「お陰様でモヤモヤがワクワクへと変わり決心が付きました。
「土地家屋調査士」になります。」
とのお便りをいただき、とても嬉しかったです。
また先日、試験合格の報告をいただきましたね。
「お陰様で土地家屋調査士試験に合格する事ができました。
ガイダンス後の懇親会で先生に「合格してます」と言い切った手前内心ハラハラの発表でした。正直かなり嬉しいです。
今後ですが幸せにも妻に理解してもらう事ができ開業(即独)に向けて進める事にしました。困難な道だと思いますがワクワク感が止まりません。
この気持ちを忘れず、誠実に真摯な姿勢で取り組みます。
先生のブログで沢山のヒントを貰いました。
先生にお会いできて本当に良かったです。
追いつくのは難しいとは思いますが必死にやってみます。
土地家屋調査士として鈴木先輩にお会いできる日を楽しみにしてます。
ありがとうございました。」
ただし、この開業(即独)という言葉が少し心配になりましたので、昨日お電話で話しました。ご理解なさったと思いますが、念のため電話の内容をまとめますからもう一度確認してください。
お電話によると、近隣の先輩のお手伝い(アルバイト)をしながら実力を付けるとのことでしたね。
「何故、どこかの事務所の補助者になって実力を付ける道を選ばないのか」という私の問いに「いろいろな事務所のお手伝いをすることの方が実力が付くと思う」という言葉がありました。
Sさんがある程度の実力を持っているのなら、それも良いと思います。
しかし、Sさんはまったくこの業界のノウハウを持っていません。
そんな何もわからない人が、先輩の事務所の手伝いがあるとすれば、事務所が忙しいときのスポット的な測量の助手程度だと思います。
それだけで測量能力や筆界鑑定能力や法律的判断能力が身につきますか。また、一番大事なお客様の問題解決能力などが身につきますか。
報酬計算や事務所経営の能力が身につきますか。
それらの点を独学でどのようにカバーすると計画していましたか。
お話しを聞いていると「補助者は給料が安い」という言葉がありました。
結局、それがSさんの本音でしょうか。
補助者は確かに今の給料に比べたら安いでしょう。
だって、Sさんが何歳でもこちらの世界では新入社員ですし、何もノウハウが無いのですから。
おそらくSさんは、今更新入社員から始めるのに抵抗が有るのではないですか。
Sさんの考えているアルバイトを2,3年する選択を考えてみましょうか。
どんな事務所でも、そんなに頻繁にお手伝いは不要でしょう。
毎日アルバイトが必要な事務所なら、その分の人材を雇っていると思いますから。
まったくノウハウのないSさんが得るアルバイト代は、月数回ですから月数万円程度でしょう。
それこそ生活ができないでしょう。
そして、それを何年続けたら一人前になるのですか。
ビジョンが甘すぎますよ。
言い方を変えましょうか。
Sさんがよくご存じの宅建業での開業に置き換えて考えてみてください。
まったくの素人の方がたまたま宅建試験に合格して、即開業することを想定してください。試験合格程度では宅建業を営むノウハウは何もないはずですね。
その必要なノウハウをアルバイト程度で身に付けようとする考え方は、かなり危険なことだとSさんならお分かりですよね。
不動産業のスポットのアルバイトなら、せいぜいチラシ配りとか旗立てなどでしょう。宅建業の決済や重要事項説明の場にアルバイトが同席することは有り得ないでしょう。
そんなアルバイトを2,3年するだけで、収入が安定する宅建業者になれますか?
もう少しじっくり考えてみてください。
まずは、少し土地家屋調査士の業務を見た方が良いでしょう。
アルバイト代を稼ぐと考えず、「ただで良いですから1週間(1ヶ月)ほど事務所を手伝わせていただけませんか?」と何カ所かお願いした方が、Sさんの勉強の機会はあるかも知れません。
私は確かに補助者勤めをせずに即独しました。
自分の経歴ですから嘘は書きません。
それを上辺だけで理解されても困るのです。
私の開業はインターネットの無い時代で、しかも師匠も無かったわけですから、疑問点を簡単に調べることはできませんでした。
本当に身を削って勉強しました。
自分のことで恐縮ですが、新人であれだけの量を勉強し続けている人にほとんど会っていません。
土地家屋調査士はとても良い仕事だと思います。
専門家として広く深いノウハウを身に付けたら、とても魅力的な仕事になります。
反面、勉強不足で仕事が無い先輩達もたくさんいます。
良いことだけではなく、厳しいことも正しく伝えたくてガイダンスを続けてきたつもりです。
私はSさんをどこまでも応援します。
Sさんにはどこまでの覚悟がありますか。