2015年7月29日水曜日

「熟慮する」「計画中です」は現実逃避

先日も帯広でお話しさせて戴いた開業ガイダンスですが、いつもお伝えしているように、そこでは、開業を無理に勧めてはいません。
皆さんの人生がかかっていますから。

私のやっていることは、皆さんが迷いに対して答えを出すことのサポートをすることです。
確かに独立開業は不安だらけでしょう。
気に入らないにしても上司の言うことを聞いていれば(聞くふりをしていれば)最低の保証があった世界から、すべて自分で考えて責任が重く、収入に裏付けのない人生に踏み出す訳ですから。
その漠然とした不安を、具体的な課題に落とし、それにいくつかの可能性のある選択肢を提案することが、私の開業ガイダンスです。

いつも言っているように「やはり独立は止めて組織に留まる」のも立派な決断です。
実際、独立開業に向かない人もいると思います。
それでも断定的なことは言いません。最終的にはご本人の人生です。
そこは当然本人が決断しなければなりません。

でもいつになったら
どんな答えが出たら
決断するのですか?

ネットばかり見ていても、ヒントはもらえるかも知れませんが、きっと結論は出ません。
外に出て具体的に動きましょう。
地元の土地家屋調査士会に相談しても良いと思います。
誰か相談に乗ってくれる先輩を紹介してくれると思います。

進むのも
退くのも
残りの人生のためにも
決めるのは早い方が良いと思います。

「熟慮する」や
「計画中です」は
結局、現実逃避だと思います。





過去関連ブログ

★早く決断することが正解






2015年7月26日日曜日

きみはいい子

この映画、実は気が進みませんでした。

児童虐待、認知症独居老人、学級崩壊など、重いテーマをわざわざ掘り起こして突きつける映画であろうと思い、観に行くには躊躇していました。

いつも書くように、私の好きな映画は「あっけらかんと楽しい」のが基本です。
映画は2時間程度で、現実からまったく別の世界に連れて行ってくれるから、それが良いのです。
わざわざお金を払って暗い気持ちで帰るのは嫌だと思っています。

しかし「この映画は良い」と勧めてくれる友人がいました。
結局騙されるのを覚悟で、映画「きみはいい子」を観ました。



岡野(高良健吾)は、桜ヶ丘小学校4年2組を受けもつ新米教師。まじめだが優柔不断で、問題に真っ正面から向き合えない性格ゆえか、児童たちはなかなか岡野の言うことをきいてくれず、恋人との仲もあいまいだ。
雅美(尾野真千子)は、夫が海外に単身赴任中のため3歳の娘・あやねとふたり暮らし。ママ友らに見せる笑顔の陰で、雅美は自宅でたびたびあやねに手をあげ、自身も幼い頃親に暴力を振るわれていた過去をもっている。
あきこ(喜多道枝)は、小学校へと続く坂道の家にひとりで暮らす老人。買い物に行ったスーパーでお金を払わずに店を出たことを店員の櫻井(富田靖子)にとがめられ、認知症が始まったのかと不安な日々をすごしている。
とあるひとつの町で、それぞれに暮らす彼らはさまざまな局面で交差しながら、思いがけない「出会い」と「気づき」によって、新たな一歩を踏み出すことになる―。
(公式HPより)

結論、すごく良かったです。

まず役者が脇役も含めて、すべて存在感と演技力が素晴らしかったです。

高良健吾の「真面目なんだけど何も考えてない感じの不思議な雰囲気」が良く、久しぶりに「横道世之介」の好演を思い出しました。やはり彼は大河ドラマの高杉晋作役よりも、こんな役がとても良いです。
尾野真千子の「内面に少しずつ澱んだ水がたまってくる感じ」の演技も迫真に迫っていました。今更ながら良い女優と感じました。
池脇千鶴の「はなちゃんママの平凡さにおける存在感」は素晴らしく、私は一番気に入りました。彼女だからあのクライマックスのギャップが説得力を持つのでしょう。
そして喜多道枝の、認知症の老人演技もさすがにベテランの力を見せています。この役でとても大切な「品良く育った娘さんがそのまま歳を重ねて認知症になった」という雰囲気をしっかり出しています。
もちろん富田靖子や高橋和也など他にも主役級の良い役者が揃っています。

