2013年12月31日火曜日

忘れるべきことと忘れてはならないこと

ぼうねん「忘年」
年の終わりに、その年にあった苦労を忘れること。としわすれ。(大辞林による)

生きている限り何らかの苦労があります。
そして何らかの喜びもあるはずです。
その苦労より喜びが多かった年を良い年と言うのでしょう。
だから苦労を忘れることができれば、皆良い年になります。
苦労をリセットすることで、新しい年の希望を迎えるのです。

忘年はすべてを忘れるのではなく、苦労だけを忘れるのです。
喜びを忘れないとともに、苦労をもたらした事実も、歴史の中で風化してしまわないように決して忘れてはならないはずです。

フルセイル・コーヒーにて

リセットして 前向きに。
でも、
忘れないことも後ろ向きではないと思います。

NEVER FORGET 2011.3.11

フルセイル・コーヒーで珈琲を飲みながら、この一年を振り返っております。

来年は良い年になるか?ではない
皆で良い年にする!のだ



2013年12月23日月曜日

福島の震災関連死が直接死を上回った

福島県内の「震災関連死」の数が津波等による「直接死」を上回ったとのことです。これは12月19日の各紙で報道されたニュースです。

「震災関連死」とは阪神・淡路大震災の頃から使われ始めた言葉です。建物の倒壊や火災、津波など地震による直接的な被害ではなく、その後の避難生活での体調悪化や過労など間接的な原因で死亡することです。

その災害関連死と認定されれば災害弔慰金が支払われます。その認定は県または市町村の審査によります。しかしこの認定はとても難しいです。

行政側としては、できるだけ多く認定してあげたいと思うけれども、限りある資金を有効にそして公平に使うためにも認定ラインはどこかに引かなければなりません。そしてそれがとても難しいのです。そこにどうしてもトラブルが生じます。

裁判もありました。
被災者側としては、その因果関係の証明はとても難しいのです。

被災地では様々な精神的ストレスが生じます。「被災地だけでなく現代人は皆ストレスを抱えている」と違和感を感じる方も多いでしょう。
しかし、家族を亡くしてまもなく3回目の正月を狭い仮設住宅で1人で過ごす人々のストレスや、未だに不安定な福島第一原発の廃炉作業を見ながら放射能からの恐怖を感じて暮らす人々のストレスは、計り知れないものと考えてください。
実際、そのようなストレスで命を落としているケースも多いです。

しかし、原因がストレスになると、因果関係はなおさら証明が難しくなります。
冒頭のニュースの災害関連死の数字は、認定された人のみの数字です。
認定には、医学的、法的知見も必要でしょうし、政策と行政判断の難しい判断も求められるでしょう。

ただひとつだけ書かせてください。
災害関連死は、震災から一度は助かった命がその後失われてしまう悲劇です。そしてそれは、まだ現在進行形なのです。終わったものではありません。

震災関連死は、皆で救える可能性があります。




震災関連死 福島県1605人に 11月30日現在 (河北新報)












 東日本大震災と福島第1原発事故の避難生活の長期化などで亡くなった福島県の震災関連死の犠牲者が11月30日現在で1605人に上り、津波による直接死の1603人を上回ったことが県のまとめで分かった。

 市町村別では、多い順に南相馬市437人、浪江町309人、富岡町202人、いわき市116人、大熊町、双葉町各99人。原発事故の避難区域に集中した。

 県によると、避難生活の長期化でストレスが高まって命を落とすケースが目立つ。高齢者が原発事故の混乱で適切な治療を受けられなかったり、長距離移動を強いられ病状を悪化させたりして寿命を縮める例も多い。
 関連死は岩手県が428人、宮城県が878人と犠牲者全体の1割に満たず、原発事故を抱える福島県が突出している。
 福島県生活再建課は「福島県は避難者が約14万人と被災3県で最多で、故郷を離れざるを得ない避難者も多く、ストレスが大きい」とみる。
 兵庫県立大の室崎益輝防災教育センター長は「福島県の被災者は放射能ストレスがあり、生活再建の道筋も見えないなど固有の問題を抱える。原発事故と関連死の因果関係を詳しく調べ、関連死の増加に歯止めをかけるべきだ」と指摘した。

