ゴールデンウィーク前に、岡山県から土地家屋調査士試験の合格者Oさんが、仙台の私の事務所に見学に来ました。
その後、いただいた手紙の一部です。
「(略)この度は大変貴重な機会をいただきましてありがとうございました。
先生のお仕事の様子のみならず、私の置かれた環境も含めてご助言をいただきましたこと感謝の言葉もありません。
先生のお仕事の様子を伺い、私の考えていたことが如何に現実を知らないで考えたものか、改めて思い知りました。
土地家屋調査士の仕事がどういうものか、その片鱗をお見せいただいたこと、本当に貴重な体験となりました。
私の道のりは極めて遠いものとは存じますが、目標に向けて進んでまいりたいと存じます。(以下略)」
Oさんは以前から私のブログを読んでいただいていて、合格後丁寧なメールをいただきました。今年度で今の仕事を辞めて、独学で事務所を開業しようと思っていたようでした。
その判断は否定しませんが、どの分野の知識をそれぞれどのレベルまで引き上げないとプロとして通用しないかが把握できていないようでしたので、彼の即独には不安を感じていました。
実際、具体的な土地家屋調査士像が頭にないと、独学はできません。
プロの専門家の勉強とは、具体的にどの分野をどこまで上げるという具体的な目標がすでにあり、そこに到達するにはどんな勉強をどのようにするのかというプログラムを粛々と進めることです。
具体的な目標もなく、ただ推薦図書を読んでいても目標には到達できません。そこはひたすら基礎知識を積み上げていく中学生や高校生の勉強とは違います。
ただし、そうは言っても、Oさんは私の知っている合格者の中では、結構専門書を読んでいる方です。だから見所があるとは思っていました。
それで、彼に「仙台まで来るのなら土地家屋調査士の日常業務を見せる」と言って、今回はそれを実現したものでした。
試験では、不動産登記法などの法律と測量に関して試されますが、実務ではその程度の知識ではどこにも足りません。
実際に、私がお客様たちと話をしているところや現地立会いにOさんを同伴させ、どんな内容を話しているか聞かせました。
彼は様々なことを得て、考えたようです。
彼に限らず、試験に合格しただけの皆さんは、できるだけ近隣の土地家屋調査士と会う努力をした方が良いと思います。私も希望者全員を受け入れることはできませんので。
とにかく、それぞれの置かれた環境があるでしょうから、必ず補助者修行で勉強しなさいとは言えませんが、最低でも現役の土地家屋調査士に会って、土地家屋調査士業務全体を把握して、具体的に何を身につけたいからこの勉強が必要なんだと理解した上で、独学をして欲しいと思います。