2011年5月16日月曜日

法務省・仙台法務局との 意見交換会

5月13日には「東日本大震災復興支援における法務省・仙台法務局と土地家屋調査士との意見交換会」が開催されました。土地家屋調査士側としては、日調連・宮城会が出席しました。

午前中は、被災地の法14条地図をどう考えるべきなのか、また職権による滅失登記はどのような手順と優先順位で進めるべきなのか等々意見交換をさせていただきました。

被災建物の中の全壊建物は84,000棟程有るとのことですが、職権でどこまでやるかについて、たとえば非住居建物や半壊を取り壊した建物などの取り扱いについて、まだ決まっていないようです。

今回の震災で、地殻変動により、大きいところでは水平方向に5m以上ずれているわけです。
この土地の地図をどうするかが難しい問題です。

この答えとして、基準点の観測値を基に、各地図をパラメータ変換により作業をするという選択肢が、とても簡単です。国も実態を知らなければ、この方法を選択したくなると思います。
しかし、私たちはこの点については意見を言わせていただきました。

実際に現地を観測すれば明白なのですが、すべての筆界点が全部一方向に水平移動しているわけではないのです。それを単純に机上で変換計算だけで法14条1項地図として存続させるのは、大きな問題が有ると考えています。それでは、後世に争いを残す可能性が有ります。
万が一、国に予算と時間が無いのなら、まず法14条4項の「地図に準ずる図面」として取り扱い、その後修正していくべきと考えます。

午後には、皆さんに現地を実際に見ていただきました。
また、震災前と震災後の観測データとを見比べていただき、地震による被害が「水平移動と局所移動との2分類」だけでは成り立たないことを見ていただきました。

これらの研究は宮城会としても継続しておりますし、今後も日調連と連携を取りながら進めたいと思います。

とにかく被災地の現地と地図を知っている我々が意見を出す必要が有ります。
過去60年間、国民と法務行政のお役にたってきたと自負していながら、この未曽有の震災に際して、何も意見を出さないなら、専門家の肩書は返上しなければなりません。

今こそ頑張らなければ、国に対しても地域住民の皆さんに対しても大変申し訳ないことになると考えています。