被災3県に支援経費を請求 22都県が44億円 (10月8日朝日新聞から)
東日本大震災で福島、宮城、岩手の3県を支援した自治体が、その経費を3県に請求する手続きを進めている。朝日新聞社の調べでは、これまでに22都県が約44億円を請求し、今後も増える見込みだ。災害救助法に基づく手続きで、最終的には国が費用の大半を負担する見通しだが、被災県に請求することに疑問の声も出ている。
災害救助法の規定によると、被災地を支援した都道府県は、経費(災害救助費)を被災地の都道府県に請求できる。対象となる経費として、避難所の設置や、炊き出しなどの食料・飲料水の供給、被災者の救出など10項目が定められている。
厚生労働省によると、こうした請求は1995年の阪神大震災でも例がない。今回は厚労省が同法の規定を踏まえた積極的な救助を都道府県に要請したことが影響したとみられる。
1回目の請求申請が7月末に締め切られたのを受けて、朝日新聞社が47都道府県の担当部局に取材したところ、東京、鳥取、長崎など22都県が約44億円を請求したと回答。うち東京都が約15億円と最も多く、秋田県の5億3600万円、埼玉県の4億9千万円が続いた。
請求の締め切りは11月末と来年2月末にも設定されている。大阪や兵庫、北海道など他の18道府県も7月末時点で計約45億円の請求を見込んでいる。非公表の県もあり、請求済みの都県も追加して申請できるため、請求額はさらに膨らむとみられる。
この記事についてのコメントは、被災県からはとても言いづらいです。
しかし、大変違和感はあることを書きたいと思います。
実際にこれが個人への支援だったら、どうなんでしょう。
避難所で生きるか死ぬかの時に、食料や飲料水を届けてくださった方々には、どんなお礼でもしたい気持ちです。
私自身は避難所には行かずに済みましたが、当時食料や飲料水が無くてとても困りました。
2リットルのペットボトルの水に5000円払っても良いと思っていました。
でも「それを考えたら経費を支払っても、ものすごく安いでしょう」って問題では無いのですね。
金額として何万円もの支援を受けた避難所のおばちゃんに対し、「経費として500円下さい」と言うのでしょうか。
支援とは、与える方も受ける方も、損得ではないのです。
もちろん、以下の根拠法が有るのです。
第33条 第23条の規定による救助に要する費用(救助の事務を行うのに必要な費用を含む。)は、救助の行われた地の都道府県が、これを支弁する。
第35条 都道府県は、他の都道府県において行われた救助につきなした応援のため支弁した費用について、救助の行われた地の都道府県に対して、求償することができる。
自治体は、上記第35条上請求が「できる」ことをしないと、オンブズマン等から不作為で指摘されるかも知れないと恐れているんでしょうね。その自治体の住民が本当に「請求しろ」と言うのでしょうか。
それなら義援金などの支援を負担することの是非から、しっかり議論してもらった方が良かったと思います。
法の趣旨もよく理解できます。でも違和感が拭い去ることができないのです。
日本は、法律などの枠組み自体も含めて、ボランティアや無償支援には本当に慣れていないのですね。
今回の大地震、大津波、原発事故に遭い、被災した者も支援した者も、日本人の価値観は少し変わったと思っていますが、7月26日のブログで書いた「本音でライトな優しさを持った」世代が、新しい枠組みを作ってくれるのを待つしかないのでしょうか。