2012年10月24日水曜日

研修部の役割

全国の土地家屋調査士会は、毎年とても多くの研修会を開催しています。
様々な分野の研修会を見るたびに、土地家屋調査士の懐の深さを感じて、とても嬉しくなります。

そして、その研修会を企画しているのが、各会の研修担当の理事さん達です。
宮城会の研修部理事も、今何が必要か一生懸命議論して企画しています。
どこの調査士会の理事さん達も同じようにご苦労されていると思います。

研修部の一番大切な役割は、研修を企画する事です。
その為には、まず理想的な土地家屋調査士像を想定して、それと現状のギャップを分析する事です。そして、そのギャップを埋める作業が研修です。

土地家屋調査士なら誰でもできなければならない事、例えば、調測要領の内容でしょうか。これらに関する研修は必修になるでしょう。各々の調査士会の会員の傾向を把握して、必要なところから埋める必要が有ります。
また調測要領の範囲外であっても、近い未来に対応するための新しい分野の研修も必要です。

自分たちに足りないこれらの分野を僅かな予算と日程で早急に身に付けなければなりません。
調査士会としては、会員に評価されなくても、やらなければならない研修もあります。むしろ、その分野がウィークポイントなのでしょう。だからこそ工夫が大切です。ここが研修担当者の腕の見せ所でしょう。

また、調査士会によっては、その会をリードする研修担当者の得意分野に関する研修会が多くなる傾向も有るようです。意図的ではないにしろ、その会の会員はバランスが悪くなります。

これは個人でも同じ事なのです。他の会まで行って自発的に研修を受ける人たちもたくさんいます。とても素晴らしい事です。でも、自分たちの好きな方向の研修だけ受けていませんか。土地家屋調査士はバランスなのです。

私は日調連の研修部理事だった事があります。

当時、全国調査士会の研修会がやりっ放しではとても勿体ないので、それらの研修の資料や動画を集めて研修ライブラリを作りました。それで全国の研修会を自宅にいながら受講できる仕組みを作りました。
これは今の日調連が企画しているイー・ラーニングとは思想が違います。

ただし当時はまだネット社会ではなかったことと、必ずしも研修会の動画を各会が送るシステムを持っていなかったことで、ライブラリが充実しませんでした。とても残念な思いがあります。

また日調連の研修部の一番の役割は、全国視野で長期にわたる研修計画をつくることだと考えています。そしてそのカリキュラムと指導要領を構築する必要があると思っています。当時そんな考え方で全国統一の新人研修マニュアルができました。


個人でも調査士会でも日調連でも、研修は思いつきではなく、一貫した思想の基に、バランスの取れた長期研修計画を立てる必要が有ると思っています。