治へとつながる危険性をはらんでいる。多数決はつねに少数意見の無視をともなう「多数派による専制」(トクヴィル)の側面があり「最大多数の最大幸福」(功利主義)がもたらす倫理上の負の側面をつねにはらむ。

多数決の正当性について、多数が必ずしも客観的に真実であり妥当なものを捉えられるものではない、とする批判がある一方で、少数説との比較において多くが相対的に良いと判断するものを選ぶことに最低限の正当性を認める発想がある。

日本においては、寺院などでも、多数決によって賛否を決める方法は古くからおこなわれていた。ただし、単純過半数で議論を決する事はほとんどなく、目に見える程度の差が生じなければその案が採用される事はなかったという(「多分の理・多分の評定」)。




2012年11月9日金曜日

東京会足立支部の皆様、被災地視察


東京会足立支部の安達一之支部長他18名の皆さんが、被災地の視察旅行ということで、本日宮城県にいらっしゃいました。明日は岩手県に入るとのことでした。

本日午後に宮城県土地家屋調査士会の会館に立ち寄っていただきましたので、お礼を兼ねて、宮城会からは震災時の写真をお見せしながら、その後の土地家屋調査士の動きを説明させていただきました。
その際に足立支部の皆様からは多額のお見舞い金を戴きました。心から感謝します。できるだけ有効な使い道を考えさせていただきます。
本日は私個人は、以前から決まっていた京都会研修会の講師をするために、仙台を留守にしておりましたので、大変恐縮しておりました。

足立支部の皆さんは今までも個人的にもボランティア等で宮城県に入ってくださっていたようです。私はそのことを知りませんでしたが、とてもありがたいことです。

また今回のように19名の皆さんが被災地に関心を持ち続けて、1年8ヶ月過ぎてからも来てくださったことに改めて感謝しました。

私が全国で震災のお話しをしているのは、このような全国の仲間からのご支援に対するお礼のつもりです。明日も京都で震災の話をします。京都会の皆様も関心を持ち続けてくださっています。
京都の皆様の危機管理の何らかのお役に立てれば良いと考えています。
また全国の皆様には12月15日の震災報告会でお役に立ちたいと思います。
よろしくお願いいたします。





2012年11月8日木曜日

調整役に思う

世の中には、調整役という役割があります。

ある組織やコミュニティで意見がまとまらなくなり膠着状態になりそうなときに、それぞれの利害関係者の意見や事情を理解し、その間に入り調整し、再度議論を進める大事な役だと思っています。
表立った争いを好まない日本の文化には、特に必要な役なのでしょう。

たとえば、調整役は議論でも勝ち負けを作らないで物事をまとめる役ですから、ある意味我々のADRと同じ機能であると理解しています。

ですからこの調整役を全うする為には、調整すべき複数の対立者の立場や意見をすべて理解して、調整を始めないと無理だと思っています。

調整役の一番の能力は、ADRと同じで、その人の意見がどんな背景から出ているのか、そこまで理解する能力を要求されます。
誰も自分の意見を理解できていない人から調整されるつもりは無いからです。

ですから、すべての個人的な意見や立場を理解する能力が、調整役の最低の能力です。
その後、各対立者に得心させる能力も必要です。ここもADRの能力に近いものでしょう。

日本の自称調整役にはこれらの能力を有しない人が多く、とても残念です。
むしろしっかりした自分の意見が無い人が、自分の居場所を相談役という無難な?役に求めるようにも見えます。
逆に自己顕示欲の高い、ある意味自分が主役になりたい人が調整役を始めると、それは調整ではなく、結局自分の立場を押し付けることになります。
どちらにしてもそんな人たちが動くと、結局調整できないか、一時的に調整できたように見えて、後から覆されることが多いですね。
しっかりした理論としっかりした人間力を持った調整役が欲しいものです。

被災地のコミュニティには本当の調整役が各地にいます。勉強になりますよ。

余談ですが、私は各種会議においては、安易に調整役が出てはいけないと思っています。
会議は意見を述べ合う場です。
ろくに議論もしないうちに調整を始める人がいる組織には違和感を持ちます。
もっともその前に、調整役が欲しくなる程しっかりした議論を闘わす構成員も必要ですが。





2012年11月6日火曜日

CREATOR'S DIARY

私は文具ヲタクであるし、中でも手帳ヲタクであることは、何度も書いています。(まだ見ぬ明日)

その手帳には様々な役割があります。

スケジュール
プラン
ダイアリー
メモ
アドレス
etc.