また素晴らしいのは子どもたちです。
子役達の演技力なのか、監督の演出能力なのか、とにかく自然で説得力があります。
宿題の報告をする子どもたちを、そこだけドキュメンタリー的に撮影した部分などは、演技としては特に自然で、本当に宿題をやってもらった本当の報告かも知れないと思うくらいでした。

特筆すべきは自閉症の子を演じた子役です。
加部亜門君ですか。知りませんでした。
あれが演技だと言うのですからすごい演技でした。

どちらにしても、あの自然に学級崩壊に向かうクラスを見て、つくづく学校の教師にならなくて良かったと思いました。(私教員免許を持っているんですw)

この映画が取り扱う問題は、児童虐待、認知症独居老人、モンスターペアレント、学級崩壊、自閉症、公園のママ友....
確かに皆現代的で重いテーマです。

やはり最初の30分程、重くて辛くて、正直観に来なければ良かったと思いました。
しかし、引き込まれて席を立つことはできません。
観ていると最初意味の分からなかったシーンがだんだん繋がってきます。
最後には、登場人物達がこれらの思いテーマを抱えながらも温かい救われた気持ちになります。
そこがとても良くできています。

そして、その演出があざとくないんです。
この話しなら、いくらでも、良い話、感動する話に持って行きそうなところを、ギリギリでセーブしてまとめています。
監督のセンスなんでしょう。
私は好きです。

「抱きしめられたい。子どもだって。おとなだって。」
だからこの言葉がストンと心に入ります。

観客も映画館を出るときは、重いテーマだけど重さとは別の感情、少なくても暗くないホッとした感情になるはずです。

仙台では24日で上映終了しました。
全国地域によってはこれから上映のところも有るようですが、もっと早く観て、もっと早く紹介すべきだったと思いました。
この書き込みに興味が湧いたらレンタルでも構わないと思いますので観てください。

ちなみに映画が良かったので原作本も読みました。
この原作についても、また感想を書きたくなっています。



2015年7月22日水曜日

仕事が生きがいではないけれど

後輩に「鈴木先生は仕事を生きがいと感じていますか?」と聞かれたので、少し私の考え方を書いてみます。

他の人にとって苦しいこと、面倒なこと、嫌なことを、報酬を得て代わりにやるから「サービス業」が成り立ちます。

そして私達「先生」と呼ばれる専門家も、やはりサービス業です。
そこを勘違いしてはいけません。

以前業界の先輩から「サービス業って響きは嫌いだ」と言われたことがあります。
また「お互いを「先生」と呼ぶべき」とおっしゃった先輩もいます。

おそらくその先輩の感性では、先生という言葉は「上」の響きで、サービス業という言葉は「下」の響きに感じているのでしょうね。
実際に口にするかどうかは別にしても、それではダメだと思います。
専門家といえども、その専門性をお客様の為に発揮するために存在するのですから。


さてそれにしても、他人の嫌なことはいくら専門家でも嫌なことです。
ただ一般のお客様より解決のノウハウを持っていて、慣れているので嫌な部分が我慢できるほどに薄まっているのです。

さて、「この仕事には生きがいが無い」とか簡単に言う人がいます。

仕事の最中には、嫌なことや辛い事をやっていることが多いので、いくら先輩でも毎日生きがいを感じながらやっているわけではありません。
でもより嫌なこと、面倒なこと、難しいことを解決して、その結果お客様や皆に喜ばれ、そしてお礼を言われながら、しかも報酬を戴くのです。
たまには涙を浮かべながら「あなたのお陰です」って言われながら、手を握られることもあります。
それは、とてもとても嬉しいことです。

