2026年8月24日月曜日

地方での差別化について— 先輩を敵にしないという選択

先日の福岡のガイダンスでも、「大ベテランの現役の先輩が多く、地域とのつながりも強い。そんな中でどうやって差別化を図り、顧客を増やしていけばいいのか」という切実な質問をいただきました。

地方で開業を志す、あるいは開業したばかりの若手土地家屋調査士にとって、避けて通れない大きな壁があります。それは、地域に深く根を下ろしている大ベテラン調査士たちの存在です。私自身、開業当時はまったく同じ不安を抱えていたので、この「大ベテランの壁」がどれほど高く見えるかは痛いほど理解できます。


しかし、ここで視点を少し変えてみてください。

なぜ彼らは七十歳を過ぎても現役を続け、仕事が途切れないのでしょうか。理由はシンプルで、そこに確かな需要があり、そして地域との強い信頼関係があるからです。では、その強固なつながりは一朝一夕でできたものかといえば、もちろん違います。先輩方は長年にわたり地域の人々の役に立ち、様々な手続きや的確なアドバイスを積み重ねることで、信頼という名の絆を築いてこられたのです。

この「先輩たちの強み」を正しく理解することこそが、新人が差別化を考えるうえでの第一歩になります。


多くの新人が陥りがちな誤りは、先輩たちと同じ土俵で戦おうとすることです。登記手続きや測量業務という、誰もが提供できるコアな技術だけで勝負しようとすれば、実績と信頼を積み重ねてきたベテランに勝てるはずがありません。かといって価格を下げて安売りに走れば、自分の経営が立ち行かなくなるだけです。

私たちが考えるべき差別化とは、業務そのものの優劣ではなく、「お客様に提供できる新しい価値」の中にあります。

どれほどパワフルな大ベテランであっても、年齢を重ねれば体力的な衰えは避けられません。真夏の厳しい現場作業がきつくなるのは自然なことですし、それ以上に、目まぐるしく変わる新しい法律や制度、複雑化する最新の手続き、そして技術革新をゼロから学び直すことは、年齢を重ねるほど負担になります。まさにここに、若手が入るべき隙間、つまり大きなチャンスが隠されています。

時代は常に動いており、新しい法律や制度が導入されるたびに、不動産を取り巻く環境にはこれまでにない課題やニーズが生まれます。さすがのベテラン勢も、これらすべてに完璧に対応できるわけではありません。かつて先輩たちが若かった頃、時代に合わせて新しい技術や手続きを導入し地域を支えてきたように、今度は皆さんがそれを形にする番です。最新の法律知識や新しい技術、フットワークの軽さを活かした解決策をもって、現代の課題に向き合うのです。

差別化の本質とは、自分を大きく見せることではなく、「お客様にとって何が価値になるか」を徹底的に考え抜くことにあります。ベテランの先輩たちがカバーしきれなくなった現代的な課題を、あなたの新しい力で解決していく。その姿勢を貫くことで、大ベテランが多い地域であっても、あなたにしか頼めない確固たるポジションが必ず生まれます。


そしてもう一つ、非常に大切な提案があります。

地域のベテランの先生を「商売敵」と捉えず、業界の先輩として尊重することです。むしろ、先輩方と協力関係を築くことで、あなたの成長は大きく加速します。たとえば、先輩に対して「境界標の逆打ちだけでもお手伝いさせていただけませんか」といった形で、負担の大きい作業や新しい技術が必要な部分をフォローする提案をしてみるのです。もちろん、決して上から目線ではなく、あくまで丁寧に、謙虚に。

そのように一緒に現場を歩くことができれば、先輩が長年蓄積してきたノウハウを直接教えてくれる機会も生まれますし、地域の中で自然な形で世代交代が進む可能性もあります。敵対するよりも協力する方が、地域の住民にとっても、業界全体にとっても、そしてあなた自身にとっても最良の選択だと思います。


地方での差別化は、孤独な戦いではありません。

先輩を敵にせず、時代の変化を味方につけ、あなた自身の新しい価値を丁寧に積み重ねていってください。

応援しています。





2026年7月28日火曜日

【熊本震度7】片付けは後回しに!今すぐ「余震」への警戒をお願いします

熊本地震から10年が経ちましたが、本日(2026年7月28日16時27分)、また熊本を中心に大きな地震(震度7、M7.1)が発生したようですね。

まずは、九州の皆様の安全を心よりお祈り申し上げます。


このブログでも何度も書いていますが、「余震」も本当に恐ろしいです。

どうか十分にお気を付けください。

大きな揺れによって地盤や構造物が緩んでいると、その後の小さな揺れが引き金となって崩壊することもあります。

片付けは後回しで構いません。「もう一度大きな揺れが来たら、どこが危ないか」だけを考えて行動してください。

綺麗に後片付けをするのは、余震が落ち着いてからにしましょう。


私は地震が起きるたびに発信していますが、東日本大震災の際に業界の災害対策本部長を務めていた経験があるため、どうしても他人事とは思えず心配になります。

10年前の熊本地震が発生した直後にもすぐに熊本へ向かい、熊本県土地家屋調査士会への支援をさせていただきました。

ここでの「支援」とは、被災した組織そのものへの援助という意味だけではありません。今後発生するであろう、対外的・対内的な各種事務手続きを予想し、それぞれに対する対策や対応案を説明・共有することでした。

災害時には、想定外の被害とともに、想定外の事務作業が数多く発生します。そうした手続きや対応を平時から網羅しておくのは難しいため、「私の経験が少しでも役に立つのなら」という思いでお伺いしたのです。


東日本大震災以降は、公私を問わず、災害に関する講演や支援を全国で行ってきました。

その中でよくいただくのが、「一番効果的な災害対策は何か?」という趣旨のご質問です。

これに対する私の答えは、常に一つです。

「今日、あるいは明日、100%地震が来る」という意識を持って、すべての準備をすること。


「地震はいつか来るかもしれないけれど、今年ではないだろう」と考えてしまえば、本気で対策を講じることはなくなります。誰しも日々の生活や仕事で忙しいからです。


しかし、自分自身の命だけでなく、大切な家族や友人、そして社員を守るために、どうか本気で考えてみてください。

自分や家族を守るために、遠慮や見栄は不要です。絶対に格好をつけてはいけません。


災害対策は、「大袈裟なくらいが丁度良い」のです。


熊本をはじめとする被災地の皆様、もし困ったことがあれば、遠慮なく私を含む全国に声を上げて発信してください。

そこに遠慮は一切不要です。堂々と支援を受け入れてください。

そして心身に余裕が生まれたときに、それぞれの形で、後から次の誰かへ返していけば良いだけなのです。


皆様の安全を心よりお祈り申し上げます。


tenki.jpの情報です






2026年7月6日月曜日

現場で使える筆記具 ― JETSTREAM and knot(アンドノット)

土地家屋調査士は、土地や建物を調査する職業ですから、机上ではなく「現場」でメモを取る場面が圧倒的に多くなります。雨、湿気、暗がり、足場の悪い場所など、筆記具にとっては過酷な環境ばかりです。

これまで私のブログでは、

上向きや湿った紙にも書ける エアプレス

土地家屋調査士 鈴木 修 ブログ: エアプレス

暗い場所でも書ける ライトライト

土地家屋調査士 鈴木 修 ブログ: ライトライト ライト付きボールペン ゼブラ

赤色LEDで夜間に便利な ライトライトα

土地家屋調査士 鈴木 修 ブログ: 赤色LEDのライトライトα(アルファ)

など、現場向けのペンを紹介してきました。


今回は、三菱鉛筆のJETSTREAMシリーズから登場した新製品 「and knot(アンドノット)」 を紹介します。カラビナ付きで“ぶら下げて持ち歩く”というペンです。



and knot は、バッグやネームプレート、ベルトのループなどにカラビナで引っ掛けて持ち歩くスタイルのペンです。常に近くにあって現場で「すぐ使える」「すぐ戻せる」というのは、思った以上に大きなメリットです。

