境界侵害は財産権の侵害のようで、実は気持ちの問題が大きいのです。
ここを取り違えて対応しようとすると、何の解決にもならない事があります。
隣接者のゴミの捨て方が悪いということや、道で会ったときの挨拶が悪いとかの理由が、何故か境界問題に形を変えて現れる事があります。
純粋な境界問題だとしても、「20cm境界を侵害した。」と言って争いが始まり、だんだんエスカレートして、時価20万円もしない土地の争いに、200万円も300万円も裁判費用をかけ始めます。
財産侵害の話から、いつの間にか「金の問題ではない」という話に変わってしまいます。
この話は、機会が有るたびに解説していますが、ここが大事な事です。
私たちは毎日土地の地権者の悩みを聞いています。
その地権者の皆さんの言葉の裏に、本当は何を望んでいるのか、一番分かる業種だと思っています。
境界に関する法的能力はもちろんとして、一番境界問題でお役に立てる部分がこの能力だと思うのです。
ですから、私たち土地家屋調査士がADRを担当する事が一番地権者の為になるのです。
本来土地家屋調査士を一生懸命やっていれば、他人の話を聞く能力も、その言いたい事を法的に分析する能力も、持っているはずです。
しかし、それだけでもいけません。ADRという新しい制度の中で、当然に身につけるべき新しいノウハウも必要です。
そこで土地家屋調査士特別研修があり、その能力検証としての考査があります。
その一年に一度の特別研修の考査が今週末にあります。
そこで昨日、宮城の受講生たちに、考査対応の指導をしました。
さすがにここでは、あまり細かい事は書けませんが、内容は以前のブログに書いたものが基本です。
受験等の勉強(対策)と、物事を極める勉強とは、まったく違うと割り切るべきです。
その割り切りができないと、どちらも上手く行きません。
考査合格は最小限のエネルギーで終わらせて、安心して高みを目指す勉強に切り替えて欲しいと思います。
そうでないと「認定調査士」になっても、世間のお役に立てません。