<震災関連死> 避難生活のストレスや持病の悪化などで亡くなるケースで、津波などで死亡する直接死と区別される。市町村の専門委員会が震災、原発事故との因果関係の有無を審査し、認定されると災害弔慰金が支払われる。

2013年12月19日木曜日

土地家屋調査士試験合格証交付式にて

本日仙台法務局で「土地家屋調査士試験合格証交付式」が開催されました。

宮城県内の試験合格者に仙台法務局民事行政部長より試験合格証が手渡されました。年末の仕事等でどうしても出席できない人を除いて6名の合格者が出席されました。

宮城県土地家屋調査士会としても私と松田副会長が出席させて戴きました。そこで、合格者の皆さんの長年の努力に深く敬意を表して、心からお祝いを述べさせて戴きました。その後、合格者の皆さんには少し残って戴いて、お話しをさせて戴きました。

そこで気が付いたのですが、合格者の皆さんの中で開業計画の明確な方はほとんどいませんでした。実際に具体的な計画を持っている方は1人だけでした。

土地家屋調査士という資格は独立開業するための資格です。
TOEIC等のように能力を示す資格ではありません。
また測量コンサル等の会社に雇われることは法律で禁止されている資格です。ですから独立開業を目指すための資格です。

であれば、本来「合格したらどうする」といった計画があるはずですが、実際はそうでも無さそうです。
おそらく独立して一人で開業することは、組織にいた人にとって相当の勇気が必要と考えられ、合格の喜びと同時に、やっていけるだろうか、生活していけるだろうか、という不安が当然にあるからだと思います。

もちろん、33年前の私もそうでした。

この開業の決断は、誰でも一度は通らなければならないことで、勇気が必要です。
そしてこの点は、その人の人生がかかっているから、本人が納得しなければ強く勧めることはできません。
もちろん、宮城県土地家屋調査士会としても無理に会員を増やそうとも思っておりません。

ただし、きれい事は言いませんが、依頼事件を良心的に、研鑽してきた知識を十分に生かして処理すれば、自ずから道は開けてくるものだと実感しています。
確かに最初から順風満帆で行くことは難しいです。でも地域社会に感謝して、社会に奉仕する、そんな小さな努力の積み重ねが、立派な土地家屋調査士に育ててくれるものだと思います。
しかも今は、被災地のために身を粉にして働くことにより、収入もついて来ることもあります。

新しい技術や改正された法律、現場の対応の仕方等の研修会はその都度行なわれますし、調査士会としては、会員のレベルアップを、常にサポートしております。
そしてその研修会は、補助者では経験できないものでも有ります。

今日は補助者を数年経験してから独立するとおっしゃった方々もいました。
その方々の気持ちはとても良く分かります。
ではその事務所では何年いたら全部教えてもらえるのでしょうか。
事務所の土地家屋調査士の先生と、具体的に相談された方が良いかも知れません。

どうしても開業が不安であるとか、具体的な事務所開業のノウハウを知りたいとかをお聞きになりたければ、このブログでも何回かご紹介している「開業のガイダンス」にご参加ください。

これは、すぐに開業する人だけの為のガイダンスではありません。
ですから当面開業の計画がない方でも大歓迎です。
少し迷いは晴らすことができると思います。
ご参加をお待ちしております。

皆さんの合格が報われるように私達もサポートしますので、本当に良い土地家屋調査士になられることを、心から願っています。




2013年12月16日月曜日

3.11と弁護士 震災ADRの900日

「3.11と弁護士 震災ADRの900日」
仙台弁護士会紛争解決支援センター編
株式会社 きんざい
2000円+税



仙台弁護士会紛争解決支援センターの力作です。

この本が力作であることは元より、東日本大震災の直後から今まで地域の紛争解決に尽力したからこそ書くことができる本ですから、仙台弁護士会のその点に関しても併せて賛辞と感謝を述べたいと思います。

