2011年4月3日日曜日

Q&A被災地支援マニュアル その5 ヒーロー

被災地にいる私がこのようなことを書くのは気が引けます。
そして、この書き方を間違うと、皆さんからの折角のご支援が止まるかもしれません。
以下は、これも実際に有った会話です。同じご支援を戴くなら、こう考えて戴く方が効果的で嬉しいのだけれどと、お伝えしたいだけなのです。
ご理解の上、被災地に更なるご支援を宜しくお願い致します。

Q)支援物資を持って行って被災者の皆さんに直接手渡したいから、町内放送などで避難者の皆さんを呼び出して欲しいんだけど。

A)支援する場合は、どこに何を持って行けば良いか事前に調査してください。現地に行ってから一人一人に直接渡すことは、場合によっては現地の支援プログラムの邪魔になることもあるので、現地の支援者と連絡を取って、機械的に動けるように段取りをしてください。

解説)
現地では有線放送が使えるか分かりませんし、有線放送をする内容の基準も有ると思われます。
個人の物資がどれだけ渡せるのか分からないという内容だけで放送できるのか、分かりません。実際に避難者が動くことは、簡単でないことも有ります。
そこまでして避難者が伺った時に、物資が足りず、手渡す物が無くなっていることも有るでしょう。

できれば、事前に現地を調査していただき、どこに何を持って行けば良いか、ご確認ください。もちろん、持って来てくださって、お声をかけてくださることは、大きな勇気を戴けることだと思います。でも物資だけのことを考えたら、今は宅配便も使えますので、お送りくださるだけでも嬉しいのです。
どこに何を持って行けば良いのかは、毎日変わるはずですので、ネット検索や現地の者に直接連絡をして調べてください。

もちろんテレビで見た、肉親を亡くした悲しみの中で、寒さや空腹と闘っている避難者の「あのおばあさん」に、暖かい毛布や下着を直接届けたいと思ってくださることは、心から嬉しいことです。
でも、そのおばあさんだけが、避難者ではないのです。
支援物資を100枚もって来てくださり、直接100人にお配りしたい気持はよく分かります。でも実際の配布は地元に任せて欲しいのです。

とにかく「トラックで乗り付けたところに避難民が群がって物資を戴く」ようなイメージではない支援を想定して欲しいのです。先日の「Q&A被災地支援マニュアル その2 炊き出し」で書いた「炊き出し」の話も同じ発想かもしれません。
被災者は、誰かヒーローを待っている訳ではないので、淡々と行っていただくことが、むしろ嬉しいはずです。