2022年12月16日金曜日

探偵のような仕事

土地の筆界を調べることは、探偵みたいな作業だと言ったよね。

少なくても、現地の境界杭を測量して隣接地所有者の判子をもらえば良いだけの仕事ではない。

逆に国土調査の成果や他の土地家屋調査士の測量図の成果を復元するだけの仕事でもない。

それなら資格も研修も要らない。

そんな単純な作業だけしていたら、その場の業務は終わっても、将来地権者の代が変わる頃に訴訟が起こるかも知れない。


過去のできごと、見えない境界などを、今入手できる情報(書証・物証・人証)を分析して、あらゆる可能性を想定して、その可能性をひとつずつ潰していく作業だ。

資料に示されているわずかな手がかりを見逃さない注意力と、豊富な経験による推理力と、裁判にも耐えうる論理力が必要なんだ。


その上で権利関係や税金まで考慮した手続きの選択をする。

だから土地家屋調査士は専門家であり、作業員ではなく専門家としての報酬をいただける。


もう少し、探偵ということで説明しようか。

例えば学校で殺人事件が起きたとする。死体の脇でナイフを持っていた生徒が立っていたとする。

もうそれだけで、「こいつが犯人だ」と決めて調書を作成して「任務完了」と言ってたヘボ探偵は、3年前の君。

「学校の関係者すべてに可能性がある」と言って何百人も閉じ込めて捜査を始めた探偵が、今日の君。


焦るな、まだ先は長い。