仙台弁護士会は早々と「東日本大震災紛争解決支援センター(震災ADR)」を立ち上げて、震災に起因するとても多様な紛争の解決のために活躍されました。

震災に起因する紛争は、複合的な問題が含まれています。
だから各専門家が協力して被災者のために動かなければなりません。
専門家の鑑定無しでは法的な話し合いが進まない事例も多数ありました。
その点では私達土地家屋調査士会ADRセンターも少しお手伝いができました。
もちろん、紛争解決の窓口はやはり総合的なものになりますので、弁護士会が震災ADRを立ち上げてくれたからこその被災地貢献だと思います。

また震災に起因する紛争は、文字通り犯人は震災です。
犯人が当事者以外だから解決が簡単な場合もありますが、むしろ解決が難しいことも多いです。
そこに紛争解決の難しさがあります。

この本にはとても具体的な事例が載っています。
被災地の土地家屋調査士や自治体の担当者はもちろん、他の地域の弁護士以外の方々にも、とても参考になるものと確信しますので、私は強く推薦致します。
防災関係の座右の書にしても良いのではないでしょうか。

以下に目次を抜き書きします。
目次だけ読んでも興味が湧くと思いますので。


序 章 震災ADRの概要(阿部弘樹)
 
第1部 震災ADR事例紹介   

第1章 賃貸借関係の紛争   

 1 建物賃貸借の紛争(1):賃料の減額   
ケース1 納戸・窓ガラス破損による生活上の不便と損害額の算定
ケース2 倒壊の危険性による解約
ケース3 台所等の損壊による損害   

 2 建物賃貸借の紛争(2):建物明渡しと立退料   
ケース4 家屋滅失と建物賃貸借契約の解約
ケース5 退去時の原状回復義務および敷金の返還
ケース6 大規模半壊による退去の可否
ケース7 「全壊」と「滅失」の関係および賃貸人の修繕義務
ケース8 全壊建物の明渡請求
ケース9 修繕が不可能な物件における損害の算定
ケース10 修繕が不可能な物件における明渡請求   

 3 土地賃貸借の紛争   
ケース11 建物周囲の損傷における補修義務の有無   

第2章 建設物の倒壊等による相隣関係の紛争   

 1 家屋損壊による紛争   
ケース12 屋外駐車場の自動車への建造物の落下
ケース13 外壁の落下による建築物の損傷
ケース14 余震による落下物防止義務の有無   

 2 土地の液状化などによる紛争   
ケース15 隣地からの流水と液状化   

 3 その他の工作物の倒壊による紛争   
ケース16 ブロック塀の倒壊による損害(1)
ケース17 ブロック塀の倒壊による損害(2)
ケース18 擁壁の倒壊による損害   

 4 漏水事例   
ケース19 閉栓忘れによる漏水による損害
ケース20 水槽の転倒による損害
ケース21 マンション上階からの漏水による損害(1)
ケース22 マンション上階からの漏水による損害(2)
ケース23 地下における漏水の損害   

第3章 津波被害(目的物の消失)の紛争   
ケース24 引渡前の自動車に対するローン
ケース25 引渡後の建築請負工事代金の支払
ケース26 津波による寄託物の流出(1):時計のケース
ケース27 津波による寄託物の流出(2):自動車のケース   

第4章 労働関係の紛争   

 1 内定取消し   
ケース28 震災後の内定取消し   

 2 業務中の災害   
ケース29 津波による業務中の従業員の死亡   

第5章 行政との間の紛争   
ケース30 地方公共団体の復旧作業による漁船の損傷
ケース31 道路の設置管理における瑕疵と過失相殺   

第6章 その他の契約関係の紛争   
 1 震災により瑕疵が明らかとなった事例   
ケース32 耐震性に優れたことを謳った住宅の損害
ケース33 建物付帯設備の転倒による損害   

