2014年9月16日火曜日

her / 世界でひとつの彼女


コンピュータ内の人格を持ったOS「サマンサ」と恋愛をする話し。
キワモノかも知れないと思ったけれど、これ以上の予備知識も無く観てみた。

観て良かった。
思った以上に良い恋愛映画に仕上がっていると思う。

時代は少しだけ未来。誰もネクタイをしていなくて、股上の深いパンツが流行っていて、皆ヒゲを生やしていている時代。
私達の世界のガジェットがちょっとだけブラッシュアップされていて、皆コンピュータを操作するためのイヤーピースを耳に入れ、(すごく賢くなったSiriのような)音声で操作している時代、ゲームもバーチャル度が少し進んでいる時代。
10年以内かも知れない違和感のないちょっと未来。
この設定がとても上手い。

主人公のセオドアは手紙の代筆の仕事をしている。
他者とコミュニケーションをするための古典的なツールである手紙。その手紙に心のこもった文章を代筆する仕事である。
それでいながら自分自身は他者とのコミュニケーションがとても下手で、今は妻と離婚協議中である。しかし彼は離婚を躊躇している。
学生時代から付き合っている妻の成長に対する関わり方が、とても不器用で離婚まで来てしまったが、セオドアは妻をまだ愛していて、そのため次の恋愛に踏み切れないでいる。

そんなセオドアの前に新しい意思を持った新型OSが現れる。
そのOSは起動すると女性の声で話しかけてきた。彼女の名前はサマンサ。感情を持っていて、気の利いたセリフを言い、仕事ができる。そして誰より人間らしい。
ほどなくセオドアはサマンサと恋に落ちる。

肉体の無いサマンサとの遊園地や海でデート。そしてサマンサとのセックス。
(どうするかはネタバレになるので・・・)

セオドアもサマンサも、お互いの恋愛を通して成長するのだが、成長の度合いと方向が少しずつ違ってくる・・・

肉体を持たないサマンサ。
だからこそ、その声は人間的でしかも肉感的な声で無ければならない。
その声を、声だけでは勿体ないスカーレット・ヨハンソンが担当している。
いやあ、良いです。
しかしコンピュータの合成音声がハスキーって(笑)

恋愛とは何か・・・
そして恋愛における他者とのかかわりとは・・・
恋愛がお互いを成長させ、その成長がお互いの恋愛に影響を与える・・・

とてもまっとうな恋愛映画です。
全国では上映終了館も多いのですが、機会が有ったら観ても良いと思います。