2011年6月29日水曜日

ユダヤ・キリスト・イスラム集中講座ー井沢元彦


海外のあらゆる文学・美術に触れる度に自分の宗教的知識の脆弱制を感じます。
これらの芸術の世界に留まらず、世界の政治も経済も、この宗教の背景を理解しないと把握できません。
学生の頃、宗教関係の本をたくさん読みましたが、社会的な経験も知識も無い頃なので、結局ほとんど理解できていませんでした。特に哲学に興味を持っていた生意気な時期ですので、わざわざ分かり難いようなものを選んで読んだ気がしています。

ユダヤ・キリスト・イスラム集中講座 井沢元彦
〜宗教紛争・テロはなぜ終わらないのか

井沢元彦氏が2004年に出した本です。
この本の内容については、以前井沢元彦氏本人の講演を聴いたことがあります。
その時は大変分かりやすく宗教を解説していました。講演だけでも内容が整理されていて良く分かったのですが、一度この本も読もうと思っていました。
しかし何故か本屋に行くと買い忘れていた本でした。
先日偶然本屋で見つけたので、懐かしく読んでみました。
この本は、このユダヤ教・キリスト教・イスラム教という3つの宗教を解説した本です。
宗教学的な立場ではなく、各々の成り立ちであったり、教義であったり、日本人にとって理解しづらい部分を解説した本です。
宗教者が書いたのではなく、元ジャーナリストととしての視点で書いてある事にこの本の存在価値があります。日本人による日本人のための宗教解説本です。

第1部では、もともと一神教として、同じ創造主を信じるこの3つの宗教が、唯一の神エホバ/アッラーを、救世主としてのイエスを、予言者としてのムハンマドをどう位置づけ、どう考えるかを、解説しています。

第2部では、それぞれの言い分として、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の各代弁者との
直接対談をして、現代のお互いの立場を浮き彫りにしていました。
この部分は特に聞き難い事もしっかりと聞いています。
それに各宗教の第一人者が答えています。この答えが興味深いですね。この本の中心となる部分です。

この3つの宗教の関係などに興味が有れば、読んでおいても良い本だと思います。
ちなみに池上彰著「池上彰の講義の時間 高校生からわかるイスラム世界」もイスラムの一冊目としては、分かり易い本です。

日本人は世界でも大変珍しい多神教です。それもかなり緩い宗教観です。まったく宗教を認めないという立場でもなく、あらゆるものを包含して、「祭り」にできる民族です。
日本人は「世界の宗教対立緩和のお役に立てる数少ない立場」であると、改めて思いました。

2011年6月28日火曜日

訃報〜常陸慶喜会員

常陸慶喜会員(古川支部)が、28日0時30分頃、心不全で逝去されました。
理事でも活躍されていた方で49歳です。若すぎます。
ご冥福をお祈りします。

7月1日 17時 通夜 ご自宅
7月2日 10時 告別式 龍川寺
喪主:常陸とし子様

詳細は後ほどホームページで報告します。

2011年6月27日月曜日

新役員になった人へ

先週のブログは、日調連について少し書きました。
あれは日調連だけでなく、各土地家屋調査士会や各支部でも同じ事だと考えています。
自分たちの未来を創る為に、役員という代表を出すのです。

「ただ役員に成りたい」だけの人や、「あと何年で表彰」なんて言っている人がいたら、全力で外さなければなりません。
その人は自分の為だけに役員の立場を利用している人でしょう。そういう人は、普段どんなに偉そうな事を言っても、いざという時に働きません。
本来は「土地家屋調査士の未来の為に、これをしなければならない。その為には役員という立場でないと難しい。」となるはずです。

では、逆に不本意ながら突然役員にされてしまった人は、どうすれば良いのでしょうか。
実際に「何故、私・・・?」という人が多いのでしょうね。
私のところにも、新たに理事に就任された人たちから、少し相談が来ています。

まず確認したい事は、「役員は「限られた一部の偉い人」が成るものではない。」という事です。
日調連クイズ(宮城会クイズでもよいのですが)に答えられない人が多いとすれば、それが組織の現実です。そうであれば、その人たちが何故興味を持たなかったのかを一番知っている人が、代表となり発言すれば良いのです。

