2013年10月16日水曜日

交響曲第一番 佐村河内守

あまりにも凄まじい。

佐村河内守(さむらごうち まもる)の「交響曲第一番 闇の中の小さな光」を読みました。NHKのドキュメントなどで彼の存在も彼の曲も知っていました。
交響曲第一番を初めて聴いたときは、鳥肌が立ちました。
しかし、彼がここまで凄まじい人生を送ってきたことは、書籍を読まないと実感できませんでした。



ご存じの方も多いでしょう。被爆二世として広島に生まれ、4歳から母にピアノを師事し、10歳で「ソナタ」をすべて制覇、その後音大を拒否し、独学で作曲を学びました。35歳で全聾になり、常にボイラー室に閉じ込められているかのような轟音が頭に鳴り響く頭鳴症と破壊的偏頭痛の発作に悩まされながら、絶対音感だけで作曲を続けました。
彼はしばらくの間、全聾であることを隠し続けていました。全聾の作曲家と言われることが、良くも悪くも作品への正当な評価をされないからです。
何度も挫折しながらも交響曲第一番「HIROSHIMA」を完成し、その直後自殺未遂をします。その後も発作と精神喪失(本人は発狂と書いている)を繰り返しながら創作活動を続けています。この交響曲第一番はクラシックとしては空前の大ヒットをしています。

この本を読んで、改めて佐村河内の交響曲第一番を聴いています。
聴きながら、彼の肉体的にも精神的にも闇の世界の中で、凄まじい苦悩の先に見えた「小さな光」を感じています。
以下は彼の本からの抜粋です。

自分を闇に突き落とした憎むべき相手と、真理への感謝を捧げる相手と、苦痛から救われるために祈る相手ー。その三者は「同一の存在」だったのです。

その三者が同一の存在だったと気づいたとき、私が”神”と呼んできたものの、その存在の大きさを嫌というほど思い知りました。
最終的に私が得たものとは、その大きな存在(神=運命)に身を委ね、ただ祈るほかないということでした。

運命に身を委ね、苦痛を忍び、祈りながら、「闇の音」を紡ぎつづけるほか道はないと知るばかりです。

誰にでもお奨めする曲でないかも知れません。
まして誰にでもお奨めする本ではないかも知れません。
辛すぎるからです。

でも興味があるのなら、一度読んでみてください。
また一度聴いてみてください。
「闇の音」が聴こえるかもしれません。



追伸)
フィギュアスケートの高橋大輔の今年のショートプログラムで、佐村河内守の曲「ヴァイオリンのためのソナチネ 嬰ハ短調」が使われます。
注目してください。