前回も書きましたが、ゼロから思考を巡らせるとき、私はまず“デジタル”から離れます。
既存のアイデアを改良するならコンピューターが便利ですが、ゼロベースで思考を整理したいときは、やはりアナログが一番です。
大きなノートを広げ、インクフローの良いペンで、ぐるぐると落書きするように書く――。これが私の思考スタイルです。
インクフローという点では、万年筆に勝るものはないと思っています。
ただ、万年筆よりも扱いやすく、もっと気軽に、ガシガシと使えるペンがあれば……。
それが私の理想でした。
これまでにも様々なペンを試してきましたが、前回紹介したZEBRAの「フィラーレ ディレクション」もそのひとつ。
そして昨年、私の“書く道具”に、強力な新たな仲間が加わりました。
三菱鉛筆の「ユニボール ZENTO」です。
これは三菱鉛筆が6年もの歳月をかけて開発した“やわらか水性ボールペン”。
搭載された新開発の「ZENTOインク」は、従来の水性ボールペンと比べて筆記摩擦抵抗を約40%も軽減しているそうです。
ペン先のボールと紙の間に“クッション”のような成分(POA界面活性剤)が入り込むことで、驚くほど滑らかな書き心地を実現しています。
実際にペンを走らせてみると、ペン先が紙に吸い付くような感覚。それでいて、顔料インクの線はくっきりと締まり、思考のスピードにしっかりとついてきてくれます。
三菱鉛筆いわく、インクに含まれる“引き寄せ粒子”の働きでインク同士が紙面上でまとまり、明瞭で美しい描線が残るのだとか。
ZENTOには「ベーシック」「スタンダード」「フロー」「シグニチャー」の4つのモデルがあります。私はその中から、ベーシックモデルとシグニチャーモデルを購入しました。
「インクが共通なら、どれも書き味は同じだろう」と思うかもしれません。しかし、軸の握り心地や重量バランスが異なれば、書き味のニュアンスも全く変わってきます。
特にお気に入りなのが、写真上段のシグニチャーモデルです。
軸の質感はもちろん、キャップのギミックがとにかく秀逸。
磁力によって「カチッ」と吸い付くように締まり、抜くときには絶妙な手応えがある。そして軸の反対側にキャップを収めた瞬間、まるで“書くスイッチ”が入るような感覚になるのです。
これはまさに、万年筆と同じ“作法”です。
書く前の所作が、思考の集中を促してくれる――。万年筆以外でこれほど豊かな体験をさせてくれるペンは、そう多くありません。
発売当初は品薄が続き、ネットでは定価の4倍近い価格で転売されていたこともありましたが、ようやく店頭で見かけるようになってきました。
正直、これ、かなり好きですね。
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| シグニチャーモデル 良さは実物を触ってみないと分からないかも |
| 上:シグニチャーモデル 下:ベーシックモデル |