研修会に行かなかったのは、なんか自分が欲しい研修会の内容じゃなかったからでしょう。
ホームページを見なかったのは、全く内容が面白くないからでしょう。
会から来る文書を読まないのは、読んでも分かり難い書き方をしているからでしょう。
懇親会に出席しないのは、役員が固まって偉そうにしていて、話す内容もつまらないからでしょう。
役員になって会議に出たくないのは、答えが決まっているのにダラダラと長いからでしょう。

それらを一番知っているあなたが役員になれば、多くの会員にとって一番良い事なのです。
昨日まで役員をやっていた方は、それに気がついていないのですから。
もし役員が気がついていたら改善しています。少なくても改善途中の努力が見えます。
ですから、そこから変えれば良いのでしょう。

なんたって、研修担当の理事になったら、自分の聞きたい研修を企画できちゃうんですよ。

でも「俺なんか。何もできないし・・・」なんて謙虚なフリはヤメましょうね。
若干の自惚れがあるから資格の世界に来た事ぐらい皆知っていますよ。
できる範囲で頑張ってみて、それでも駄目な時は「選んだ人が悪い」と居直っても良いでしょう。

2011年6月26日日曜日

俺は中小企業のおやじ-鈴木修

googleで自分の名前を検索した事有りますか?
土地家屋調査士であれば、まったく出ないことはないでしょう。職業別電話番号を紹介するサイトも有りますし。

さて、鈴木修というどこにでもある名前ですと、同姓同名がたくさんいます
googleで「鈴木修」を検索すると、一番最初に出てくる人が、あの超有名な方のスズキ自動車会長の鈴木修氏です。その他に森三中の大島美幸と結婚した放送作家の鈴木おさむ氏が出ますね。 またプロレスラーの橋本真也や武藤敬司、蝶野正洋のテーマ曲の作曲者も同姓同名でした。
 私の場合は検索文字に「土地家屋調査士」を追加していろいろ出ます。 お会いしたことはないですが、神奈川会にも同姓同名の土地家屋調査士の方がいらっしゃるようです。

さてその全国で(世界で)一番有名な鈴木修さんが書いた本がこの「俺は中小企業のおやじ」です。一年前に斜め読みで終わらせたものですが、久しぶりにじっくり読みました。



現在の世界不況の打撃は、スズキにも及んでいるわけですが、本書を読む限り、そんな様子はみじんも感じられません。
むしろ、「過去苦境など何度も経験している。むしろ周期的に危機は来るものである。問題は、その時のリーダーの即断と行動だ。」という著者の心意気が伝わってきて、読んでいるこちらが励まされる、そんな内容に仕上がっています。

語録から少し抜き書きしましょう。

スズキは浜松の中小企業だ


会社の危機も、商品の寿命も、25年周期でやってくる


スズキの売上高は取扱高にすぎない


止まったら負け


杉の木は之の重みで折れるが、竹は折れない


どこの国でもいいから1番になりたい


GMは鯨、スズキは蚊。鯨に飲み込まれずに高く舞い上がれる


トップダウン・イズ・コストダウン


軽自動車もれっきとしたクルマ


金と時間がかかるものは大嫌い。会議はその最たるもの。


富士山のおいしい地下水も、溜まればボウフラがわく


できない理由を聞くヒマはない。どうすればできるかを言ってくれ


ハート・ツー・ハート


生き残る為に我流を捨てて「基本」に忠実に行動しよう


小・少・軽・短・美


10万円も値引きするなら、売らない方がマシ


機械油の焼ける匂いは、メーカーに働く者にとって香水の香りと同じ

これらの語録に興味が有れば、読んでみる事をお勧めします。
トップになれない(ならない)企業として強烈なリーダーシップと現場主義を貫かれています。

経営者であればもちろん、なんらかのリーダーの立場の人は一度読んでも損はありません。

2011年6月24日金曜日

被災測量機器へのご支援

本日東京から、曽根芳文さんと石瀬正毅さんが、東京会の仲間を中心に集めてくださった中古測量機器を持って来てくださいました。車で朝5時に出て、途中福島会に届けて、その後宮城会に届けてくださいました。

本当に、このようなご支援はありがたいものです。
地震や津波で使えなくなった測量機器の替わりに、手元の測量機器を点検調整した上で提供してくださったものです。
バッテリーを新品にしてくださったり、本当に手間とお金がかかっています。

やはり土地家屋調査士は測量機器が有ってはじめて土地家屋調査士です。
事務所が無くても測量機器が手元に有れば、間違いなく意識も高揚するはずです。
復興にはこの意識の高揚が一番大切だと思うのです。