私はいつも他にペンを持っていますが、予備を持っている安心感もあります。



このペンで気に入っている点は次の3点です。

○磁力で“ピタッ”と決まるキャップ

キャップは磁力でしっかり固定されます。強く振っても落ちません。

引き抜いてメモし、またキャップに差し込む。この一連の動作がとてもスムーズで、現場での信頼性は高いと感じました。


○ 太めのボディで握りやすい

ボディは十分に太く、軍手や手袋をしていても握りやすい太さです。

「握りやすい」=「落としにくい」というのは現場では非常に重要で、太さの設計に納得しています。


○信頼性のカラビナとジェットストリームインク

従来からカラビナ付きのペンはありましたが、比較的チープなもので、

カラビナがプラスチックで耐久性が低いとか、インクが擦れるなどの問題がありました。

その点、三菱鉛筆が作ったJETSTREAMの and knot は、

“フィールドで使うことを本気で考えて作られたカラビナペン”  

という印象を受けます。

必要な時に側にあって必要なインクが擦れずにボタ落ちせずに使えるのが現場向きです。


製品としてはとても良いのですが、あえて注文を3つ挙げます。

●ペン先を出したままキャップに入れると落ちる

キャップ側に磁石がないため、ペン先を出した状態でお尻側から差し込むと固定されません。芯を出したままぶら下げると周辺をインクで汚す可能性があるので、この仕様なのかもしれません。しかし、現場ではペンを落とさないためにも、ネックストラップにぶら下げて「ペン先を出したまま使う」シーンもあり得るので、ここは考慮の余地があると感じました。


● 替え芯が細い(SXR-80-05)

採用されている替え芯は 0.5mmの SXR-80-05。

もちろん書き味はJETSTREAMらしく滑らかですが、アウトドア用途で太いボディなのですから、もう少し太めの芯(インク量の多いタイプ)を選べたら嬉しかったところです。


●価格が税込 3,650円

信頼できる丈夫なカラビナや、機能だけでなくファッション性もある製品なので、比較的高価な価格は理解はできます。

私自身は買いましたし満足していますが、できれば 税込3,000円未満 ならより手が伸びやすかったのではないかと思います。

高校生の頃の私なら、絶対に欲しくてたまらなかったでしょう。


それでも「現場で使うペンを探している人」にはおすすめのペンです。

敢えて注文は書きましたが、総合的にはとても良い製品です。

現場で信頼できるペンを探している人には、安心しておすすめできます。


カラーは、

ランタンオレンジ、ジンジャーイエロー、スチームホワイト、シダーグリーン

の4色展開です。

以前の私なら迷わずオレンジでしたが、最近のマイブームであるグリーンを選びました。


まとめ

and knot は、「JETSTREAMらしい信頼性の高いカラビナペン」  です。

土地家屋調査士のように、屋外での筆記が多い職業には特に向いています。

現場での使い勝手を重視する方は、一度手に取ってみる価値があると思います。






2026年6月20日土曜日

「年齢を理由に補助者不採用…」と落ち込む方へ

先週末に開催した「土地家屋調査士事務所開業ガイダンス in 福岡」。

その事前アンケートで、参加者のYさんから切実なご質問をいただきました。

当日はYさんのご事情に合わせたアドバイスをしましたが、これは多くの受験生が直面する「共通の壁」でもあるため、ここでも一般論としてシェアしたいと思います。


【Yさんからのご質問】

「60〜70代まで土地家屋調査士として社会貢献したいと考えています。実務経験を得るために9社へ応募しましたが、年齢を理由に不採用が続きました。今後、どのように実務経験を積む道を探すべきでしょうか。」


年齢を理由に不採用が続くと、本当に心が折れそうになりますよね。そのお気持ち、痛いほど分かります。

ですが、まずお伝えしたいのは、「60代、70代まで社会貢献したい」というYさんの志は、何一つ間違っていないし、絶対に諦める必要はないということです。私たち土地家屋調査士には定年がありません。生涯現役でいられる、本当に素晴らしい資格です。


私は常々「実務経験を積むには補助者になるのが一番の近道」とお話ししています。しかし、現実には様々な事情で補助者になれない方がたくさんいます。

・Yさんのように、年齢を理由に採用が見送られてしまう方

・近くにそもそも募集している事務所がない方

・すでに他の資格(司法書士など)や本業があり、転職が難しい方

・ご家族の介護や子育てなどで、常勤の勤務ができない方


前提として、「補助者」とは学校の「入学」ではなく、あくまで事務所の「雇用」です。

事務所側もボランティアではないため、限られた予算の中で「今すぐ即戦力になるか」「長く働いてくれるか」をシビアに判断せざるを得ないのが本音です。募集のタイミングもあります。

ですから、不採用が続いたからといって「自分には能力がないんだ」と落ち込む必要は一切ありません。


そこで、私からの提案です。

「給料をもらって勉強する」という考え方を、一度リセットしてみてはどうでしょうか。

本来、ものを教えてもらうにはお金を払うべきなのです。

だから思い切って、「お金はいりません。無料でいいから手伝わせてください。その代わり、実務を勉強させてください!」とアプローチしてみるのです。

「無料の労働力」として飛び込んでくる熱意ある人を、土地家屋調査士事務所は頭ごなしに拒絶しないかもしれません。むしろ「そこまで言うなら、ちょっと現場に連れて行ってみるか」と、話がガラリと変わる可能性があります。

土地家屋調査士事務所側も「タダで手伝ってもらっている」という心理が働くため、いつもより丁寧に仕事を教えてくれるかもしれません。


失礼を承知で申し上げれば、Yさんのご年齢であれば、若い世代に比べて多少の蓄えや、今の本業での収入があるはずです。

一時的に「無給(もしくはそれに近い)」の期間を作ることは勇気がいりますが、それは未来の自分への「開業投資」だと割り切ってみてください。

そこで泥臭く、しっかりと本物の実力を身につければいいのです。

資格を取り、独立して、土地家屋調査士としてバリバリ稼いで回収すれば、何の問題もありません。


それでも無ければ鈴木修塾もお役に立つと思います。


道は一つではありません。

「雇ってもらう」以外の選択肢も視野に入れて、一歩を踏み出してみませんか? 

応援します。






2026年6月8日月曜日

参加者からのご質問を受けて:福岡ガイダンスの参加方法と事前連絡のお願い

 6月14日(日)に福岡で開催する「土地家屋調査士事務所開業及び経営ガイダンス」について、昨日、参加予定の方から以下のようなメールをいただきました。

「来週日曜日の福岡セミナー楽しみにしております。ぜひお聞きしたいことがありましたので、別添送付いたします。ご多用とは存じますが、一問でも構いませんので、当日取り上げてもらえますと助かります。」

添付されていた質問を拝見すると、これから開業される方が切実に感じているテーマばかりで、当日も多くの方に役立つ内容だと思いました。(参考までに以下に列挙します)

鈴木修塾であれば 2泊3日で深掘りしている内容ですが、今回のガイダンスは3時間ですので、すべてを詳細に扱うことは難しいと思います。 それでも、この方にとって「今まで考えていなかった視点」をお伝えできると思います。

一点だけ、運営上のお願いがあります。

今回メールをくださった方は、事前の参加申込みのメールが私に届いていない方でした。発信日付を確認したのですが、迷惑フォルダにも入っていません。それでも何故か今回の質問は届きました。過去にもこんなことがありましたので、その方の送信の問題ではなくて当方の何らかのメールの受信の問題だと思います。

