順番は前後しますが「のぼうの城」も観ました。ずっと観たかったのですがタイミングが合わず、もうすぐ上映終了になりそうだったので、年末急いで観てきました。
これは本屋大賞を受賞した作品で、発刊された当時、私もすぐに読みました。歴史小説としてはとても軽いのですが、読んでみてその軽さが嫌ではありません。もともと映像を意識した小説だと思いましたが、最近調べてみたら、もともと脚本を先に書きそれを小説にしたようですね。そしてやはり映画化されました。
私の感覚では、映画化されることにより原作の良さを消してしまう小説が多いのですが、この作品は違うと思いました。映画化されて更に面白くなっています。珍しい事です。おそらく主演の野村萬斎がマッチしたのでしょう。
「のぼう」は「でくのぼう」の略です。忍城の城代になった成田長親のことです。
秀吉の小田原攻めの際、その「のぼう」様が、わずか数百人の武士と足軽百姓で、石田三成指揮する2万人の軍勢と対峙します。結果は火を見るより明らかな状況ですが、のぼう様は戦いを決断します。
ここで「のぼう」様と石田三成の人望の差が出ます。
このシチュエーション。古今東西、映画の定番ですね。
ここではネタバレになるので詳細は控えますが、「のぼう」様とそれを取り巻く様々なキャラクター設定と野村萬斎の演技を観るのはお勧めです。
映画は史実とは違うのでしょうが、秀吉の小田原攻めの際に、石田三成に忍城が水攻めされて、それが失敗したことは史実です。そこにどんな味付けするかが歴史小説の楽しさです。ここではネタバレになるので詳細は控えますが、「のぼう」様とそれを取り巻く様々なキャラクター設定が楽しく、野村萬斎無くしては成り立たない演技を観ることもお勧めです。
この映画では、最初の水攻めのシーンがあまりにも凄まじい勢いで田畑や家屋を押し流すので、私個人はどうしても東日本大震災の大津波を連想させました。
このシーンのため、被災地に配慮して、既に完成していたのに公開が一年遅れたと聞きました。何年経とうが、ここだけは観る苦しさに変わりはないですが、配慮は感謝します。