仙台市で土地家屋調査士事務所を開業している鈴木修の個人ブログです。 2015年5月まで宮城会員や全国の土地家屋調査士の新人に向けて書いてきた「宮城県土地家屋調査士会の会長ブログ」を、そのまま個人ブログに引き継いだものです。 土地家屋調査士の制度や専門家としての事務所経営の考え方を書いてみたり、個人的な趣味や今考えていることについても書いていきます。興味のある分野だけ拾って読んでみてください。
2012年5月14日月曜日
社会福祉施設職員の精神状態
先日、老人ホームにお勤めの方と直接お話しをする機会がありました。
あの大震災当日の話、その後のライフラインが止まった中での飲食物の確保と介護。そして今現在の利用者の増加への対応・・・。
淡々とお話されていましたが、とてもご苦労されたことは明らかでした。
被災者自身は当然大変ですが、被災地内の被災者を支援してきた人達も大変です。
これが職業であっても、ボランティアであっても同じく大変です。
まじめな方は特に、あの大震災時にも使命感を持って、自分よりも周りを優先し、肉体的にも精神的にもギリギリで働きましたし、一年経った今もあまり変わらない状態で働いています。
おそらく、ここ数年程度で解決する問題ではなさそうです。
被災地外の方々から「問題有りませんか?何か支援することが有りますか?」と聞かれたときに、私はいつも答えに窮します。
その支援はどこまでを考えているのか、それを聞き返すわけにもいかないですし。
「仙台は復興したね」と言われることがあります。
確かに街中のビルを見れば、大震災が有ったことさえ分からないかもしれません。
でも仮設住宅にいる人は、まだまだたくさんいます。
彼らは、寒い季節を耐え、これから暑い季節を迎えます。
「被災地は仕事が増えて良いね」と言われることもあります。
でも仕事が無くなった人もたくさんいます。
「就職活動をすれば良い。1年以上無職のままと言うことは、就職の意欲がないんだ。」という話を聞いたことがあります。
一面ではそうかも知れませんが、事はそんなに単純な話だけではありません。
被災者はいろいろなものを背負っています。被災地に新たな仕事を創らなければなりません。
また仕事が増えたと言われる産業でも、「被災地内で仕事が増えるということが、平時の『仕事が増えて良いね』とは意味が違う。」のですが、これは、被災地で働いてみないと分からないかもしれません。
でも、「あなた達には分からないから・・」と言ったら、そこで話は終わります。
私たち被災地にいる人間は、少しでも、丁寧に実情をお知らせする方法を考えなければならないと思います。
他の地域に、万が一の災害が起きたときの為にも、我々の経験を分かって戴かなければならないし、それが支援を受けた全国への恩返しでもあるからです。
以下は本日(2012/5/14)の河北新報の記事です。
宮城県内の社会福祉施設 震災後、職員の3割精神状態悪化
東日本大震災発生後、宮城県内の社会福祉施設で働く職員の3割が精神状態を悪化させていたことが、全国福祉保育労働組合(東京)などの調査で分かった。非常事態の中、施設利用者の生命に危険が及ばないよう神経をすり減らしたことや、被災して行き場を失った高齢者らを新たに受け入れたことによる過重労働が心身への強い負担につながったとみられる。
調査はことし2月、同組合と石倉康次立命館大教授(福祉労働)の研究室が、高齢者や障害者、児童が利用する115施設の職員345人を対象に実施。このうち132人(回収率38.3%)から回答を得た。
心の状態は、「あまり良くない」が11.9%、「一時、調子を崩したが回復」が17.8%で、震災後に精神的な状態を悪化させた職員は計29.7%に上った。体調は、「あまり良くない」が9.1%、「一時、調子を崩したが回復」が14.9%で計24.0%だった。震災後の勤務状況は、「泊まれる職員は泊まり込んだ」が72.9%。一部施設が避難所になったことなどから、「通常とは別の業務が増えて職員の体制に困った」との回答も26.4%あった。
施設利用者の変化については、「健康状態が悪化」「心理的に落ち込むことが増えた」「新しい利用者が増えた」がいずれも2割前後だった。
石倉教授は「利用者の生命を守る責任感や、新たな利用者を受け入れて仕事が増えたことがストレスにつながった」と分析。「非常事態に備え正規職員を増やし、他施設との連携体制を築いておくべきだ」と、人手の確保の必要性を指摘している。