参加申込みをいただいた方には翌日には必ず返信しておりますので、返信がなければ再度お問合せをお願い致します。

ガイダンスでは、参加者の皆さまに質問集も加えた資料をご用意するため、事前に人数や質問を把握しておく必要があります。

また、3時間を最大限有効に使うため、当日の集金や領収書発行の時間を省く目的で、事前振込をお願いしています。

より良い時間を提供するための準備ですので、どうかご理解いただければ幸いです。

今回の会場は、前回のご連絡後に、座席に余裕がある会場を押さえたので、

参加申込みは今からでも大丈夫ですから、必ず事前にご連絡ください。


2026年5月25日月曜日

今の年収を守りたいあなたへ--調査士の世界で歩き始める前に

会社員としての今の年収を、土地家屋調査士になってもすぐに確保したい。

そう願う気持ちは、とてもよくわかります。

生活がありますし、家族がいる方ならなおさら、収入の不安は大きな問題です。


だからこそ、まず一度立ち止まって考えてみてほしいのです。

あなたは会社員として、これまでどれくらい努力してきたでしょうか。

10年、20年、、、その年月の中で、仕事の流れを覚え、周囲から信頼され、任される仕事が増え、ようやく今の給料にたどり着いたのだと思います。


その20年分の積み重ねの結果と同様の年収を、新しい業界に入った「1年目から」同じように得たい。

その気持ちはよくわかりますが、現実としてはなかなか難しいのです。


たった一度の試験合格が20年分の努力を不要にするなどというような、そんな都合の良い試験はありません。

今までの業界で培ったノウハウは一度リセットされ、土地家屋調査士の世界では一年生としてのスタートになります。


もし本気で「1年目から今の年収を確保したい」と思うのなら、他の土地家屋調査士が20年かけて積み上げたものを、あなたは今年1年で追いかけてそこに到達する覚悟が必要になります。

これは脅しではなく、ただの事実です。


もちろん、重要な論点を整理してお伝えし、あなたが正しいトレーニングを積むことで、20年を4分の1程度に短縮する方法なら、鈴木修塾でお教えできると思います。

ただし、、、さすがに1年では届きません。


ここまで読んで、少し気持ちが重くなったかもしれません。

でも、どうか安心してください。


土地家屋調査士の世界は“実力の世界”です。

年功序列ではありません。

努力した分だけ、確実に前へ進めます。

そして、そのスピードは人によって本当に違います。


他の人と同じように20年待つ必要はありません。

あなたが本気で取り組めば、あなたのペースで、あなたのスピードで、確実に道は開けていきます。

その手応えこそが、専門家としてのやり甲斐になるはずです。


そして、この仕事には定年がありません。

健康に気を付けて長く働ける──それだけで、積み重ねた努力がしっかりと実を結びます。


どうでしょう。

やってみませんか。


私は、あなたをそそのかすつもりはありません。

ただし、迷ってばかりいるのだけは良くないと思います。

現実やご自分の性格を踏まえて、しっかり考え、何らかの選択をすべきです。


あなたがどんな選択をしても、その選択があなた自身の未来を良くするための一歩であることに変わりはありません。

もしその選択の先が土地家屋調査士への道なら、私はあなたの歩幅に合わせて、応援を続けることができます。





2026年5月20日水曜日

一番もったいないのは“動けなかった3年間”ではありませんか

 6月14日(日)に福岡の博多駅東で開催する「土地家屋調査士事務所 開業及び経営ガイダンス in 福岡」に向けて、事前にこんなご相談をいただきました。

実は、これは毎年とても多いご相談のひとつです。


「私は別業種の会社員として働いています。

土地家屋調査士試験に長い年月をかけて合格し、思い切って3年前に登録しました。

土日だけでも知り合いの先生のところで仕事を学び、うまくやれそうだと確信できたら会社を辞めて、土地家屋調査士として人生をやり直そうと思っていました。

でも、現実は甘くありませんでした。

最初のうちは月1回ほど、地元の友人の事務所を手伝っていましたが、それも続きませんでした。

気づけば、実務書やネット記事を読むだけの日々。

『自分はいったい何をしているんだろう』と情けなくなります。

実務経験もなく、何もできません。

退会しようかとも思いましたが、ここまでの努力を思うと踏ん切りがつかず、悩んでいます。」


まず、この相談者さんに伝えたいこと

この方は決して怠けていたわけではありません。

「どうにか前に進みたい」という気持ちがあるからこそ、3年間も悩み続けているのです。

その葛藤は、私にも痛いほど分かります。


ただ、いくつか“つまずきポイント”があるのも事実です。


1. 土日だけの手伝いで一人前になれるか?

正直に言えば、かなり難しいです。

もちろん、土日に何を学ぶか、それを平日の夜にどれだけ補うかによって違いますが、週に数時間だけでは「測量のポールを持つ」程度で終わってしまいがちです。

それは、あなたの能力の問題ではなく、時間の使い方と戦略の立て方の問題です。


2. “うまくやれそうなら辞める”という前提の危うさ

相談文の中で一番気になったのはここです。

うまくやれそうなら会社を辞める

うまくやれなければ土地家屋調査士は辞める

でも、今はどちらも辞めていない。

つまり、どちらにも踏み切れないまま3年が過ぎてしまった。

これは「もったいない」という気持ちが強いからですよね。


・会社を辞めるのはもったいない

・調査士を辞めるのももったいない

・だから動けない


でも、本当にもったいないのは――

この3年間の“宙ぶらりんの時間”ではないでしょうか。


3. 人生は「いつかそのうち」では動かない

土地家屋調査士に限らず、どんな仕事も

「うまくいきそうになったら本気を出す」

というスタイルでは前に進みません。

本気を出した人にだけ、道が開けていきます。


ただし、会社を辞めるかどうかは慎重でいいと思います。

辞めていないということは、まだ戻る道も残っているということです。

それは悪いことではありません。

(測量会社などの業界が近い会社に勤めながら土地家屋調査士登録することには微妙な問題があることは過去のブログでお伝えしていますので別議論です)


では、どうすればいいのか?

このメールだけでは、あなたが本当に何を望んでいるのか、どちらの道が幸せなのかは分かりません。

だからこそ、6月のガイダンスで直接お会いした時に、あなたの気持ち、今の状況、ご家族の気持ち、これまでの努力、そしてこれからのあなたの人生について、じっくりお話を聞かせてください。

そのうえで、あなたにとって最善の方向性と具体的な行動プランを一緒に作りましょう。


その結果、あなたがどんな答えを出そうとも、私はその選択を全力で応援します。




2026年5月11日月曜日

土地家屋調査士事務所で”学ぶこと”と”学ぶもの”

6月に福岡で開催するガイダンスに参加予定のYさんとお電話でお話ししました。
ガイダンスでは皆さんの個別の質問を受け付けております。6月のガイダンスまで待てない質問があればそれも電話等でお答えしています。

その中で、ぜひ皆さんにも共有しておきたい、大切なアドバイスがありましたので、ここでお伝えします。

Yさんは現在50代後半で、他業種で働きながら土地家屋調査士試験に挑戦されています。

将来を見据え、”一日でも早く業界に飛び込み、実務に慣れたい”という強い思いから、事務所への転職を真剣に検討されていました。

私は普段から、「独立開業を目指すのであれば一度は事務所に勤めて実務を学ぶべきだ」と伝えています。

なぜなら、試験勉強と実務に必要な知識の範囲と深さの間には想像以上の乖離があり、試験に合格できる知識だけでは現場の業務に対応できないからです。


そう聞くと、多くの方が「では、少しでも早く事務所に入った方がいいのでは」と考えます。

しかし、私はこれを一律に勧めることはしません。

土地家屋調査士として成功するためには、”資格試験の合格”と”実務・経営能力”の両方が必要であり、どちらを先に身につけるべきかは、その人の状況や環境によって変わるからです。

もしあなたが20代で、この道に迷いなく飛び込む覚悟があるなら、早くから修行に出るのは大いに意味があります。

しかし、Yさんのように異業種で安定した立場にある方は、少し立ち止まって考える必要があります。

今のYさんにとって、最優先すべきことは、まず試験に合格することです。

どれほど実務能力を磨いても、資格がなければスタートラインにすら立てません。

そして、ここが最も重要な点ですが、補助者は職業という点です。学校ではありません。
土地家屋調査士事務所で補助者として学べるのはあくまで実務であって、受験勉強の内容ではありません。