それぞれの役割を1つの手帳で済ますか、複数の手帳に分散するか、それにデジタルを併用するか、等々、皆さん工夫しているでしょう。
私は基本的にデジタルはバックアップとして利用しながら、メインはやはり複数の紙の手帳です。それらの詳細は別の機会に書きましょう。

さて、実際にデジタルの方が得意な分野と、紙の手帳の方が得意な分野があります。
紙の方が得意な分野としてプランニングが挙げられるでしょう。
「あの予定は何日だっけ?」というピンポイントの検索は絶対にデジタルの方が強いです。この用途では、私はgoogle calendarを使っています。

でも以前も書いたように予定表の一番重要な部分は、予定の空白部分の把握です。
否応無しに入れられた予定よりも、その予定と予定の間の空白の期間に何をするかがとても重要です。
この部分はデジタルでは感覚として把握しづらいのです。
また月刊予定表のブロック表示は分かりやすいのですが、ページをめくった翌月1日に需要な予定が入っているときの感覚が掴み難いことがあります。

また来月の10日に何かイベントがあるとした場合、10日の位置に予定を書いただけでは物事は進みません。その日はゴールであって、その日に向かって準備するというプランニングがとても重要です。例えば5日前までにこれをして、3日前までにこれをするなどの計画が大切です。ですから、その日までの日程(距離感)の把握が必要です。

そこで、私がそのようなプランニングの為だけに数年前から使っているのが、CREATOR'S DIARYという手帳です。



このダイアリーの中身は下記のとおりです。
写真で見づらいでしょうね。写真をクリックして拡大してみてください。


上半分がバーチカル型の予定表です。
1ページ1週間の表示で、この写真の見開きでは2週間を表します。
ちなみに1ページは幅125mm × 高さ220mmのサイズです。
バーチカル型は、やっと最近流行ってきましたが、時間の空いている部分が視覚的に把握しやすいので、私は昔から便利だと思っています。
そして下半分がプロジェクト別プランニングができる表になっています。
これは汎用性があるので、ユーザーによって様々な使い方が期待できるでしょう。

さてこのダイアリーの一番の売りは、下記写真を見てください。



そうです。各ページが7m以上の一枚の紙で繋がってて、それがジャバラ折で畳んでいるだけです。365日+αが一覧できるのです。(12.5mm*52weeks+6pages=7250mm)
暦に関係ないプロジェクトのプランニングにはこのダイアリーに書き込むことで、予定と予定の間(距離感)など全体が把握しやすくなります。

2013年版では、あの「超」整理手帳でも同様なもの(ロング)を発売したようです。
あちらはA4判を四つ折にしていますので、他の資料とサイズ的な互換性がありお勧めです。
私は最初に始めたCREATORE'S DIARYに敬意を表して、今年も買いました。



2012年11月5日月曜日

009 RE:CYBORG

私の初恋の人は003フランソワーズでした。
(それ以来私はヘアバンドに弱いのです)


009オフィシャルサイトから


ということで、子供の頃漫画で一番好きだったのは、当然「サーボーグ009」でした。

その009の新作映画が出ました。
攻殻機動隊の神山監督によるものです。
大好きだったサイボーグ達のキャラクターデザインがまったく別人に変わったことに納得できず、「絶対に見たくない」という気持ちと、「でも、私が009の新作を見ない訳にはいかないでしょ」という気持ちが錯綜しました。(3分だけ)
で、結局いつものレイトショーで見に行きました。

