2013年7月29日月曜日

ボランチ専門講座 福西崇史



皆さん各々各組織における役割があると思います。
職場、家庭、趣味のサークル・・・そんな組織の中でリーダー、サブ、スペシャリスト、ムードメーカー各々の役割があると思います。

私が昔所属していた交響楽団や吹奏楽団では、様々な楽器があります。
どの楽器を選ぶかで、その人の役割に対する性格や嗜好が少し分かる気がします。
管楽器で言えば、華やかなソロが格好良いトランペット、クラシックにはほぼ使われないサックス、主に和音の中で生きるホルン、ベースを支えるチューバ等々。
このテーマは以前ブログに書きました。

そして、今は宮城県土地家屋調査士会というチームで監督という役割をやっています。本当は監督ではなく、プレイヤー向きなんですけどね。

さてサッカーで言えば、私が一番やりたいのはどのポジションでしょうか。
小学校の頃は遊びでサッカーをするときは、大抵ゴールキーパーでした。
「ゴールキーパーって、チーム内で一番運動センスの良い人がやるんだ」という説も聞いたことがありますが、まったくそれとは違い、「走らなくて良さそうだから」というとんでもない理由で希望していました。
大人になってサッカーを見てから、ポジションとして一番好きなポジションはボランチになりました。ボランチは「守備的ミッドフィルダー」と呼ばれることがありますが、フォワードとディフェンダーの間のミッドフィルダーの中では後ろに位置するので、「守備的」が付くのでしょう。実際は守備と攻撃の要です。今の日本代表で言えば、遠藤保仁でしょう。

私のベガルタ仙台を応援する際の正装、いわゆるレプリカユニフォームの背中には「8番シルビーニョ」があります。シルビオ・ジョゼ・カヌート、登録名シルビーニョ。2002年から2005年のベガルタ仙台の絶対的ボランチでした。彼の好不調が直接チームの成績に影響するような選手でした。
私の中では未だに別の選手のレプリカに替えられないほどの存在です。

さて、シルビーニョでなくても、サッカーを見るときにはボランチの動きを見ていると、そのチームが今何をしたいのかが良く分かります。

そんなボランチについて、あの元日本代表ボランチの福西崇史が書いた本、その名も「ボランチ専門講座」を読みました。
福西選手が、ジュビロ時代あのドゥンガに鍛えられて身に付け、自分のものにしたボランチのノウハウが具体的に書いてあります。

第1章 ポジショニング
第2章 アプローチ
第3章 1対1の守り方
第4章 グループ
第5章 ビルドアップ
第6章 ターン技術
第7章 ゲームメイク
第8章 攻撃参加
第9章 ボランチの見方

福西選手のプレーは好きでは無かったけれど(なにしろベガルタ仙台の敵ですから)、この本で長年サッカーを見てきた私の見方に後付で確認ができました。

何故このボランチは相手の攻撃に対してあの位置取りなのか、何故あの姿勢なのか、何故突っ込まないのか、何故今突っ込むのか、このパスはどういう意味を持つのか。
ボランチが2人の場合の役割やチーム戦術とボランチの役割等々。
書き出すと長くなりそうですが、とても具体的で興味深い内容です。

そして最後の第9章では現代サッカーの代表的三人のボランチについて書いています。
アンドレア・ピルロ(ユベントス)、ヤヤ・トゥーレ(マンチェスター・シティ)、セルヒオ・ブスケツ(バルセロナ)のそれぞれの個性と、チーム内の役割を書いています。ボランチの眼で見た評価になるほどと思いました。

選手としてボランチを目指す人にも、試合観戦に新しい視点が欲しい人にも良い本だと思います


ちなみに、私達土地家屋調査士も、フォワードやゴールキーパーではなく、社会における攻守の要・ボランチあたりの役割が一番望ましいと考えています。