この件は、全国からもたくさんの測量機器のご提供のお申し出が有りましたが、おそらく東京会からのもので希望数に達すると思うので、もう充分です。ありがとうございました。

いつも言ってますが、ここまで強い繋がりの資格業界は、他にほとんど無いと思っています。
この業界に感謝していますし、そこに所属している事に誇りに思っています。

ちなみに、曽根さんと石瀬さんは東京に帰らず、そのまま宮城県の沿岸地域に行って、数日ボランティアをしてから帰るそうです。頭が下がります。

お二人に感謝。東京に感謝。全国に感謝。

2011年6月23日木曜日

日調連総会

個人的事情でブログ更新を休んでいました。
少し休むと宣言したにも関わらず、毎日平均400回以上の閲覧を戴き、大変恐縮しています。少しずつ戻して行きますので、また懲りないでお付き合いください。

さて6月21日〜22日は日調連総会でした。注目の役員選挙もありました。
その選挙の結果ですが、以下のとおりでした。

<会長>
竹内八十二 105票(東京会) 当選
瀬口 潤二  77票(山口会)
 
<副会長>   
林   千年 127票(岐阜会) 当選
岡田 潤一郎 121票(愛媛会) 当選
志野 忠司  99票(奈良会) 当選
関根 一三  91票(埼玉会) 当選
小林 昭雄  68票(青森会)
中村 邦夫  37票(福岡会)


東北ブロック推薦の小林昭雄さんは、惜しくも当選できませんでしたが、会長指名の理事に就任しました。

土地家屋調査士にとっても被災地復興にとっても大切な総会だったはずなのに、やはりこの時期は全国が選挙のお祭り騒ぎに巻き込まれてしまったことを、問題視しなければならないと思っています。
実際に選挙にしても、全国で17,000人程度の組織の中で、地域対抗をしている場合ではないはずです。
先日書いたとおり「昭和の選挙」はもうヤメましょう。

本来の勝った負けたは「誰が勝ったか」ではなく、今回の選択をしたことで「土地家屋調査士業界が勝てるようになったのか」が問題なのですけどね。

とにかく選んだ責任で、全国がこの執行部を支えなければなりません。

2011年6月16日木曜日

土地家屋調査士の出番はこれから

日調連クイズは、私がいつも申し上げているように、「自分たちの未来は自分たちで創ろうよ。」ということを再確認したかったために、書いたものです。

適当に誰かに未来を委ねて居酒屋で愚痴を言っているなら、サラリーマンに戻れば良いのです。
皆さんも自分で自分の未来を創ろうと土地家屋調査士になったのでしょう。

日調連の選挙も、同じ地元とか、好き嫌いとか、俺に挨拶しないとか、そんなレベルで投票しないで欲しいと願っています。
もう昭和の選挙は止めましょう。

日調連だけでなく、会も、支部も、同じことが言えます。
皆さんが全員で、意識を持って役員を交代して就任していくことが理想です。
それが無理なら、本気で役員を選んでください。
そして選んだら、本気で応援してください。

宮城会の場合、皆さんに私は本気で選んで戴いたと、理解しています。
えっ、誤解ですか?
まあ、誤解でも選ばれたからには、頑張ります。
ですから、応援してください。
皆で一緒に頑張って、宮城を復興させたいと願っています。
土地家屋調査士の出番はこれからですから。

さて、
個人的な事情でこのブログの更新を少し休ませて戴きます。
ただ余裕が無いだけですから、ご心配なく。
ちょっと充電して、すぐに再開致します。

2011年6月14日火曜日

日調連クイズ(初級編)Q10

「日調連クイズ(初級編)のQ10が何故無いのか?」と質問されました。
初級編の最後の問題は、Q1~Q9までを見て、何か考えて戴く時間をおいてから、出題しようと思っていました。


Q10)日調連を良くするためにあなたができることは?