 2 震災後の補修工事が不完全な事例   
ケース34 震災後の修繕工事における瑕疵
ケース35 被災者生活再建支援事業補助金の取扱い   

 3 債務の減免を求めた事例   
ケース36 保証人死亡時の任意整理   

 4 震災を理由とする解約トラブル   
ケース37 被災マンションにおける賃貸借契約の解約   
 
第2部 震災ADRの現状と課題   

第1章 統計と分析(伊藤敬文)   

第2章 「2.5人称の視点」をめぐって――臨床法学としてのADR(斉藤睦男)   

第3章 提 言(仙台弁護士会プレシンポジウム準備運営プロジェクトチーム)   

巻末資料 
仙台弁護士会紛争解決支援センター規則
仙台弁護士会紛争解決支援センター手続細則
仙台弁護士会紛争解決支援センター手数料細則
仙台弁護士会紛争解決支援センター手続細則の特則を定める細則   

あとがき   

コラム一覧   
コラム1 貸している建物が破損したら?
コラム2 借家が壊れた! まだ住めるの?
コラム3 借りた土地・建物の価値はいくら?
コラム4 我が家は「全壊」なのに「半損」?(建物の壊れ具合に関する用語)
コラム5 大震災後はマンション管理のトラブルが多発する?!
コラム6 震災給付いろいろ
コラム7 こんな事例もありました(その1)
 受領後の弔慰金等を親族間でどう分けるか(異順位の者がいる場合)
コラム8 国も賠償責任を負う?
コラム9 お隣さんのブロック塀が崩れてきた! どうしよう…(民法上の不可抗力)
コラム10 こんな事例もありました(その2)
 弔慰金等の手続で誰が代表となるか(同順位の者が複数の場合)



2013年12月12日木曜日

フィンガー・プレゼンター 黒曜石

私昔から研修については、受講するにも、講師をするにも、とてもこだわっている部分があります。

講師がどんなに中身に自信が有っても、受講者に伝わらなければ自己満足です。
貴重な時間を割いて来てくださる受講者の為に、いかに分かりやすくお伝えするかが、講師のすべてだと思っています。

自分たちの学生時代の大学教授の講義を思い出せば思い当たるでしょうが、研究者としての能力と、他人に伝える能力は、まったく別のものだから、講師をする人はそのための別のトレーニングすべきだと考えています。

知識を伝えただけでは「伝達」までです。
「そんな研修も有ったな」というだけに終わります。

噛み砕いて説明するだけでは「理解」までです。
「お前の言うことは分かった。でも俺は違う」ということになるかも知れません。

講義は、できれば「共感」まで行きたいものです。
「本当にそうだよな。俺もやってみるか」
そこまで行けば研修の意義が有ると思っています。

でもこれがとても難しいです。
謙虚さがオドオドしているように見えると知識すら伝わりません。
逆に「俺はこんなに知っているんだぞ」ということに終始する講師では共感は得られませんし、

私は、研修会では当日使うスライドの印刷は絶対に渡しません。講義の展開が見える資料を予め渡すと、当日の講義に集中してもらえません。受講者が「後でこの資料を見れば良い」と考えて、研修会では注意散漫になってしまいます。
お渡しする資料は後で見てもらえば良いのです。むしろ、「研修会後に再度この資料を開く気になるか」そこが研修の要です。

ですから私が講師をするときには、お話しの仕方も工夫しているつもりです。
一回の研修会でお伝えできることは、時間的にも多くは無理です。
だから「最低でもコレとコレ」という具体的目標に絞ろうと考えています。それ以上詰め込むと「俺凄いだろう」という研修会になってしまいます。

重要なことは、研修受講者が研修資料を、講師がコンピュータのディスプレイを、お互いに凝視している中では共感は伝わらないと考えています。
ですから受講者の眼を見ながら、身振りも意識しながらお話しをしています。

