2010年1月7日木曜日

「超」文章法ー野口悠紀雄

「超」文章法 (中公新書)
あのベストセラー「超」整理法の作者野口悠紀雄教授の著作です。

ちなみに彼の「超」整理法シリーズは読む価値があると思います。
また文具としての「超」整理手帳もベストセラーですね。
紙とコンピュータの融合を考えた素晴らしい発想と思います。
あまりにも有名なので、このブログで今更書くことも無いのでしょうが、時間があったら私なりの捉え方も書いてみたいと思います。

さて私事ですが、高校生の頃から文章法に関して読んだ本が何冊か有ります。しかし、私にはあまり役に立ちませんでした。それは小説の執筆を意識した本が多かったからです。実際、感性の発露をマニュアル化するのは大変難しいことですね。

それに対してこの野口教授の本ですが、いわゆる論述文を書く際のマニュアルとなっています。論述文とは企画書、評論、論文等であり、この本は、書き手に伝えたいメッセージが有って、それを読者に伝え、説得し、自分の考えを広める為のマニュアルです。
著者の野口教授自身が必要としたからこのマニュアルをまとめたと書いていましたが、そんな意味でもこの文章法は今まで読んだ文章法に関する本とは一線を画していると感じました。

この本で、教授が一番先に、そしてしっかり伝えているのが、「メッセージ」の設定の重要性です。
当たり前の話しですが、伝えたいメッセージについて「一言で言えるか」「書きたくてたまらないか」などメッセージの絞り出し方が示されています。

それから文章の骨組みの作り方が示されています。
そこでは「内容面のプロット」方法や「形式面の構成」方法が述べられています。
そして説得力を強めるために、「比喩」「具体例」「引用」等の方法も示されています。

また、わかりにくい文章と闘うというテーマで、「複文」「文脈」「文章のまとまりの相互間の関係」「部分と全体」「悪文」等にも言及しています。
この辺りは私にとって大変耳の痛いところでした。
併せて形式のチェック・表現のチェックなど推敲の方法も紹介しています。

更に、野口教授ならではのコンピュータ時代の執筆方法についても、しっかり説いています。
つまり昔の文章法は「しっかり構成を考えてから書き始めよ」と言っていましたが、コンピュータ時代の執筆は後からいくらでも書き換えられるから、とにかくメモからでも書き始めるという方法を紹介しています。

土地家屋調査士にとっても一度は読んで欲しい本だと思います。
文章に慣れている者が陥り易い独善的表現などが具体的に紹介されていて、個人的にもすごく反省させられた良い本でした。
わかり易い文章の推敲の部分などは、筆界特定の意見書等をまとめるにも必要なノウハウだと思います。

なお、「そんな本を読んだのに、このブログには反映されていない
って、ツッコミはいれないこと。