仕事が生きがいではないけれど、結果的に生きがいを感じることがある

私はこんな感じで仕事を見ています。
おそらく私達の業界だけでなく、他の業界でも同じだと思います。

そのためにも、「仕事は周りの人の為にある」ということを再度理解して欲しいと思います。
お時間が有れば二年前のブログをご覧ください。

近江商人に学ぶ

近江商人の「三方良し」
「売り手に良し」
「買い手に良し」
「世間に良し」

この世間に良しまで意識して仕事をしていれば「生きがい」は得られるはずです。







2015年7月19日日曜日

少女は自転車にのって

映画館が無く、しかも女性が人権差別されている中でサウジアラビアで、女性監督ハイファ・アル=マンスールによって撮影されたサウジ初めての長編映画の「少女は自転車にのって」を観ました。一昨年末公開の映画です。



10歳のおてんば少女ワジダは男の子の友達アブダラと自転車競走がしたいのに、お母さんは男の子と遊ぶことも、自転車を買うことにもいい顔をしない。ワジダの住む世界には、女の子がしてはいけないことが沢山あるのだ。ある日、綺麗な緑色の自転車を見て、どうしても欲しくなったワジダは、自分でお金を貯めていつか手に入れることを誓う。
手作りのミサンガを学校でこっそり売ったり、上級生の密会の橋渡しのアルバイトをしたり・・・それでも自転車代の800リヤルには程遠い。そんな時、学校でコーランの暗誦コンテストが行わることになった。優勝賞金は1000リヤル!大の苦手のコーランだったが、ワジダは迷わず立候補、必死にコーランを覚えて練習を重ねるのだが・・・。
(公式HPより)


ボーイフレンドと競争する自転車が欲しい、そんな10歳の世界中どこにもいる女の子。普段リーバイスのジーンズとコンバースのバッシュを履いています。
自転車を買うために、手作りのミサンガを売ったり上級生のラブレターを密かに渡すアルバイトをします。アンテナを張ってアメリカンポップスなどを受信して、ミックステープを作り売ったりします。可愛いアルバイトです。
でも彼女は世界でも特別の国に住んでいます。

宗教が法律となり、コーランによるイスラム法で統治されている国です。女性は結婚、就職、旅行など全ての行為について「男性保護者」の許可が必要な国です。
女性は10歳くらいから、親兄弟や夫以外の男性がいる場所では、アバーヤと呼ばれる黒い布で全身を覆い、ヒジャブという黒いスカーフで髪を隠さなければならない国です。
そして女性は自動車運転も禁止、結婚前に男性と話することすら禁止、そして男性は4人まで妻を持てる国です。

自由恋愛ができず、ラブレターを渡したことが見つかれば、名誉殺人の名で殺される可能性すらあるとのこと。この映画ではラブレターを出した子は、強制的に他に嫁に出されたのです。この国は女性は10歳から結婚が可能で、年の離れた夫の何人目かの妻になることがあるようです。

そしてワジダのように女の子が自転車に乗りたいということ自体が、はしたないことです。この国はアメリカンポッポスも禁止、だからワジダのアルバイトは可愛いアルバイトどころか、非合法のアルバイトになるのです。

実際この映画を女性監督が撮ったこと自体が凄いことです。
監督とはいえ男性俳優に直接指示ができない国で、監督は車中に身を隠し、無線で指示を出しながら作ったという映画だそうです。

でも辛く重い映画ではありません。
映画では直接的な政治的メッセージは避けています。

ワジダはいつも前向きです。
納得できない校則の中で生活する他国の女の子のように、納得できないその国の制度の中でたくましく生活する女の子としての描き方で、あくまでも可愛い女の子の映画になっています。
先生に長いアバーヤの下のお気に入りのコンバースを見られ、皆と同じ黒い靴を履いてくるように言われるとコンバースを黒く塗り始める子です。
家系樹に男性の名前しか無いことを見て自分の名前を貼り付ける子です。
信仰のためではなく自転車を買うために、大の苦手なコーランの暗唱大会に出ると決意し練習を始める子です。

