2014年9月26日金曜日

清洲会議

Officialより

観たいと思っていたのですが、劇場公開中はどうしても時間が取れず、日調連全国会長会議の帰りの新幹線で録画を観ました。

三谷幸喜お得意の「限定空間群像サスペンス」ですね。
役所広司、大泉洋、小日向文世、佐藤浩市、鈴木京香等々
その他ちょい役にまで有名俳優を使っています。
舞台は歴史ドラマの王道、信長から秀吉の時代です。

合戦の無い話し合いで初めて歴史が動いた日。
戦国時代におけるロビー活動の妙。
当然面白くない訳が無い、そう思って観ました。

でも何なんでしょう。
なんか違うと感じました。

会議で歴史が動くことを描くのなら、そして誰もが結末を知っている史実を素材にするなら、途中はもっとどんでん返し的なドラマで無ければならないはずです。

観客全員が、最後は秀吉が勝つと分かっているのだから、柴田勝家と丹羽長秀が強大な敵に見えなければならないはずです
秀吉の味方がほとんどいない多数に無勢の状況を引っ張らなければなりません。
その絶対的な不利な状況から秀吉が巻き返さなえれば、ドラマとして面白みにかけると思うのです。

それにしては、敵の柴田勝家があまりにも馬鹿キャラに描かれているために、緊迫感がまったく浮かび上がりません。

三谷作品はコメディだからというかも知れないけれど、そういう見方に切り替えても、そこまで笑えないのです。
途中の旗取り合戦や、天海祐希の忍者のシーンはまったく不要だと思うし、最後の秀吉と柴田のシーンは、いわゆる「いい話」を創ろうとしたのかも知れないけど違和感がありました。
どうしたのでしょうか、三谷幸喜は。

映画『十二人の怒れる男』へのオマージュ「12人の優しい日本人」の限定空間群像ミステリーを書いた三谷だから、もう少し面白くできたと思うのですが。

一番の問題は、おそらくこの映画で、見終わって好きになったキャラクターが誰もいないことじゃないかな。
本来狙うなら、柴田勝家が無骨だが感情移入ができる人物に描いて、それに対して秀吉と黒田勘兵衛チームのずる賢い策略との対比を描いて、でも結論は歴史的な勝敗になる残酷さを描いた方が良かったのではないかとも思います。

確かにそこまで悪くは無い映画です。
でも何か置いて行かれた気分です。
これって「三谷幸喜の個人的遊びに巻き込まれただけ感」が有るのかも知れません。


それで清洲会議は良いから、全国会長会議はどうだったって?
変革の時代、清洲会議以上に緊迫感の中、熱心に話し合いましたよ。
後日映画にはならないと思うけど。