そのために私の研修は両手フリーが望ましいのです。
そこで最近愛用しているのが、この指輪です。


「フィンガー・プレゼンター黒曜石」です。コクヨで作った指輪だから「コクヨウセキ」なんでしょう。(ビミョー)

写真をご覧になれば機能が推測できるでしょう。
2.4GHz周波数帯域のラジオ波でコンピュータと接続してページ送り等ができるガジェットです。今までもこの手のガジェットはいくつか使ってみましたが、今のところ一番良いです。
既に何度かの研修会で使ってみています。

しかし誰にでもお奨めするものでもないでしょう。
研修会のスタイルによるでしょうね。
指示棒やレーザーポインターを使うタイプの講師は、ちょっと手持ち無沙汰になるかも知れません。
両手フリーが望ましいと思っている講師にはおそらく一番良いでしょう。そのタイプの講師は一度検討されても良いかと思います。

ここまで書いてしまうと、明日の群馬の研修会で「お前、ブログで書いていることと、実際に今日やっていることが違うだろ」って言われるかも。






2013年12月11日水曜日

土地家屋調査士試験合格者のための開業ガイダンス

このブログで何度も予告していますが、今年度も土地家屋調査士試験合格者のために「土地家屋調査士試験合格者のための開業ガイダンス」を開催致します。
やっと正式にご報告できますので、このブログでもご紹介致します。

このガイダンスは、昨年度から東北ブロック協議会の事業に昇格致しました。主に東北地方の合格者にご連絡致していますが、その他の方でも参加大歓迎です。

合格者の皆さんが、事務所開業について迷う気持ちはとても分かります。
ネットを調べても、匿名の勝手な書き込みがあって、皆さんを迷わせるでしょう。
変な組織に取り込まれてからでは遅いですから、開業前のガイダンスを聞いて見てください。
せっかく合格した資格を大切にして欲しいのです。

開業するには事務所をどう考えれば良いのか。
設備はどこまで準備すれば良いのか。
営業はどう考えれば良いのか。

すべての悩みについて具体的にお答えしたいと思います。

開業数年の先輩も参加します。
彼らの本音もお話ししますので、是非聞いてみてください。

参加される方は下記文書を参考に、宮城県土地家屋調査士会にご連絡ください。



平成251211
土地家屋調査士試験合格者の皆様

日本土地家屋調査士会連合会
東北ブロック協議会長

試験合格者のための開業ガイダンス開催について(お知らせ)

前略
 土地家屋調査士試験合格者の皆様、試験お疲れ様でした。
また合格おめでとうございます。
東北ブロックの土地家屋調査士会、各会長より心からお祝いを申し上げます。

 皆様は、これから土地家屋調査士事務所を開業するにあたって、様々な夢や悩みをお持ちと思います。また、すぐ開業するのか迷っている方も多いのではないかと思います。
 そこで、私たち東北ブロック協議会として、皆様の迷いの解決について少しでもお役に立ち立ちたいと思い、下記のとおり事務所開業のガイダンスを企画しました。
 しばらくの間開業しないと決めている方や、東北以外に開業を計画している方でも結構です。遠慮無くご参加ください。
草々

日時:平成26年1月18日(土)
   14時~17時頃(質問が終わるまで)

場所:宮城県土地家屋調査士会会館
980-0802  
宮城県仙台市青葉区二日町183

参加申込み、問い合わせ先:
宮城県土地家屋調査士会
電話022-225-3961 fax 022-213-8485
Eメール info@miyagi-chousashi.jp
以上
  合格してから仙台に集うのも格別な想いがあると思っています。
お気軽に参加していただければ幸いです。








2013年12月10日火曜日

改正被災マンション法初適用

10月3日のブログで紹介した改正被災マンション法ですが、早速この改正法に基づく敷地売却の決議が仙台市内のマンションでなされました。

そのマンションは「東仙台マンション」です。
このマンションは2011年8月3日のブログの写真の下3枚で紹介していますし、私も各種シンポジウム等で被災マンション法の改正を訴えてきた具体例でした。