異業種から飛び込み、慣れない補助者の仕事を覚えるだけでも大きな負荷がかかります。

そのストレスを抱えながら帰宅後に受験勉強を続けるのは、今の仕事を続けながら勉強時間を確保するよりも、はるかに難易度が高いと考えられます。

もちろん、これも人によると思います。新しい環境でモチベーションが大幅に上がって受験に臨むことができるという人もいるかもしれません。あくまでも一般論です。


私は、初期段階では”実務の習得と受験勉強は完全に切り離して挑戦した方が合理的だ”と思っています。

試験に受かるための知識は、実務の現場ではなく、受験予備校などで集中的に学ぶ方が圧倒的に効率的です。

だからこそ、Yさんには「今の環境で最大限に時間を捻出し、まずは今年、さっさと合格してください。実務を学ぶのは、それからで十分間に合います」とお伝えしました。

年齢を理由に採用を断られるのではないかという不安もよく耳にしますが、これについては以前のブログで書いた通り、考え方次第でどうにでもなります。どのような事務所を築きたいのかというビジョンを明確にし、その戦略に合致する場所で実務を学べばいいのです。

いつもお話ししているように「10年他人より遅く始めたら、その分長生きすれば良いだけ」ですから。


もし、自分に合う事務所が見つからない場合や、現在の仕事を辞める前に修行を始めたい場合は、「鈴木修塾」で学ぶという選択肢もあります。

塾では受講者一人ひとりに丁寧にヒアリングを行い、その人に合った事務所像と、そこへ到達するための努力の方向性を提示できます。


6月のガイダンスでYさんと直接お会いしお話を伺えば、さらに深い回答ができると思います。

それまでの間、どうか受験勉強を一歩でも前に進めてください。

あなたの挑戦を、私は全力で応援しています。








2026年5月5日火曜日

家族と進む独立への道

 先日、「迷い続ける時間より、今日の2時間が未来を変える」というブログを書きました。

https://fermatadiary.blogspot.com/2026/03/2.html

あれは、公務員として働きながら合格した S さんからの相談がきっかけでした。


今日も彼に確認したところ、今も勉強を続けているようで安心しました。

実は、先日のブログには書かなかったことがあります。

あの日の相談は Zoom で行ったのですが、彼の隣にはお子さんを抱いた奥様もいらっしゃり、ご夫婦そろって相談に参加してくださったのです。

奥様の応援もあって、今も継続して努力されているようで、私も本当に嬉しく思っています。


試験に合格した直後というのは、誰しも高揚感で胸がいっぱいになります。

その勢いのまま「すぐに開業したい」と思うのは自然なことです。

しかし、独立開業には冷静な分析と判断、そして大きな決断が必要です。

勢いだけではなく、経営者としての視点が欠かせません。


個人事務所といえど、開業は立派な“起業”です。

もしあなたが会社を設立するなら、マーケティングをし、経営判断を重ね、シミュレーションを行い、資金計画を立て、相当な調査をして臨むはずです。

それなのに、土地家屋調査士の開業となると、誰が書いたか分からない SNS の一般論を鵜呑みにして、人生を委ねてしまう人があまりにも多い。

そしてその判断は、本人だけでなく、奥様やお子さんの人生にも大きく影響します。

それが私にはとても心配なのです。


だから私は、相談の際にはご家族にも同席していただくことがあります。

試験に合格しただけのスキルでは、この業界でやっていくには不十分です。

今後も継続的な努力が必要になります。

そこで私は奥様にこう尋ねます。


「あなたの旦那様は、受験勉強だけでなく今後もずっとその努力を続けられると思いますか」


奥様がそれを信じ、応援すると言ってくださるなら、私もその方向性を支持します。

逆に、試験のときは頑張ったとしても、その後に何もしない夫を見ていたら、奥様は不安になるでしょう。


ここが一番大事なポイントです。


私への相談は、ご本人だけでなく、ご家族も一緒で構いません。

家族の将来のために、一緒に考えていきましょう。

家族とともに歩む覚悟があるのなら、私はその挑戦を心から応援します。







2026年4月26日日曜日

【福岡開催】土地家屋調査士・開業経営ガイダンスのご案内


土地家屋調査士事務所の開業と経営に関するガイダンスを、久しぶりに福岡で開催いたします。

私はこれまで長年にわたって、土地家屋調査士を目指す方々に向けたガイダンスを全国各地で開催してきました。

その中で常に大事にしてきたことは、何よりもまず受講者の人生がかかっていることへの意識と責任。それを第一に考え、その上で「分かりやすく丁寧に」この仕事の本質をお伝えすることを信条としてきました。

しかし、わずか3時間という限られた時間で、受講者の皆さんのここからの人生を左右するような事務所の開業や経営など、この仕事の最も大事な部分をしっかりと伝え切るのは、非常に困難であるのも事実でした。

また一方で、残念ながら、これまでの開催では、私の講義内容から、受講時に置かれているご自身の状況に見合った部分だけを切り取る形で解釈してしまい、そのことで満足して帰ってしまうという方も見受けられました。それは結果として、その方の将来のためにも、私の信念からいっても、本意ではない結果になる心配がありました。

そうした背景から、一度はガイダンスの開催を保留し、私の考えを深くそして確実に受け取っていただくための「合宿形式で少数の鈴木修塾」に集中しました。

合宿形式の塾は、朝から夜中までの密度の高い時間を通じて多くの気づきと理論をお伝えできると思っていますし、受講生からも毎回高い評価をいただいています。しかし、誰もが数日間の合宿に参加できるわけではありません。「塾のエッセンスだけでも学びたい」「今年のガイダンスは無いのか」という切実な声も、絶えず届いていました。

東北ブロック協議会では毎年、土地家屋調査士試験合格者向けのガイダンスを開催しており、講師の私に直接質問をいただく機会もあります。ですが、その他の地域の方々に仙台までお越しいただくには、時間も費用も大きな負担となります。

本来、プロフェッショナルとして適正な報酬を得るための考え方を学ぶのに、対価がかからないのはおかしな話かもしれません。しかし、私自身も開業当初は志こそ高かったものの、手元に資金がなく、飛行機などを使って遠方まで学びに行くことは容易ではありませんでした。

「あの頃の自分と同じように、熱意はあるがきっかけを掴めずにいる方々に、少しでも経営のヒントを伝えたい」

また、他業界の下請け的な立場に甘んじるのではなく、独立したからには一人の専門家として経営的にも立場的にも自立した地位を築いてほしい。そんな強い思いから、今回、久しぶりに福岡でのガイダンス開催を決めました。


開催概要

土地家屋調査士事務所 開業及び経営ガイダンス in 福岡

  • 日時:2026年6月14日(日曜日) 14:00 ~ 17:00

  • 場所:アーバンオフィス会議室 *4月30日追記

       福岡市博多区博多駅東2丁目5-1 アーバンネット博多ビル4F

  • 参加費:3,000円(お一人様)

  • 研修内容:過去のガイダンス内容をご参照ください。

  • 参加者:土地家屋調査士という資格に興味を持った方から、現役の土地家屋調査士で事務所の方向性を確認したい方まで、どなたでも。
    また家族の人生がかかっているということで、ご夫婦で受講される方も毎回いらっしゃいます。ご心配でしょうから、合格者の配偶者の方からのご質問も歓迎致します。

  • お申込み方法: 件名に「福岡ガイダンス参加希望」と明記し、本文に氏名・連絡先・具体的な質問があればその質問をご記入の上、以下のメールアドレスまでお送りください。

    • 土地家屋調査士 鈴木 修

    • Email:mucha@rr.iij4u.or.jp

  • お申込締切: 会場予約の都合上、5月15日までにお申し込みいただけると幸いです。


お申込みにあたって

参加人数の予測が難しいため、一定の期間で一度締め切り、その後に会場を確定させる予定です。そのため、上記締切日にかかわらずできるだけ早めにご連絡をお願い致します。

今回の福岡での反応も参考にさせていただきながら、今後の「ガイダンス」と「塾」という形のそれぞれのあり方及び方向性を私なりに探っていきたいと考えています。

また、福岡以外でもご要望があれば、全国各地へ伺い、その地域に合わせたガイダンスの開催も検討いたします。まずは、皆様の熱意をお聞かせください。


*2026年4月30日追記

以下の会議室を予約しました。

アーバンオフィス会議室

福岡市博多区博多駅東2丁目5-1 アーバンネット博多ビル4F



2026年4月21日火曜日

土地家屋調査士の独立は“敵を作らない”が鉄則|補助者が取るべき退職戦略

 土地家屋調査士試験に合格し、今勤めている事務所を早速辞めて独立開業したいと思ったものの、事務所から引き止められている。確かに固定給がなくなる不安もあり、迷ってしまう。

