2019年2月24日日曜日

メリー・ポピンズ・リターンズ

年末からずっと忙しく映画館で映画を観ることが極端に減っていました。
しかしこの映画だけは観なければと思い、行ってきました。


「メリー・ポピンズ・リターンズ」です。

誰でも知っているあの「メリー・ポピンズ」の55年ぶりの続編です。
大好きなジュリー・アンドリュースの「メリー・ポピンズ」の続編が出るらしいと聞いて「悪い予感しかしない(笑)」と思ったのですが、その反面「私が観ないでどうする」という想いもありました。

メリー・ポピンズは、55年前のミュージカルの傑作です。
歌とダンスがメイン、しかもあの時代のもの、そしてディズニーの2Dアニメと合成映像など…。
メリー・ポピンズが傑作なのは間違いないのですが、この映画がどの時代でも通用する普遍的なものなのか、あの時代のミュージカルが本当に今の時代に受け容れられるのか、少し心配でした。
まあ当時であっても、物語として考えたら人物描写がステレオタイプで、ストーリーが単純すぎます。
そこを、ミュージカルですから、ディズニーですから、ジュリー・アンドリュースですから(私だけ?)と理解してもらえるかどうか。
私はミュージカルは大好きなのですが、ミュージカル嫌いの人は確実にいますし。
こんな感じで、前作でも少し心配ですから、今作はどう考えても心配でした。

今の時代の映画だけ観ている人にとっては、今作は子供だましの映画に見えて、つまらなかったかも知れません。
かと言って、昔のメリー・ポピンズが大好きな人は、当時の名作と比べて今作の酷評を発するかも知れません。

私はと言うと、やはりメリー・ポピンズと言われればジュリー・アンドリュースのイメージがあまりにも強くて心配だったのですが、それでも、今作は今作でとても楽しむことができました。
一つ一つのシーン毎に昔のシーンを思い出し、とても楽しく観ることができました。

「今の時代にメリー・ポピンズという制約の中で、誰が創ってもこれ以上のメリーポピンズができるだろうか」という気持ちにもなりました。
監督のポブ・マーシャルや主演のエミリー・ブラントはじめ関係者全員が、大きなプレッシャーを受けていたはずで、良くやったと思います。

構成としては、前作をとても意識していて、すべての歌とダンスと人物と小道具が、昔の映画に存在するそれらと対応するという作りです。前作を観ないとわからない小ネタがちりばめられています。
前作の歌を使えばもっと受けるはずなのに、今作は一切新曲にしておきながら、回想シーンで過去の歌の短いフレーズを小さく流すなど、とても工夫をしていたと思います。

さて、実はブログでこの映画の感想を書くつもりは無かったのですが、映画を観た人達の感想の中で、ちょっと気になったことがあるので、久しぶりに私の感想(弁護)を書きます。

ネタバレになるから詳しくは書かないけれど、ある問題解決シーンで「最初からメリーがやれば良かったのに」という感想がちらほら聞かれる場面があります。
そこだけは私の意見を言わせてください。

この映画の主題は、「自分たちで解決しようよ」ということです。
メリーは「見方を変えればできないことは無い」ということを教えます。
前作でも「スプーン一杯の砂糖で苦い薬もへいちゃらさ」と歌っています。
今作でも「本は表紙じゃわからない」と続けています。
見方を変えて、自分たちで気が付き、自分たちで努力して、自分たちで未来を開くことは新旧2作を通じてメリーが伝えていることです。

それをメリーの魔法がちょっとだけ手伝って、その自己解決の切っ掛けを作るのです。

だから、あの問題解決シーンも、まずは自分たちで頑張ることが前提で、最後の最後にメリーが手伝うのです。しかも、それさえも根本解決ではなく、あの場面の解決は別の場面で頑張っている家族へのサポートなのです。
あの問題を、「最初からメリーがやれば良い」と言うのなら、あんなプロセスを踏ませずに、冒頭で、メリーが魔法で大金を出してしまえば解決します。
しかし彼女はそれをせず、家族が自分たちで努力して、そのプロセスで心の在り方も変わっていくわけです。
そして自分たちで解決できるところまで来たら、メリーは空に帰って行きます。
この映画のエンディングが他の映画と違うところは、自分たちで解決した時点でメリーの帰還を誰も気にしていないことです。
問題を解決したシェーンのように「カムバック」と泣かれながら別れるのではありません。この淡泊さは、もう家族が自立したことを示しています。


さて、このメリー・ポピンズの続編が私にとって一番良かったことは、私の好きな映画をもう一度観せてくれたことです。これはやはりありがたいと思います。

スター・ウォーズでも、007でも、主役が変わるときにはとても残念な気持ちになります。
だけど「だったら、もう観られなくても良いのか」と考えたら、やはり「また続編を創ってくれてありがとう」という気持ちの方が強くなります。

まあ、この映画もいろいろ言いたいこともあるけれど、ネタばらししない範囲で語ることは難しいし、主演のエミリー・ブラントがとても美しかったので、もうそれだけでOKですね。

