ペンシルは、筆記文字が消えやすいです。
ボールペンは、水性インクより発色が劣り、インク擦れやインク漏れがあります。
ローラーボールは、気圧の変化でインク漏れがあります。
これらの4世代の筆記具を超えて、第5世代のペンという触れ込みで、パーカーが発表したのが「インジェニュイティ」です。
10月から一部店舗で先行販売をされていました。試し書きをしてみましたが、確かに経験の無い書き味でした。いわゆる調整した万年筆の「ぬらぬら」に近い滑らかさがありました。
ペンはこんな感じです。
よく分かりませんか?
そうですよね。一件万年筆のペン先のように見える部分の裏に特殊な構造のニブがあります。
コピックの先みたいに見えますが、新技術のペン先構造とのことでした。
拡大しても分かりにくいですね。
右側のペン先みたいな部分は、実際に紙に触れないフード部分になります。
その左側から少し先に出ている部分がペン先です。
このペン先がコピックとは全く違う柔軟性を持たせられていて、それをフード部分で押さえる機構と、ペン尻に仕込まれたスプリングにより、柔らかな書き心地が生まれています。
そしてこのペン先が、使用していると書き手の筆記角度に合わせた形状に変化するようです。万年筆のそれに近い変化を、極々短時間で行うようです。
書き心地が良い上、メンテナンスが非常に簡単で、インクが切れたらこの左側がペン先が付いているカートリッジを引き抜いて、交換するだけです。
一晩キャップを外していてもペン先が乾燥せずに書けるし、気圧の変化にもインクの漏れが無く、インクの発色も良く滲まず、すぐに乾燥し、書いた直後に触ってもインクが手に付かないのです。
確かに旧世代の問題を解決しています。
文句ないですよね。
確かにこの書き心地は特筆すべきモノです。
機能も認めます。
でも何か違和感があるのです。
おそらくそれはこのフード部分のデザインでしょう。何故万年筆に似せる必要があったのでしょうか。
第5世代と言うなら、この部分はもっと新しさを全面に出して良かったと思います。
高級筆記具としてデビューさせるためには高級文具の位置を占めている万年筆を模倣した方が売れると思ったのでしょうか。
確かにこのフード部分を丸いハーフチューブにしたら、使い捨てコピックと同じ程度に見えて、高級感を出しにくいのかも知れません。
もともとこのペンの価格は、開発費がかなり上乗せしてあると思います。もっと低廉に出せる内容だと思います。それをある程度の値段で売るためにこのような戦略に出たのかも知れません。いずれ安いラインも出てくるでしょう。
おそらく万年筆に憧れているけれど敷居が高いと思っている人には、選択肢の一つになるかも知れません。印刷された契約書に署名する程度の使い方なら、それも良いでしょう。
ただ万年筆の繊細さや扱いにくさに付き合っていることが嬉しいという困った性を持っている私には、このペンはあまりにも問題が無くて詰まらない気がします。
でも、ここまで読んで「結局鈴木は買わなかったんだね」とは皆さん思っていないでしょう。
だって、この写真が有るんですから。
このペンに違和感が有るけれど、文具で知らないモノが有る自分も、もっと違和感が有るのです。2ヶ月迷って結局買いました。
使ってみて確かに欠点は少ないです。このインクには本当に綺麗なブルーも有ります。
インクの紙の裏抜けは少しありますが、にじみが無いのも良いです。
今まで飛行機の出張には万年筆は持って行きませんでしたが、これは持って行きます。
一番の欠点は、モノ自慢するときに、このペンの名前が覚えにくいこと、言いにくいことでしょう。
「パーカー、インジェニュイティ」でした。