2012年2月19日日曜日

3.11前と後の組織の責任


「3.11の東日本大震災が想定外だ」ということは、ある程度仕方ないと思っています。

「過去の先人達が残してくれたメッセージに真摯に耳を傾ければ本当は想定外ではなかった。」と、私は機会がある度に全国に訴えているのですが、それでも、ある程度想定外だったことは仕方ないと思っています。

ですから、3.11当時の各組織の役員達が狼狽えて、現実逃避したり、意味のない行動をしたりしたことがあったとしても、そこについては責めてはいけないと思っています。
各土地家屋調査士会会長や各会社団体トップ、町内会会長や各家庭のお父さん等々はそこまでも覚悟してはいなかったはずです。

(これには、絶対に総理大臣を含む国の機関は入りませんが。)

ですから、非常時の他人の行動について、平時になった人間が評価を加えるのは、止めておこうと思っています。

ただし、3.11以降に就任した各組織団体とそのリーダーには、震災対応の責任は免れないと思っています。

被災地であれば、震災復興を覚悟したリーダーであり、被災地以外であれば、被災地支援と万が一の地元被災の際の対策を覚悟したリーダーでなければなりません。
もう日本全国、想定外という言葉は何の免罪符にもなりません。


私は3.11の時点では実際に想定外だと思いました。でもその後の5月の総会を経て再任されたからには、前期とは意味の違う就任だと思っています。


何度も言いますが、「明日来る!」という意識がなければ、防災はできません。
4年後でも30年後でもまったく同じことです。

これからは一切想定外という言葉は使えません。
私もそんな覚悟でおりますので、会員の皆様のご協力をお願いします。


以下は2月17日に仙台支部総会にお招き戴いた際の私の祝辞です。


 本日は、仙台支部総会にお招き頂きまして有り難うございます。


  平素から支部長はじめ役員の方々や支部会員の皆様にご協力戴いていることに感謝しております。お陰様で本会の会務が無事に運営できておりますことをこの場をお借り致しまして、厚く御礼申しあげます。


さて昨年は、あの3月11日の東日本大震災により、会員の皆様は大変辛い一年をお過ごしになりました。ご家族や補助者やご友人を失った会員もいらっしゃいますし、高野会員をはじめ、事務所の被害に遭われた方もたくさんいらっしゃいます。その中で仙台支部の会員の皆様が一人も欠けることのなく、この支部総会を無事開催できましたことは、不幸中の幸いでございます。


宮城会としましては、震災後すぐに対策本部を立ち上げて、会員の皆様の安否確認と支援をさせていただきました。その際の皆さんの献身的な働きは一生忘れられません。
会長として一度も招集しないのに、勝手に集まってくる役員達、毎日炊き出しを持ってきてくれる仲間達、自分の自宅や事務所の中がメチャクチャなのに、仲間の支援を優先してくれる会員の皆様。毎日県内を支援で走りまわりながら、涙腺が緩くなりました。


土地家屋調査士は組織だから動いているのではなく、仲間だから動いているのだと、心から実感致しました。私は土地家屋調査士という職業と仲間に、更に誇りを持ちましたし、正直土地家屋調査士という職業を選んで良かったと思いました。


私たちを含め宮城県はこれから急いで復興しなければなりません。私たちはいつまでも被災者でいてはなりません。復興支援の立場にならなければなりません。
具体的にはこれから増大するはずの専門的な相談への対応や復興支援の業務等が待っています。
これらは儲かるからやりたいとか、儲からないからやりたくないとか、言う問題では有りません。
いつもお世話になっていた地域のお客様である宮城県民の皆様のためにも、専門性を生かして頑張るだけのことです。


私は東日本大震災の際は、偶然就任していた会長でしたが、昨年の総会で会長に再任した際には震災復興を覚悟した会長となります。逃げは許されません。もう少し頑張ります。
仙台支部におかれましても、どうぞこれからも宮城会をご支援とご協力をお願い致します。


本総会のご盛会と仙台支部のご発展、支部会員皆様のご健勝をお祈り致しまして、ご挨拶といたします。


     平成24年2月17日
              宮城県土地家屋調査士会
                   会長 鈴木 修