これは本当によくいただく相談です。もちろん、答えはその人の背景や今後の目標によって変わりますので、一つではありません。


ただし、大前提として申し上げたいのは、「事務所から引き止められもしないレベル」であれば、独立後の事務所経営も厳しいかもしれないということです。

また、事務所側は、あなたに給料を払うために、あなたの分の仕事を確保し、準備しているのです。直前に「辞めます」と言われれば困るのは当然です。


そしてもう一つ、非常に重要な視点があります。

一度“辞める”と意思表示した補助者に対して、事務所は「この人はいずれまた辞めると言い出すだろう」と判断するのが普通です。  

つまり、強い引き止めに一旦思いとどまったとしても、長くその事務所に居続けることは現実的には難しくなります。

この点を理解しておかないと、判断を誤ってしまいます。

だからこそ、独立を考える頃に引き止められるのはある意味で当たり前であり、同時に「退職の意思を示した時点で、もう元の関係には戻れない」という現実もあるのです。


大切なのは、これまで育ててもらった事務所に対して失礼のないように退職することです。

特に、地元の事務所で補助者として働いていた場合、同じ地元で独立するなら、総会や研修会などでその先生と顔を合わせる機会がたくさんあります。そこで気まずい関係になってしまうと、その後ずっと尾を引きます。

逆に、大人として礼を尽くして退職できれば、長く良い関係を続けることができますし、困ったときにアドバイスをいただける存在になる可能性もあります。

これらが、私が「絶対に円満退職しなさい」と言い続けている理由の一つです。


では、「引き止められているのに円満退社はできるのか」という問題ですが、状況によっては次のような解決策もあります。


独立はするが、事務所が困る部分は外注として手伝う。必要であればぜひ呼んでください——という提案です。

やり方によっては、これは双方にとってウィンウィンになります。

 事務所側:同じ仕事を任せながら固定費が減る

 あなた:営業しなくても、手慣れた分野の仕事が目の前にある

お互いにとって非常に良い関係が築ける可能性があります。

もちろん、この方法が通用しない事務所も多いので、その場合は別のアドバイスをしましょう。


鈴木修塾では、このように一人ひとりの状況に合わせたカスタマイズのアドバイスを行っています。そして独立開業後も継続してフォローし、一流の調査士を多く輩出したいと心から思っています。

独立をするとしても、また事務所に留まることにするにしても、ご自分で決断したのなら、私は応援いたします。




2026年4月8日水曜日

サンスター文具「ツメカケ」

2022年6月発売直後に買って、今まで4年弱ほぼ毎日使っている文具を紹介します。
サンスター文具の「ツメカケ」です。


ノートや手帳の端に、ページを使い終わるたびに角を切り落としていく仕組みがあります。あれは本当に便利で、最新のページに一瞬でたどり着けるので、そのようなノートを昔から愛用していました。


ところが、一般のノートにはその機能が付いていません。そういうときは自分でハサミを取り出して、下端の角を斜めに切り落としていました。


サンスター文具の「ツメカケ」を使い始めたのは、発売された直後のことです。

初めて使ったとき、綺麗な円弧で角が切れることでとても気持ち良く思いました。

ハサミで切るとどうしても角度が揃わなかったり、紙が少し潰れたりするのですが、ツメカケならスッと刃が入り、仕上がりがとても美しいです。

ほんの数ミリの違いなのに、整った形を見ると気分がいいものです。



この“角を落とす”という行為は、単なる目印以上の意味があります。
今日どこまで進んだか、どのページまで使ったかが一目でわかる。
ノートを開いた瞬間に、今の自分の位置がわかります。

このような文具があると、好きなタイミングで、好きな形で、好きなノートに自分で“機能を追加する”感覚があって、ちょっとしたカスタマイズの楽しさがあります。

皆さんも、もし「自分のノートにも目印が欲しいな」と思ったことがあるなら、ツメカケは一度試してみる価値があります。
大げさな道具ではありませんが、ページの端に小さな円弧が並んでいくと、ノートとの距離が少し縮まるような、不思議な心地よさがあります。
そうなるとノートを常に傍らに置くことになり、ノートを使う時間そのものがちょっと楽しくなり、ノートに向き合う時間も増えるはずです。


ちなみにツメカケは、ノートの角を4分の1の円弧で切り抜くだけでなく、ノートの端を半円に切り抜く機能も持っています。これによって飛び出さないインデックスをカスタマイズすることができます。




文具というのは不思議なもので、便利だから使うというだけではなく、使っていて気持ちが良いかどうかが意外と大きいです。

ツメカケはまさにそのタイプの道具で、ほんの小さな円弧が、ノートとの付き合い方を少し豊かにしてくれます。

小さな道具ですが、ひとつ手元にあるだけで、ノートとの関係が少し変わります。気になった方は、ぜひ一度手に取ってみてください。



2026年4月2日木曜日

ユニボールZENTO

前回も書きましたが、ゼロから思考を巡らせるとき、私はまず“デジタル”から離れます。


既存のアイデアを改良するならコンピューターが便利ですが、ゼロベースで思考を整理したいときは、やはりアナログが一番です。

大きなノートを広げ、インクフローの良いペンで、ぐるぐると落書きするように書く――。これが私の思考スタイルです。


インクフローという点では、万年筆に勝るものはないと思っています。

ただ、万年筆よりも扱いやすく、もっと気軽に、ガシガシと使えるペンがあれば……。
それが私の理想でした。

これまでにも様々なペンを試してきましたが、前回紹介したZEBRAの「フィラーレ ディレクション」もそのひとつ。
そして昨年、私の“書く道具”に、強力な新たな仲間が加わりました。


三菱鉛筆の「ユニボール ZENTO」です。


これは三菱鉛筆が6年もの歳月をかけて開発した“やわらか水性ボールペン”。

搭載された新開発の「ZENTOインク」は、従来の水性ボールペンと比べて筆記摩擦抵抗を約40%も軽減しているそうです。

ペン先のボールと紙の間に“クッション”のような成分(POA界面活性剤)が入り込むことで、驚くほど滑らかな書き心地を実現しています。


実際にペンを走らせてみると、ペン先が紙に吸い付くような感覚。それでいて、顔料インクの線はくっきりと締まり、思考のスピードにしっかりとついてきてくれます。

三菱鉛筆いわく、インクに含まれる“引き寄せ粒子”の働きでインク同士が紙面上でまとまり、明瞭で美しい描線が残るのだとか。


ZENTOには「ベーシック」「スタンダード」「フロー」「シグニチャー」の4つのモデルがあります。私はその中から、ベーシックモデルとシグニチャーモデルを購入しました。

「インクが共通なら、どれも書き味は同じだろう」と思うかもしれません。しかし、軸の握り心地や重量バランスが異なれば、書き味のニュアンスも全く変わってきます。


特にお気に入りなのが、写真上段のシグニチャーモデルです。

軸の質感はもちろん、キャップのギミックがとにかく秀逸。

磁力によって「カチッ」と吸い付くように締まり、抜くときには絶妙な手応えがある。そして軸の反対側にキャップを収めた瞬間、まるで“書くスイッチ”が入るような感覚になるのです。