ワジダの母親はサウジの女性の現状を表しているでしょう。
現代のサウジ女性は他国の制度の情報を十分知りながらも、この国の制度を受け入れて生きていかなければならないのです。
夫依存の人生なのに、自分が男の子を産めないことにより夫が第二夫人と結婚することを仕方ないと受け入れながらも、ワジダの未来を願います。

馴染みのないサウジアラビアの普通の生活が垣間見られます。
そして、その中でたくましく生きるワジダ。
それだけでも映画として観る価値があります。
ラストシーンは明るい未来を暗示するシーンです。

観た後は、少しモヤモヤは残るけれど気持ち良さも残ります。
年齢、性別、バックボーンが違う様々な人に観て欲しい映画だと思います。

もちろん、映画でもやもやした違和感がある部分を調べながら再度観ると、サウジアラビアの現状とそこに暮らす人々の感性が更に理解できると思います。











2015年7月16日木曜日

私の文庫本は、ほぼ日手帳カバーに

私は並行に、傾向の違う本を数冊読んでいるということは、

その中で小説ジャンルは、ランチタイムのお供です。
小説は新刊本も買いますが、文庫本が多いです。
ランチタイムの待っている間に読むことが多いです。

ランチタイムで外食の場合は、大きなバッグが邪魔になることが多いです。
だから必要なものだけ持って出かけます。

待ち時間に読むための本、コインを含むちょっとしたお金、いざというときのクレジットカードや名刺、何かの際のメモのための筆記具とノートでしょうか。外に携帯電話も持ちます。
これらをコンパクトに持ち歩きたいというニーズが有りますね。


ここ数年私のそんなニーズに応えてくれているのは、「ほぼ日手帳オリジナル」のカバーです。



元々文庫本のカバーではなく、手帳のカバーです。


この「ほぼ日手帳オリジナル」は文庫本サイズで、見開き2日分の手帳ですので、400ページ程度の厚さがあります。
大抵の小説は入ります。


もともと手帳のカバーですので、ちょっと外出する際のちょっとした身のまわりのものを収納できます。
ペン挿しに2色フリクションボールペンを挿しています。
表紙見開きの上にフィルム付箋を貼り付けています。
また見開き下にツバメノートの名刺サイズノートを収納しています。




裏表紙の見開きにはカード類とテンプレート、1000円札とコインを入れて、文庫本の最終ページに大判の付箋を貼っています。



今日入れているものを出してみるとこんな感じです。
スターバックス・カードやQUOカードと現金2600円が入っていました。
大体私のニーズが分かるでしょ。
もうちょっと遠出をするときにはクレジットカードを入れておくこともあります。



これは中身を全部出したところです。
手帳カバーですが、なかなか良いでしょう。
数年使っています。
栞が2本有るのも結構使えるものです。
特に推理小説などを読むときは、2本の栞が便利です。



カバーの表です。カバーの開きとでも言いましょうか。
表にもポケットがあります。




先程書いたペン刺しですが、ペンが2本挿せるように2つ有ります。
2本挿せることが便利かも知れませんが、私は下の写真のようにペン1本を両方に挿しておきます。



これでカバーが開かなくなります。
持ち歩いているときも便利ですが、バッグに入れておくときにも、微妙に開いて本のページが折れることを防ぎます。

ほぼ日手帳ではこの2つのペン挿しを「バタフライストッパー」と言うらしいですが、この工夫がとても気に入っています。

また出張の際の移動中に、大きなバッグを網棚等に置いて、必要なものを手元におくにも、同じようなニーズが有ります。
このカバーなら、切符を安全に収納するスリットもあるし。


明日は金沢に研修会講師で伺いますが、台風の影響で飛行機から新幹線に変更しました。
もちろん、いつものように、このカバーを手に新幹線移動を楽しみます。



2015年7月14日火曜日

とにかく量をやりましょう

社会に出たばかりの新人達から見て、先輩達の無駄の無いスマートな業務処理の姿を見て、感心することもあると思います。また短時間で問題の本質を見抜き、同時並行に複数の業務をこなしている姿に憧れることもあると思います。
私自身がそうでした。

