2013年7月11日木曜日

境界問題相談センターみえ設立

中部ブロック協議会総会の前日の7月4日に、三重会のADRセンター「境界問題相談センターみえ」の設立記念式典が開催されました。私も出席させて戴きました。全国土地家屋調査士会50会の最後の境界ADRセンターになります。これで全国全部の会に境界ADRセンターが揃いました。
三重会もここまで来るには様々な議論を重ねて、先週の設立を迎えたのでしょう。
本当にお疲れ様でした。

私はこれまで、このブログで何度も「ADRセンターは有った方が良い」と言っています。
心配された方々の間では、全国のADRセンターの事件数を見て、費用対効果を議論がされたかも知れません。
「裁判」や「裁判所の調停」との棲み分けや、「筆界特定制度」との棲み分けの問題も議論されたのかも知れません。

しかし、私は「棲み分けや件数でADRセンターを語る必要は無い」と思っています。
地元にADRセンターが有れば「何かあったときに相談できる場所がある」ということだけで地権者に安心感ができます。地元に住んでいる人は今境界争いをしている人ばかりではありません。それでも設立の意味があるのです。

筆界特定制度とADRセンターの取り扱う境界問題は、理論的にまったく違うのですが、一般の地権者はその違いが分かりません。だから、まずは行きやすいところに相談に行きます。
実際に窓口振り分けと言っても、具体的内容に入っていかないと本当の振り分けができないこともあります。実際にそれで良いと思っています。困っている人の窓口は多い方が良いです。
ADRセンターは法務局や裁判所と違い、場合によっては土日や夜間などのフレキシブルな対応も可能です。そこが利用者としてもADRセンターを利用しやすい部分でもあり、ADRセンターとしても紛争の本質を把握しやすい部分でもあります。

土地家屋調査士が境界ADRセンターを担当すべき理由は、境界に関する法律や境界を調査する技術に熟知しているからだけではありません。むしろ毎日境界を調査して地権者の相談を受けているからこそ、紛争当事者の真に言いたいことが一番良く分かるからだと思っています。

お金がかかるという問題についても、固定費を減らせば、今のところ件数が少ないのですから変動費は問題ないはずです。ここも工夫次第です。また費用対効果を語るときの「効果は何か」ということも考えるべきです。

さて、日調連もここまでは、全国にADRセンターを揃えることが、ある意味目的化していました。全部揃った今からは、次のステージに行かなければなりません。
先月の日調連総会で選任された林会長は「境界紛争ゼロ宣言」を打ち出しました。
この機会に全国が、ADRセンターについても認定土地家屋調査士についても、再度議論すべきと思います。