私の「坂の上の雲」ブームでもう一つ。
三人の主人公の一人、秋山真之は、テレビドラマでは試験問題を予想する名人として描かれていました。海軍兵学校を首席で卒業するのですが、その能力の説明として、小説では以下の台詞を真之が発します。
「人の頭に上下などはない。要点をつかむという能力と、不要不急のものはきりすてるという大胆さだけが問題だ」
「従って物事ができる、できぬというのは頭ではなく、性格だ」
真之は、
「教えられた多くの事項をひとわたり調べ、ついでその重要度の順序を考え、さらにそれに出題教官の出題癖を加味し、あまり重要でないか、もしくは不必要な事項は大胆に切り捨てた。精力と時間を要点にそそいだ。」
という描かれ方をしています。
私もこの「要点を把握する力」は、あらゆる分野で大変重要だと考えます。「物事の本質」の捉えるという言い方もできるでしょう。新人の皆さんにとっても、新たな分野のあらゆることを学ぶ上でこの考え方がとても大事です。
司馬遼太郎はこの要点を把握する力を、真之の「性格」と言ってます。
「性格」と言われると誰にでも身につけられるものでは無くなりますが、私はこの力はある程度トレーニングで身に付くと考えています。また、良い師匠がいれば、なお早く身に付くと考えてます。
簡単そうで難しいのは「不要不急なものを切り捨てる」という部分です。この情報社会、毎日たくさんの情報が入ってきているからこそ、何が「不要不急な情報」か分かりにくいですね。また「不要不急な情報を切り捨てる」にも、勇気が必要です。
私も情報を捨てる事は苦手なのですが、最近の私の考え方として「情報社会だからこそ、情報はいつでも手に入る」と考えて、切り捨てられない自分に納得させています。