かつて、世界が危機に陥るたびに、人々を救った 9人のサイボーグ戦士がいた。
その役目を終え、各々の故国へと帰っていたゼロゼロナンバーサイボーグ達は、生みの親であるギルモア博士からの呼びかけによって、再び集結しようとしていた。
一方、ゼロゼロナンバーサイボーグのリーダーである日本人、009こと島村ジョーは、過去の記憶を消し、東京・六本木でひとり、暮らしていた。
サイボーグ戦士最後の切り札であるジョーは、ギルモア博士によって 30年間、3年に一度、記憶を リセット され、高校3年間を繰り返していたのだ。


あれからジョーは、高校生を長年に渡って繰り返していたのですね。
私はジョーやフランソワーズに小学生のときから憧れて、中学生、そして高校大学を経て、いつもまにか大人になっていたのに、ジョーはまだ高校生のままだったのですね。




今度の映画は、その昔からのファンと、これからの新しいファンとの、どちらにも受け入れられるものを作ろうとしたのでしょう。実際に映画館に行ってみると、確かにそのどちらの世代も入っていました。

私たち昔からのファンには、旧作へのオマージュが散りばめられていて、懐かしいシーンもありました。最後の月の裏のシーンも009の世界ですね。
成層圏からジェットとジョーが流れ星になるシーンは、往年の名シーンへのリスペクトですし、子供の頃に涙ぐんだシーンでした。
しかし、そんなサービスシーンに喜びながらも、私には違和感が一杯でした。
この違和感は何なのでしょうか。

映画自体は品の良くスピード感のある3Dアニメです。音楽も良かったと思います。
私の違和感は、少なくてもキャラクターデザインではないはずです。それは既に覚悟し、織り込み済みだし。

では何か。今度の映画のストーリーは、以前の009の世界観に思い入れがあり、且つ自分が大人になっていないと意味が分からないかもしれません。もう1つ、この作品に愛情があり、細かいところに突っ込まない寛容な心が必要と思います。そして私は良くも悪くもその大人になっていたようです。

でもそれ以外の人たちに、この映画はどう見えるでしょうか。
説明には時間が足りません。
少なくてもこの映画、キャラクターだけでも001から009それにギルモア博士の10人は各々見せ場を書かなければならないでしょう。それぞれの特殊能力を発揮しないと、各キャラクターの存在価値も理解できないでしょう。ピュンマに至っては、まったく特殊能力を発揮する場面がありませんでした。もしかしたら、ジョーの活躍が、あの加速装置によるものであることさえ、伝わっていないかも知れません。

ストーリーはどうでしょうか。
今回の映画は、石ノ森章太郎の未完のテーマ「天使編」「神々との闘い編」を扱っています。石ノ森章太郎の遺稿ノートを検証して、今回のエピソードをまとめたとのことでしたが、テーマが大きいので、実際にはまとめ切れていません。
2時間弱の映画で複雑な伏線を入れて、その内いくつかは回収できていません。
続編を作るつもりでも、あの終わり方をしてしまったら、伏線の必然性はあるのでしょうか。
私の気持ちは、初めて見た人たちに009を嫌いになって欲しくないという思いなのかも知れません。

いいんですよ。私は。
寛容な大人になっているのですから。
顔は違っていても、彼らは確かにゼロゼロナンバーのサイボーグ戦士達でしたし。
ダニエル・クレイグのジェームス・ボンドを見たような感覚ですが。
違和感はあるけれど、続編が出たらまた見に行くのでしょうね。

でも、ただ1つだけ言わせてください。
セクシーな003フランソワーズは見たくない。



映画オフィシャルサイトから

2012年11月3日土曜日

諸君はきのうの専門家かもしれん。

「諸君はきのうの専門家かもしれん。しかしあすの専門家ではない」

日露戦争の旅順攻撃を前にして、乃木希典大将が率いる第三軍を仕切っていた参謀長伊地知幸介に対して児玉源太郎が言った言葉です。
大本営からの作戦変更に対して乃木軍はすべて断ってきました。
この判断は、伊地知をはじめとする当時の専門家の中途半端な専門知識によるものでした。判断に一番必要な情報が誤っているのです。

「豊島も伊地知も、じつは専門家はどの専門知識ももっていなかった。・・(略)・・かれらは一知半解の知識で、対面だけは傲然として専門家の態度を東京の「しろうと」に対してとってみせたのである。」(坂の上の雲から)