**********************************

A10)たくさん有ります。


・日調連を理解する。
昨日の日調連クイズ(初級編)の答えのように、普通に見られるところに有るものも見ていないで、文句を言っても仕方ありません。
まず、批判や意見を言いたいのなら、少し相手のことも勉強しましょう。
勝手に思い込みで批判しても、上滑りになり、相手どころか、自分の仲間と思っている方々にも響きません。
理解すると何らかの前向きな意見も出せます。

・日調連に自分の得意分野でお手伝をする。
日調連役員と言っても、土地家屋調査士の仲間です。皆さんの中から意を決して皆のために、日本の制度のために立ち上がってくれた人たちです。でもすべての分野で1番の能力が有るわけは有りません。ですからその人の不得意分野を皆でお手伝いすればよいのです。
よく、たった一つの分野だけ勉強している人が、「役員のくせに、お前たちはこんなことも知らないだろう。」って言うことで、溜飲を下げるところを見ていますが、そんなことを言うと、相手によってはかえって頑なになることが有ります。
むしろ「この分野はお手伝いしますよ。」と言ってサポートした方が、早く自分の目指す世界を実現すると思います。
まあ、溜飲を下げるのだけが目的と思われる発言も聞きますが、そうであればその人は、どんなに勉強していても、やはり「屈折した権力志向」なんだと理解しています。


・表に出て発言する。
ネットや居酒屋だけで批判しても何も変わりません。
それは「便所の落書き」と同じです。
意見は表でも言わなければなりません。
もちろん他国ではネットで革命を起こしたところも有ります。
でもあれはネットだけで革命を起こしたのではありません。
あれは現実の行動を伴ったからです。
むしろ現実の行動をするための連絡に使っただけです。
そこを理解しなければなりません。


・日調連役員を本気で選べる地元の役員を本気で選ぶ
「でもあの日調連の役員達には何も言っても無駄だ。」と言うでしょうね。
日調連の理事たちを知れば、本気で皆さんのために働いている方もたくさんいることが分かります。
働いているようには見えない人も、残念ながら少しいますが・・・。
その日調連の役員を選ぶのは皆さんの地元の会の役員です。
その地元の会の役員を選ぶのは皆さんです。
政治家も業界の役員もいい加減に選ぶと、被災した時に本当に苦労しますよ。


正解は、まだまだたくさん有ります。
前向きな回答なら、すべて正解です。


不正解は「あんなところ何も変わらない。」です。

2011年6月13日月曜日

日調連クイズ(初級編)

Q1)日調連の正式名称は?
Q2)日調連の所在地は?
Q3)日調連の会長のフルネームと所属会は?
Q4)日調連の副会長は何名?名前と所属会は?
Q5)日調連の会長や副会長の選挙は誰が投票するのか?

Q6)日調連の役員の種類は?
Q7)日調連理事はどのようにして決まる?
Q8)日調連の会長と副会長の今度の立候補者は誰?何を言っているの?
Q9)日調連の総会はいつ?

***********************************************
A1)日本土地家屋調査士「会」連合会
土地家屋調査士連合会でないことに注目。会員個人の集合体ではなく、会の集合体です。
その違いが、様々な行き違いの原因になることがあります。



A2)東京都千代田区三崎町にあります。
JR水道橋駅東口から徒歩2分。(若い人なら)
土地家屋調査士会館の一部を借りています。
東京土地家屋調査士会が大家さんです。


A3)松岡直武。大阪会所属。
自分たちの会長のフルネームを漢字で書ける程度の関心は持ちましょうね。
フルネームまでと言われると正解は何%になるのでしょうか。
ちなみに宮城の会員は、私の名前知っていますか?


A4)4名。
大星正嗣  石川会
志野忠司  奈良会
竹内八十二 東京会
関根一三  埼玉会
「副会長って何人ですか?」という問いに答えられる会員が少ないですね。



A5)代議員です。
各会の会員数で代議員数が決まっています。
宮城のように会員数が少ない会は、票が2票しかありません。
でも、「地元から会長を・・」等の昭和の政治みたいなことを言っている方がまだいますが、しっかり業界の将来を議論すれば、どこから役員が出ようが問題ないと思います。人物と能力次第で役員を選びたいものです。
たとえ、直接選挙でも18000人を切っているので、ユアテックスタジアム仙台に集めても満員にならないのにね。
ネットの時代、別の方法でも良さそうだけど。


A6)会長1、副会長4、専務理事1、常務理事1、常任理事等7、理事14、監事3、予備監事1
知っていました?常務理事は調査士以外から採用されています。
ところで、「常任理事等」を全部言えますか?
総務部長、財務部長、業務部長、研修部長、広報部長、社会事業部長、研究所長です。
最後の研修所長が出ない人も多いですね。重要な部門だと思いますよ。


