2023年6月24日土曜日

1点のみの境界標の復元について

鈴木修塾の塾生から相談がありました。

「亡失した境界標を1点のみ復元してほしいという依頼が来ました。どのように処理すればよろしいのでしょうか」 

このような質問です。

これは日調連の新人研修で毎年説明してきた事例のひとつです。

「1点のみの境界標の復元をして欲しい」という依頼はよく有りますが、土地家屋調査士への依頼なら、単に数値計算をして復元測設をするという意味だけでは無いはずです。


境界標は将来の境界紛争を未然に防ぐためにあります。

だから亡失したら復元すべきことは当然です。

ただしその復元は、隣接地所有者に現地での立会をお願いして、説明して、了解を得たうえで復元する必要があります。

存在していたはずの境界標がある日無くなったら問題になるでしょう。

逆に無いはずのところに突然境界標が立っていたらそれも問題になるでしょう。

だから、無いところに境界標を設置するのなら、当然に立会が必要なのです。


そして、できればその境界標を今回確認したという証拠を残したいものです。

だから鈴木事務所の場合は「部分的な再確定」と考えて、その部分の「部分確定図」を作成します。

あなたに業務依頼をした方は「測量して、穴を掘って、杭を設置するだけだから」と簡単に考えているかも知れません。でもそれでは誰も責任を持てない作業になります。

土地家屋調査士は測量作業員ではありません。「手間を省いて安価にしました」という言い訳を聞くことがありますが、そうではなくて「部分確定がなぜ必要なのか」を関係者に説明しましょう。

そして、最終的に責任の持てない作業のみを依頼されるのなら断るべきです。

土地家屋調査士は、境界の専門家として、常に境界に関する法律的な意味合いを意識して行動している資格者です。何が大事か理解しながら行動してほしいと思います。