伊地知は参謀として評判が良かった訳では無さそうです。それなのに選ばれたのは、「司令官を長州がとった以上、参謀長は薩摩にせねば・・・」という選ばれ方だったらしいのです。まあ、中途半端でも素人をごまかす程度ならできるでしょう。
それにしても当時、日本全国のための人選のはずなのに、現代の某政府、某連合会の人選のような話が有ったようです。

中途半端な専門家が一番始末に負えません。
むしろ中途半端な知識があるから、かえって柔軟な思考ができません。
実力が不足しているのは、おそらく本人が一番知っているのでしょう。
でもその実力のまま立場を持つと、変なプライドだけ出てきて、そこをごまかそうとします。

専門家と名乗るなら、常に謙虚に、常に未来を見据え、常に最新の知識を求めていなければなりません。
専門家個人としても、「自分は明日の専門家ではない」という謙虚さを持って、日々研鑽していなければ、専門家の看板を下ろして欲しいと思います。
まして「きのうの専門家」だけが統括する組織なら、国民に何の役にも立たない組織になります。





2012年11月1日木曜日

奇跡の災害ボランティア「石巻モデル」

阪神淡路大震災の年が、ボランティア元年と言われることがあります。
大勢の若者を中心に日本中から大勢集まり、世間にそのボランティアという存在を知らしめた年でもあります。
甚大な被害の大震災を背景に「ヒューマニズム」だけがクローズアップされた存在ですが、この「善意による」「無報酬の」「社会貢献」は、とても曖昧なもので、「自発的」だからこそ組織行動が難しく、飲酒して騒ぐ迷惑なボランティアという新たな問題も起こったのです。阪神淡路大震災において、災害ボランティア活動はきれい事だけでは済まないことを、全国の人は、知ってしまいました。
今回の東日本大震災でも、被災地では全国から集まるボランティア志願者について不安視する向きも有ったようですし、被災地の各自治体もボランティア受け入れには実際消極的だったようです。

奇跡の災害ボランティア『石巻モデル」中原一歩 朝日新書



この本を読みました。
被災後半年間だけで、石巻に集まったおよそ100団体、のべ68万6800万人が混乱無く組織され、ボランティア活動の奇跡的成功例を紹介しています。

全国から集まったボランティアは組織されている訳ではありません。被災地に来て始めて組織されるのです。そのボランティアの個人、グループにしても、思想信条、またやれることが皆違うので、組織化することはとても難しいのです。
また大勢の人が集まるだけで、その人達の生活が新たな問題になるのです。食事とトイレ、生活規範など様々な二次的な問題が発生します。

石巻だけで震災後6ヶ月間でのべ10万人のボランティアが来ています。その石巻で、社会福祉協議会、ボランティア、地元企業、支援企業、自衛隊までが奇跡的に連携できたのです。そしてそれには受け皿としての石巻専修大学が拠点となったことがとても大きいできごとでした。大学のキャンパスの一角にテント村ができました。

石巻専修大学の一室で毎夜繰り返される「石巻災害復興支援協議会」が奇跡的な連携活動の中心となりました。

筆者中原一歩氏は、佐賀県のノンフィクションライターですが、石巻に腰を下ろし丁寧に取材しています。様々な出来事とその決定過程がよく書けていると思います。

NPO、NGO、ボランティア個人、行政、地元のキーマン、あらゆる立場の人の視線で、とても具体的に書かれています。

起きては欲しくないけれど、今後も何か起きる可能性が有ります。その観点では日本列島安全なところは無いと言えます。

だからこそ、この本の提言はとても重要だと思います。
すべての方に是非読んで欲しいと思います。




2012年10月26日金曜日

★早く決断することが正解


昨年の東日本大震災を経て、なお一層強く確信したことに以下の考え方があります。

「選択はどちらであっても、早く決断することが正解」ということです。

実際に毎日迷うことはたくさんあります。
「今日のランチは何を食べようか」というような軽い選択から、人生が賭かっている重い選択まで、毎日様々な選択をしています。

「熟慮する」とか「検討する」と言う態度は、一瞬良さそうな気がしますが、実際は何も決められない人の言葉です。
「時機が来たら」という選択する人に、おそらく一生その時機は来ないでしょう。

