2011年8月7日日曜日

誰も自分が今日被災するとは思わない

 昨日は大分県土地家屋調査士会にお招きいただきまして、「東日本大震災と土地家屋調査士の課題」というテーマでお話を致しました。

 大震災からまもなく5カ月が過ぎようとしています。
私たちは、毎日忙しく震災に対応していました。
ただし私たちは。土地家屋調査士という専門資格者として立ち向かったというよりも、どちらかといえば地元の被災地支援団体という立場で動いておりました。
 もちろん登記や境界についての無料相談は、被災後継続して続けていますが、その相談の内容は必ずしも土地家屋調査士の分野ではないものが半分という段階でした。
 不動産登記の専門家として出番は、もう少し先かと思われます。
 このようなこの時期に、「大震災と調査士の関わり」をお話しすることは、少し難しいことでした。

 私をお招きいただいたということは、大分会の皆さんも防災に関心があるのだろうと思いました。
そこで、「あの大震災に遭った宮城会が、鈴木個人が、何を考えて何を行動したのか。」、
「事前にこういう準備をしておけば良かったと実感していること」などを具体的にお伝えしました。
これらをお伝えすることは被災地責任と思っています。
 その中で一番伝えたかったことは、以下の言葉です。
「誰も自分が今日被災すると思わない」

 防災はこの実感がないと、適当な準備になります。
 宮城県沖地震や東海地震など10年以内に発生する確率90%以上などという研究も発表されています。10年以内に90%以上などという確率は、起こらないと考えることが難しい確率です。
そして10年以内なら今日起こってもおかしくないのです。
 でもそれは、誰の気持でも受け入れられません。
「そのうち有るかも知れないけれど、絶対今日では無い」と思っています。
その人は「絶対明日も無い」と思うはずです。
そうして準備もなく「その日」を迎えるのです。

 先人の残した各種のメッセージ
たとえば「波分神社」や「石碑」などの明確なメッセージを見ても「迷信だ」などと実感できないとすれば、それは「自分に厄災は訪れない」とどこかで思っているからでしょう。

 日本にいる限り、大震災は今日来るかも知れないのです。
その覚悟が防災の一番重要な一歩です。