これはまさに、万年筆と同じ“作法”です。

書く前の所作が、思考の集中を促してくれる――。万年筆以外でこれほど豊かな体験をさせてくれるペンは、そう多くありません。


発売当初は品薄が続き、ネットでは定価の4倍近い価格で転売されていたこともありましたが、ようやく店頭で見かけるようになってきました。


正直、これ、かなり好きですね。

シグニチャーモデル
良さは実物を触ってみないと分からないかも


上:シグニチャーモデル
下:ベーシックモデル     
 



2026年3月28日土曜日

迷い続ける時間より、今日の2時間が未来を変える。

土地家屋調査士試験に合格した公務員のSさんから相談が来ました。


「令和3年度の土地家屋調査士試験に合格いたしました。

(略)現在、私は公務員として勤務しております。合格以来、「公務員としての安定」と「独立という挑戦」の間で、シーソーのように心が揺れ続けています。

(略)周囲の合格者が行政書士などのダブルライセンス取得や独立へと進む中、自分だけが足踏みしているように感じ、不甲斐なさを覚えることも少なくありません。

4月からは補助者として一歩踏み出したい気持ちがありながら、最後の一線で踏み切れない。

足りないのは自分の「覚悟」なのだと痛感しています。」


──お気持ちは痛いほどわかります。

同じ思いを抱えている合格者は本当に多いです。

公務員や会社員としての安定から“挑戦”という名の不安定な世界へ踏み出すことは、簡単な決断ではありません。

そして、周囲がダブルライセンスや独立へ進む姿を見れば、焦りも生まれるでしょう。

「自分には覚悟がない」と感じるのも自然なことです。


ただし、大前提としてお伝えしたいのは、土地家屋調査士という資格そのものは、業として見ても将来性があるということです。ダブルライセンスがなくても、十分に食べていけます。

(ダブルライセンスについて言いたいことはありますが、今回は論点が違うので割愛します。)


しかし、

資格としての将来性があることと“あなた自身の将来性”を保証することは別問題です。

ここを誤解している方が非常に多いです。

土地家屋調査士は、専門能力を発揮し、国民の役に立って初めて報酬をいただける仕事です。つまり、全員が必ず報酬を得られるわけではないということです。


思い出してください。

年功序列の世界に疑問を持ち、「自分の実力で生きていきたい」と思ったから、この資格を選んだのではありませんか。

であれば、やるべきことはひとつ。

力をつけること”です。


あなたは合格してから、何をしてきましたか。

周りがダブルライセンス取得や独立へ進む中、「足踏みしていた」と書いていますが──

本当に足踏みしていましたか。むしろ、止まっていたのではありませんか。


「覚悟がない」という言い方は、実は自分を守るための便利な言葉です。

やるべきことをやり、調べるべきことを調べ、未知の要素を潰しても、100%満足する答えなどありません。その段階で必要になるのが覚悟です。


そしてもう一つ。

あの土地家屋調査士試験の合格レベルでは、専門家としてやっていける専門性はまだありません。合格は“入門を認められた”というだけで、ここから努力を積み重ねる必要があります。


ところがあなたは、合格後に勉強をやめてしまった。

その結果、合格時の知識レベルすら維持できていない。

そして今、公務員を辞めるかどうかで家族を巻き込みながら、ただ悩んでいるだけになってしまっている。


今回はあえて強い言い方をしました。

あなたの人生だけでなく、隣にいるお子さんの人生もかかっているからです。

本気になってください。本気でなければ、私もアドバイスも応援もしようがありません。


まずは今晩、久しぶりに2時間勉強してみませんか。

その2時間を1週間続けてみてください。

1週間続いたら、もう一度私に連絡をください。

その時、あなたの感想を聞きたいです。


私はプロとして、開業して以来、毎日必ず勉強を続けています。

あなたが本気で動き出すなら、明日からどこに向かい、どう努力すべきか、最も効率の良い方法をお伝えします。


あなたに足りないのは「覚悟」ではありません。

具体的な行動です。


私の研修会や鈴木修塾でいつも伝えている言葉を紹介します。


成功の反対語は何でしょうか?

失敗ではありません。

失敗すれば反省し、分析し、次の成功に近づきます。


成功の反対語は──

何もしないこと”です。


Sさんが全力になるなら、私も全力で応援します。




2026年3月20日金曜日

50代半ばの合格者ですが補助者に雇ってもらえるでしょうか?

いつも同じ趣旨の質問が来ます。先日の東北ブロック開業ガイダンスでも出た質問です。

 「私は50代半ばです。定年退職が見えてきた今、セカンドキャリアとして土地家屋調査士を目指し、先日ようやく試験に合格しました。これから補助者として修行を積みたいのですが、私のような年齢でも雇ってくれる事務所はあるのでしょうか。」


最近、セカンドキャリアとして土地家屋調査士を目指す方が増えています。それ自体は悪い選択ではないと思います。ただし、土地家屋調査士としての「なり方」や「あり方」、具体的な「経営戦略」については、若い頃に開業する人とは違う視点が必要だと私は考えています。

問題は、SNSのような“誰に向けたものか分からない一般論”に頼るのではなく、自分自身と自分の現在の環境をきちんと分析し、具体的な戦略を立てられるかどうかです。

これについては、過去のブログでもガイダンスでも繰り返しお伝えしてきましたので、参考にしてください。


さて、土地家屋調査士としてのスキルを身につけるには、広い視野を持った土地家屋調査士に直接話しができる環境で師事し、その事務所で補助者として働き経験を積むことが最も確実な道だと私は思っています。

ただ、「50代半ばではたして雇ってもらえるのか」という不安があるわけですよね。

では、私に質問する前に、どれだけの事務所に実際に足を運びましたか。

「どうせ無理だろう」と想像しただけで、行動していないのではありませんか。

もしあなた自身が「50代半ばの人は役に立たない」と思っているのなら、あるいはそう見られると決めつけているのなら、あなたが将来事務所を開いたときにも、同じように世間から「役に立たない」と見られることになるでしょう。

だからこそ、いくつかの事務所に直接出向き、「私は役に立てます」と伝えることが必要なのです。

私たちはサラリーマンとは違います。真面目に“いい子”でいれば誰かが手を差し伸べてくれる世界ではありません。

自分が本当に人の役に立てるということを自分の言葉や行動で伝える。そして伝えた以上は必ず実行する。

その積み重ねが仕事につながっていきます。

資格を取っただけでは、土地家屋調査士として生きていけるわけではありません。

まずは動いてみてください。大丈夫、動けば必ず何かが変わります。

いろいろ試してみて、それでもどうしてもダメだったら、もう一度質問してください。

そのときは「どう動いて、どこがうまくいかなかったのか」を教えてください。

あなたが行動したら、私から次の行動に対するアドバイスができます。

必要があればあなたにカスタマイズした具体的な戦略を立てることもできます。


年齢は関係ありません。

いつもお伝えしていますが、

「20年遅く始めたのなら、その分20年長く生きればいい」だけです。

応援しています。





2026年3月17日火曜日

土地家屋調査士鈴木修塾7月建物業務(第6期)受講案内

 先月に開催日程の予告をしていた”土地家屋調査士鈴木修塾7月建物業務(第6期)”ですが、以下のとおり受講案内をいたします。

LINEグループによる正式な研修は2ヶ月前の5月中旬から始める予定ですが、今回このご案内をする前に、すでに仮予約のご連絡をいただいた受講希望の方がいらっしゃいますので、早めにLINEで繋がって課題図書などの案内を始めたいと考えておりました。

そのような状況ですので、受講希望の方はお待ちいただかなくても結構です。どうぞご連絡ください。少しでも早い人生のスタートのために事前の指導をさせていただきます。

【鈴木修塾(建物業務)】

・LINEグループによる約2ヶ月間の事前講義

・電話等による事前個別講義(適宜)

・現地建物調査も含む3泊4日の合宿形式の講義


建物業務を簡単に考えている方が多いですが、結構奥深い業務であり、ハウスメーカーの定型的な業務ばかりやっているとわからないかもしれませんが、事故も多い業務でもあります。

その建物業務の基礎から応用までを、事故例を紹介しながら、現場作業も含めたワークショップを通じて説明します。

また報酬計算方法や、建物業務を中心とする場合の事務所経営のコツを説明します。

初心者は、必ず事故なく登記申請できるまでにします。

現役の土地家屋調査士の方には、建物業務でも他と差別化ができることを説明します。

また塾に参加された方が受講後開業した際には、受託した業務について疑問があれば、個別にサポートもしております。安心して開業ができると思います。


【日時】令和8年7月16日(木) ~ 7月19日(日)

    7月16日(木)

        13:30~18:30 講義

        19:00~21:00 懇親会

    7月17日(金)

         9:00~20:00 講義

          21:00~ 補講・フリートーク(希望者)

    7月18日(土)

        9:00~20:00 講義・フィールドワークあり

         21:00~ 補講・フリートーク(希望者)