東仙台マンションは2011年3月11日の東日本大震災で被災しました。
そのときは大規模修繕の方向で決議して、各自お金をかけて修理を始めました。しかし、その矢先の同4月7日の余震で、東仙台マンションは全壊状態になりました。

それからの解体決定と、工事までのご苦労と、敷地を売却できないもどかしさを傍で見てきました。
今回の改正被災マンション法により敷地売却の道が開け、実際に買い手もついたようですが、様々な費用を引くと、権利者にはほとんど残らないような金額です。
大変お気の毒ですが、法的には決着がつきました。


12月18日追記

本日関係者の方から「本ブログの表現では誤解が生じる可能性がある」とご指摘を受けました。
もし私の文章表現でどなたかにご迷惑をお掛けしたのなら、大変申し訳なく思います。
以下に本文の趣旨の説明と訂正をさせて戴きます。

「様々な費用を引くと、権利者にはほどんど残らないような金額です」の部分です。
これは「費用を引いたから残らない」という意味ではありません。今回の被災問題解決のための費用をできるだけ抑えることで、関係者はたいへんご苦労されていることは聞いております。
私の文章の趣旨は「全体で1億9000万円余りを140の所有者で単純に割ればでてくる金額が、住まいを無くした住人の方々にとって、とても少ないな」という単純な思いからの感想でした。
もちろん中古マンションの相場も知っています。その相場と比べて安いと言っている訳でもありません。売買価格や諸費用は妥当なものでしょう。
「お気の毒」と書いたのも、単純に被災者は皆お気の毒と思っているからです。何も無ければそのままお住まいになれたのですから、お気の毒と思っています。
そう思わなければ、私もこの1000日被災地支援に駆け廻ることはありません。

私の文章の表現能力の問題で関係者に不快な思いやご迷惑をお掛けしたのなら、心からお詫び致します。私の趣旨はこのとおりですので、ご理解をよろしくお願いいたします。



以下12月8日のNHKのニュースです。

「被災マンション跡地 法改正後初の売却へ」

東日本大震災で被災したマンションの敷地の売却について、必要とされる同意が法律の改正で所有者「全員」から所有者の「5分の4以上」となったことを受けて、8日、法律改正後、初めて仙台市のマンションで跡地の売却が決議されました。

このマンションは東日本大震災で全壊した仙台市宮城野区の「東仙台マンション」です。
8日、宮城野区の集会所にマンションの所有者およそ30人が集まり、委任状を提出していた所有者と合わせて9割以上の同意を得て、跡地を売却することが決議されました。
東仙台マンションは140の個人や法人が所有し、震災で全壊しましたが、被災マンション法では敷地の売却には所有者全員の同意が必要で、震災前から2人の所有者が行方不明だったことから、売却できない状態となっていました。
しかし、法律がことし6月に改正され、所有者の5分の4以上が同意すれば跡地が売却できるようになったことを受けて、8日、決議が行われました。
この結果、マンションの跡地は仙台市の医療法人に1億9000万円余りで売却される予定だということです。法律の改正後、マンションの跡地の売却が決まったのは初めてです。
東仙台マンションの所有者の代表、土谷信也さんは「法律のレールがないなかでの初めての取り組みだったので、まずは一安心だ。今後、ほかのマンションにも参考にしてもらいたい」と話していました。





2013年12月8日日曜日

震災から1000日

2013年12月4日で東日本大震災から1000日が過ぎました。

マスコミの報道も少なくなりました。
ニュースは前の日と違うからニュースになります。
何も変わらない被災地はニュースになりません。

そんな折の先週6日、仙台市の復興事業局生活再建支援部の担当の方が、宮城県土地家屋調査士会館にお見えになり、今後の協力関係についてお話しを戴きました。

被災地ではまだ仮設住宅に多くの被災者が住んでいます。
仙台市だけでも9500世帯がまだ仮設住宅にいるそうです。
その中の1000世帯はプレハブの仮設住宅にお住まいですが、その他の方々はみなし仮設住宅(民間賃貸)とのことです。

