小さな町で会計士として働くクリスチャン(ベン・アフレック)のもとに、ある日大手企業からの財務調査のオファーが寄せられる。調査を進めるうちに彼は重大な不正を発見するが依頼は突然取り下げられ、それ以来クリスチャンは身の危険を感じるようになる。実は、彼は闇の社会の会計士として各国の危険人物の裏帳簿を握るすご腕の暗殺者だった。
(yahoo映画から)
「会計士が実は腕利きの殺し屋」という設定です。
「実は・・」というジャンルは、大好物のジャンルです。
ホームセンターに勤める普通のおじさんが実は・・・、さえない新聞記者だが実は・・・、戦艦のコック長だが実は・・・、昼行灯の南町奉行所同心だが実は・・・、越後の縮緬問屋の隠居だが実は・・・等々。
だから大好物のジャンルムービーで、すかっとしたアクション映画だと思って観ました。
しかしこの映画は、事前に予想していた映画とは違っていました。
もちろん、当然そのジャンル映画としても楽しめるのですが、観終わってみるとまた別の印象が残りました。
主人公クリスチャンは高機能自閉症を持っています。
その高機能自閉症を抱えるクリスチャンを世間の荒波から守る為に、父親は特殊な戦闘能力を身に付けさせたのです。
その二つの大きな要因から主人公のキャラクターが作られています。
昼は腕の良いコンサルタントでありながら、コミュニケーションについては少し欠落する部分があるようです。
そして、夜は真っ暗な部屋で、明滅するストロボの中で大音量のロックをかけながら、棍棒で向こうずねを鍛えるトレーニングを行います。
それがとても異様で、儀式にすら思える異様なトレーニングですが、光や大音響が苦手な高機能自閉症を克服する彼なりのルーチンのようです。
とにかく序盤から彼のキャラクターに引き込まれます。
彼には裏の世界のお客がいるようです。
裏の会計を把握していながら、何故主人公は殺されないのか。
彼の関わる人間がそれぞれの思惑で動き始めます。
様々な伏線が物語りの始めから提示されていて、それらの伏線は最後には全部回収されます。このシナリオがとても良く練られていると思います。
おそらく観終わってから、それらの伏線を辿りたくなって、もう一度最初から観たくなると思います。
別の印象が残ったと書いたのは、この映画は切れの良いアクションだけでなく、むしろ人間ドラマでもあるからです。ハンディを負った主人公と家族との関わりや、彼の謎のアシスタントなどの部分が、「そうだったのか」という展開なのですが、ネタバレになるので詳しくは書けません。
アナ・ケンドリック演じるヒロインとの関係も、このクリスチャンのキャラクターだからこその味わいのあるものでした。
このブログでは「この映画はとても面白いので観てください」ということだけをお伝えします。
ベン・アフレックは、はまり役だと思います。私は続編が出るなら観ると思います。
え、私ですか?
土地家屋調査士のオジサンだけど、実は・・