    7月19日(日)

        9:00~13:00 講義

          13:00~ 終了後、希望者に対する個別相談 


【場 所】

    講義:エスポールみやぎ(宮城県青年会館) (仙台市宮城野区)

    現場実習:仙台市内及び周辺地域


【受講料】 132,000円(税込) 宿泊や飲食は別途


【参加対象者】

・試験に合格したが、近くに補助者として勉強できる事務所がない。

・司法書士や会社の役員など別の事業をしているので、それらの仕事と並行して補助者勤めをすることは現実的ではない。

・補助者勤め中であるが、今の事務所では自分の望むレベルの勉強ができない。

・補助者勤め中であるが、事務所の業務が偏っているので、総合的な実力が付かない。

・補助者勤め中であるが、このペースなら独立まであと何年かかるのだろうかという不安がある。

・補助者として業務経験はできているが、理論の裏付けがなく不安だ。

・事務所では、ほぼ一定のハウスメーカーの業務しか経験できないので、それ以外の建物業務が不安だ。

・土地家屋調査士として長年の経験はあるが、理論的な裏付けや、トラブル防止、お客様対応のコツなどを、この機会に再度確認したい。

・定年近くで開業するので業務は建物業務だけに絞りたいが、経営や営業のコツが分からない。


【受講申込みの方法】

    *受講ご希望の方は以下のとおりメールをお願いいたします。

     件名は「鈴木修塾7月建物業務受講申込み」等、内容がわかる書き方でお願いします。

    鈴木修宛  mucha@rr.iij4u.or.jp

    お名前と当方から電話して良い時間帯と電話番号をお知らせください。

    お問合せもご遠慮なくメールでお願いします。

 メールを確認してから、個別に詳細をお知らせいたします。


【受講申し込み締め切り】

上記のとおり5月中旬からLINEグループによる講義が始まりますので5月末頃までにご連絡いただきたいのですが、最初は個人ガイダンスから始まるので、ご本人のご事情を伺いながら6月末日頃まで対応することがあります。


【その他】

*合宿形式と宿泊について

合宿形式ですが、宿泊場所は任意です。ご自宅から通っても構いませんが、事情が許せば泊まっていただいた方が良いと思います。20時の講義が終わってからも希望者に補講していますが、私の部屋で夜中まで全員でフリートークになることが通例です。補講的な意味だけでなく、受講生どうしの情報交換の場でもあります。楽しいですし、刺激も受けることでしょう。

夜も適当な時間まで参加してからご自宅や別のホテルにお帰りになることも構いませんが、せっかくの機会ですから全国から参加する皆さんと同宿される方をお勧めいたします。
もちろん個室です。

会場は1泊4000円程度(素泊まり・税込)の破格の安さになると思います。ある程度の宿泊枠を押さえていますので、ご希望なら一緒に予約します。


*講義の目的と内容について

過去、資格試験合格前の方から土地家屋調査士歴30年前後の方まで参加されていますが、受講した皆さんから好評をいただいております。これについては過去のブログをご参照ください。

どの段階の方にでもお役に立てて、どの段階の方でも付いて来ることができる講義内容のはずです。

もちろん、事前の約2ヶ月間のLINEグループによる研修と個別の電話指導で、一人も置いていくことはありません。講義に付いてくるための基礎知識と、本の読み方から指導しています。

土地業務は着手する当初から、境界トラブルとか隣地との人間関係とか、問題点が分かりやすいのです。だから業務中に気をつけるし、最初から先輩に相談したりして事なきを得ます。

その反面、建物は見かけが簡単そうに見えるから、隠れている問題に気づけずに事故が発生することがあります。問題をこじらせてから後輩が相談に来て、解決のアドバイスに苦労することがあります。

鈴木修塾では、事故例を検証しながら、必ず事故がなく登記申請をできるまでにします。


*その他

受講後も受講者と私の間の情報交換や質問・相談のためにLINEグループに参加してもらっています。業界内で意識の高い頼もしい仲間ができることが良かったという受講生も多いです。

そこでは、塾に参加された方が開業した際には、その方が受託した業務について疑問があれば、私も個別にサポートもしております。安心して開業ができると思います。

現役の土地家屋調査士の方には、建物業務で他と差別化ができることを説明します。

建物報酬1件強の受講料ですので、今後二度と迷わない論点の整理にいかがでしょうか。



*2026年3月18日
正式なLINEグループによる講義開始とそれに伴う受講締め切りを訂正しました。









2026年3月15日日曜日

「不動産会社に勤めたまま開業しても大丈夫ですか?」毎年寄せられる質問にお答えします。

 昨日、日本土地家屋調査士会連合会東北ブロック主催の「土地家屋調査士試験合格者のための開業ガイダンス」が開催され、今年も講師を担当させていただきました。

合格者ご自身とご家族の人生がかかっていますので、本音で真摯な質問をたくさんいただきました。今年も頼もしい仲間が増えそうだと、心から嬉しく思っています。

その中で、次のような質問がありました。同じ悩みを抱えている方も多いと思いますので、このブログでもコメントさせていただきます。


質問

「私は現在、ある不動産会社の社員として勤務しており、土地家屋調査士として個人事務所を開業する予定です。会社の了解は得ていますので、いわゆる副業という形になります。
土地家屋調査士として受ける業務は、
不動産売買仲介の受注時に所有者から不動産営業として直接受ける各種登記と、
勤務先の会社から土地家屋調査士として直接受ける自社物件の登記などの依頼です。

どうしても勤務先を通じた依頼が多くなるのですが、このような状況で土地家屋調査士業務を行う場合、注意すべき点があれば教えてください。」


回答

土地家屋調査士の資格は、個人の判断能力を認め、その個人に与えられた資格です。

したがって、土地家屋調査士の上司が無資格者であり、その判断に従わざるを得ない形態は、土地家屋調査士法に抵触する可能性が極めて高いと考えられます。

ご自身が不動産会社の社長で、かつ土地家屋調査士であれば問題ありませんが、社員である以上、社長の指示に従う立場になります。

この質問は毎年いただきますし、測量会社に勤めながら土地家屋調査士登録をするケースも同じ意味を持ちます。同様に、土地家屋調査士が司法書士に雇われることも認められていません。

原則論を申し上げましたが、実際には様々なケースがありますので、詳細は登録予定の土地家屋調査士会にご相談ください。


昨日はこの原則論を説明した上で、もう少し違う角度からもお話ししました。

不動産業は「情報産業」です。ある不動産会社の社員である以上、他の不動産業者からの仕事の受注はほぼ見込めません。

気持ちはよく分かりますが、そのままでは宅建業の給料に少しプラスになる程度で、土地家屋調査士として成功するのは難しいと思います。

むしろ、今の会社と良好な関係を保ちながら独立し、「外部の土地家屋調査士」としてその会社から仕事の紹介を受けるべきだと考えます。

不動産周辺の広範な知識を持つ土地家屋調査士は重宝されます。土地家屋調査士として研鑽を積めば、他の受注も十分に見込めます。

不安だと思いますが、ここまで来た以上、私は全力で応援します。

もう一度よく考えて、また相談してください。


何か大きなものを掴みたければ、今握っている手を開かなければなりません。





2026年3月10日火曜日

三行書くだけで、毎日が前に進み始める

専門家として生きると決めた瞬間から、私たちはずっと学び続ける運命にあります。

初心者であろうと、何十年の経験を積んだベテランであろうと、昨日までの知識だけでは今日を生き抜けません。法律も技術も、制度の位置づけも、静かに、しかし確実に変わっていきます。

資格制度はその専門家の生活を守るための制度ではなく、国は国民を守る為に制度を作ったのだから、専門家として生きたいのなら、学び続けることが当然の“義務”になるのです。

新人の皆さんは、年功序列の世界から頭を切り替えて、初年度からトップレベルを目指してほしいと考えています。

がむしゃらに進むことも意味が無いわけではないけれど、早く専門家として確立したかったら、その学びも計画的に進めて、どんな学びが心に残ったのかを振り返ることで、道筋はより鮮明になります。