先輩の工夫は真似て良いでしょう。
長年の積み重ねから得た工夫は、無駄を省いて効率化された良く考えられたものでしょう。

しかし、業務の本質を見抜く部分はどうしても真似のできない部分です。
ここを形だけ真似ると大火傷します。

確かに見ただけで業務のポイントを把握するのが先輩です。
もしかしたら手の抜き方が上手いと思うかも知れませんね。
肩の力が抜けているということが手を抜いていると見えるなら、確かにそうかも知れません。
でも勘違いしないでください。
それでも注意深くやっているのです。

ポイントを把握すると言うことは、最初から勘で一つに絞っているのではなく、長い経験で培われた洞察力であらゆる可能性を瞬時に想定して、それら全てについてフィルターを通した結果、可能性が一つ残ったということなのです。

この部分は新人が外から見ても分からないでしょうね。
そこを生半可な経験でポイントを絞るのはとても危険です。
どこに落とし穴があるか分かりません。
お客様に迷惑をかけたらスマートどころではないのですから。

どうすれば良いか?
簡単なことです。

とにかく量をやりましょう。
何かが見えるまで。

いずれ必ず見えてきますから。

逆に何か見えるまで絶対に手を抜いてはいけません。

判断できなければ、すべての可能性を全部やってみれば良いだけです。
先輩だって頭の中ではすべての可能性をやっているんですから。

先輩が1時間で解決することを、一晩かかっても良いじゃ無いですか。
体力は新人の方があるのだから。




2015年7月12日日曜日

ブロック協議会の役割 〜東北ブロック協議会総会にて

 7月10日に日本土地家屋調査士会連合会東北ブロック協議会総会が開催されました。
私にとっては東北ブロック協議会会長としての最後の総会で、お陰様で無事に退任できました。
 さて、東北ブロック協議会総会では会長は2回の挨拶をしなければなりません。本会議の前の挨拶と、ご来賓をお招きしてからの式典の挨拶です。
その本会議の前の挨拶で、少しブロック協議会の役割をお伝え致しました。
ブロック協議会は全国で8つありますが、それぞれ組織が違い、役割や雰囲気が違います。
 今回東北ブロック協議会について、私がお伝えした内容の一部抜粋を書いてみます。
土地家屋調査士の皆さんが、各ブロック協議会を運営する参考になれば嬉しいと思います。
 

東北ブロック協議会の役割について

一つ目は、各単位会の情報交換の場という役割です。単位会だけで議論していると理解が偏る可能性があります。全国の50会という単位ではなく、東北の6会という数は議論を深めるには丁度良い数だと思います。明日もディスカッションの時間が有りますが、大いに議論したいと思います。

 二つ目は、連合会の研修等の実施主体という役割です。新人研修会やADR認定特別研修等がそれにあたります。地域に根ざした指導が行えるというメリットがありますが、近年の入会者の減少により、各ブロック協議会でその運営が難しくなってきており、実施単位を見直す議論も出てきています。

 三つ目は、連合会に建議する役割です。
何か問題があれば、それをまとめて連合会に建議することができます。建議とは決して連合会を批判する意見を出すことではありません。過去東北ブロック協議会では全国に広まった「地域の慣習の研究」の切っ掛けを作った建議をしています。今後とも問題意識を持って連合会を助ける建議をしたいものと考えております。

 四つ目は、スケールメリットを活かした事業を行う役割です。単位会では金銭的に又は人材的に実現が難しい事業を東北ブロック全体のスケールメリットを生かした事業を企画運営することです。
 この四つ目のブロック事業として昨年も取り組んだのが「試験合格者のための開業ガイダンス」です。折角合格したのに開業を躊躇している有資格者に対し、開業についてのガイダンスをして迷いに答えるものです。他のブロックからも受講申込みが来るほど受講者にも好評で、他会からも視察に来ています。
 また「次世代のための役員研修会」も昨年開催させて戴きました。
私達資格者を取り巻く環境は、制度についても、技術についてもこの十年でまったく変わりました。
東北ブロック協議会の役員は、名誉とかボランティアとかで運営できる時代でもなく、実質的に考えて動かなければならない時代になりました。
その役員としての基礎知識と考え方を研修し、東北の次世代役員を育てる企画です。
 この二つの研修会は重要な研修会と位置づけておりますので、今年度も開催させて戴きます。よろしくお願い致します。