それが復興支援する役所の立場としてはとても大変なようです。つまり被災者の皆さんがバラバラにお住まいだから、個々の意向や悩み事のヒヤリングにとても時間がかかるそうです。個々のヒヤリングの内容もお聞きしましたが、とてもきめ細かなヒヤリングをしています。

これから仙台市の復興5年計画のうち、大きく動く26年度27年度にかかります。
仙台市では被災者の個別のヒヤリングが終わり、これから具体的な復興支援が本格化するそうです。

宮城県土地家屋調査士会としても、今後も専門家の立場で、法務局や法テラスなどと同様に仙台市の要請にも対応して、被災者の相談に対応できるように頑張りますので、会員の皆様の更なるご協力もお願い致します。



2013年12月1日日曜日

認定土地家屋調査士の将来像を考える

東北ブロック協議会の今年度の事業計画は以下の5項目です。
1.認定土地家屋調査士の将来像を考える座談会
2.ADR担当者会同
3.日本土地家屋調査士会連合会事業計画と連動する事業
4.新人研修会の開催
5,調査士試験合格者のための開業ガイダンス

東北は復興など忙しいこともあり、今年はなるべくまとめて開催しようと計画しました。
ということで上記1、2、3をこの週末に仙台で併催しました。

「認定調査士の将来像を考える座談会」
「ADR担当者会同」

他では「認定土地家屋調査士活用研修会」を推奨されることも有るようですが、東北では別の考え方をしていました。「認定調査士活用研修会」が、実際にADR代理業務の依頼が来たときにどう動くべきか等のノウハウの研修会であれば、ブロック協議会としてはその前にやることがあると思っていました。

今年、ADRセンターが全国50会全部に設立されました。
このADRセンターと認定土地家屋調査士を法施行当時の制度設計に立ち返って研究し、これからのADRセンターと認定土地家屋調査士との関係がどうあるべきかを、根本から議論することが重要と考えていました。

その方針で昨年は制度設計に立ち返って研究するために、九州大学の七戸教授と制度制定時の日調連会長だった西本孔昭先生をお招きして研修会を開催しました

実際に認定土地家屋調査士の活用として、全国では各種相談の相談員や、筆界調査委員や様々な推薦をするための内部基準に使っていることがあるようです。確かにそれらの配慮は、認定土地家屋調査士自身の為になることも有るでしょう。しかしそれは、法が予定している認定土地家屋調査士の本質的な活用になっていないと思っていました。

それに関して私は、以前から千葉会の取り組みが参考になると思っていました。
千葉会の場合、センターに関する相談は、原則的に専用の研修を受けた認定土地家屋調査士が各々の事務所で受けることになっています。そのやり方が、ADRの相談にいらっしゃったお客様にとっても、本当に役に立つシステムになっています。

たとえば、裁判を検討する際に、裁判をすべきかとかその見通しはどうか等の相談は弁護士事務所に行くでしょう。裁判所に相談することがあるとすれば、それは裁判手続に関することでしょう。そんな感じで捉えてみると分かりやすいかもしれません。

千葉の場合、相談を受けてみて、その事件がADRよりも筆界特定に向いていたり、一般業務で処理すべき事件であれば、そのまま相談を受けた認定土地家屋調査士が担当しても良いのです。これもセンター組織として相談を受けているのではないから、一番その事件に向いている解決方法を提案しやすいのでしょう。

東北ブロックとして、今年は千葉会の「センターちば」の高橋一修先生をお招きして研修会を開催し、この千葉の制度等の説明をお聞きしました。
そしてその後、東北のADRの担当者が集まって議論しました。
担当者会同は、得てしてそれぞれ担当者の愚痴のはけ口になりがちですが、今年の担当者会同は将来に向けて良い議論ができたようです。