2012年2月22日水曜日

前例主義

よく役所は前例主義であると言われます。
「仕事の指針は前例にないことは基本的にしない。」と言われます。
それだけではないと思いますが、民間よりはその傾向が強いでしょうね。

でもこれは役所だけではありません。
日本人の大半に刷りこまれている意識かも知れません。
日本人は、もともと集団から特殊な個が生まれることを嫌い、個が村社会から飛び出すことを防ぎます。
ですから各々の判断基準も集団の中で無難な選択になります。
その典型が前例主義です。
前例主義は、こんな村社会では一番安全な判断でしょう。

仲良くすることと、意見が違うのに妥協することは意味が違います。
「和をもって貴しとなす。」ということも、妥協することではないはずです。

お互いに主張しないと、ある意味思考停止ですが、出てくる答えが前例と同じとなります。
何も問題ない太平の世には前例主義でも良いでしょう。
なにしろ問題ないのですから。

でも前例主義も時と場合によります。
この大震災の非常時にも、官民あちこちに前例主義が見られます。
これがとても復興の妨げになります。
「1000年に一度の・・・」
「未曾有の・・・」
「想定外の・・・・」
等々の文字が並ぶだけで、前提条件が違うと誰もが認めているのに、前例主義がまかり通ることには、呆れてしまいます。

前例を選べば、選択した本人が責任追及されるリスクは大変少なくなります。
失敗したときにも「前例どおりやったのですが、想定外のことが起こり・・・・」と言い訳できます。
これが前例からはみ出た選択した上で失敗したら、間違いなく勝手に判断したとその人の責任にされます。

でも、そんなに責任にされたくないなら、責任のある立場にならなければ良いのです。

総理大臣から地法政治家まで、中央官庁から各地方自治体まで、身近では日調連から各土地家屋調査士会の役員まで、なぜあなたはその立場にいるのか、再度考えてください。

前例で良ければ、あなたでなくて、前任者のままで良かった筈ですよね。
前例で良ければ、人間でなくてデータベースを置いておけば良いかも知れませんね。

責任を持って自分の頭で考えましょう。