 この変化の時代に必要な事は、深い理解と迅速な行動です。東北ブロック協議会といたしましては連合会と協力し、相互の情報の共有と意志の疎通に重点をおき、制度の発展に寄与したいと願っております。

 会員の皆様におかれましても、このような趣旨で東北ブロック協議会が運営されていることの、ご理解をお願いし、今後ともご支持くださるようお願いいたします。






この写真は、総会後の懇親会場でのわんこそば大会です。
ご来賓の連合会会長と隣接ブロック協議会会長にも参加して戴きました。
実はこの世代が一番本気モードです。



2015年7月8日水曜日

独眼竜の忍び 平谷美樹

坂上田村麻呂の蝦夷征伐から戊辰戦争まで、東北の歴史は常に敗者の歴史です。
そして歴史は事後に勝者側が作ります。
だから平安初期のアテルイ、安倍、藤原をはじめ東北の英雄はたくさんいましたが、それらの詳細は勝者側ほど多くは残っていません。

物語に関しても高橋克彦の一連の東北の英雄を扱った作品には胸熱くなる小説も多いですが、他の歴史小説では東北を扱った作品はとても少ないです。

その中では、全国区の知名度第一は伊達政宗でしょう。
天下を取る野心と実力を持ちながらも、東北という地域性と、信長、秀吉、家康に一世代遅れて生まれた為に、天下取りの争いに間に合わなかった武将として認識されています。
ただし、秀吉や家康にあれだけ野心と実力を警戒されていながら、伊達家は結局滅ぼされずに生き残り得たのは、あの環境における最善の勝利と言うことができるでしょう。


さて「独眼竜の忍び」(上・下)(平谷美樹・富士見新時代小説文庫)を読みました。



筆者の小説は初めてですが、筆者は「エリ・エリ」で第一回小松左京賞を受賞し、近年時代小説を精力的に執筆しているとのこと。「エリ・エリ」はタイトルを聞いたことが有ったのだけれど、この機会に読んでみようと思います。

さてこの小説は、このような話しです。

秀吉による小田原征伐後のいわゆる奥州仕置をきっかけに、新たな領主とその体制に不満を抱く旧葛西家、大崎家の地侍や百姓たちが起こしたのが葛西大崎一揆。
その背後には、将来天下を狙うのに必ず邪魔になるはずの伊達政宗を陥れようとする家康の陰謀があった。
政宗が秀吉に服従しているように見せながらも陰で一揆を煽り、奥州を伊達家のものにするつもりだという話しを、家康が捏造し、伊達家を潰そうとしたのである。
伊達家が一揆を扇動していたという証拠を捏造しようとする徳川家の伊賀の忍びと、それに立ち向かう伊達家の忍び黒脛巾組との戦いが始まる。

実際に、政宗が葛西大崎の一揆を扇動したのだという説は、現時点で有力説です。
しかし、伊達側の立場でこの小説を読めば、徳川陰謀説もあるかも知れないと思わせられます。そして伊達家に黒脛巾組という忍び集団がいたのも史実です。


歴史小説は制約の中で、虚実を織り込みながら表現するエンターテインメントです。
歴史の最終結果を読者は皆知っている中で創造するのですから、そこは難しいです。
歴史小説において伊達政宗側を主人公にしても、政宗が天下統一をすることはありません。
ですから、我々の知っているあの史実は、陰でどんな力が働いた結果なのか、そこが歴史小説の面白みの一つでしょう。だから本能寺における秀吉陰謀説のようなものが出るのですね。