A7)各ブロックに定員があり、その各ブロックから推薦された方が理事になります。
東北ブロックは2名の定員です。

どのブロックも本当に調査士の将来を考えて人選してくれているはずです。
ここは人物本位だけではなく、各地方のことをわかっている役員がいないと何かと不便ですので、この選び方でも良いでしょう。今回の震災でも被災地代表が日調連にいるべきだと考えています。


A8)会長には2名、副会長には6名立候補者がいます。
誰が候補者か、候補者の皆さんが、日調連のHP会員の広場で所信表明をしていますので、見てみましょう。
この方々の中から調査士の将来を背負う人が出てきます。震災中だけでなく、直接業界の運命を託す人です。
疑問があれば、本人に質問しても良いと思います。
本気で議論し、「何故この人に投票するか」を地元の代議員に質問しても良いでしょう。
その時に「同じブロックだから・・・」と答える程度の代議員がいたら、地元の役員からも外すべきでしょう。


A9)6月21日22日。もうすぐです。本気で考えましょう。
いい加減な選挙結果は、政治で懲り懲りではないでしょうか。

2011年6月12日日曜日

東日本大震災から3ヶ月

6月11日です。
あの忌まわしい東日本大震災から丁度3ヶ月が経ちました。
3ヶ月過去の話ではなく、3月11日14時46分から3ヶ月続いている大災害です。

今日現在で、死者15,413人、届け出がある行方不明者8,069人、避難者88,361人です。
3ヶ月間未だに毎日死者の発見がされています。
宮城県だけでも10日(昨日)に10人、9日に20人、8日に4人・・・と遺体発見の無い日が無いのです。

地盤が下がった沿岸部では、毎日満潮の度に浸水になっています。
海からのヘドロが乾燥し、粉塵となり、衛生状態が心配な地域も多いです。
4月7日の余震でヒビの入った沢山の建物(私の事務所を含む)も、もう一度大きな余震が来たら心配です。

もちろん、福島の原発に至っては、まだまだ進行中の大災害です。
これからの処理次第ですが、復興に手がつけられないのです。収束までにとても長い年月がかかる災害です。心から気の毒に思っています。

ですから、東日本大震災は3ヶ月前の災害ではないのです。

無事に残った人間は、そろそろ「わがまま」を言い出し始めています。
いままで我慢したんだから「わがまま」を言うなとまでは言いませんが、まだまだ地域の仲間が苦しんでいますので、自分の心の中の5%でも仲間と地域復興を思ってくださいませんか。

全員が良くならないと、宮城も東北も日本も良くなりませんので。

2011年6月11日土曜日

劇団μの公演

昨年の11月7日に土地家屋調査士制度制定60周年記念と不動産表示登記制定50周年記念のイベント「王子さまと長ぐつをはいたネコ」を開催しました。この時に来てくださった劇団が、名古屋の劇団ミューでした。

その代表がプロの俳優西根智彦さんです。
あのイベントの前日の稽古で熱意を持った指導が大変印象的でした。
その西根さんは、私たち宮城県の土地家屋調査士のことを心配くださって、震災直後からご連絡をくださっていました。

その西根さんが、以下の演劇公演の企画をまとめてくださいました。
震災で名古屋の近くに避難している方々を公演に招待してくださるとのことです。

被災地は確かに物資も必要です。
それに併せてこれから一番必要なものは、心の支援と考えています。
被災者は大なり小なりストレスを抱えています。
私にとってのサッカーも同じですが、一時的にも没頭して楽しめるそんな環境が救われるはずです。
これは、頭だけで考えている人たちにはわかりません。
実際に演劇やスポーツを見て楽しんだ人にはわかります。
このような公演の効果は間違いなく有ります。

西根さんからのご連絡の末尾に、以下の文章が有りましたのでご紹介いたします。

「このくらいのことしかできない私たちをお許し下さい。
鈴木様、そして宮城県土地家屋調査士会、そして法務局、何より、観劇をなさった皆様の、ご健康と、希望が、少しでも早くかなうようお祈りしています。」