私は被災地で一瞬で判断しなければならないことを経験してきました。
選択はどちらでも「早い決断が正解である」ことを身に染みて理解しました。

「迷うくらいの選択を、一瞬で判断せよと言うことは、とても乱暴ではないか」という意見も有るでしょう。
でも、あなたが常識人なら、話にならない選択肢は最初から外れていますので、選択肢の俎上にも上らないはずです。
だから迷うくらいの選択肢は、どれを選択しても誤りではない筈です。
80点か70点かの程度の違いでしょう。
100点満点を狙って熟慮しても、そんな満点の選択肢は滅多に有りません。
むしろ満点を狙って、いつまでも決められず、時間切れ、つまり零点になる人が多いようです。

早く選択して動き出すと、時間的余裕も有り、場合によっては70点を80点に修正する余裕も有るかも知れません。

仕事もそうですね。
嫌な仕事こそ、さっさと終わらせなければなりません。
後回しにしていると、どんどん問題が大きくなりますね。

よろしければ、大震災前に書いた2010年5月25日のブログ「★15分で結論を出す」もご覧ください。



第8回国際地籍シンポジウム

先週10月19日に第8回国際地籍シンポジウムが札幌で開催されました。
同シンポジウムは、地籍学及び実務の進歩普及を図る目的で、日本(日本土地家屋調査士会連合会)・韓国(大韓地籍公社)・台湾(中華民国地籍測量学会)が中心になって設立した「国際地籍学会」が主催するもので、2年毎に台湾、日本、韓国の3カ所の持ち回りで開催されています。

仙台法務局気仙沼支局の海没した登記簿を回復させた阪本勇教授の基調講演「津波災害後のインドネシア(アチェ)と日本(東北)における土地権利の擁護と回復」に続いて、岩手会の菅原会長をはじめとして、たくさんの研究発表がありました。
この詳細は別の機会にお伝えします。


さて、平成10年に第1回国際地籍シンポジウムが台湾で開催されたときに、私も日本から発表者として参加しました。

この3カ国は、戦前同じ登記制度の中で動いていました。それが戦後になって、各々の国がより良いと思う方向に、登記制度や地籍制度を進めてきたのです。

私も以前、個人的に台湾や韓国を訪問して、その重い歴史を感じて来ました。私たちが慣れ親しんでいる土地台帳が、ある行からハングルに変わっていたのです。そこから各々の制度が動いてきました。

台湾は国が、韓国は半官半民である公社が、そして日本は土地家屋調査士という民間が、登記に関する地籍を担当しています。この違いがとても興味深いのです。
日本の地籍制度が理想的な進化だったのか。再確認できると思います。

他国との比較ですが、他の士業では登記制度をイギリスやオーストラリア等と比較したりしているようです。しかし私は、元々制度が違う国と比較するより、元々同じ制度だったこの東アジアの3カ国の方がより比較する興味が有ります。

各国の地籍がどこに向かうのかを考える事が、過去登記を通して地籍を見てきた我々土地家屋調査士の未来を考える上で、とても重要と考えます。
そんなことを考えるヒントとして、このシンポジウムで知る他国の動きはとても参考になります。

さて、この8回続いたシンポジウムを、お金がかかるという理由で止めたいという日調連役員もいるようです。
止めるのは簡単です。いつでもできます。
でも、何故過去の先輩達がこのシンポジウムを始めて続けてきたのかを、もう少し検討してから発言しても良いのではないかと感じます。
費用削減はとても大事です。
でもあらゆる事業を削減していては、「じり貧」になるだけです。オリンピック開催と同じで、かかる経費は工夫すべき課題と捉えるべきではないかと思います。






2012年10月24日水曜日

研修部の役割

全国の土地家屋調査士会は、毎年とても多くの研修会を開催しています。
様々な分野の研修会を見るたびに、土地家屋調査士の懐の深さを感じて、とても嬉しくなります。

そして、その研修会を企画しているのが、各会の研修担当の理事さん達です。
宮城会の研修部理事も、今何が必要か一生懸命議論して企画しています。
どこの調査士会の理事さん達も同じようにご苦労されていると思います。