この家康と政宗の表面に出ない戦いなども、当時おそらく有ったに違いないと思いますが、何しろ歴史の表面に出ないのですから、そこは作者の想像力と説得力次第です。
今回は、その歴史小説独特の面白さに加え、忍者対忍者の戦いが描かれています。
そして黒脛巾組の精鋭7名の人物の性格を書き分けて、陰に徹する忍びとは一線を画する物語にしています。そこに政宗の明解な決断力が加わり、更に暗さや重さの無い話になっています。
歴史小説の面白さに時代劇の面白さも加味してあるので、退屈はしないでしょう。


また上記のように、伊達家が残ったことがあの時代環境の中では最善の勝利だったと、私は思いますが、そこについても読者にストレスがない範囲で描かれていると思います。


普段近畿を中心に書かれる時代小説の地名や地形にピンと来ないときには、地図を見て地形を読みながら小説を読んでいたけれど、今回はほぼ不要でした。
この小説の舞台は、今の宮城県と岩手県です。
私のように土地勘の有る地元の人間には、今も残る地名が出てくるので、戦いの布陣やそれぞれの城の距離、山の起伏や川の形状が頭に浮かび、そこを進軍する各軍の時間感覚や疲労などとても分かりやすかったです。

改めて地図を読み解くことができないと、戦略は立てられないと実感しました。

・・・と強引に土地家屋調査士の世界に持っていくことは今回我慢します (笑)






2015年7月5日日曜日

あなたが今付き合っている業界の仲間は誰ですか

先週の帯広での「開業ガイダンス」で少し考えたことです。

土地家屋調査士に限りません。
司法書士でも税理士でも、将来個人で事務所を開業することを目指して、どこかの事務所や法人で修行中の後輩達に質問します。

「あなたが今付き合っている人、業界の先輩や友人は誰でしょうか」

修行中の方は雇用がらみで、嫌でもその事務所の先輩と付き合います。
そしてそのストレス解消に、居心地の良い受験時代の友人達と愚痴を言いあっているかも知れませんね。

余計なお世話ですが、一言言わせてください。
「誰と付き合っているかで、あなたの資格者としての一生が決まります」

修行中の人は、確かに居心地が悪いと思います。
給料をもらうのなら、その分は仕事ですから。
また修行中に居心地が良すぎるのも、あなたの為になっているのか分かりませんよ。

問題はその居心地の良さや悪さはどこから来るかです。
上記のとおり、仕事しながら修行しているのなら、ある程度我慢が必要です。
修行と言いながら人生をはき違えている人も多いです。

もちろん、その事務所にいて先輩と付き合っていても、何の知的積み上げが期待できずに、単に就職以外の何ものでもないと思うのなら、それは考え直す必要があります。
給料をもらう就職だけなら別に他業種でも良いのですから。

むしろ問題なのは居心地の良いグループの方かもしれません。

居心地が良い関係とは緊張感がない関係です。
それはお互いに同レベルの関係だからです。
もちろん技術だけではなく、むしろ資格者としての意識レベルが同レベルなのでしょう。

生活の辛さから居心地の良い仲間を求めることを否定しているわけではありません。
ただしあなたの未来は、そのグループの平均値になります
一人だけ飛び抜けることはありません。


あなたの未来に少し閉塞感を感じるのなら、他の先輩や他のグループとも付き合ってみても良いでしょう。
別に今の事務所を退職しなくてもできることも有るでしょう。
任意の勉強会などに顔を出せば、意識のある先輩に会えるかも知れません。
知人に紹介してもらうことも有るでしょう。
遠慮は要りません。断られたときに考えれば良いだけです。

最初は居心地が悪い緊張感があるかも知れません。
しかし同時にワクワクする気持ちが得られると思います。

あなたの未来の方向性に何らかの答えが見つかるかも知れませんよ。



*過去関連ブログ

有資格者のための開業ガイダンスin帯広

試験合格後土地家屋調査士事務所で修行すること

補助者から独立開業する不安

侍でいたければ強くなるべき

鈴木様 現在、求人は行なっていませんでしょうか?