遠い名古屋で、自分達しかできないことを考えて積極的に動いてくださる。これが嬉しいことです。

私たちは被災者に一番近いところにいます。
人としてできることと、土地家屋調査士しかできない専門的なことと、併せて考えながら、一層頑張りましょう。



名古屋劇団μ(ミュー)西根智彦です
ようやく、公演のお知らせをできるまで気持ちの整理ができました。
来週六月十六日(木)18時30分
      十七日(金)18時30分
      十八日(土)14時と18時   開演
合わせて4回、名古屋市中村文化小劇場で、「フィガロの結婚」を現代版にして、オペラではなく普通の演劇「結婚するぞ!」として上演します。(料金は2500円です)
喜劇タッチで話が進んでいきます。お客様が喜んでいただけるよう頑張ります。
今回の芝居で、大震災で避難され近くに在住されている方で、ボランティアセンターに登録されている皆さんを、4回公演中でおよそ200名、招待させていただきました。
昨年11月、東北の地でお世話になった方には直接の恩返しはできません。でもアマチュア劇団として精一杯のことをさせていただこうと思っています。
劇団μの芝居をご覧いただき、ひとときでもつらい気持ちを忘れていただければ、無上のよろこびです。
劇団員一同、真摯に取り組んでまいります。
 よろしくお願いします。









2011年6月9日木曜日

被災者を支援する判断とその責任

被災者に対する支援にはたくさんの方法が有ります。
限られた資金と限られた人的資源のなかで何ができるのか、本当に悩みます。
もちろん、「やらない」という選択肢も有ります。

この3か月間、皆一生懸命に動いてきました。
このブログでもいちいち報告できないことも含むと、3か月間ほぼ休みなく動いてきました。

その中には、実際にやってみなければ分からないことも多く、試行錯誤も有りました。
公平性を考えすぎると誰も助けられません。
しかし、そこを恣意的に動かせば、組織として動けなくなります。
どこの組織のトップも悩むところかもしれません。

組織で動けば、その総括も、構成員への説明も必要です。
私たちの土地家屋調査士会という小さな組織でも、当然の責任です。

でも私は、最後は「皆のためにやっている。」という信念に基づいている限り、動き続けるべきだと思っています。

「そこは行政がやればよいことで、土地家屋調査士業界がやることではない。」
そんな意見も有りました。
でも行政支援が届かないから困っている人が目の前にいるのです。
たとえ我々が何者でも動くべきでしょう。

今までもこれからも、私たち専門家の出番はいくらでも有ります。
それもやれば良いのです。

この大災害に、失敗も無駄もなく何かを為そうと考えているから、何の役にも立たないのです。
「あとで総会に諮った時に追及されそうだ。」などと、トップが考えているようでは、信念が無いという証明になります。
総会対策とは、会員のためではなく、自分のためですから。

未曽有の大災害です。誰も経験が無いのです。
当然失敗もつきものでしょう。

でも2割のロスが有っても、8割は助けられます。
満点を狙って何もしなければ、結局誰も助けられません。

地域の方々に仕事を戴いて、生きてきた業界です。
専門家としても隣人としても地域の方々にお返しする義務が有ります。

とにかく、皆で動き続けるべきです。

2011年6月8日水曜日

避難者が自立すること

避難所の人たちが今望んでいる事は、間違いなく仮設住宅に移り住む事です。
ですから行政も大急ぎで準備していました。
皆、仮設住宅を望んでいるから、不公平の無いように抽選で入居者を決めています。
その上で、当選した人は喜んで仮設住宅に移るだろうと、皆信じていました。

しかし現実はそうではありませんでした。
3日前のニュースで「仮設住宅 当選の7割入居せず」という話題を流していました。
ご覧になった人も多いでしょう。

あの南三陸町で、町内の仮設住宅に当選した世帯のおよそ70%が、実際には入居していないとのことでした。
理由はいろいろ有るようです。

一番大きい理由は、仮設住宅に入ると自立しなければならない事です。
入居した途端に食料や物資等の支給が打ち切られます。光熱費も自分で出さなければなりません。病院への無料送迎バスも無くなります。
だから避難所を離れられないのでしょう。

これらの理由で避難所を離れられない人達を単なる「わがまま」と断じないでください。
皆、いつまでも避難所にいられない事は理解しています。仮設住宅に移っても、やはりいつまでもいられません。むしろ自立できるなら、既に避難所を出ています。

今回の被災で、家族も収入も失った方々が多いのです。

病院に連れて行ってくれる家族が亡くなった老人もいます。足腰が弱く、仮設住宅から自力で病院に行く事が難しい人たちもいます。

基本的に金が無いこともあります。
皆さんは「でも銀行のお金は流されないでしょう。」と言うでしょうね。
それはそうです。しかし、もともと経済が停滞していた地域です。
その仕事も無くなりました。
そしてすべての動産も流されたのです。
一番の問題は先々読めない不安です。