これから観る予定で前作を観ていない人は、是非前作を観てから行くことをお勧めします。今作だけでも悪くないですが、前作を観た方がはるかに楽しめるはずです。












2019年2月19日火曜日

土地家屋調査士は仕事がありますか?に答える

いろいろと後進の指導をしていると、様々な問合せが来ます。
今日もOさんから「土地家屋調査士を勉強しているのですが、土地家屋調査士は仕事がありますか?」という質問が来ました。
まあ、よくある質問ですね。
私はこう答えました。

 私はとても忙しいです。たくさんの業務依頼があります。
毎日残業でろくに休んでいません。
 一方、同じ業界でも仕事の無い人は間違いなくいます。
 これは、土地家屋調査士業界特有の問題ではなく、司法書士でも税理士でも弁護士でも、また他のあらゆる産業でも、おそらくOさんの業界でも、今は業界全体が勝ち組とか負け組とかではなく、業界の中に勝ち組と負け組があると思います。
 心配しなくても良いです。専門家としての実力さえ身に付け(続け)れば、かならず仕事はあります。
 たった一回の試験合格で調子に乗って勉強を止めてしまうと、この時代ですから仕事の依頼は来ないでしょう。一回の試験合格だけで国民の依頼に応える専門家としての実力が付くはずがないのは分かりますよね。
 Oさんは営業の仕事をしていると聞きましたが、会社組織ではなく、実力の世界で生きたいと思って土地家屋調査士の試験を受けようと思ったのでしょう。
 だったら、それこそ、その世界が目の前にあります。合格しても更に勉強を加速させ、先輩の実力を超えれば良いだけです。
昔と違い、長年の経験則だけでやっていける時代でも無くなりました。だから経験則だけを頼りにしている先輩には勝てるチャンスが出てきた時代です。

 逆に「合格しても一生勉強なんてしんどいな」と思うなら、そのままサラリーマンを続けた方が良いと思います。文句はあっても、給料はもらえますし、会社としても勉強していない程度の理由で首を切るのはとても難しいですし。

もう一つ言わせてください。
あなたは、土地家屋調査士業で生活したいのなら、しっかりと土地家屋調査士で事務所を経営している人の話を聞いてくださいね。
「仕事が無い」とネットでぼやいている人があなたの目標では無いはずですから。



2019年2月6日水曜日

常に全力で仕事を終わらせること

今年になって、京都会と愛媛会の研修会と中部ブロック新人研修会と、京都と松山の事務所運営ガイダンスが終わりました。
約半月で5回の講義ですから、後輩の事務所の運営を教えるために自分の事務所の運営がおかしくなったら洒落になりませんので、昨年から仕事の前倒し調整をしておりました。
それでも私が風邪を引いたり、身内の具合が悪くなったりして、「やはり予定どおりにはいかないな」とギリギリの日程を過ごしておりました。

土地家屋調査士事務所開業ガイダンスや新人の事務所運営ガイダンスをしていると、一番多い質問は「どうすれば仕事を受託できるのですか?」「どうすれば仕事が増えるのですか?」というものです。
確かに新人にとってこの質問は、とても重要でとても切実な質問です。
答えは一つではありません。
その人の能力や環境に合わせて、真摯に答えました。

それとは逆に、京都ガイダンスでも松山ガイダンスでもいただいた質問で「仕事が増えてきたが、今度は時間が足りなくてこなせないで困る」というものがありました。
これも最近多くなった質問です。

いくつかの時間管理の方法を教えましたが、このブログの範囲でアドバイスできることを一つだけ説明します。

「仕事を受けたら常に全力で仕事を終わらせること」です。
たとえば納期まで5日ある仕事を受託して、その仕事は2日で終わらせることができるとします。
新人に聞いてみると、納期まで余裕があると結構だらだらと仕事をしているようです。
確かにそれでも納期には間に合うでしょうが、そんな事ばかりしていると仕事の処理に時間がかかる体質になってしまいますし、無理の効かない体質になってしまいます。
そんなことばかりしている新人は、少し仕事が重なっただけで、精神的にも肉体的にも余裕がなくなり、忙しくなってしまうようです。

私が彼らにアドバイスしたことは、どんなにその後が暇でも、仕事は全力で取り組んで半日でも早く、つまり2日かかる仕事は1日半で終わらせる努力をすることです。
できれば半分の1日で終わらせる方法は無いのか、常に段取りを工夫して、早さを身に付けることです。
普段から負荷をかけて、急いで仕事を処理しようとしていると、仕事が早い人になります。すべてはトレーニング次第です。

また納期までの日程をだらだらと埋めるような仕事をしていたら、その納期近くに本当に良い仕事が来ても受託する余裕がないことになってしまいます。

そうなんです。
予定表は埋まっている部分が大切ではなく、空白の部分が大切なのです。
空白の日とは、すべてのニーズに対応できる可能性のことなのですから。