研修部の一番大切な役割は、研修を企画する事です。
その為には、まず理想的な土地家屋調査士像を想定して、それと現状のギャップを分析する事です。そして、そのギャップを埋める作業が研修です。

土地家屋調査士なら誰でもできなければならない事、例えば、調測要領の内容でしょうか。これらに関する研修は必修になるでしょう。各々の調査士会の会員の傾向を把握して、必要なところから埋める必要が有ります。
また調測要領の範囲外であっても、近い未来に対応するための新しい分野の研修も必要です。

自分たちに足りないこれらの分野を僅かな予算と日程で早急に身に付けなければなりません。
調査士会としては、会員に評価されなくても、やらなければならない研修もあります。むしろ、その分野がウィークポイントなのでしょう。だからこそ工夫が大切です。ここが研修担当者の腕の見せ所でしょう。

また、調査士会によっては、その会をリードする研修担当者の得意分野に関する研修会が多くなる傾向も有るようです。意図的ではないにしろ、その会の会員はバランスが悪くなります。

これは個人でも同じ事なのです。他の会まで行って自発的に研修を受ける人たちもたくさんいます。とても素晴らしい事です。でも、自分たちの好きな方向の研修だけ受けていませんか。土地家屋調査士はバランスなのです。

私は日調連の研修部理事だった事があります。

当時、全国調査士会の研修会がやりっ放しではとても勿体ないので、それらの研修の資料や動画を集めて研修ライブラリを作りました。それで全国の研修会を自宅にいながら受講できる仕組みを作りました。
これは今の日調連が企画しているイー・ラーニングとは思想が違います。

ただし当時はまだネット社会ではなかったことと、必ずしも研修会の動画を各会が送るシステムを持っていなかったことで、ライブラリが充実しませんでした。とても残念な思いがあります。

また日調連の研修部の一番の役割は、全国視野で長期にわたる研修計画をつくることだと考えています。そしてそのカリキュラムと指導要領を構築する必要があると思っています。当時そんな考え方で全国統一の新人研修マニュアルができました。


個人でも調査士会でも日調連でも、研修は思いつきではなく、一貫した思想の基に、バランスの取れた長期研修計画を立てる必要が有ると思っています。




2012年10月21日日曜日

震災報告会〜正式申し込み

このブログでも過去何回かお知らせしている東日本大震災報告会「被災地からの発信」の正式のご案内と正式申し込み書ができました。
各会を通じて土地家屋調査士の会員の皆様にはご連絡差し上げますが、念のためこのブログでも以下のとおり、お知らせいたします。

*前回仮申し込みされた方も今回の正式申し込みをお願い致します。



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平成24年10月15日
各土地家屋調査士会御中
各土地家屋調査士会 会長 様へ

東北地方東日本大震災被災三県
宮城会 会長 鈴木  修
福島会 会長 五十嵐欽哉
岩手会 会長 菅原 唯夫

                        東北ブロック協議会
会長 菅原 唯夫

東日本大震災報告会 『被災地からの発信』
開催のご案内と正式申込みのお願い
 各土地家屋調査士会の皆様には東日本大震災発生時よりご支援やご協力を頂いており
ますこと感謝申し上げます。
 さて、7月下旬に『被災地からの発信』の開催準備と仮申込みにつきまして各会にお知らせをして、会員に通知していただきましたところ、全国より300名近い出席希望者がありました。
 現在の被災地はがれきを市街地から移動させたため、一見するときれいになり復興が進んでいるように見えますが、実際は復興という言葉すら使えないような状況にあります。
 福島県においては原発問題がこれから何十年続くかわからない状況の下で生活している人々がおります。
 震災発生から1年7ヶ月が過ぎましたが被災地の状況を正確に伝える報道は少なくなっており、このまま東日本大震災が政治に利用されたり、減災の教訓にされて真実の被災地を知っていただかないうちに風化されていくのが一番怖いことと考えております。
 東北地方被災3県会長も全国から大勢の会員をお迎えして報告会が開催できることは今一度、東日本大震災を考える良い機会であり、一つの区切りでもあると考えており正式案内に向けて準備をしてきましたが、このたび、この書面にて案内をさせていただきます。
 各会、各会長様におかれましてはご多忙中のところ恐縮でありますが、別紙の正式案内と申込書を今一度会員に通知していただきますようお願いを申し上げます。