またお金があったとしても、まだ町中に日用品販売の店舗がほとんど無い状況で、老人がどこまで買いに行かなければならないのかという問題も有ります。

だからと言って、当選しながら避難所に移らない事は、落選した避難者には納得できない話でしょう。避難所に引っ越さない方々は、理由は何であっても、避難所は辞退すべきでしょうね。

避難者を支援する為には、そのニーズを把握しなければなりません。
それでも、避難者のニーズの把握は難しいですね。
もしかしたら、避難者自身も自らのニーズを把握していないかもしれません。
その中で、どのようなヒアリングをすれば正確にニーズを把握できるのか。

少なくても、被災地から離れた場所の机上で、阪神淡路の事例をひも解きながら、避難者のニーズをステレオタイプで考えているようでは答えは出ないでしょうね。


2011年6月6日月曜日

被災地を訪問する方々へ

全国からのご支援があるからこそ、被災地に住む者も頑張ることができます。
心から感謝しております。
また全国からボランティアで被災地に来てくださる方々にも、心から感謝しております。
少し落ち着いたからこそ、皆さんにお伝えしたいことが有ります。
岩手会の菅原会長が以下のメッセージを発信しました。
私が言いたい事を的確にまとめてくださっていますので、本人に了解を得た上で転載させていただきます。


岩手会 菅原です。
(略)全国各地からの支援を受けながら調査士会としても頑張っております。
震災から、あっという間の3ヶ月がたとうとしています。
政府からの明確なメッセージもなく不安な被災地ですが、被災当初はみんな平等にすべてが無くなりましたので生き残った人たちで支え合って比較的元気でした。
しかし、3ヶ月がたとうとして行方不明者の生存は絶望ですし、なかなか進まないがれき撤去や事業所の再開見通しの不安などで、疲れが出始めていると感じております。
いろいろな問題も出てきています。精神的ケアも全国規模のボランティアで始まりました。
自殺者の防止でもあります。

山田町も町全体が津波と火事による二重の災害で壊滅しております
3名の会員事務所がありましたが2名の会員事務所は流失、焼失しております。
1名は高台にありましたので無事でしたが老人施設から泳いできた方を救助したと言っておりました。
津波の1波は10分くらいで来たので高さがなく泳いで助かった人も多いと聞いています。
2波が30分くらいで来まして、大津波であり老人施設からは2波と共に死体が流れてき言っておりました。山田町も美しい湾を持った良い町でした。津波さえなかったらといつも思い出します。

現在、被災地にはいろいろな方が来ております。中には観光をしながら被災地ツアーしている方もいるようです。土日は県外ナンバーの車が多く被災地までの道が渋滞になっているところもあります。
1000年とか500年とかに1回の確立の大津波という報道に引き寄せられるのでしょう。
見に来ていただく事は一向に差し支えなくなっていると思っていますが次の点に注意して来ていただければと思っています。

被災地は津波によるヘドロが乾燥して粉じんになっています。町はいろいろなものが腐ってきています。それらも粉じんになっています。においもしますのでマスクは絶対にしてください。肺炎になります。

まだ、家族の遺体や遺品を探して歩いている方がいますので事故を起こさないように、カメラを向けないようにお願いします。

被災地全体が見渡せる場所は多くの車が止まっていますが、被災地を背景に記念写真を撮るのはやめてください。
また、被災地を出るまでは大笑いや大きな音楽をかけての走行は慎んでいただければと思います。

北海道、関東、関西ナンバーなど各地からの自衛隊、警察、消防など被災地復旧に来ていただいております。すれ違うたびに感謝しております。ですから邪魔になるような停車はしないでください。

被災地の治安が悪くなっているので他県ナンバーで私服で、うろつきますと警戒される場合がありますので注意してください。

(略)
被災地に来られる予定の方がありましたら案内はできないと思いますが、アドバイスはできるくらいに落ち着いてきておりますのでお声がけください。

調査士会としても県民としても、これからが本当の戦いと考えております。
ただ、この3ヶ月を乗り越えられたのは皆さんの気持ちと支援物資のおかげと感謝しております。
本当に有難うございます。いつか、まとめて震災の報告ができればと考えております。

士業連絡協議会連続学習会

皆さんの事務所にも、被災者からのたくさんの相談が来ていると思います。
その相談の半分は、土地家屋調査士に関するものでは無いでしょう。
相談者は各資格者の専門分野を性格に把握している訳ではないですね。
その時に一番頼りになりそうな方に相談する訳です。

