毎年お招きいただいている近畿ブロック新人研修会に今年も講師で行ってきました。
土地家屋調査士試験に合格し、土地家屋調査士会に登録して開業し、これから一人前の土地家屋調査士として頑張ろうという意欲に満ちた新人達に会える事が、私にとってもとても嬉しく大切な時間となっています。
今まで様々な分野の研修会の講師をしてきましたが、この新人研修だけは特別なものと考えています。
なにしろ受講生である新人の人生に関わる研修だからです。
この研修会が、受講生の方向性を決める大きな影響を残します。
だから、新人研修会の講師をするということは、とても難しい事だと思ってい
自分勝手な哲学を振り回す訳にも行きません。しかし、当たり障りの無いことだけ言っても、何も響かないでしょう。だから、新人研修会の講師をするということは、とても難しい事だと思い、とても気を遣っています。
私の研修の一番の目的は、受講生の固定概念を崩す事です。そして崩して迷いはじめた方向性を、改めて判断する指針を示す事です。
本来の、そしてこれからの土地家屋調査士のあり方について、気がついて欲しいのです。
受講生は合格率数%の試験に合格して世間から褒められるから、慢心している事があります。土地家屋調査士会に入会したら、土地家屋調査士の全員が合格者だから、その成功体験は何でも無い事だと気がつかなければなりません。
全国模試何位以内なんて、入会してから自慢げにお話ししている人を見た事が有りますが、それこそまったく意味の無い事です。今何をしているか、何ができるかが問題です。
補助者経験が長い人も気をつけなければなりません。
その事務所内で「何でもできる」と自他ともに評価されているのかもしれません。
ただし、それはその事務所の中の、しかも登記事務能力の評価です。
その事務所は全国の土地家屋調査士の中の標準的なレベルの事務所なのでしょうか。
補助者経験の長い人や2代目3代目の人は、他の土地家屋調査士をあまり知りません。
今の土地家屋調査士は不動産登記申請の代理業だけやっている訳では有りません。
全国には様々な土地家屋調査士がいることをお知らせしたいのです。
一度それらの小さな成功体験を謙虚にリセットする必要が有ります。
それが早くできる人が、一流の土地家屋調査士の入り口に立つ事が出入ると信じています。そうなれば、事務所経営についても考え方がブレなくなるでしょう。
物事を決めつけている人がブレない人ではないのです。柔軟で謙虚な考え方ができるからブレなくなるのです。
そんな新人が増えれば、この土地家屋調査士業界の未来も素晴らしい未来になるでしょう。そう堅く信じているから、新人研修をライフワークにしています。