その積み重ねが、専門家としての自分を確実に強くしていきます。


鈴木修塾では最近、その「振り返り」の習慣として、三行日記を勧めています。

今日覚えたこと、今日できるようになったこと、今日考えたこと、そういったことを三行ほど書くだけの、非常にシンプルな日記です。

それ以外のことは一切書きません。

三行と決めているわけではなく、四行でも五行でも構いませんが、知識やアイデアの“目次”を書くつもりで短くまとめるほうが、長続きしますし、後から振り返りやすい形になります。


毎日「何ができるようになったか」を書き留めることで、日々前に進んでいる実感が得られます。そして、自分が何を考えてきたのか、その軌跡を後から辿ることができます。

勉強の内容そのものは三行で収まるはずがありませんから、詳しい記録は別の学びノートに書けばよく、この三行日記はそのノートの目次のような役割を果たします。


日記を書くのが苦手な人は多いものですが、この三行日記は「今日、自分がどう進んだか」を確認するための、たった三行だけの記録です。

おそらく誰でも書けます。寝る前に書こうとして「今日は何も進んでいない」と感じたら、そこから本を数ページ読むだけで“今日わかったこと”が一つ生まれます。

それを書けばいいのです。こうして、毎日必ず一歩前に進む自分をつくることができます。


使う道具も自由です。市販の専用日記帳である必要はなく、普通のキャンパスノートでも、小さな手帳でも構いません。

塾生の中には5年日記や10年日記を使う人も多く、長い期間の軌跡を並べて見られるため、自分の成長を実感しやすいようです。


まずは試しに1週間だけ続けてみませんか。

毎日一歩ずつ前進している自分が見えてきます。1年間で最低でも365歩の進化ができます。小さな習慣ですが、その積み重ねは驚くほど大きな力になります。

三行日記は、未来の自分への小さな贈り物です。今日の三行が、明日のあなたを確実に変えていきます。

ちなみに私も1日3行の10年日記を使っています。この日記帳は2冊目です。






2026年3月4日水曜日

TODO JOURNAL

デビッド・アレンの『ストレスフリーの整理術(GTD)』では、頭の中にある「気になること」をすべて書き出すことで、脳の負荷が下がり、行動がスムーズになると説かれています。

毎日多くのtodo(タスク)に追われている私自身、この考え方には深く共感していて、日々の todo を紙に書き出すだけで頭の中が整理される感覚を何度も味わってきました。


「 TODO JOURNAL」という、名前のとおり“todo だけを書く”という割り切った手帳があります。大きさはA6スリムというオーソドックスな手帳サイズで、最初から各行に、完了を示すチェックマーク用の小さな丸が並んでいます。余計な装飾やページ構成はなく、ただ淡々と200ページの「やるべきことを書くための紙」が続いていく手帳です。

私はこの手帳を常に持ち歩き、公私すべてのやるべきことを書き込んでいます。

公私の区別なくtodoを全部書くことが大事です。

以前は大きめの手帳に todo をまとめていた時期もありましたが、サイズが大きいとどうしても持ち歩かなくなり、思いついた todo をその場で書けないことが増えてしまいました。

またジャンル別に、それぞれ別のノートに書き留めるという手もありますが、todo は一箇所にまとまっていないと漏れが出ますし、後で書き写すこと自体を忘れることもあります。

todo は常に持ち歩いて、やるべきことを終わらせることが重要ですが、それよりもやるべきことを思いついたときに即時に書くことがもっと重要だと思っています。

思いついた瞬間に書けるかどうかで、やるべきtodoの流れが大きく変わります。


携帯アプリで todo を管理しようとしたことは何度もあります。

完了した項目が自動的に消えるのは合理的ですし、通知機能も便利です。

ただ、スマートフォンの画面では一覧性がどうしても紙に劣ります。

私は「何が終わって、何が残っているのか」を一瞬で把握したいので、画面をスクロールする必要がある時点で少しストレスを感じてしまいました。

その点、 TODO JOURNAL は紙の一覧性がそのまま活きています。

書いた順に並んだ todo を、ページを開いた瞬間に俯瞰できる、終わったものには丸にチェックを入れるだけで、どこまで進んだかが視覚的にわかる、毎日処理したタスクの量が見える、シンプルですがこの“見渡せる感じ”がとても心地よいのです。


気づけば、この方法が私にとって一番しっくりくる todo 管理になりました。

特別な仕掛けがあるわけではありませんが、必要なことだけが静かに揃っている。そんな手帳です。

もし「頭の中をスッキリさせたい」「todo をもっとシンプルに扱いたい」と感じることがあるなら、この手帳はきっと相性がいいと思います。

先日の鈴木修塾の「業務管理の講義」の中で塾生に紹介したら、とても評判が良く、何人か購入するようです。

気になった方は、ぜひ一度手に取ってみてください。









2026年2月26日木曜日

資格を活かすも潰すも“経営次第”――土地家屋調査士の開業資金を考える

  「土地家屋調査士事務所の開業資金はいくらかかるのか」

これは私の鈴木修塾の中で本当によく聞かれる質問ですが、答えはひと言で言えば 「その人による」 です。


SNSでは「500万円」「700万円」といった数字が飛び交っています。

もちろん、それが“間違い”だとは言いません。

ただ、それはあくまでその人の感覚であって、全員に当てはまるわけではありません。

若くて修行の時間をしっかり取れる方(ただし、これから家族にお金がかかる方)と、定年前後で早く結果を出さなければいけない方(ただし、子育ては終わっている方)では、土地家屋調査士という新しい職業に向き合う姿勢も、必要な準備もまったく違います。


今までの経歴やスキルや年齢によって、狙うべき業務の方向性も違えば、必要な利益も違います。そして、どこまでリスクを取れるかも人それぞれです。

だからこそ、自己分析をしなければ事務所の経営方針は決まりません。

経営方針が決まらなければ、かけるべき経費も決まりません。

それなのに、誰が書いたか分からないSNSの情報を鵜呑みにして、一律に開業方法や資金を考えることは本当に危険です。

私は、どなたでもそんなにお金をかけなくても十分開業できると指導しています。

実際に私が指導した人は、開業資金として数十万円で始めて、今もそこそこの収入を得ながら開業十数年になっています。


ここで、実際にあった新人の話を紹介します。

試験に合格したことで、親御さんが700万円を出資してくれることになった方がいました。

そして、そのほぼ全額で当時最先端のトータルステーションやその他の設備を買うと言うのです。

私は心配になり、「独立して仕事のあてはあるのか、お金が有るというなら生活費に残しておいた方が良い」とお話ししました。

すると彼は「持っていないと仕事が来ない」と答えました。

そんなはずはないのですが、結局私の話は聞かず、合格と出資の勢いのまま購入してしまいました。


順調にいけばよかったのですが、2年後、

「2回しか使っていないトータルステーションがあるのですが、誰か買ってくれませんか」

という話が回ってきました。

その方は今、調査士をやっていません。

もしかすると、こういう方がSNSで「調査士は食えない」とぼやいているのかもしれません。


調査士の資格自体は悪くありません。

むしろ、相当将来性があります。

私の周りを見れば、満足に近い状態で仕事をしている方が多いです。


一番の問題は、個人事務所であっても、それは「経営」であるということ。

ここを理解していない方が本当に多いのです。

「真面目にやっていれば給料が入る」

これはサラリーマンの考え方です。

土地家屋調査士として真面目に研鑽を重ね、真面目に業務をこなすだけではなく、

真面目に“経営”もしなければいけないのです。

せめて最低限の経営や経理の勉強はしてほしいと強く思います。


実際、土地家屋調査士という資格は、他の資格業の中でも相当将来性があると私は考えています。もちろん、”ちゃんと勉強すれば”ですが。


明日から、鈴木修塾の”事務所開業・経営・運営”の講義が始まります

今回の受講者も、実にさまざまな経歴を持っています。

私は、土地家屋調査士を目指したすべての方に幸せになってほしいと思っています。

そのためには、当然全員に同じ教育をするわけにはいきません。

だからこそ、少人数の合宿形式で、一人ひとりに合わせた方向性と課題を提示しています。

今回も、それぞれに違う未来図を描いてもらえるよう、全力で向き合っていきます。