他の資格者への相談事例も同じように多岐に渡っているものと聞いています。
その場合は、他の資格者を紹介するだけでも良いのですが、他の資格者の分野の震災対応についても少しでも把握しておいて、その上で的確に紹介した方が更に良いと思います。

そのような趣旨で士業連絡会では震災復興支援に関する連続学習会を開催しています。
その連続学習会が6月4日にも開催されました。
先日のブログで以下のとおり報告したものです。

◆第1回 学習会
日 時:平成23年5月14日(土)午前10時~午後12時
場 所:仙台弁護士会館 4階大会議室
報告者:① 宮城県社会保険労務士会 会員
    ② 宮城県土地家屋調査士会 会員

◆第2回 学習会(予定)
日 時:平成23年5月28日(土)午後4時~午後6時
場 所:同上
報告者:① 宮城県建築士会 会員   
    ② 宮城県司法書士会 会員

◆第3回 学習会(予定)
日 時:平成23年6月4日(土)午後2時30分~午後4時30分
場 所:同上
報告者:① 宮城県行政書士会 会員
    ② 東北税理士会 宮城県支部連合会 会員

今回は上記のとおり行政書士会と税理士会から発表が有りました。


行政書士会からは入国管理と自動車登録関係についての震災に関する特例措置等が説明されました。
また、税理士会からは震災に関する所得税の軽減についての説明が有りました。

この連続学習会はまだ続きます。
詳細が分かり次第、正式にはご連絡致します。

2011年6月5日日曜日

第2回理事会

6月3日に第2回理事会が開催されました。
今年度第2回めの理事会ですが、総会後初めての理事会です。
新たな理事達による実質第1回の理事会です。
先日の総会で選んで戴いた理事の皆さんの役務分掌を行いました。

この震災ですべての部門が継続しなければならない課題があります。
ですから理事の役割も基本的には前期の役割を踏襲してもらいました。
以下が新しい理事の役務分掌です。
よろしくお願い致します。

会 長 鈴木 修

副会長 三浦幸治(総務・復興担当)
副会長 千葉三郎(財務・ADR・境界鑑定・復興担当)
副会長 菅澤賢一(業務・研修・広報・復興担当)

総務部部長 鈴木 禎
総務副部長 竹中広喜
総務部理事 高橋直樹
総務部理事 新田和良

財務部部長 松田淳一
財務副部長 山市恭弘
財務部理事 菅原 賢

業務部部長 鈴木洋一
業務副部長 白子正昭
業務部理事 中村一彦
業務部理事 赤間一秋 

研修部部長 星 隆志
研修副部長 永井文夫
研修部理事 高橋一秀
研修部理事 小山和志
研修部理事 鈴木 好

広報部部長 高野弘幸
広報副部長 松岡勇二
広報部理事 御田圭一
広報部理事 門間建裕

2011年6月2日木曜日

法の苑〜反則原稿


先日の投稿「ブログ体質」の中で「ある雑誌の投稿」したと書いたものが出来上がりました。
日本加除出版の「法の苑」2011(第54号)です。
今回は特集として「東日本大震災」を取り上げています。

私が日頃調停委員として通っている仙台家庭裁判所長の秋武憲一様や、震災を乗り越えられて沢山のノウハウをお持ちの兵庫県司法書士会会長の島田雄三様、前地方自治情報センター理事長小室裕一様の原稿の間に、私の拙文を掲載させていただいたことは大変恐縮でした。

最初依頼を受けた時に、災害の中で「まだ何も解決できていない私が何を書けるのだろうか。」と思いましたが、「被災地の対策本部として、ここまでやって来た事をそのまま書いて欲しい。」との依頼でした。編集担当の方は、このブログを読んで戴いての依頼でした。
このような経過で良いとの事でしたので、書いてみる事になりました。

タイトルは「被災者から支援者へ」としました。
「いつまでも被災者ではいられない、立ち上がれる者から支援者に変わってくれ」という意味合いを込めました。

先日申し上げましたとおり、この一番まとめ易いはずの文字数が書きづらくなって来ていました。実際に書いてみると、どうも緊迫感が無い文章になっています。
何回か書き直して、思いついたのが、このブログを抜粋しながらその間をコメントで埋めるという反則技です。

このブログ中心で再構築した原稿ですが、最初の10日間、私がこの立場で何をして来たかを書いてみましたので、機会があればお読みください。