なお、各会でとりまとめていただいても結構ですし直接下記へご連絡を頂いても結構です。
ホテルや懇親会場等の都合で締め切りを平成24年10月31日しております。

問い合わせ先  
宮城会調査士会 022-225-3961 
岩手会調査士会 019-622-1276

事務局で不明の場合は折り返しの連絡を取らせていただきますご了承ください。

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平成24年10月
土地家屋調査士会員の皆様へ


東北地方東日本大震災被災三県
宮城会会長 鈴木  修  
福島会会長 五十嵐欽哉 
岩手会会長 菅原 唯夫

東北ブロック協議会  会長 菅原 唯夫

東日本大震災報告会 『被災地からの発信』
開催のご案内と正式申込みのお願い
 7月下旬に『被災地からの発信』の開催準備と仮申込みにつきまして各会にお知らせをして会員に通知していただきましたところ全国より300名近い出席希望者がありました。本当にありがとうございました。 
 開催準備をしています被災三県会長も準備委員会を組成して対応してきましたが、このたび別紙の要領で開催することで準備しております。
大変恐れ入りますが、今度は正式にお申し込みをお願いいたします。ご面倒でも別紙申込書に記載の上返信くださいますようにお願いいたします。
なお、前回の仮申込書を提出されていない方でも参加できますのでご検討をお願いいたします。
 
注意    前回、仮申込みした方でも申込みが必要になります。



返信先    

    岩手県土地家屋調査士会    菅原唯夫事務所宛て
    ファックス  019-631-3966
    Eメール  sugawara@sc-office.co.jp

問い合わせ先  
宮城会調査士会 022-225-3961
    岩手会調査士会 019-622-1276

平成241031日必着でお願いします。


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開 催 要 領
1 日  時   平成24年12月15日(土曜日) 

2 場  所   仙台国際センター
          980-0856 仙台市青葉区青葉山無番地
TEL022-265-2450(施設係直通)、022-265-2211(代表)
3 日  程
  平成24年12月15日(土曜日)
  受付開始  12時 (開演までDVDの上映) 
  開  演  13時
   第1部   被災体験を聞く      
第2部   土地家屋調査士と震災業務 
第3部   震災と土地家屋調査士 (まとめ)
        早稲田大学大学院法務研究科教授  山野目 彰 夫 様 
※ 3部構成で開催したいと考えておりますが各部の演題につきましては変更する場合があります。

閉会の言葉 17時00分~17時10分 

4 懇親会   会 場  KKRホテル仙台 立食形式 
             980-0012 宮城県仙台市青葉区錦町1丁目817
TEL:
(代)022-225-5201  FAX:(代)022-265-7701
開 会  18時30分から 2時間    会費5,000円

※ 仙台国際センターには仙台駅から仙台市バスかタクシーをご利用ください.バスは,仙台駅西口バスターミナルの9番乗り場からお乗りください。バスは約10分180円 タクシー約7分 片道1000円程度
http://www.sira.or.jp/icenter/access_bus.html バスの時刻表が載っています。

※ ご自分でパックなどを利用してホテルを確保する方は別紙の申込み用紙に記載ありますようにメイン会場と懇親会場が離れていますので仙台駅周辺、または中心部の方がよろしいかと思います。

5 前日14日、後日16日の現地バスツアー及び開催前の懇親会について
    バスツアーにつきましては別紙申込書を確認して申込みください。
    開催前懇親会 14日 
会 場  メルパルク仙台 
983-0852 仙台市宮城野区榴岡5-6-51TEL022-792-8111 FAX 022-792-8113
    開 会  18時30分から 2時間    会費5,000円
※ 開催前懇親会場は仙台駅の東口になりますのでご注意ください。


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