先週10月19日に第8回国際地籍シンポジウムが札幌で開催されました。
同シンポジウムは、地籍学及び実務の進歩普及を図る目的で、日本(日本土地家屋調査士会連合会)・韓国(大韓地籍公社)・台湾(中華民国地籍測量学会)が中心になって設立した「国際地籍学会」が主催するもので、2年毎に台湾、日本、韓国の3カ所の持ち回りで開催されています。
仙台法務局気仙沼支局の海没した登記簿を回復させた阪本勇教授の基調講演「津波災害後のインドネシア(アチェ)と日本(東北)における土地権利の擁護と回復」に続いて、岩手会の菅原会長をはじめとして、たくさんの研究発表がありました。
この詳細は別の機会にお伝えします。
さて、平成10年に第1回国際地籍シンポジウムが台湾で開催されたときに、私も日本から発表者として参加しました。
この3カ国は、戦前同じ登記制度の中で動いていました。それが戦後になって、各々の国がより良いと思う方向に、登記制度や地籍制度を進めてきたのです。
私も以前、個人的に台湾や韓国を訪問して、その重い歴史を感じて来ました。私たちが慣れ親しんでいる土地台帳が、ある行からハングルに変わっていたのです。そこから各々の制度が動いてきました。
台湾は国が、韓国は半官半民である公社が、そして日本は土地家屋調査士という民間が、登記に関する地籍を担当しています。この違いがとても興味深いのです。
日本の地籍制度が理想的な進化だったのか。再確認できると思います。
他国との比較ですが、他の士業では登記制度をイギリスやオーストラリア等と比較したりしているようです。しかし私は、元々制度が違う国と比較するより、元々同じ制度だったこの東アジアの3カ国の方がより比較する興味が有ります。
各国の地籍がどこに向かうのかを考える事が、過去登記を通して地籍を見てきた我々土地家屋調査士の未来を考える上で、とても重要と考えます。
そんなことを考えるヒントとして、このシンポジウムで知る他国の動きはとても参考になります。
さて、この8回続いたシンポジウムを、お金がかかるという理由で止めたいという日調連役員もいるようです。
止めるのは簡単です。いつでもできます。
でも、何故過去の先輩達がこのシンポジウムを始めて続けてきたのかを、もう少し検討してから発言しても良いのではないかと感じます。
費用削減はとても大事です。
でもあらゆる事業を削減していては、「じり貧」になるだけです。オリンピック開催と同じで、かかる経費は工夫すべき課題と捉えるべきではないかと思います。